リベラル21と田畑光永のバカさに呆れる(2022年12月22日分)

リベラル21 中国―わからないぞ!習一強体制の行方(上)田畑光永*1

 共青団派ホープとして、次期首相の候補にも名前が挙がっていた前期政治局員の胡春華*2(今はまだ副首相)が、今回、政治局常務委員に昇格して次期首相コースへ、どころではなく、結果として25人の政治局員からも外れて、ただの中央委員に格下げされた人事である。これは一般には習による共青団排除の一環と受け取られているようだが、事実は逆ではないかと私は思っている。
 というのは、前期までの体制では政治局員は胡春華を含めて25人いた。ところが大会後はそれが1人減って24人となった。なりたい人間はいくらでもいるのだから、増えてもおかしくないのに、わざわざ減らすのは奇妙である。理由が分からない。
 私の推測は、(ボーガス注:胡氏個人の意思か、彼が属するとされる共青団派などの『組織的な意思』かはともかく)胡春華がみずから格下げを申し出たのではないか、である。表向きどういう理由を述べたかは分からないが、『習近平*3色の強い執行部をつくるのなら、自分は身を退いたほうがいいでしょう』というような言い方で政治局員留任を固辞したのではないだろうか。
(中略)
 そう言われては、習にしても頭を下げてまで胡春華に政治局員に留まってくれ、とは言いたくない。が、さればと云って、空いた椅子をこれ幸いと自派の誰かに回しては対立の火に油を注ぐ。だからその席は空席として、雲行き如何によっては政治的駆け引きの材料として、胡春華を政治局に迎え入れられるようにしているのではないか、というのが私の結論である。

 読んでて吹き出しました。
 陰謀論ではありがちなことですが、「そう見なす具体的な根拠」が何もない。
 「25→24に減ったのは不自然」以外に「習主席側の降格人事(通説?)」ではなく「習氏に反発する胡氏があえて自分から距離を置いた」とする「主張のまともな根拠」を田畑は提出しません(できない?)。
 はっきり言って「25→24に減ったのは不自然」程度でこんなことを言うのは陰謀論以外の何物でも無いでしょう。


リベラル21 中国―わからないぞ!習一強体制の行方(下)田畑光永

 今、中国の政権は大変な難題に直面している。不動産不況である。
 12月15,16の両日、北京で中央経済工作会議というのが開かれた。この時期の毎年恒例の会議で、その年の経済の実績と政策を総括し、当面の経済情勢を分析して、翌年の経済政策の段取りを決める場である。今年の会議には10月の党大会で決まった習近平以下7人の政治局常務委員と、党の常務委員は外れたが政府における任期がまだ残っている李克強*4首相と韓正*5副首相が出席した。
 コロナ禍の影響が続く経済情勢についての一般的報告と来年の政策には特に新味はなくても驚かないが、一段と深刻さを増しているこの不動産業界については、なにがしか対策が打ち出されるのではないかと、報道発表文に目を凝らしたが、その予想は見事に裏切られた。
 なりふりかまわず習が(ボーガス注:党総書記)三選を望んでいるのに対して、李克強派はそれに正面から立ち向かって、混乱を恐れずに一戦を交えるか、それともこの難局をあえて習一派に丸投げして、彼らが自壊するのを待つか、を比較考量して、後者を選んだのではないか、というのが、私の結論である。

 吹き出しました。
 習近平政権が「田畑の評価」では「不動産不況に対して有効な策をとっていない」ことについて、田畑が政権批判するのはいい。
 しかし、それを「習政権と対立する共青団派李克強首相など)が故意に対策をネグってる」と見なす根拠が何処にあるのか。
 1)自壊する保障がない(習主席が対応に成功したらかえって対策を故意にネグった李首相らの立場が悪くなる)、2)対策をネグることに寄って混乱が起こったとしても李首相らに有利になるとは限らない(田畑が評価するように、李首相らが政権内において反主流派だとしても政権幹部である以上、国民の批判が主流派止まりで終わる保障が無い)と言うことを考えれば田畑説は「?」でしょう。
 勿論、1)田畑が高評価する李首相らは「有効な施策」を主張してるが「反対理由が何かはともかく」習主席らの反対で実現しない(李首相らは政策をネグっていない、むしろネグってるのは習主席)、2)田畑が高評価するほど李首相らも名案があるわけでは無く「どんな策を打ったらいいか」悩んでいる(ネグってるわけでは無く、李首相らも上手い手が思いつかない)という解釈も「可能性」としてなら可能でしょう。
 「俺は中国の経済施策を評価する能力などない」ですが勿論、「中国政府はそれなりの策を打っており、田畑の低評価が間違ってる」という理解も可能性としてならあり得る。
 陰謀論ではありがちなことですが、田畑説(習政権と対立する共青団派李克強首相など)が故意に対策をネグってる)には「そう見なす具体的な根拠」が何もない。
 なお、上記は田畑記事に投稿しましたが予想通り掲載拒否です。「賛同コメントしか掲載しない」のだから、自称「リベラル」が聞いて呆れます。

*1:1935年生まれ。TBS『JNNニュースコープ』メインキャスター、北京支局長、香港支局長などを歴任。TBSを定年退職後は、法政大学客員教授神奈川大学教授を歴任。著書『中国を知る』(1990年、岩波ジュニア新書)、『鄧小平の遺産』(1995年、岩波新書)、『勝った中国・負けた日本:記事が映す断絶八年の転変』(2015年、御茶の水書房)など

*2:河北省長、内モンゴル自治区党委員会書記、広東省党委員会書記などを経て副首相。共青団中国共産主義青年団チベット自治区委員会副書記時代のチベット自治区党委員会書記が胡錦濤であり、胡錦濤派とされる。2022年10月に第20回党大会が開催されるまでは次期首相の有力候補と見なされ、大会で中央政治局委員から中央政治局常務委員に昇格と見なされていた所、中央委員に降格となったことは驚きを持って受け止められ、第20回党大会の閉会式で胡錦濤が(反発、抗議意思の表明で)途中退席する一因になったと言う見方がある(胡春華 - Wikipedia参照)。

*3:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*4:共青団中央書記処第一書記、河南省長、党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相

*5:上海市党委員会副書記(副市長兼務)、上海市党委員会書記(市長兼務)等を経て副首相