kojitakenに悪口する(2023年7/1日記載)

志位和夫が敬愛するショスタコーヴィチの音楽には「全体主義的な響きがある」と片山杜秀が指摘 - kojitakenの日記
岡田暁生「バッハこそ『超近代』の作曲家」、片山杜秀「かつての古楽が現代のミニマル・ミュージックとして再び聴かれるようになった」「『ミリオタ』のショスタコーヴィチには全体主義的な響きがある」etc. - KJ's Books and Music
 タイトルだけで「反共分子」の「カス駄犬」「クズ駄犬」「クソ駄犬」ことid:kojitakenのアホさに吹き出しました。志位氏批判をするにしてももう少しまともな批判ができないのか。
 第一に片山*1の主張「ショスタコーヴィチの音楽には全体主義的な響きがある」は別に通説でも何でもないでしょう。
 「全体主義的な響き」という主張の意味は全く意味不明ですが。
 第二にこの珍説では志位氏に限らず「ショスタコビッチのファン=全体主義者」と言うとんでもない話になります。ショスタコビッチファンに対する酷い侮辱ではないか。勿論、世界的な作曲家「ショスタコビッチ」のファンは世界中にいるわけですが。
 なお、kojitakenのアホ記事から志位氏のツイートを以下の通り紹介しておきます。

志位和夫
 ショスタコーヴィチも話題に。私は、彼がスターリンによって命を奪われる寸前の迫害を受けたこと、それに屈せず交響曲4番、バイオリン協奏曲1番、ラヨークなどの傑作を、未来の聴衆のために残したこと、日本共産党はこうした全体主義を決して再現させてはならないという立場であると話しました。
◆音楽の友
 ものすごい対談が実現しました。元首相の小泉純一郎さんと衆院議員・共産党幹部会委員長の志位和夫さんが午後、音楽之友社にいらっしゃって、その熱い音楽愛を語り合いました。コロナ禍で沈んでいる業界へのエールもいただきました。奥田佳道さんの進行で、(ボーガス注:2020年)10月18日発売11月号ほかで掲載予定です*2

志位和夫
 ショスタコーヴィチの弾圧はスターリン自身の判断だった。彼は、音楽のもつ力、それが彼の全体主義国家を覆す力さえもちうることもよく知っていた。だから音楽を恐れたのです。
 文化芸術への抑圧も、政治利用も、決して許してはなりません。世界の万人の幸せのための自由な営みでなければなりません。

【参考:志位氏とショスタコビッチ】

日本共産党・志位和夫委員長のクラシック音楽、特にショスタコーヴィチへの傾倒ぶりがハンパない件: 「おかか1968」ダイアリー~いっそブルレスケ~2009.8.26
 9年前に今は亡き音楽情報誌「グラモフォン・ジャパン」の取材に応じ、クラシック音楽、とくにショスタコーヴィチへの思いを熱く語ったことがありました。
 中学生時代、レオニード・コーガンの演奏による「ヴァイオリン協奏曲第1番」をFM放送で聴いた時のことを志位氏はこう回想しています。
 「こんな音楽があるのかと大変驚いて、すぐにスコアを買いに行った。ノクターンから始まる、その旋律の美しさに驚き、スケルツォに入ると当時聴いたこともないような和声や対位法が縦横に駆使されていて、どんどん発展していく。やがて熱狂的な世界をつくりだしていく。ショスタコーヴィチのような作曲家に出会ったのは初めてでした。私もモーツァルトベートーヴェン、バッハ、ショパンというところから音楽を知り始めたのですが、その頃は作曲の勉強を始めた*3ばかり、古典的な和声法には禁則がたくさんあったのが、ショスタコーヴィチのスコアを見ると禁則も何もない。これは一体どういう和声なんだろうと驚くばかり、それが最初の出会いでした」
 (「グラモフォン・ジャパン」2000年8月号から)

新春対談/日本共産党委員長・志位和夫さん バイオリニスト・荒井英治さん2014.1.1
◆志位
 ショスタコーヴィチは、旧ソ連スターリンの圧政下で、その暴圧に抗して、芸術家としての良心を守り抜いた作曲家ですが、僕は、彼の音楽は、時代は違っても、あらゆる世の中の暴圧とたたかっている人々へのエールにもなっていると思うんです。いま、日本を「戦争する国」にするきな臭い動きがあるじゃないですか。それとたたかっている人々への励ましのメッセージにもなっていると思います。
 僕の最初のショスタコーヴィチ体験というのは、中学生の頃にFMラジオで聴いた、レオニード・コーガン(旧ソ連のバイオリニスト)演奏のバイオリン協奏曲第1番でした。「夜想曲」から始まってとても不気味な感じがしましたね。こんな音楽がこの世にあるのかと驚いて、録音したテープを何度も聴きました。
 ショスタコーヴィチスターリン体制のもとで、2度にわたって命の危険にさらされています。最初は、1936年から37年の時期です。オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に対して1936年に「プラウダ」(ソ連共産党機関紙)が突然乱暴な非難をくわえた。
 スターリンは一種の直感で、これは危ないなと感じたのではないか。これは民衆の心を歌っていると、民衆の心に訴える強い力を持っている。こういう音楽は危ないぞ。そう恐れたからこそ、弾圧しようと考えたと思うのです。このときは、ショスタコーヴィチは本当に危なかったわけです。ガリーナとマクシムという彼の2人の子どもの回想録(『わが父ショスタコーヴィチ*4』)が出ているのですが、それによると、1937年にトハチェフスキーという赤軍の元帥が処刑される。そのとき、彼と親交があったということでショスタコーヴィチも危うく間一髪で粛清されるところだったという話も出てきます。
 こういう危機の時期にあって、ショスタコーヴィチが書いたのが、交響曲第4番(作曲は1934~36年)でしょ。
 彼は、「『プラウダ』の批判にたいして、私は悔いることを拒否した。悔いる代わりに私は交響曲第4番を書いた」といっています。
 ショスタコーヴィチの2度目の危機は、1948年のジダーノフ*5ソ連共産党政治局員)からの「形式主義的・西欧追随的」という批判です。このときも大変な苦境に立たされるわけですけれども、彼がとった行動というのは、スターリンの暴圧を厳しく風刺・告発する「反形式主義的ラヨーク」という曲をひそかに作曲することでした。
◆荒井 公開で初演されたのは死後ですよね。

*1:慶應義塾大学教授。本業は政治思想史研究だがアマチュアクラシック音楽評論家として、そうした関係の著書もある。著書『近代日本の右翼思想』(2007年、講談社選書メチエ)、『未完のファシズム』(2012年、新潮選書)、『平成精神史』(2018年、幻冬舎新書)、『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』(2018年、文春新書)、『革命と戦争のクラシック音楽史』(2019年、NHK出版新書)、『歴史という教養』(2019年、河出新書)、『皇国史観』(2020年、文春新書)、『尊皇攘夷:水戸学の四百年』(2021年、新潮選書)、『片山杜秀のクラシック大音楽家15講』(2023年、河出文庫)、『ごまかさないクラシック音楽』(共著、2023年、新潮選書)、『左京遼太郎安二郎』(2023年、新潮文庫)等

*2:これについては赤旗志位和夫氏&小泉純一郎氏 『音楽の友』で特別対談/立場超えた「音楽愛」(2020.10.19)参照

*3:日本共産党幹部会委員長 衆議院議員 志位和夫|プロフィールによれば「高校のころは、作曲家に本気でなりたいと勉強していた時期もありました。ピアノ、バイオリン、作曲について、習いました。作曲の勉強は、和声法と、対位法、そして簡単なソナタ形式の習作を作ることでした。幼稚なものですが、当時の作品も残っています。しかし、この世界は、どんなに望んでも才能の壁というものがあることを知らされました。作曲家の道は断念しましたが、音楽は生涯の友人です」とのこと。

*4:邦訳は音楽之友社

*5:1896~1948年。レニングラード党委員会第一書記、ソ連最高会議議長など歴任