珍右翼・黒坂真に突っ込む(2022年1月31日分)

◆黒坂のツイート

黒坂真
 事実が何より大事、という志位さんのお話ですが、それなら日本共産党本部のHPに32年テーゼや51年綱領を掲載すべきです。志位さんは日本共産党の歴史に正面から向き合えない。内緒にしたいことが多いから。
志位和夫
 (安倍晋三元首相は)相手は歴史戦を仕掛けているのだから戦わなくちゃいけないと(言っている)。これは間違った議論だ。歴史は戦争ではない。歴史は事実が何よりも大事。正面から向き合うことが大事で、戦場にしてはいけない。

 「安倍元首相らの佐渡金山での朝鮮人強制連行否定は間違ってる」という志位発言に「安倍氏は間違ってない。強制連行なんか無かった」といえず「(暴力革命を肯定した当時の)32年テーゼや51年綱領ガー」とは「黒坂はバカか」としか言い様がない。そもそもそうした安倍批判は「韓国政府など共産党以外もしている」ので、話のすり替えにすらなってない。
 なお、「32年テーゼ」はともかく「51年綱領(徳田時代)」については、共産党は現在

51年綱領 - Wikipedia
 1958年7月の第7回党大会では、宮本顕治を書記長に選出するとともに、『51年綱領』を「一つの重要な歴史的な役割を果たした」と評価した上で、正式に廃止した。
◆1993年以降の日本共産党の主張
 1993年6月24日付の宇野三郎*1名で出された(発表は6月25日付の『赤旗』)「いわゆる『51年綱領』という用語の変更について」で、「51年綱領」について、「党規約にもとづく正規の会議で採択された文書ではない」「分派組織*2が外国*3の党に押し付けられた文書を綱領などと呼ぶことは適切ではない」として、「51年文書」と呼び変えると表明した。

共産党、「日経」記事に抗議/「51年綱領」は綱領ではない2019.3.2
 日本共産党の植木俊雄広報部長は1日、党綱領に関する誤った記事を掲載したとして日本経済新聞社に抗議し、是正措置をとるよう求めました。同紙は2月22日付夕刊「政界Zооm」欄の「政党綱領で読む憲法観」で、日本共産党の「51年綱領」なるものを取り上げ、「暴力革命を打ち出した」などと書いていました。
 抗議では、「51年綱領」は党の正規の機関が定めた文書ではなく、戦後、旧ソ連や中国の指導部による不当な介入・干渉により生まれた党執行部内の分派*4が勝手に作った文書だと指摘。「『綱領』などと呼べるものではないことは、わが党がくりかえし明らかにしてきたことだ」と強調しました。
 その上で、61年の第8回党大会で正式に決定した綱領は「武装闘争」や「暴力革命」路線を明確に退け、「日本の政治と社会のどんな変革も、国民多数の合意に基づき、国会で安定した過半数を占めることによって進めていく立場を明らかにした」と指摘。「この立場は2004年に決定した現在の綱領でも明記している」と述べ、同記事の誤りを指摘しました。
 同紙編集局政治部の佐藤理次長が応対し、文書を受け取り、「対応を検討します」と答えました。

として全否定的な立場です。いずれにせよ、日経が「徳田時代の日本共産党」ならともかく、「今の日本共産党」を論じるにおいて「51年綱領」を持ち出したのなら「時代錯誤な愚行」でしかない。
 「昔の創価学会の文書」を元に「創価学会公明党の目的は国立戒壇」という位馬鹿げている。

黒坂真
 大野たかしさん。社会科学*5には、数学の定理や公式のような厳密性を持つ法則はないと考えます。歴史の解釈は世界観により異なる

 「アイヌ民族否定論」「張作霖暗殺・コミンテルン陰謀論(勿論、犯人は関東軍)」「南京事件否定論」「河野談話否定論」「関東大震災での朝鮮人虐殺否定論」「軍艦島端島炭鉱)や佐渡での朝鮮人強制労働否定論(現在進行形で岸田内閣がやってる愚行)」など「日本極右の歴史修正主義」への批判に対する黒坂の詭弁、居直りです。
 しかし「事実の問題(ある事実があったか、無かったか)」は「世界観により異なる」といえる話ではない。
 勿論「明治維新の評価(プラス面としての近代化、マイナス面としての対外侵略など)」「チベット解放の評価(プラス面としての近代化、マイナス面としての『漢民族チベット人の民族紛争』など)」「鄧小平や朴正熙の評価(プラス面としての近代化、マイナス面としての独裁政治など)」といった「価値観の絡む話」もあります。
 ただし、第一に「後でも触れますが」何でもかんでも「価値観の問題だ」ですむ話ではないし、第二に「価値観の話」においても「事実が前提になる」わけです。「事実に反する価値観(例:大東亜戦争はアジア解放の戦争、解放前チベットは何の問題も無くバラ色)」は「是非以前」にデマになる。
 そもそもこの黒坂の詭弁「価値観の問題」なら

◆青森にある『キリストの墓』が本物かどうか(勿論言うまでもなく後世の捏造)
神武天皇が実在かどうか(勿論、非実在
邪馬台国が九州にあったか近畿にあったか
◆チンギスハンは源義経
→珍説として義経説があり、その立場に立ったマンガとして瀬下猛『ハーン』(ただしマンガはあくまでもネタとして描かれており瀬下が義経説を信奉しているわけではない) 
上杉謙信が男性か女性か
→珍説として女性説があり、その立場に立ったマンガとして東村アキコ雪花の虎』(ただしマンガはあくまでもネタとして描かれており東村が女性説を信奉しているわけではない) 
孝明天皇が病死か、薩長による毒殺か(通説は病死説)
ホロコーストがあったかどうか(ネオナチのホロコースト否定論)
◆「カチンの森虐殺」がナチの犯行か、スターリンソ連の犯行か(現在ではスターリンソ連の犯行と判明)
朝鮮戦争北朝鮮の侵攻で起こったのか、韓国の侵攻で起こったのか(現在では北朝鮮の侵攻と判明) 
ラングーン事件全斗煥暗殺未遂)、大韓機爆破が北朝鮮の犯行かどうか

なども「世界観により異なる」という馬鹿げたことになってしまう。大体、この黒坂の理屈では「社会科学の一種である経済学」においても「法則はない」ということになる。
 「経済学者・黒坂の研究成果」をどう評価するかは「世界観により異なる」ということになってしまう。黒坂の「マルクス主義経済学への非難」も、マルキストは「我々は共産主義マルキスト)であんたは反共主義。価値観の違いに過ぎない」で片付けていいことになります(勿論、まともなマルキストはそこまでお粗末ではないでしょうが)。
 黒坂の場合、「理屈の整合性」などお構いなしで「売り言葉に買い言葉」的な無茶苦茶なことを、このように平気で言うから呆れます。
 「学者の肩書きを一応持ってる人間」でここまで酷いウヨもなかなかいない。

*1:1931~2008年。本名は雲英晃顕(きら・こうけん)。日本共産党文化・知識人局長、書記局次長、社会科学研究所長などを歴任。著書『日本経済と「帝国主義論」』(1979年、新日本出版社) (宇野三郎 - Wikipedia参照)

*2:いわゆる北京機関のこと

*3:ソ連や中国のこと

*4:いわゆる北京機関のこと

*5:歴史学ならともかく「社会科学」と言い切ってるところがすごいですね。経済学者の端くれのくせに、黒坂は「社会科学の一種である経済学」の「法則」を全否定する気でしょうか?