今日のロシアニュース(2023年12月19日分)(副題:苦戦するウクライナ)

ロシア軍参謀総長「ウクライナ軍の反転攻勢は失敗」と主張 | NHK | ウクライナ情勢
 ロシアの発表なので割り引く必要はありますが、当初ウクライナが宣伝したほどには「反転攻勢の成果が出てないこと」は反転攻勢「失敗」のウクライナ、50万人動員検討の背景は 小泉悠氏 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル(2023.12.21)、ウクライナ「継戦も地獄、停戦も地獄」 小泉悠氏が読む戦況:日経ビジネス電子版(2023.12.22)等から見て確かでしょう。
 小泉*1は明らかに反ロシアの立場ですし。


ウクライナ「継戦も地獄、停戦も地獄」 小泉悠氏が読む戦況:日経ビジネス電子版
 有料記事なので途中までしか読めませんが。

小泉氏
 ウクライナが苦戦している理由の一つに西側の支援が十分でないことがあります。
 ウクライナによるハルキウ奪還は見事なものでした。あの勢いがある時に戦車や戦闘機、長距離ミサイルATACMSなどの支援を決めていれば、2023年の年明けから反転攻勢を開始できた可能性があります。ウクライナは今ごろ、クリミア半島を孤立させることができていたかもしれない。西側の支援が遅いから、ウクライナは領土を奪還できない。ウクライナが領土を奪還できないから西側の支援疲れが進む。こうした悪循環に陥っているのです。

 「反ロシア」小泉らしいですが「支援がもっと早く、たくさん来てれば反転攻勢が成功したかも」と「たられば」の話を今更しても仕方ないし、小泉に善意に理解しても「成功の可能性があった」程度の話でしかない。

記者
 西側諸国が(ボーガス注:すぐに戦車や戦闘機を供与せず)ぐずぐずしているのは、戦後を見据えているからでしょうか。ロシアから買う反感が小さい方が、戦後の関係正常化がしやすいと考えているのでは。
小泉氏
 そういう面はあるかもしれません。

 勿論その可能性もあるでしょうが「他にありうる理由の一つ」は「イラン・イラク戦争で米国が支援したフセイン」が後に「クウェート侵攻」で「米国にとって厄介者」になったような事態(ウクライナNATO等の意向を無視して、地域の不安定材料になること)でしょう。ウクライナ政府との友好関係を考えれば「公言できない話」ですが。

記者
 支援継続を西側に認めさせるため、ウクライナには何が必要でしょう。
小泉氏
 戦果を上げて、「支援は役に立っている」と知らしめることが必要です。具体的には、ヘルソンでドニエプル川の渡河作戦を成功させ、ヘルソン州クリミア半島をつなぐ地峡を占拠する。これによりヘルソン州クリミア半島のロシア軍を分断する。第2として、ザポリージャ州のオリヒウからトクマク、メリトポリへと南進しアゾフ海まで進軍する。これにより東部ドンバス地方のロシア軍と南部ヘルソン州のロシア軍を分断することができます。

 完全な「たられば」の話ですね。「戦果が挙がってないことが武器支援消極論の理由になってる→戦果を上げればいい」て「現状の状態」でそんなに簡単に戦果が上がるのなら誰も苦労しませんし、「戦果が上がらずに苦労してる」から追加の武器支援が必要なんでしょうに。
 小泉の物言いは、たとえるなら「プロ野球」で「フロントに監督が外国人選手補強、他チームからのFA選手獲得などを認めさせるにはどうしたらいいか→現有戦力でまずは頑張れ」位、無茶ではないか。
 現有戦力に不足があるから外国人選手補強、他チームからのFA選手獲得などしたいわけです。
 これが「Aという戦果を上げるにはこれこれこういう理由で、Bという武器支援が必要だ、現在Bがないから(あるいは不足してるから)Aが実現しない(ウクライナ)」「Cという成果を上げるためにはこれこれこういう理由でDと言う選手が必要で獲得には金がこれだけかかるが十分元が取れる(プロ野球)」等と説得するならともかく。
 なお、上記の小泉批判いよいよ「そのとき」が近づきつつあるのではないか: 白頭の革命精神な日記にも投稿し、「細部はともかく」大筋では白頭氏も「小生の小泉批判」に賛意を表明しています。


【解説】ウクライナ軍 阻まれた反転攻勢 “戦術の変更”も | NHK | ウクライナ情勢

 今年6月から始まったウクライナ軍による反転攻勢は膠着状態に陥り、失敗したとの厳しい見方も出ています。ウクライナ軍の戦いはこれからどうなるのか。
 津屋尚*2解説委員に聞きました。
※12月20日「キャッチ!世界のトップニュース」で放送した内容です。
Q1.
  反転攻勢がうまくいかない要因は?
A1.
 ウクライナの当局者自身が指摘するのは、想定を大きく超える大規模な「地雷原」の存在です。
 地雷原は幅20kmにもわたって続いていて、ウクライナ軍が処理をしても、(ボーガス注:ウクライナ軍の侵攻を阻止するために?)すぐに地雷がまかれるといったことが繰り返されてきました。
Q2.
 ウクライナが「制空権」をとれなかったことがネックに?
A2.
 「制空権がない」ということは、地上部隊は航空戦力の支援を受けられず、進撃は難しくなります。
Q5.
 “支援疲れ”や“戦争疲れ”も指摘されているが?
A5.
 最大の支援国アメリカは、バイデン政権が提出したウクライナ支援の予算案が野党・共和党の反対で議会の承認が得られないままです。ウクライナ支援の予算は年内に枯渇する事態が現実味を増しています。
 一方、戦争の終わりが見えない中で、ウクライナ国民の“戦争疲れ”も深刻です。
 ウクライナ国内では徴兵逃れや国外逃亡も後を絶たず、兵員の確保も大きな課題です。

 ひとまず紹介しておきます。

*1:東大准教授。著書『現代ロシアの軍事戦略』(2021年、ちくま新書)、『ウクライナ戦争』(2022年、ちくま新書)、『ウクライナ戦争の200日』(2022年、文春新書)、『終わらない戦争:ウクライナから見える世界の未来』(2023年、文春新書)等

*2:NHK名古屋放送局記者、横浜放送局記者、国際部デスク、山口放送局放送部長等を経て解説委員