今日のしんぶん赤旗ニュース(2024年1月13、14日分)

14日記事
【8面(読書)】
 江戸川乱歩(1894~1965年)が『乱歩にとってのベストワン』とまで『赤毛のレドメイン家』(創元推理文庫)を激賞し、乱歩自ら翻案小説『緑衣の鬼*1』を書いたことで昔はかなり知名度や人気もあったところ、時代の変化で「コアなミステリファン」以外には忘れられた存在と化した「イーデン・フィルポッツ*2 (1862~1960年)」の新刊『孔雀屋敷:フィルポッツ傑作短編集』(創元推理文庫)が紹介されています。
 『孔雀屋敷』については以下を紹介しておきます。

アマゾンレビュー
◆虎男
 推理小説(Detective Novel)として考えるより謎を中心に扱った小説(Mystery Novel)と考えるべきかな、という感じですね。
 そもそもこの短編集全体で事件解決に”推理”を用いるのは『三人の死体』だけで、あとの作品は偶然により事態が解決に向かう物がほとんど。本格推理小説を期待して読むとがっかりされる方が多いと思います。
 けれども謎の事件とそれを取り巻く人間を描くドラマとしてはなかなか読ませます。
 この作家は謎の論理的解決(推理)よりそこにいる「人間」そのものに興味があるのだろう。作品の多くが日本であまり翻訳されなかった理由はそのあたりにあるのではないかな?
 推理小説ファンならおなじみの「消えた兇器」をトリックとしてではなく、何もかも奪われ追い詰められた人間の最後の復讐の牙として描いた『ステパン・トロフィミッチ』、エスカレートする異常心理が事件によってむしろ自己完結してしまう『鉄のパイナップル』など、普通の推理小説ではないアプローチを楽しめる方にはおすすめです。

イーデン・フィルポッツ『孔雀屋敷』(創元推理文庫) - 探偵小説三昧2024.1.3
 『赤毛のレドメイン家』や『闇からの声』という傑作がありつつも、黄金時代のほんの少し手前の作家というイメージがフィルポッツにはあり、その文体や作風には少し古さを感じるのも事実。だが、こうしてまとまった形でその作品群を読むと、こっちが年をとったせいもあるのだろうが、その時代がかった言い回しや情景描写が意外に心地よかった。
 ただ、ミステリではあるがそこまで謎解き興味を求めたものはなく、幻想的なものや文学的、冒険小説的なアプローチが多い。とはいえ、どれも面白く読めるものばかりで、むしろフィルポッツはこっちが本領なのだと思わせる。
 「三人の死体」は本書中で最も本格探偵小説らしい作品。創元推理文庫江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集3*3』に「三死人」の題名で収録されているので、ご存知の人も多いはず。
 「鉄のパイナップル」は何というか今でいうサイコパスを扱った作品と言えるかも。
 「フライング・スコッツマン号での冒険」は一転して、冒険小説・サスペンス系の作品。

イーデン・フィルポッツ『孔雀屋敷』(創元推理文庫) - 平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜2024.1.14
 私立探偵事務所長のマイケル・デュヴィーンの命を受けたぼくは西インド諸島にわたり、バルバドス島で起きた殺人事件の捜査に挑むこととなった。依頼人であり、資産家、実業家であるエイモス・スラニングの兄、ヘンリーがサトウキビ農園で満月の夜、警備員のジョン・ディグルとともに殺害された。それとは別に同じ夜、プランテーションで働くソリー・ローソンが殺されて崖の下に投げ込まれた。謎が解けなかったぼくの調査報告書をもとに、名探偵マイケルが謎を解く。「三人の死体」。江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集3』に収録されている「三死人」の改訳。
 コーンウォール州の湊町ビュードに住む食料雑貨店店主ジョン・ノイは、一つのことに執着すると他に何も見えなくなってしまう性格であった。そんなノイが新たに執着したのは、近所に建設された屋敷の周りに建てられた金属の支柱のてっぺんにある「鉄のパイナップル」だった。「鉄のパイナップル」。チェスタトン*4編『探偵小説の世紀(上)*5』収録作品の新訳。誰にも理解できない異常心理が、とんでもない悲劇を生み出す。乱歩が好みそうな「奇妙な味」の作品。
 イーデン・フィルポッツの三冊のミステリ短編集から選んだ六編を収録。ミステリとしての謎解きよりも、人間ドラマとしての謎解きの趣きが強い作品ばかりで(中略)今読むとミステリの仕掛け的には古臭い部分はあるし、筆運びも前時代的ではあるが、それは書かれた時代を考えると仕方がない。しかし、それを上回る物語の面白さがある。乱歩が『赤毛のレドメイン家』をあれだけ絶賛していたにもかかわらず、フィルポッツの短編集が日本でまとめられたのは初めて。


こんな金権腐敗政治を許していいのか 2・4京都―良識の審判を/市長選21日告示 5氏賛同よびかけ
 「裏金疑惑の自民」に鉄槌を加えるためにも「自民候補に勝利しよう」と言う呼びかけです。
 しかし「地方政治(京都市政)と国政は別」と言ういつもの言い訳で自民と野合する立民には心底呆れます。


米英によるイエメン攻撃を批判する/志位委員長が談話

 フーシ派の行為は決して正当化できるものではない。しかし、米英軍の攻撃は、国連憲章国際法を踏みにじるものであり、厳しく批判する。
 国連安保理の10日採択した決議は、フーシ派の行為を非難するとともに、イエメンの主権と領土保全の尊重と中東情勢のさらなる悪化を避けるよう自制を求めている。いま懸念されるのは、ハマス支持のフーシ派への攻撃が、中東地域全体の情勢をさらに悪化させ、暴力の連鎖を生みだしかねないことである。わが党は、イエメン内戦の和平に向けた国連を中心とした外交努力の強化とともに、ガザ危機で一刻も早く停戦を実現するためのいっそうの外交的取り組みを呼びかける。

 ひとまず紹介しておきます。
 しかし「ロシアのウクライナ侵攻」だけでも頭が痛いところ「ガザ戦争(イスラエルハマス攻撃)」に「イエメン戦争(米英VSフーシ派*6)」です。
 仮に「台湾有事(中国の台湾侵攻)」「朝鮮半島有事(北朝鮮の韓国侵攻)」が起こったとして米国はとても軍事介入できないでしょう。
 とはいえ、中国や北朝鮮もそんな無茶はしないでしょうが。勿論米国の方から「北朝鮮侵攻」も当面ないでしょう。

*1:江戸川乱歩全集(光文社文庫)に収録。1979年にテレビ朝日江戸川乱歩の美女シリーズ:白い人魚の美女』として映像化

*2:著書『だれがコマドリを殺したのか?』『溺死人』『灰色の部屋』『闇からの声』(以上、創元推理文庫)、『テンプラー家の惨劇』(国書刊行会・世界探偵小説全集42巻)、『極悪人の肖像』、『守銭奴の遺産』(以上、論創社海外ミステリ)、『ラベンダー・ドラゴン』(ハヤカワ文庫)等

*3:1960年、創元推理文書

*4:1874~1936年。ブラウン神父物で知られる推理作家

*5:邦訳は1983年、創元推理文庫

*6:イランが支援してるというハマスやフーシ派が1)イランの命令やそそのかしで軍事行動を強めているのか、2)イランとしては無茶をして欲しくないが抑えきれないのかが気になるところです。