新刊紹介:「前衛」2024年2月号

 「前衛」2月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
核兵器禁止条約が切り開く「新しい時代」:第2回締約国会議、国連総会をふまえて(川田忠明*1
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。
赤旗
主張/第2回締約国会議/情勢切り開く核兵器禁止条約2023.12.4
世界の光 核禁条約/第2回締約国会議 笠井議員に聞く(上)/“この道”に確信2023.12.18
世界の光 核禁条約/第2回締約国会議 笠井議員に聞く(中)/市民社会の役割重要2023.12.19
【23.12.20】世界の光 核禁条約/第2回締約国会議 笠井議員に聞く〔下〕 | 笠井亮|日本共産党2023.12.20
「核禁条約」6年連続採択/国連決議 加盟国の6割が賛成/日本は具体的な行動迫らず2024.1.4


◆米軍指揮下に組み込まれる自衛隊:「敵基地攻撃」態勢構築と一体の「常設統合司令部」(小泉大介)
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。
赤旗
自衛隊「常設統合司令部」 元高官ら証言/出発点は米側要求/米軍指揮下になる恐れ2023.10.28
主張/軍事費概算要求/日米融合し敵基地攻撃の危険2023.9.2


◆改定「国立大学法人法」の問題点と今後の課題:大学と民主主義の再生をめざして(土井誠*2)                           
(内容紹介)
 国立大学法人法が改悪され一部の大規模大学(東京大、京都大、大阪大、東北大、東海国立大学機構(名古屋大・岐阜大)の5大学法人)に「運営方針会議」が設置された物の、1)「運営方針会議の民主的運営」を求める運動、2)5大学以外に「運営方針会議」の設置を拡大させない運動を展開すると共に、「国立大学法人法の再改定(運営方針会議の廃止)」が主張されている。


◆家計に投資リスク押しつける「資産運用立国」:格差・投機の拡大をもたらす富裕層ビジネスも本格化(丸井龍平)
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。どちらも筆者は丸井氏であり、前衛記事の内容とかなりかぶる。
「老後は自己責任」迫る/『資産運用立国』の本性㊤ ・・・今日の「赤旗」記事 - (新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々2023.10.12
リスク高いノンバンク/『資産運用立国』の本性㊥ ・・・今日の「赤旗」記事 - (新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々2023.10.13
投機がインフレ助長/『資産運用立国』の本性㊦ ・・・今日の「赤旗」記事 - (新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々2023.10.14


特集「教育政策をめぐる対抗軸」
◆第4期教育振興基本計画および直近の政策動向と子ども・教師・学校(浪伊豆生)
(内容紹介)
 「第4期教育振興基本計画および直近の政策動向」についての批判がされているが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


シリーズ「戦争と平和の岐路に問う」
海軍技療手が体験した悲惨:弱視者の手記と報道から(岸博実*3
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。

戦争が聴こえる 盲学校の生徒たちが経験した戦争 - 記事 | NHK ハートネット2022.8.15
 岐阜盲学校は、さらなる戦争協力への道を探っていきます。授業で学んでいたマッサージの技術を役立てることです。
 国も視覚に障害のある人の動員に乗り出し、新たに「海軍技療手」という職種を設けて全国に募集を呼びかけました。
 海軍技療手とは、戦地や航空隊の基地などで兵士のマッサージを行う仕事で、盲学校の卒業生たちが次々と手を挙げました。
 近藤昭二さん(95)は、実際に海軍技療手として働いた経験があります。昭和19年4月、近藤さんは盲学校で磨いた技術を国のために役立てたいと志願し、福岡の築城航空隊に配属されました。
「私らの仕事は、飛行機乗りの疲れをとるための治療。(航空隊が)往復6時間、飛行機に乗る。疲れるよ。(片道)3時間も行って、向こうでやり合ってまた戻ってくる。その疲れのために、マッサージが必要になった。私の先輩は南方まで行っとるよ。玉砕もしとる。私らと同じ(歳の)やつも行って、玉砕もしてんねん。朝晩60年間、戦友の供養もしてる。かわいそうやわ、戦争で亡くなって。ただ無駄死にしただけやで」(近藤さん)
 当時の新聞には「盲人でさえ」「目が悪くても」という言葉が踊っています。戦争に協力した視覚に障害のある人たちの働きは、格好の美談として報じられたのです。何とか役に立ちたいという切実な願いは、結果的に戦意高揚に利用されていきました。
「障害のある人を一方でのけ者にしながら、その力をとことんまで吸いつくす、利用するという欲望というか、社会的な構造が当時、でき上がっていた。それは決して平等とか、対等と位置づけられるものではない。差別の上に成り立つ論理というか、施策だった気がしてならないわけです」(岸博実さん)
※この記事はハートネットTV・2022年7月12日(火曜)放送「戦争が聴こえる」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。


シリーズ「社会変革と真実の報道へ:赤旗記者ここにあり4」
校閲:「表現の探究者」として迷い、考え続ける(中村徳仁
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。

 校閲──「表現の探究者」として迷い、考え続ける | 「しんぶん赤旗」記者募集
 ジェンダーガイドライン*4をつくろうと、ジェンダー用語研究会ができたのが2022年の2月。編集局各部から関心のある記者が十数人集まりました。月1回の会議とLINEグループでの情報共有を重ね、同年末に第1版が完成しました。
 ガイドライン作成により、紙面に変化が生まれました。「おはようニュース問答」という対話形式でトピックを解説するコーナーでは、女性キャラクターは語尾に「だわ」「のよ」とつけていましたが、なくなりました。 トランスジェンダー時事通信の用字用語に合わせて「体の性と心の性の不一致」などと説明してきましたが、「出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人」といった形に変えました。
◆「/」か「&」
 変化といえば、大会決議案をお読みの皆さんはお気づきでしょうか。前回の大会決議での「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」が「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」に変わっていることに!
「/」は政府訳でそうなっているため、各方面で使われています。しかし「/」にはor(あるいは)のニュアンスが強くありますし、口に出す時に「ヘルスライツ」と読まれることも多く、「健康の権利」に意味が変わってしまいかねません。中絶問題研究家の塚原久美さん*5は党ジェンダー平等委員会での講演で「健康」と「権利」は両輪の関係であり「&」にすべきだとしていることもあり、「赤旗」紙面では基本「&」なのですが、決議案の原稿では「/」。以前私が研究会のLINEグループで紹介した塚原さんの講演資料を根拠に関係各所と折衝の末、「&」に変更となりました。
◆公正さ、正義への合致
 パレスチナイスラム組織ハマスイスラエルが2023年11月22日に戦闘中断を合意するにあたり、ハマスは人質を、イスラエルは囚人を解放する旨の見出しを「赤旗」は立てました。これに対し読者から「囚人」という言い方はどうなのかという批判をいただきました。イスラエルは多くのパレスチナ人を起訴・裁判なしで無期限に拘禁し、国際的に非難されています。「囚人」という言葉には、有罪が確定しているという印象も受けやすく、また日本では1995年の刑法改正に伴い法律上は使われなくなった古い用語ということもあり、「赤旗」では「収監者」と表記することにしました。
 イスラエルによるガザ攻撃後、盛んに使われるようになった「ジェノサイド」。この言葉の説明に若干揺れがありました。「集団殺害」が優勢であるものの、時々(志位委員長の発言で)

平和・学費・社会は変えられる?/若者タウンミーティング/志位さん、縦横に語る2023.11.19
 志位氏は、「ガザでのジェノサイド(大量殺害)を許さない圧倒的な国際世論をつくることです」と強調。

など「大量殺害」になっていました。ジェノサイド条約の和訳は「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」であり、「国民的、人種的、民族的、宗教的集団を破壊する意図をもって殺害、迫害を行う行為を国際犯罪とし、各国が協力して防止し処罰しようとする条約」(法律用語辞典第5版)とされています。「大量」は必要条件ではあるが十分条件ではないということで、国際委員会などの判断のもと、「集団殺害」で統一することになりました。

【参考:リプロダクティブ・ヘルス&ライツ】

日本共産党第28回大会 第一決議(政治任務)|党紹介│日本共産党中央委員会
 性と生殖に関する健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の保障などをすすめる。

日本共産党第29回大会決議案│党紹介│日本共産党中央委員会
 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツに関する運動は、経口中絶薬の承認など、女性の権利を尊重した安全な中絶へと政治を動かしている。

【参考:収監者】
ハマス 人質24人解放/イスラエル側も収監者39人2023.11.16
【参考:集団殺害】
ガザ集団殺害やめろ/政府に努力迫る/国会前1500人2023.12.12
集団殺害 止めねば/総がかりなど19日行動2023.12.20


◆論点『マンションでいま何が問題になっているか』(榎本武光*6
(内容紹介)
 マンション管理の問題について論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆暮らしの焦点『ひきこもり「支援」を謳う悪質業者の法規制と支援策の充実を求める』(林治*7
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

ひきこもり支援か軟禁か 親が頼る引き出し業者、裁判も [ひきこもりのリアル]:朝日新聞デジタル2019.6.18
 「無理やり自宅から連れ出され、軟禁状態に置かれた」
 東京都にあるひきこもり自立支援施設の運営会社を相手に、元入所者の30代男性が2月、550万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。こうした民間事業者は一部で「引き出し業者」と呼ばれ、子どものひきこもりの長期化に苦悩する親が契約しているといいます。一方で、人権侵害の疑い、親子関係の断絶などの弊害があると批判も受けています。
 弁護団林治弁護士は「『ひきこもり』のマイナスイメージが強まれば、半年で数百万円という高額な費用を払ってでも、業者に頼ろうとする親が急増するのでは」と危機感を強める。

社会リポート/“引き出し屋”野放し/ひきこもり支援うたい人権侵害/高額研修費請求も 「法規制早く」2019.7.28
 ひきこもりからの「自立支援」をうたう一部施設で人権侵害や違法行為が問題になっています。「引き出し屋」と呼ばれ、被害者が続出、法規制を求める声が上がっています。(取材班)
 暴力的な連れ出し、施設内での監視、監禁、就労の強要、数百万円もの研修費の請求。
 被害者からの相談にのる林治弁護士によると「引き出し屋」は各地にあり「支援とは名ばかりの違法行為をくり返している」といいます。

知らない男たちが突然に家に入り、ひきこもり女性を拉致。民間の自立支援センターによる「暴力的支援」の恐怖。「引き出し屋」と呼ばれるその実態とは | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
 高橋淳『ブラック支援:狙われるひきこもり』 (2023年、角川新書)より、一部抜粋、再構成してお届けする。
◆あけぼのばし破産
「あけぼのばし(あけぼのばし自立支援センター)が、研修生を次々に自宅に帰しているらしい」
 2019年の年末にそんな情報をキャッチしたのが、ジャーナリストの加藤順子さんだった。この時点までに少なくとも3人の元利用者らが、「暴力的に連れ出された」などとして、あけぼのばしを相手に民事裁判を起こしていて、裁判の記事がネットニュースなどでも報じられていた。
 「(ボーガス注:マスコミに批判されるようになったので)たくさん利益も上がったところで、計画倒産でもするつもりだろうか」
 そんな考えが頭をよぎった。
 そして週が明けた12月23日の月曜日、あけぼのばしを運営する株式会社クリアアンサーが、破産したとの知らせが林治弁護士からあった。
 林弁護士は後日、破産の申し立て書類を見ながらこう話した。
「これだけの書類を準備するのには半年はかかる。かなり前から周到に(ボーガス注:計画倒産を?)準備したのではないか」
 代表取締役役員報酬は年間3400万円。2017年度は2400万円で、1年間で1000万円も増額されている。
 林弁護士は「こんなに役員給与を出していながら破産するのはなぜか。何に使っていたのか」といぶかしんだ。
 「暴力的支援」。この耳慣れない言葉を私が知ったのは、ひきこもりについての取材を始めて1カ月ほど経った2019年の5月のことだ。
 ひきこもりの本人を部屋から強引に連れ出し施設に入れるという、にわかには信じがたいビジネスがあるという。その存在を私はこのとき初めて知った。
 埼玉にある自立支援業者の元従業員という男性も参加していて、「私がいた施設では連れ出しのことを『実行』と呼び、元警察官の代表者から事前に相手を羽交い締めする方法を習った」などと自身の体験を赤裸々に語っていた。
 声をかけてくれたのがジャーナリストの加藤順子さんだった。加藤さんはそれまでも引き出し屋問題に警鐘を鳴らす記事をいくつも書いていたが、マスメディアの記者にもこの問題にもっと関心を持ってほしい、と考えているようだった。

 「計画倒産」の疑いという辺りが唖然ですね。事実なら何処まで下劣なのか。
 なお「あけぼのばし」については以下を紹介しておきます。

あけぼのばし自立研修センター事件 - Wikipedia
 2017年1月18日にA(男、46歳、引きこもり)があけぼのばし自立研修センター(以下、あけぼのばし)の職員により自宅から連れ出され、自立研修センター「くまもと湯前研修所」に入所後の2年後の2019年4月25日に熊本県球磨郡あさぎり町の研修先の1人暮らしのアパートで餓死状態で発見された。2021年1月、遺族は約5000万円の損害賠償を求めてあけぼのばしを運営するクリアアンサーと常笑(「くまもと湯前研修所」をクリアアンサーと共同運営していた業者)を東京地裁に民事提訴した。

 よく「ひきこもりは怠け者なだけだから追い詰められれば出てくる」と決めつける人がいますが、この「餓死事件」でそれが偏見であることが分かります。ひきこもりの中には「発達障害や精神病の人間」もいるし、いずれにせよ「驚くほど生活力のない人間」も少なくない。そんな人間は追い詰めれば餓死や病死になるだけでしょう。

ひきこもり支援業者に賠償命令 手足押さえて連れ出し、地下室で監視:朝日新聞デジタル(高橋淳)2022.3.25
 ひきこもり支援をうたう業者に自宅から無理やり連れ出され、監禁されたとして、神奈川県の30代男性が業者側に約550万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、慰謝料など110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。伊藤繁裁判長は「突然数人の男に連れ去られ、多大な精神的苦痛を受けた」と述べた。
 賠償を命じられたのは、ひきこもり支援施設「あけぼのばし自立研修センター」を運営していた「クリアアンサー」(東京都新宿区、2019年に破産)。係争中に破産し、破産管財人が訴訟を引き継いでいた。
 男性の弁護団は「いくら親の了解があっても、本人の同意がない連れ出しが重大な人権侵害だと判決は明確にした。同種の業者はほかにもあり、排除するための規制立法が必要だ」と話した。

 どう見ても「現代の戸塚ヨット」でしょう。

ひきこもりに苦しむ人を「親に迷惑をかける困った人」と放送するTVの都合…メディアが本当に伝えるべき「自立支援」の実態とは | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
 高橋淳『ブラック支援:狙われるひきこもり』 (2023年、角川新書)より、一部抜粋、再構成してお届けする。
◆ひきこもりの「救済人」
 新年早々から気分が重くなるようなテレビ番組だった。
 2021年1月5日にBSテレ東で放送されたバラエティ番組「どうしてこうなった!?どん底人生からの救出スペシャル」。
 自宅でたまたまテレビをつけたら放送していたのだが、いわゆる「ゴミ屋敷」で暮らす女性などとともに、「中年ひきこもり男」が支援業者に「救われる」までの様子がドキュメンタリー映像と再現ドラマで紹介されていた。そこには3週間前に取材したばかりのあのB氏の姿があった。
 B氏は神奈川県にあるひきこもりの自立支援施設Bスクールの代表だ。メディアの出演も多く、ひきこもり支援をテーマにした著書もある。
 民放のバラエティー番組でもあり、ある程度の事前の打ち合わせ、シナリオなどがあるのだろうとは思う。
 だが、15年も部屋にひきこもっていた男性が、いきなり家にやってきた男に説教され、着の身着のまま施設に連れ出されたり、赤の他人に命じられて「家族会議」を聞かされたりする光景は見るに堪えない。そして、その施設に入るためにどのくらいの費用がかかるのかについては一言も触れていない。
 私は2019年6月、東京都大田区であったKHJ全国ひきこもり家族会連合会の総会を取材したときのことを思い出した。そこではやはり、Bスクールと同様の支援施設あけぼのばし自立研修センターを利用したことがある母親が壇上に立ち、こんなことを語っていた。
「羽鳥さんの番組だから、大丈夫だと思った*8
 (ボーガス注:元日本テレビアナで有名な)フリーアナウンサー羽鳥慎一さん*9が司会を務めるテレビ朝日の朝のワイドショー*10で紹介されていたので、信頼できる業者と思い、高額な費用を支払ってひきこもりの息子の支援を依頼してしまったというのだ。
 だが、息子は立ち直るどころか、強引に連れ出されたことへの不信感と、慣れない集団生活へのストレスから、2週間で施設を脱走してきた。
 偶然にも、このBSテレ東の番組の放送の二日後、私はB氏に2度目の取材をすることになっていた。
 BSテレ東の番組を観て引っかかっていたことがある。
 親がB氏にいくら支払ったのか、一切言及されていなかった点だ。裁判に提出された料金表をみると、「入学時寄付金」の下限が50万円で、さらに「入寮時寄付金」の下限が30万円。月々の寮費が12万円で食費が5万円、プラス月々の「サポート費」という項目があってこれは「月3万~10万円」とある。
 ひきこもっている本人を連れ出しにいくための出張費は5万円、その際の車両費は1万5000円、交通費と宿泊費は実費となっている。ここまで計約100万~120万円はかかる計算だ。
 これは番組でも伝えるべき情報だと思う。
 この金額は最低限のもので、むしろ良心的だとB氏は言う。
 とはいえ支払った費用に見合う結果が出ないまま、入所した本人が脱走した場合、その責任はスクール側にもあるはずだ。だがB氏のこれまでの言い方では脱走した生徒の側に問題があり、今回はその中に扇動役がいたという。
 かつて多くのメディアに好意的に紹介され、B氏は自分の「支援」に自信を持ったのだと思う。番組側の演出や期待に乗せられてしまった側面もあるのかもしれない。だからメディアの批判は手のひら返しにも思え、到底受け入れられないのだろう。
 取材の最後にB氏は、こんな風にいら立ちをはき出した。
「僕らへの批判記事ね。悪いけどあいつら(記者やライター)が書いて出せば出すほど(子どもをスクールに入れたいとの)問い合わせが多くなるんですよ。」
 ひきこもりの支援施設をメディアが紹介するとき、私たちが教訓にしなければいけない事件がある。2006年4月、名古屋市北区のひきこもり支援施設で、入寮5日目の男性(当時26歳)が職員からリンチを受けて死亡したアイメンタルスクール事件だ。
 当時の朝日新聞の記事によると、男性の死因は職員らによる手錠や鎖を使った拉致、監禁などによる急性腎不全と分かり、愛知県警は5月、杉浦昌子(しょうこ)NPO法人代表理事や職員らを逮捕監禁致死容疑で逮捕。
 名古屋地裁は12月、「社会復帰寄与の名の下に正当化される余地はまったくない」として、杉浦代表理事に懲役4年の実刑判決を言い渡した(高裁で懲役3年6カ月となり、最高裁で確定)。
 杉浦氏は事件前、「熱血カウンセラー」としてテレビに多数出演し、著書*11も発表していた。
 事件当時の愛知県警担当だった朝日新聞の神田大介記者が、入寮者の死亡から10日後、杉浦元代表らの逮捕前に取材したときの様子をこう書いている。
 自称「熱血カウンセラー」の口からは、責任逃れを思わせる言葉が続いた。
「(死亡した入寮者は)今まで見た子で一番異常だった」「事件についてマスコミに話しているのは、みな虚言癖のある子」「年々子どもの質が落ちる」。インタビューは1時間以上に及んだ。 (2006年12月16日 朝日新聞名古屋版)

 引き出して、施設に入れて、矯正する。アイメンタルスクールは現代では考えられない極端すぎる例にもみえるが、それを当時、メディアは持ち上げた。背景にあるのはやはり、ひきこもりが甘えや怠けであるという誤解の根強さで、私たちはまず、ひきこもりとは何かという基本をもっと知ろうとしなければいけないのだろうと思う。
 記事や番組で紹介する支援業者や団体の活動が放送上適切かどうかは、行政や地域の家族会に情報を求めるなどし、ある程度の時間をかけてその人々がどんな支援を行っているのかを見極めていくプロセスも必要だと思う。結局取材も「急がば回れ」なのだ。

 悪徳業者を紹介して恥じない「こういうマスゴミ(テレ朝、テレ東)」のクズさには心底頭にきますね。まあ、批判してる側(高橋淳朝日新聞記者、高橋氏の著書を刊行したKADOKAWA、高橋著書を紹介している集英社)も大手マスコミである点はせめてもの救いですが。それにしても「引き出し屋=現代の戸塚ヨットスクール」の感がありますね。あれも当初は一部マスコミが持ち上げたことで悲劇が拡大したわけです(さすがに戸塚が刑事処罰を受けてからはそんなこともなくなりましたが)。
 戸塚ヨット『スパルタの海』が劇場公開される - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)なんて「伊東四朗黒歴史」と言っていい代物もありますし。
 前衛の「林弁護士」記事や高橋淳『ブラック支援:狙われるひきこもり』 (2023年、角川新書)も指摘していますが、率直に言って「引きこもりの多くは発達障害や精神病(勿論、全てがそうとは言えないでしょうが)」であり「医療や福祉の専門家の対応」が必要であり「怠け者」と見なすべきではないでしょう。当然、前衛の「林弁護士」記事や高橋淳『ブラック支援:狙われるひきこもり』 (2023年、角川新書)が批判するような悪質業者(どうみても「ただの素人」が「ひきこもり=怠け者」扱いから、戸塚ヨット的な「しばき主義」「スパルタ主義」でひきこもりに対応)に頼ったら事態が悪化するだけです。


メディア時評
◆新聞『歴史的疑獄と新聞の役割』(千谷四郎)
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。

検察が動くまで裏金疑惑を1年放置したマスコミの弱腰 報道されなかった自民党の“政治と金”疑惑を総まくり|LITERA/リテラ2023.12.10
 いまあらためて考えるべき重要なことがある。それは、メディアの報道姿勢についてだ。
 今回の「裏金」問題の報道は、11月2日に読売新聞と共同通信が「自民5派閥*12 過少記載疑い 告発状提出 パーティー収入4000万円」などと報じたことからはじまり、11月18日にNHKが「自民5派閥の団体 約4000万収入不記載で告発 特捜部が任意聴取」とスクープしたことで各社が報道を開始。12月1日に朝日新聞が「安倍派、裏金1億円超か」とスクープしたことで報道がさらに加熱し、ワイドショーはもちろん、産経新聞までもが疑惑追及をおこなう事態となっている。
 しかし、そもそも自民党5派閥がパーティ収入を政治資金収支報告書に記載していなかった問題は、昨年11月6日号の「しんぶん赤旗 日曜版」がスクープしたもの(そのときは計2500万円分が不記載と報道)であり、1年以上前にはすでに明らかになっていた。しかも、この問題を(ボーガス注:政治資金オンブズマン共同代表の)上脇博之・神戸学院大学教授がさらに精査し、昨年から今年にかけて不記載の容疑で東京地検に告発状を出したのだ。
 ところが、最初の赤旗スクープの後追い取材をおこなった大手メディアは皆無。昨年11月に安倍派の不記載を上脇教授が告発した際も、NHK東京新聞が短く伝えただけだった。
 大手メディアはスルーし、検察が動き始めてようやく、報道を開始したのである。
 この構図は、ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐるテレビ報道と同じものだ。
テレビ各局はジャニーズ問題にかんする検証番組においても「刑事事件になっていなかった」ことを理由に挙げて、報道してこなかった言い訳をしていた。
 つまり、大きな権力や影響力をもつ組織に持ち上がった大きな疑惑について、大手メディアは独自取材や調査報道を放棄し、警察や検察が動かなければ報じようとしない、ということだ。
 いま、安倍派の「裏金」問題をすべての新聞・テレビが批判的に報道をしていることをもって、「報道が健全化した」とは到底言えない。むしろ、この「裏金」問題の事実を知りながら調査も追及もせず、約1年にもわたって放置しつづけてきたことを、メディアは猛省すべきだろう。


◆テレビ『NHKの見過ごせない問題』(沢木啓三)
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。

“NHK ニュースウオッチ9 放送倫理違反あった” BPOが意見公表 | NHK2023.12.5
 ことし5月、NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」で、ワクチンの接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナに感染して亡くなったと誤認させる伝え方をしたことについて、BPO=「放送倫理・番組向上機構」は、「事実を正確に伝えるという基本を逸脱した」などとして5日、放送倫理違反があったとする意見を公表しました。
 NHKは「指摘を真摯に受け止め、再発防止策を着実に実行し、視聴者の信頼に応えられる番組を取材・制作してまいります」としています。

NHKがコラボに謝罪 メモ流出の取材に協力 - 産経ニュース2023.12.14
 NHKの記者の取材メモがインターネット上に流出した問題で、NHK側が14日、取材に協力していた若年女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」(東京都新宿区)の事務所を訪ね、仁藤夢乃代表らに謝罪した。仁藤さんは「単なる流出ではない。女性支援やコラボへの攻撃の一環で起きたと認識し、検証してほしい」と求めたという。


ジェンダー覚書:The personal is political『包括的性教育を日本に根づかせよう』(梅村早江子*13
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。
23歳のとき「性的同意」の意味を知って感動した私が知った、本当に大切な「性教育」の内容(福田 和子) | FRaU
過去に性教育の授業で「処分された教師」がいる日本だから伝えたい、包括的性教育のこと(福田 和子) | FRaU
「包括的性教育」推進へ、法制化めざすネットワーク設立 その狙いは:朝日新聞デジタル2023.12.22
赤旗
「包括的性教育」求める/性暴力から子どもを守れ 吉良氏が主張/参院決算委2023.4.11


文化の話題
◆映画:二つの映画祭の女性監督作品など(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 東京国際映画祭東京フィルメックスでの女性監督作品(あるいは男性監督作品だが女性を主人公とする作品)などの紹介。
参考
東京国際映画祭

第二次世界大戦の独ソ戦に多くの女性兵士が戦った事実は「記録しておかねばならない」【第36回東京国際映画祭】 : 映画ニュース - 映画.com2023.10.27
 第36回東京国際映画祭コンペティション部門に選出された「エア」が10月26日、東京・丸の内TOEIで公式上映され(中略)た。第二次世界大戦独ソ戦を戦う女性パイロットが遭遇する過酷な日々を年代記的に描く本作は、これまで描かれることの少なかったソ連の女性兵士に、「ドヴラートフ:レニングラードの作家たち」(2018)のアレクセイ・ゲルマン・Jr*14がスポットを当てた戦争映画。
 ゲルマン・Jr.監督は、女性パイロットを主人公に戦争を描こうと思った理由を「実際、第二次世界大戦で、ドイツとソ連が戦っていた時には、多くの女性が戦争に参加していました。統計としては80万人以上となっていますが、おそらく100万人くらいは参加していたと思います。だからそうしたことをきちんと記録することは大事なんです」と明かす。

 但し、近年は、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ*15『戦争は女の顔をしていない』(2016年、岩波現代文庫→後に小梅けいとKADOKAWAでコミカライズ)や、アレクシエーヴィッチ著書にヒントを得た逢坂冬馬の小説『同志少女よ、敵を撃て』(2021年、早川書房→2022年本屋大賞受賞作)によって「第二次大戦でのソ連の女性兵士」については以前より日本でも知られてるとは思います。

米国に移住したイラン人女性描く「ペルシアン・バージョン」、M・ケシャバルズ監督「米国で作れたことが奇跡」【第36回東京国際映画祭】 : 映画ニュース - 映画.com2023.10.29
 第36回東京国際映画祭コンペティション部門で米国作品「ペルシアン・バージョン」が10月29日、丸の内TOEI1で上映され(中略)た。
 イランから米国に移住した*16祖母、母、娘の3世代の女性の生き方を通して描かれる家族の物語。

女性の境遇、多様な語り 東京国際映画祭:朝日新聞デジタル2023.11.6
 5月に早世したペマ・ツェテン監督の「雪豹」を最高賞に選び、第36回東京国際映画祭が閉幕した。今年のコンペに参加した15本を見渡すと、女性の生き方に照準を合わせた作品が圧倒的に目立っていた。
 ビム・ベンダース監督を委員長とする国際審査委員団は、女子柔道のイラン代表選手を主人公にした「タタミ」(ジョージア・米国合作)に、第2席に当たる審査委員特別賞と女優賞の2冠を与えた。
 敵対国イスラエルの選手との対戦を避けるため、イラン政府が主人公に棄権するよう圧力を掛ける。2019年、男子柔道の世界選手権で全く同じこと*17が現実に起こっている。

【第36回東京国際映画祭】『雪豹』雪豹を逃す?逃さない?チェ・ブンブンのティーマ
 第36回東京国際映画祭コンペティション部門にチベットの映画監督ペマ・ツェテンの遺作のひとつ『雪豹』が選出された。ペマ・ツェテンといえば、毎回「羊」が物語の中心を占めるわけだが、今回もその系譜をいく作品であった。
 テレビ局の人がチベットの村にやってくる。雪豹が羊を9頭も食い殺してしまったようだ。「村のドン」のような男が、羊を失ったことによる損失をどうにかしたいと雪豹を羊小屋に閉じ込めている。明らかにその方が被害が拡大しそうなのだが、理性を失っている彼は、村人と揉めている。雪豹は天然記念物のような存在で、勝手に捕獲することは許されない。警察が来て説得に入る中、テレビクルーは何を撮るだろうか?
 「雪豹を逃すか?、逃さないか?」というテーマだけでひたすら議論していくミニマムな内容。割と呑気に村人たちが辛いラーメンを食べたり誕生日パーティを開くゆるさが妙に癖になる一本。
 ペマ・ツェテン監督作は割とチベット文化というか若干スピリチュアルな内容になる傾向があり、分かりにくいところもあるのだが、本作は今までで一番ライトで観やすい作品であった。

【第36回東京国際映画祭】『タタミ』極限状態での柔道チェ・ブンブンのティーマ
 イラン出身の柔道家が国際試合の場で勝ち進む。そこにイラン政府から棄権しろとお達しが来る。マネージャーも保身から「棄権しよう」と言うが、スポーツマンシップに反するので彼女は無視しようとする。するとイラン政府からの圧が段々と強くなっていき、家族の身にも危険が及ぶ。
 これは日本で一般公開してほしいし、何かしらの賞を獲ってほしい作品である。

ジェンダー平等を考える 東京国際映画祭イベント:東京新聞 TOKYO Web2023.11.2
 1日に閉幕した第36回東京国際映画祭では、映画業界のジェンダー平等をテーマにしたイベントがあり、各国の俳優やプロデューサー、女性ジャーナリストらが現状や課題を議論した。

【ザ・ウォーター】|第35回東京国際映画祭(2022)
 スペイン南東部の小さな村を舞台に、ひと夏を過ごす若者たちを瑞々しく描いた作品。スペイン期待の女性監督エレナ・ロペス・リエラが自らの出身地で撮影した長編デビュー作。カンヌ映画祭監督週間で上映。

【真昼の女】|第36回東京国際映画祭(2023)
 オーストリアを代表する女性監督バルバラ・アルベルトが、注目のドイツの作家ユリア・フランクの小説『真昼の女*18』を映画化した作品。従軍看護師として働く女性が不幸な結婚の末に自らの生き方を模索するプロセスを描く一代記。

【東京国際映画祭】「真昼の女(コンペティション)」ドイツでも女性は酷く虐げられていたんです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!
 1920年代のドイツ。地方から医学を志してベルリンに出てきたユダヤ女性ヘレーネは、自由な雰囲気の中で青春を謳歌する。やがてヘレーネは文学を志す青年カールと出会い、結婚する。だがナチスが台頭したことにともない、ヘレーネの運命は大きく変わってゆく。
というお話です。
 ベルリンで、ヘレーネはカールという青年と出会い、結婚しますが、ナチスが台頭し、戦争が激化し、ユダヤ人迫害が始まります。ユダヤ人のヘレーネや姉とその友人は、家も無くなり、居場所がなくなります。
 素性を隠して、病院で働いていたヘレーネですが、段々と危険になっていきます。そんな時、病院に来ていたドイツ人将校・ヴィルヘルムに気に入られ、求婚されます。ナチス将校だし、強引なところがあるヴィルヘルムを良く思っていなかったヘレーネは断りますが、アーリア人の証明書を偽造してくれるというので、気が乗らないながらも、求婚を受けて、結婚することにします。そして、アーリア人のアリースとして生活を始めるのですが。後は、映画を観てくださいね。
 この映画は、戦争の事を描いているのではなく、この時代には女性の地位が低く、生きるのがとても大変だったという事が描かれていました。
 女性が働くには、夫の許可が必要だったりするんです。勉強をするにしても、簡単に大学に入る事は難しいようでした。
 ヘレーネは、アーリア人のアリースとしての証明書を偽造して貰い、アリースとして生き始めるんです。そして、ヴィルヘルムの妻となりますが、このヴィルヘルム、酷い男なんです。まず、彼女が処女じゃなかったことに怒り、ベッドでも自分優位でないとイヤだと言うんです。うーん、面倒臭い男でした。
 アリースは、結婚しても働きたいと言うのですが、ヴィルヘルムは家事が忙しいだろうと言って、許可を出さないんです。いつも家の中が完璧になっている事を望んでいて、家が汚いと言って起こるんです。イライラするでしょ。アリースは不満を持ちながらも、アーリア人として生きなければ強制収容されてしまうので、我慢しているのですが、子供が出来ないように気を付けているんです。でも、レイプまがいの事をされて、妊娠してしまいます。
 この時代の男は、本当に自分本位で、女は自分の召使くらいにしか思っていないんですよ。あまりにも横暴な男で、マジで気分が悪かったです。子供が出来ても、その横暴さは変わらず、アリースは苦労をしているのですが、ある日、いきなり、ヴィルヘルムが「家族を養うのは辞める」というんです。「はぁ?」と思いました。あんた、どういう男だよ。
 そしてアリースは、シングルマザーとして働きながら子供を育てていくんです。あまりの展開に、驚いてしまいました。でも、こんな事がドイツでは起こっていたのかもしれません。もう、戦争末期で、ナチスは降伏をしたんですから。ナチスの軍人なんて、追われて殺されたりだったと思います。そういう部分は描かれていませんが、ナチスが降伏をしたという情報は入ってましたから。少しネタバレしてしまいますが、子供が生まれて、男の子なんです。ヘレーネは可愛がってはいるのですが、アーリア人として産んだ子です。なので、ユダヤ人に戻れるとなった時に、駅に置き去りにするんです。これだけは許せないと思いました。人間としてそれはダメだよ。
 そして、最後の最後に再会をするんです。息子が母親を許すのですが、私なら、自分を捨てた母親なんて、絶対に許さないけどね。貧困で、どうしようもないとか、そういう理由があれば良いけど、ただ、足手まといだったからだと思いますよ。ユダヤ人として、ヘレーネとして生き直すためだったと思うけど、だからって、小さい息子を捨てるなんて許さないけどね。
 ただ、ここで思い出されるのが、最初に出てきた時に、ヘレーネの母親はヒステリックで精神的に壊れていて、子供たちを育てるという様子ではありませんでした。なので、ヘレーネは、自分もマトモに育てて貰えなかったので、自分の子供に対しても、責任を持てなかったのかなという思いにもなりました。でも、映画的には、再会を喜んで、ハッピーエンドという事で良かったんじゃないかな。映画としては、良い最後だったと思います。
 私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと、話が長くて、女性が苦しむ場面が多いので、ムカついたりしますが、映画としての構成や内容は、とても良かったと思います。良い映画でした。日本公開は、まだ決まっていないようですが、歴史的に世界で女性がどれだけ虐げられてきたのかという事を、よく描いているので、歴史を知るためには、良い映画なのかなと思います。もし、日本公開が決まったら、ぜひ、観に行ってみてください。

【ディープ・ブレス 女性映画監督たち】|第36回東京国際映画祭(2023)
 3人の女性ダイバーたちを案内役として、バスク地方の女性映画監督たちの過去と現在を描くドキュメンタリー。美しい海の風景を背景に、多彩な女性監督たちの業績が紹介される。

【女性たちの中で】|第36回東京国際映画祭(2023)
 1977年、バスク地方のエレンテリア。中絶手術を行う権利を求める社会運動が行われるなか、ふたりの女性の出会いを描く。女優として活躍するシルビア・ムントの監督作品。マラガ映画祭で若手審査員賞を受賞。

「女性たちの中で」(2023)映画感想| CINEMA MODE
 1977年のバスク地方
 ベアは仲間たちと抗議活動に参加していた。
 当時違法だった中絶手術を受けた11人の女性たちが逮捕収監されたことへの抗議と、女性の中絶の権利を求める運動だった。
 中絶に関わる権利運動を描いた作品は他にもあるようですが、今作はシルビア・ムント監督が女性の視点に焦点を絞り込んでアプローチしています。
 ベアを演じたアリシア・ファルコが輝いていました。ショートヘアにキリッとした目元、凛として力強く美しい。
 去年は「あのこと」なんて素晴らしい作品もありましたが、中絶に関してももっとオープンに議論し、そして闘ってきた方たちの意志をついで女性たちが身体の自由を持つ社会にしなければいけませんね。

 「1977年」「中絶」といえば、日本でもこの頃、榎美沙子*19の「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合中ピ連:1972~1977年)」がありました。


東京フィルメックス

東京フィルメックス、最優秀作品賞は「黄色い繭の殻の中」:朝日新聞デジタル2023.11.26
 アジアの新鋭監督らの作品を集めた国際映画祭「第24回東京フィルメックス」(朝日新聞社共催)の授賞式が26日、東京都千代田区で開かれた。コンペティション部門の最優秀作品賞は、ファム・ティエン・アン監督の「黄色い繭の殻の中」(ベトナムなど)が受賞した。
 審査員特別賞は、アリ・アフマザデ監督の「クリティカル・ゾーン」(イランなど)とゾルジャルガル・プレブダシ監督の「冬眠さえできれば」(モンゴルなど)の2作品が受賞。「冬眠さえできれば」は観客賞も受けた。学生審査員賞はキム・テヤン監督の「ミマン」(韓国)だった。コンペ作品で日本から山本英監督の「熱のあとに」が参加していたが、受賞はなかった。

『冬眠さえできれば』Q&Aレポート | 11/24(金) | 第24回東京フィルメックス|東京フィルメックス | TOKYO FILMeX
 『冬眠さえできれば』は、首都ウランバートル郊外のゲル(遊牧民の移動式住居)集落に暮らす母子家庭の物語。高校生の長男は物理コンクールで才能を発揮し、奨学金で大学進学するのを夢見る。しかし、都会でまともな職に就けない母が末っ子を連れて田舎に戻ってしまい、幼い弟妹とゲルに取り残された彼の背に一家の主としての重圧がのしかかる。
 プレブダシ監督はビデオメッセージで「私自身も15歳までゲルの集落で育ち、コンクールを楽しみにする子供でした」と切り出し、進学先に恵まれて芸術への関心を育み、映画製作を学ぶため桜美林大学に留学した経歴を紹介。「いい教育を受けることは誰でもできると思っていました。でも、帰国してゲル地区の友達を見て、そうではないのだと気が付きました。そのことが実は長年の悩みで、このテーマで映画を作りたいと思いました。10年かけてやっと皆様にお見せできることができてとても嬉しいです」と笑顔を見せた。
 「映画には作り物の話もあるけれど、この作品はすべて事実に基づいています。脚本を見て『ええっ、こんな話あるの!? 子どもたちがなぜこんなことに?』と怒りの声を上げる方もいた。監督は『これがいまのモンゴル社会の現実です。だから、事実に向き合い、子どもたちを助けて下さい』と説得し、協力してくれる企業も現れました」
 劇中に登場する子供たちはすべてゲル集落でのオーディションで選ばれた。
 主人公はゲルの暖房の石炭代や食費を稼ぐため学校を休んで孤軍奮闘し、危険な闇バイトにも手を染める。客席からは「自力で困難を乗り越えようとする主人公の誇りに涙が出ましたが、遊牧民の誇り高さが公的支援を受ける障壁になっている面もあるのでは?」「映画のような状況は、モンゴルではよくあるようなことなのでしょうか?」と、モンゴルの現実についての質問が相次いだ。
 母親役を演じたサンダグドルさんは「映画に登場する出来事は、残念ながらモンゴルの現実です」と深くうなづき、「街の中心部の郊外のゲル集落では学校教育の質に正直なところ差があります。ゲルの子どもたちは家の仕事を手伝い、重い荷物を背負って学校に通わなくてはなりません。ゲル集落は子供の数も多く、雪害で家畜を失い、都会に出て来る遊牧民がさらに増えています」と社会背景を説明した。
 本作は今年のカンヌ国際映画祭のある視点でワールドプレミア上映された。カンヌにも参加した共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんは、「広い会場が人で埋まり、エンドロールが終わっても拍手が鳴り止まない。なぜこんなに拍手するのかと正直思いました。モンゴルのことを知らない人も多かったと思いますが、15歳の子どもが貧しくて勉強できないというのは世界共通の問題。だからカンヌに選ばれ、共感してもらえたのだと思っています」。
 実はカンヌでは本作のほか、もう1本だけ映画を見たという。
是枝裕和監督の『怪物』です。日本の学校のいじめを描いているのに、モンゴルにも通じる話でした。世界には同じ問題があり、映画を通して同じ視点で見つめることができる。そう実感することができました」
 モンゴル版「誰も知らない(是枝裕和監督)」と呼びたくなる本作は、モンゴルで来年1月に公開予定。「やっと地元の方々に見てもらえる」と反応を楽しみにしていた。日本でも、さらに多くの観客と出会えることを期待したい。

 話が完全に脱線しますがモンゴル人力士「照ノ富士横綱)」「霧島(大関)」の「活躍の背景」は「これ(共産体制崩壊後の生活苦)」でしょう。
 「相撲界での出世によるリターン」が「一般日本人」と比べ「半端ではない」わけです。


◆演劇:こまつ座*20『連鎖街*21のひとびと』(水村武)
(内容紹介)
 以下の記事紹介で代替。

芝居は人生の失敗の完全な償いになるか?こまつ座「連鎖街のひとびと」スタート(舞台写真 / コメントあり) - ステージナタリー
 「連鎖街のひとびと」は、2000年に初演された作品。今回は初演と同じく鵜山仁が演出を担い、昭和20年の旧満州国大連市を舞台に、(ボーガス注:当時大連を統治したソ連軍の)通訳将校歓迎会の台本作りという使命を課された劇作家たちの姿が描かれる。

【宝塚OG訪問】元月組トップ・霧矢大夢「私も自分なりのものをつくらなければ」こまつ座で新境地 : スポーツ報知2023.11.27
 元月組トップの霧矢大夢(きりや・ひろむ)は、東京・紀伊國屋サザンシアターで、こまつ座公演「連鎖街のひとびと」(鵜山仁演出、12月3日まで、この後全国巡演)に出演中だ。
 1945年8月末が舞台の今作は21年ぶりの上演。舞台は旧満州(現中国東北部)大連市。ソ連軍政下に劇作家、作曲家、ピアノ奏者たちの地下室での緊迫したやり取り。霧矢はハルビン歌劇団のスター役。初演時はパンチの利いた歌唱力に定評のあった元花組トップ順みつきさん(2018年没、享年70)が演じた。

*1:日本共産党平和運動局長(党中央委員兼務)。著書『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社)、『市民とジェンダーの核軍縮』(2020年、新日本出版社)、『アート×ジェンダー×世界』(2022年、新日本出版社

*2:日本共産党学術・文化委員会事務局長(党准中央委員兼務)

*3:日本盲教育史研究会事務局長。著書『視覚障害教育の源流をたどる:京都盲唖院モノがたり』(2019年、明石書店)、『盲教育史の手ざわり』(2020年、小さ子社)

*4:これについては赤旗「ジェンダー平等」を貫く紙面づくりに努めます/「ガイドライン」作成しました校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(1)/男女のいずれかを排除したり、偏ったりしない校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(2)/性別により役割や職業を固定化しない校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(3)/男女間に優劣や上下関係があるかのような扱いをしない校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(4)/理由もなく、男女で異なった表現はしない校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(5)/性の多様性を尊重した表現にする校閲の目/ジェンダーガイドライン ポイント(6)/企画立案の段階から丁寧に検討する参照

*5:著書『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ』(2014年、勁草書房)、『日本の中絶』(2022年、ちくま新書

*6:NPO法人建築ネットワークセンター副理事長。弁護士

*7:弁護士

*8:むしろ「あの橋下」と番組(橋下×羽鳥の番組 - Wikipedia参照)をやって恥じない羽鳥など俺的には「辛坊などと同じクズの典型」「一日も早く表舞台から消えて欲しい男」ですが、まあ世の中、そういう人ばかりでもないですからね。

*9:1971年生まれ。1994年4月に日本テレビに入社。『ズームイン!!サタデー』、『ズームイン!!SUPER』総合司会、『モーニングライブ』キャスターなど歴任。2011年3月31日を以って日本テレビを退社し、フリーアナウンサーに転身

*10:羽鳥慎一モーニングバード』(2011~2015年)または『羽鳥慎一モーニングショー』(2015年10月~)のことか?

*11:杉浦『トイレに住みついた少年:熱血カウンセラーが見たひきこもりの現実』(2002年、バジリコ)のこと

*12:麻生派、安倍派、岸田派、二階派、茂木派のこと

*13:日本共産党子どもの権利委員会 責任者、ジェンダー平等委員会委員(中央委員兼務)。元衆院議員。衆院選北関東ブロック比例代表予定候補

*14:アレクセイ・ゲルマン - Wikipediaの息子のようですね。

*15:2015年ノーベル文学賞受賞者。邦訳に『チェルノブイリの祈り:未来の物語』(2011年、岩波現代文庫)『ボタン穴から見た戦争:白ロシアの子供たちの証言』(2016年、岩波現代文庫)等

*16:ホメイニ(1902~1989年)のイスラム革命(今から約43年前の1979年)による亡命か?

*17:これについては例えばイラン、イスラエルとの試合棄権強要か 世界柔道代表に:朝日新聞デジタルイラン柔道連に資格停止処分、選手に棄権するよう圧力 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News参照

*18:邦訳、2011年、河出書房新社

*19:榎美沙子 - Wikipediaによれば現在の消息は不明

*20:1983年に井上ひさし(1934~2010年)が結成した、井上の戯曲のみを上演する演劇集団。井上没後は三女の井上麻矢(1967年生まれ)が社長を務めている(こまつ座 - Wikipedia参照)

*21:大連市に存在していた商店街。1929年に開業。セントラルヒーティングや水洗トイレなど、当時の日本でもなかなか見られないような新しい設備が整えられていた。日本が統治した頃は東洋一の商店街と呼ばれた。サザンオールスターズ『流れる雲を追いかけて』の歌詞に出てくる「連鎖の街」は、この連鎖街である。桑田佳祐(1956年生まれ)の父は連鎖街に住んでいたことから、この街を題材に作詞している(連鎖街 - Wikipedia参照)