特集「日本の公共をとりもどす:新自由主義路線の転換」
◆随想「「まさか」の出来事」(斎藤治子*1)
(内容紹介)
斎藤氏曰く「ソ連・ロシア研究」は「まさかの連続」だった。
「ゴルバチョフのペレストロイカ」も「そのゴルバチョフが保守派クーデターを契機に力を失い、ソ連が崩壊し、エリツィンがロシアの指導者となったこと」も「まさか」だった(また「ソ連崩壊」を理由に米英仏が「ロシアの拒否権を否定する」のではないかと思っていたのにあっさり認めたことも「まさか*2」だったとしている)。
そして最新の「まさか」は「プーチンのウクライナ戦争」であると。
「ソ連崩壊」で「とにもかくにも民主化と親欧米路線が進んで行くであろう」と見ていたことが何故裏切られたのか?
また、「フィンランドとスウェーデンが中立政策を廃棄しNATO加盟したこと」も「まさか」だったとしています(斎藤氏はハト派の立場から中立政策放棄には批判的なようです。俺も同意見ですが)。
世界と日本
◆止まらぬ円安と植田日銀(相澤幸悦*3)
(内容紹介)
円安を助長している植田日銀が批判されていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
◆韓国の女性労働事情:改善されない性別賃金格差(洪相鉉)
(内容紹介)
副題にある「改善されない性別賃金格差」が論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
◆公共の民営化路線40年の到達と「公」の再建(岡田知弘*4)
(内容紹介)
「民営化路線40年」とは「専売公社(現在の日本たばこ産業)の民営化(1984年:中曽根政権)」から数えて、ということですね。
その後も、「電電公社(現在のNTT)民営化(1985年:中曽根政権)」「国鉄(現在のJR)民営化(1987年:中曽根政権)」「道路公団民営化(2005年、小泉政権)」「郵政民営化(2007年:小泉政権)」等がされましたが、この中で特に酷かったのが「国鉄民営化」というべきでしょう。
多くの路線が廃線となり、また未だ「JR北海道、四国、貨物」は経営が苦しい状況です。こうした状況を果たしてどう改善するのかという難問が残されています。
◆座談会「住民の命を守る、自治体・行政の役割発揮を」(吉田佳弘*5、山本民子*6、二見清一*7、笛田保之*8、黒田兼一*9)
(内容紹介)
自治体の現状と課題として1)公務労働の外部委託化、2)公務員の非正規化(会計年度任用職員)、3)公務員の長時間労働が論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
◆日本の財政民主主義を立て直す(梅原英治*10)
(内容紹介)
巨額の基金と予備費が財政民主主義を破壊していると批判されている。
【基金】
<社説>国の基金膨張 徹底的な見直し必要だ:東京新聞 TOKYO Web2023.11.29
【予備費】
(社説)予備費の乱用 財政民主主義 骨抜きに:朝日新聞デジタル2022.5.29
予備費積み増しの補正予算/財政民主主義破壊の暴挙/自公の合意 志位委員長が批判2022.4.22
日本共産党の志位和夫委員長は21日、国会内での記者会見で、自民・公明両党が予備費を積み増す2022年度補正予算案について今国会での成立をめざすことで合意したことについて問われ、「これを聞いて驚いた。予備費を積み増す補正予算とは前代未聞だ。全くの財政私物化であり、まさに財政民主主義を破壊する独裁政治だ」と批判しました。
財政民主主義を蹂躙/予備費軍拡使用 赤嶺議員が批判/衆院憲法審2023.4.14
赤嶺氏は、自民党が2022年度予算の予備費10兆円のうち、不用額約4兆円を軍拡財源につぎ込むべく検討していると指摘。憲法83条は、国の財政は国会の議決に基づき処理するとしており、「巨額の予備費は国会の権能を奪う」と述べ、予備費の軍拡財源への使用は「幾重にも財政民主主義の原則を蹂躙するものだ」と厳しく批判しました。
◆財政投融資の「解体」が招いた物(佐々木憲昭*11)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
資本主義の現在と未来 日本の金融化② 衰退した郵便貯金 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月7日付掲載
日本共産党元衆院議員 佐々木憲昭さんに聞く
Q:
財政投融資の解体を求めたのは誰だったのでしょうか。
A(佐々木):
財投をやり玉に挙げたのは、まず財界です。経団連は1997年に「財投改革の基本方針」を発表し、「『入口』の郵貯・簡保が、国家信用や税の免除などの恩典を背景に、依然として大量の資金を集め、民間金融機関を圧迫している」と主張しました(『経済団体連合会五十年史』)。民間金融機関の利潤獲得にとって公的金融システムが邪魔になり、それを破壊することを狙ったのです。
Q:
財政投融資の解体は国民にどんな影響をもたらしましたか。
A(佐々木):
さまざまな悪影響がありますが、その一つは郵便貯金の衰退です。民間金融機関にとって郵便貯金は邪魔な存在でした。銀行預金よりも金利が高く国民にとって有利でしたから。
財投の公的な枠組みの中で保護されてきた庶民の零細な郵便貯金を、財界と米国が攻撃したのです。小泉純一郎首相が強行した郵政民営化は、それに忠実に従ったものでした。
もう一つは政府系金融機関の変質です。07年の再編で、暮らしと営業にかかわる国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の三つの公庫が、国際協力銀行の国際金融部門とともに日本政策金融公庫に統合されました。その後12年に日本政策金融公庫から国際協力銀行が分離・独立しました。
重大なのは、この過程で「目的」が変えられたことです。それまでは「一般の金融機関からその融通を受けることを困難とする国民大衆が必要とするもの(資金)を供給」するとしていたのに「一般の金融機関が行う金融を補完する」(日本政策金融公庫法)と変更されました。政府系金融機関の「公共」を否定し、利潤第一の大銀行の補完役におとしめたのです。
このように財投の解体は、郵政事業や年金基金の公的な性格を奪うとともに、政府系金融機関の大きな変質をもたらしました。
金融自由化は「公共」の破壊そのものだったのです。
◆NTT法の廃止に反対する(宇佐美俊一*12)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
<社説>NTT法廃止論 国民への還元が見えぬ:東京新聞 TOKYO Web2023.12.29
自民党がNTT法を2025年の通常国会をめどに廃止するよう岸田文雄首相に提言した。NTTを完全民営化して規制を撤廃し、国際競争力を高めるのが狙いだ。
しかし、廃止されれば全国一律のサービス提供義務はなくなる。完全民営化で利益が最優先されれば、不採算地域でサービス低下の可能性は否定できない。
同法廃止には、KDDIやソフトバンクなど同業他社が反対している。NTTは税金も使って敷設した光ファイバー網を保有。他社はNTT側に使用料を支払って携帯電話事業を展開しているが、同法が廃止されれば、NTTは使用料の値上げも可能だからだ。
支配力を強めたNTTが携帯電話市場を独占すれば、公正な競争が阻害され、価格にも悪い影響を及ぼす可能性は否定できない。
◆動き出したEUのプラットフォーム規制(高野嘉史)
(内容紹介)
EUの規制を紹介した上で、そうした規制が遅れている日本でも早急に規制を行うべきとしていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
巨大IT企業に規制/衆院経産委 スマホ競争促進法可決/笠井氏質問2024.5.23
笠井氏は一方で、本法案が準拠する欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)に比べ、対象となる事業者やサービスが狭く、課徴金(制裁金)の上限もDMAが全世界売上高の10%なのに対し、本法案は国内売上高の10%だと指摘。さらに、EUは利用者の基本的権利を保護するデジタルサービス法(DSA)や個人情報などを保護する一般データ保護規則(GDPR)によって「横断的総合的に巨大IT企業を規制している」として、日本でも同様の規制が必要だと迫りました。
◆シリーズ「現代のグローバル企業分析」第10回『ウォルマート*13、セブン&アイ*14、イオン*15』(鈴木和哉)
(内容紹介)
ウォルマートが専らスーパー事業に注力しているのに対し、多様な分野に進出している点がセブン&アイ、イオンの特徴といえる。
*1:元帝京大学教授。著書『独ソ不可侵条約』(1995年、新樹社)、『いま、レーニンへの旅』(2000年、東洋書店ユーラシア・ブックレット)、『第二次世界大戦を見直す』(2005年、東洋書店ユーラシア・ブックレット)、『令嬢たちのロシア革命』(2011年、岩波書店)、『リトヴィーノフ』(2016年、岩波書店)
*2:当時は親欧米のエリツィンだったからでしょうが、今となってはプーチンの拒否権発動で苦しめられる欧米です。
*3:埼玉大学名誉教授。著書『西ドイツの金融市場と構造』(1988年、東洋経済新報社)、『日銀法二十五条発動』(1995年、中公新書)、『ユニバーサル・バンクと金融持株会社』(1997年、日本評論社)、『日本の金融ビッグバン』(1997年、NHKブックス)、『新しい金融システムの創造』(1998年、中央経済社)、『日本型金融システムを求めて』(1999年、東洋経済新報社)、『ユーロは世界を変える』(1999年、平凡社新書)、『平成大不況』(2001年、ミネルヴァ書房)、『現代資本主義の構造改革』(2002年、ミネルヴァ書房)、『アメリカ依存経済からの脱却』(2005年、NHKブックス)、『反市場原理主義の経済学』(2006年、日本評論社)、『品位ある資本主義』(2006年、平凡社新書)、『平成金融恐慌史』(2006年、ミネルヴァ書房)、『現代経済と資本主義の精神』(2007年、時潮社)、『国際金融市場とEU金融改革』(2008年、ミネルヴァ書房)、『恐慌論入門』(2009年、NHKブックス)、『戦後日本資本主義と平成金融「恐慌」』(2010年、大月書店)、『世界経済危機をどう見るか』(2010年、時潮社)、『品位ある日本資本主義への道』(2010年、ミネルヴァ書房)、『ペイオフ発動』(2012年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行論』(2013年、NHKブックス)、『環境と人間のための経済学』(2013年、ミネルヴァ書房)、『軍事力が中国経済を殺す』(2014年、講談社+α文庫)、『よみがえる日本、帝国化するドイツ』(2015年、水曜社)、『長期不況克服への経済学』(2015年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行の敗北』(2016年、日本経済評論社)、『「アベノミクス」の正体』(2017年、日本経済評論社)、『ドイツはEUを支配するのか』(2018年、ミネルヴァ書房)、『定常型社会の経済学』(2020年、ミネルヴァ書房)等
*4:京都大学名誉教授。京都橘大学教授。自治体問題研究所理事長。著書『日本資本主義と農村開発』(1989年、法律文化社)、『一人ひとりが輝く地域再生』(2009年、新日本出版社)、『道州制で日本の未来はひらけるか(増補版)』(2010年、自治体研究社)、『震災からの地域再生』(2012年、新日本出版社)、『「自治体消滅」論を超えて』(2014年、自治体研究社)、『公共サービスの産業化と地方自治』(2019年、自治体研究社)、『地域づくりの経済学入門(増補改訂版)』(2020年、自治体研究社)、『私たちの地方自治』(2022年、自治体研究社)等
*8:国交労組副委員長
*9:明治大学名誉教授。著書『戦後日本の人事労務管理』(2018年、ミネルヴァ書房)
*10:大阪経済大学名誉教授。著書『関西、その活力の源をさぐる:産業集積と起業家精神』(編著、2000年、法律文化社)
*11:元衆院議員。日本共産党名誉役員。著書『現代エネルギー危機論』(1978年、新日本出版社)、『記録米・イラン危機』(1980年、連合出版)、『暮らしのなかのエネルギー危機』(1981年、新日本新書)、『転換期の日本経済』(1983年、新日本出版社)、『どうみる世界と日本の経済』(1986年、新日本出版社)、『おしよせる大失業』(1987年、新日本出版社)、『変貌する財界:日本経団連の分析』(2007年、新日本出版社)、『財界支配:日本経団連の実相』(2016年、新日本出版社)、『日本の支配者』(2019年、新日本出版社)
*12:JMITU通信産業本部委員長
*13:世界最大とされる米国のスーパーマーケット
*14:コンビニ「セブン・イレブン」、スーパー「イトーヨーカ堂」「ヨークベニマル」、生活雑貨店「Francfranc」「ロフト」、ベビー用品店「赤ちゃん本舗(アカチャンホンポ)」、ファミリーレストラン「デニーズ」等を運営(セブン&アイ・ホールディングス - Wikipedia参照)
*15:コンビニ「ミニストップ」、スーパー「イオン」「いなげや」「カスミ」「ダイエー」「ベルク」「まいばすけっと」「マックスバリュ」「マルエツ」、ディスカウントストア「ビッグ・エー」、ドラッグストア「ウエルシア」、100円ショップ「キャンドゥ」、外食「オリジン東秀」等を運営(イオングループ - Wikipedia参照)