黒井文太郎に突っ込む(2024年9月4日分)

黒井文太郎
 国際紛争分析と善悪論に関して。
 自分も国際紛争ウォッチ*1のビギナーの頃は「国際紛争アクターを善悪で分類してはいけない」と考えていましたが、善悪分類しないと情報を有効に分析できないことがだんだん分かってきたわけで。

 事実認識(情報分析)と「事実認識(情報分析)を前提とした価値判断」を(故意に?)混同してる「おいおい」な文章です。
 「米国はチリクーデターのような無法を過去にやり、今もイスラエルの無法に甘い国だ。やることは全て悪事に決まってる*2(その反動として、ロシア、イランなど反米的とされる国を無条件に善玉扱い)」
「トランプは上院襲撃扇動するような奴だ。主張は全てに嘘に決まってる(その反動としてハリスなど民主党を無条件に善玉扱い)」
「ロシアはウクライナ侵攻(以下略)(その反動としてウクライナNATOなどを無条件に善玉扱い)」
「安倍は統一協会と癒着(以下略)(その反動として安倍批判派を無条件に善玉扱い)」レベルの雑な主張でしょう(まあ上記の例に限らず、確かに何らかの悪事をやる奴は、他の場所でも同様の悪事をやる可能性がありますが、情報分析もろくにしないでで決めつけは良くない)。
 国際紛争に限らず、「価値判断と事実認識」は別問題です。
 こういうことを言う奴は「ロシアはウクライナ侵攻(以下略)」的な「短絡的な主張」がしたいのではないかと疑います。
 そもそも国際紛争に限らず世の中は「単純に善玉、悪玉で分けること」は多くの場合できない。

*1:国際関係の著書に黒井『イスラムのテロリスト』(2001年、講談社+α新書)、『世界のテロリスト』(2002年、講談社+α文庫)、『北朝鮮に備える軍事学』(2006年、講談社+α新書)、『ビンラディン抹殺指令』(2011年、洋泉社新書y)、『イスラム国の正体』(2014年、ベスト新書)、『イスラム国「世界同時テロ」』(2016年、ベスト新書)、『プーチンの正体』(2022年、宝島社新書)等

*2:但し、「黒井のような米国従属主義者」は米国を「悪(例えばロシア)に対決する正義の味方」扱いしますが