新刊紹介:「前衛」2024年10月号

特集「米戦略下で変貌する自衛隊 草の根の基地強化反対のうねり」
◆南西諸島「戦場・標的の島:対中軍事戦略に組み込み基地強化・軍事訓練も激化」(林竜二郎*1
◆宮崎「激化する共同訓練:基地地下化、核戦争をも想定、高まる住民不安」(前屋敷恵美*2
◆佐賀「佐賀の空にオスプレイはいらない、宝の海に争いはいらない」(池﨑基子*3
◆広島「呉基地軍事拠点化、軍港転換の平和の歴史を踏みにじる策動は許さない」(奥田和夫*4
◆京都「住宅地に祝園弾薬庫、過去には大爆発、共闘の力を広げて」(谷口清久*5
(内容紹介)
 赤旗等の記事紹介で代替。
【南西諸島】
赤旗
論戦ハイライト/ミサイル配備 県民愚弄/衆院予算委 南西諸島基地化 赤嶺議員が追及2023.2.9
沖縄・奄美 弾薬庫増/南西諸島の戦場化加速/23年度方針2023.2.23
PAC3が沖縄で民間港湾地区に展開 自衛隊が市民の日常にじわりと「浸食」 6月23日は「慰霊の日」:東京新聞 TOKYO Web2023.6.23
【宮崎】
赤旗弾薬庫 詳細答えず/新田原基地を田村貴昭氏調査/宮崎2024.5.28
自衛隊初参加の米軍演習 新田原基地で米軍負傷者の輸送訓練|NHK 宮崎県のニュース2024.6.13
【佐賀】
佐賀空港 米ヘリ低空飛行/滑走路上空を事前連絡なく/防衛省に申し入れ2024.3.1
オスプレイ来るな/空港配備反対 住民ら訴え/佐賀2024.4.1
【広島・呉市
日鉄跡地 軍拠点化ノー/広島・呉 市民団体が政府交渉/大平氏が同席2024.3.26
【京都・祝園弾薬庫】
祝園弾薬庫増強説明を/山添氏 拡張しないと確認書/参院外防委2024.3.25
祝園弾薬庫拡張だめ/穀田氏 基地強靱化の一環批判/衆院外務委2024.5.19
弾薬庫新設へ 4施設調査/概算要求で計上 祝園は本体工事へ2024.9.8


◆人権、(ボーガス注:男女)格差、共同親権、性暴力、(ボーガス注:女性の)政治参加、LGBTQなど多彩に:日本共産党国会議員団第7回ジェンダー平等推進委員会から(高橋千鶴*6、紙智子*7、本村伸子*8、仁比聡平*9、吉良よし子*10倉林明子*11、岩渕友*12井上哲士*13、宮本徹*14塩川鉄也*15、山添拓*16、伊藤岳*17宮本岳志*18
(内容紹介)
 それぞれ

【敬称略】
◆紙智子
 慰安婦問題
→例えば軍「慰安婦」制度認める文書/強制動員の犯罪事実 紙議員が入手(2021.6.3)参照
◆本村伸子
 民法問題(夫婦別姓問題、共同親権問題)、性暴力問題(刑法改正)
→例えば
刑法等改正案 意義と課題 本村伸子衆院議員に聞く/「不同意性交等罪」創設は重要な前進(2023.6.11)
選択的夫婦別姓早く/本村議員 生活・仕事に不利益/衆院法務委(2024.3.27)
「共同親権」民法改定案/本村議員の反対討論(要旨)(2024.4.13)参照
◆仁比聡平
 女性拘留者の人権、LGBT理解増進法
→例えば
差別を助長 廃案こそ/LGBT4党修正案 仁比氏が主張/参院議運委(2023.6.15)
勾留 女性の尊厳守れ/仁比氏、ブラ着用禁止を批判/参院法務委(2024.6.21)参照
◆吉良よし子
 包括的性教育、性暴力(電車内痴漢)
→例えば
JR東に痴漢根絶要請/山添・吉良氏ら「被害者救済を」(2022.5.27)
「包括的性教育」求める/性暴力から子どもを守れ 吉良氏が主張/参院決算委(2023.4.11)参照
倉林明子
 経口中絶薬の普及問題
→例えば
経口妊娠中絶薬/早期承認と保険適用を/倉林氏「安全・安価な選択肢必要」(2021.6.15)
無床診療所でも利用を/経口中絶薬 宮本徹議員が求める/衆院厚労委(2024.6.8)参照
◆岩渕友
 女性の政治参画
井上哲士
 女性差別撤廃条約選択議定書の批准、防災分野での女性参画
→例えば

避難所環境改善迫る 衆参予算委/女性の切実な要望 国が主導して/井上氏2024.1.25
 井上氏は女性の避難所生活に関し「間仕切りがなく着替えができない」「トイレは男女共用で夜は照明も少なく怖くて使えず我慢して体調を壊す」などの切実な声を紹介。その上で、「女性からは声を上げにくい。国が主導して現場で改善を進めるべきだ」と主張しました。

参照
◆宮本徹
 男女間賃金格差、マタハラ、パタハラ、女性の低年金問題
→例えば

育休中の就業やめよ/倉林氏「休業保障されない」2021.4.16
 日本共産党倉林明子議員は8日の参院厚生労働委員会で、男性の育児休業取得促進の実効性についてただしました。育児に積極的な男性に対するハラスメント(パタハラ)が横行しているとして、ハラスメントへの厳しい対応を求めました。

男女賃金格差など直視を/参院調査会参考人質疑 山添氏質問(2024.2.27)
女性低年金 改善迫る/倉林氏「最低保障導入を」/参院予算委(2024.3.19)
参照
塩川鉄也
 国立女性施設の拡充
→例えば国立女性教育会館残せ/埼玉 塩川・梅村氏が視察(2024.1.11)参照(なお、この施設は埼玉県嵐山町にある。一方、塩川氏は『埼玉県日高市生まれ。埼玉県立川越高校卒。大学卒業後、日高市役所に就職。その後市役所を退職し日本共産党専従職員になり、2000年の衆院選挙では埼玉8区では落選するも重複立候補していた比例北関東ブロックで復活し初当選(現在まで8期24年)(塩川鉄也 - Wikipedia参照)』ということで埼玉とは縁が深い)
◆伊藤岳
 非正規の雇い止め問題、パートナーシップ条例
→例えば雇い止め 是正求める/スクールカウンセラー 伊藤氏訴え/参院総務委(2024.3.16)参照

等ということで、各自が女性、ジェンダー問題に関する「党の取組」について報告していますが、「赤旗の関連記事紹介」にとどめ、詳細な紹介は俺の無能のため省略します。


◆対談「沖縄県民の戦争体験とはどういうものだったのか:「疎開」「根こそぎ動員」と島田叡*19県知事のはたした役割」(川満彰*20林博史*21
(内容紹介)
 『沖縄県知事・島田叡と沖縄戦』(2024年、沖縄タイムス社)の共著者である川満氏、林氏が「島田美化」を批判しています。
 「川満氏らの主張を掲載しただけ(党としての声明等ではない)」とはいえ日本共産党が機関誌において「島田美化」を批判したことは意義が大きいと思うし、高く評価したい。
 これについては以下の記事も紹介しておきます。
拙記事「戦前最後の沖縄県知事」島田叡「美化」の批判記事を紹介(2024年6月9日記載)(追記あり) - bogus-simotukareのブログ
<書評>『沖縄県知事島田叡と沖縄戦』 戦争責任、冷静に見つめ - 琉球新報デジタル(有料記事なので全く読めませんが)

沖縄県最後の官選知事である島田叡は、第32軍司令官牛島満らの推薦で知事になった? - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 島田に関しては、ドキュメンタリー映画『生きろ:島田叡・戦中最後の沖縄県知事』(佐古忠彦*22監督、2021年)や『島守の塔』(五十嵐匠監督、022年)などが製作されたりと、どうも美化の傾向が強いと思われます。で、この状況に異を唱える本が出版されました。
 Welcome to Hayashi Hirofumi'から引用しますと、
>ご存知のように、沖縄戦のときの県知事島田叡が、「命どぅ宝」と訴え続けたという根拠のない話が、2本の映画となっています。すでに歴史の歪曲をおこなってきた育鵬社が中学校歴史教科書にその話を載せていましたが、この4月からは小学校社会の教科書にも載せられるようになりました。
 こうした歴史の歪曲が、右翼/極右によってなされているのではなく、沖縄の琉球新報沖縄タイムス、沖縄の3つのテレビ局・2つのラジオ局というように沖縄のほぼすべての主要メディアが加担しているだけでなく、毎日新聞中日新聞東京新聞も含む)、神奈川新聞、北海道新聞中国新聞神戸新聞下野新聞など多くのマスコミがこの企てに加担していることにこの問題の特徴があります(これらのメディアの名前は、映画『島守の塔』公式ウェブサイトより抜粋。なお仕掛けたのはTBSですが)。これによって沖縄戦平和教育の変質も始まっています。
 沖縄のなかではこうした歪曲した映画に対する批判・違和感は強いのですが、主要メディアがすべて加担している翼賛体制の状況にあり、きちんとした批判がなされないままに来ています。この点は本土でも同じで、こうした歪曲を批判すべきメディアが共犯者になってしまっています。
 そこで沖縄戦研究の第1線で論陣を張っている川満彰さんと二人で、沖縄戦(その準備過程も含めて)のときに島田知事や荒井警察部長が何を語り、何をおこなったのか、歴史の事実に基づいて検証する本を出すことにしました。これまで美化されてきた彼らの実像がよくわかるように、くわしい資料編も付けており、事実に基づいて議論できる材料を揃えた本にしています(ほとんど知られていないような資料もいろいろ収録しています)。

とあります。
 いずれにせよ本土人である人物(佐古忠彦氏や五十嵐匠氏ら)が本土人を本土側の視点でとらえて、「島田さんは人格者で沖縄のために働いた」なんてほざいて本土人もそれを見て聞いて満足している*23ようでは、やっぱり進歩がありません。同じ本土人でも、林博史氏のような人物こそが、私たちが参考にすべきだと思います。本土人の私はそう思います。

 是非、id:Bill_McCreary さんには今回の対談を読んで欲しいところです。しばらく更新を停止します(9月4日午後1時15分ごろ更新) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)というのは体調でも悪いのかと心配なところです。
【追記】
 後で見たらサイト(グーブログもはてなブログも)が消滅してるのでびっくりです。一体何があったのか?


◆急拡大するオンラインギャンブル:ギャンブル産業の再編と被害の拡大、規制をめぐる論点(上)(鳥畑与一*24
(内容紹介)
 Q&A方式(架空問答)で紹介。

 オンラインギャンブルというと「米国プロ野球選手・大谷の通訳だった水原」がはまって通訳を解雇されたあげく刑事訴追されたことで一躍有名になったものですね?

 その通りです。私は一部を除いて、日本マスコミの多くが「水原は酷い」「大谷が可哀想」ばかりで「ギャンブル依存症」の問題に触れなかった事が非常に残念です。そしてオンラインギャンブルは日本でも対岸の火事ではない。日本では「将来、法改正がされれば話は別」ですし、維新がカジノ設置を画策する今「法改正でオンラインギャンブルが合法化される危険性」は皆無ではないですが、「違法な現状」においても「海外オンラインギャンブルを日本からアクセスすることは合法」と言う誤解(実際は違法)があること、日本の法規制が不十分なこともあってオンラインギャンブルの被害は少なくないのです。
 例えば以下の記事(私、鳥畑もコメントしています)をご覧下さい。

オンラインカジノの実態、警察庁が初調査へ…「違法性ない」との誤解広まり日本からのアクセス急増 : 読売新聞2024.8.19
 警察庁は、日本人向けに運営されている海外のオンラインカジノサイトについて、初の実態調査に乗り出す。若者の間に急速に広がり、借金苦で特殊詐欺などの「闇バイト」に加担するケースもみられることから、実態把握の必要性が指摘されていた。
 国内では競馬などの公営ギャンブル以外の賭博は禁じられており、海外のサイトに国内から接続して賭ければ違法になる。だが、「海外で合法的に運営されており、違法性はない」といった誤解が広まっている。
 カジノ問題に詳しい静岡大鳥畑与一名誉教授(金融論)によると、オンラインカジノは自宅などから24時間利用が可能で、スロットマシンやルーレットなどのほか、プロ野球やサッカー・Jリーグなどを対象とした日本語対応のスポーツ賭博サイトもある。日本向けの賭博の売り上げは急激に伸びているという。
 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)によると、同会への相談に占めるオンラインカジノの割合は19年の4・3%から、23年は20・3%になった。のめり込んだ20~30歳代の若者が多額の借金を抱え、特殊詐欺の被害金の「受け子」や口座売買などの闇バイトに手を染めるケースも目立つという。
 欧州などでは違法カジノサイトへの接続を止める「ブロッキング」などの対策に乗り出す国もあり、警察庁の担当者は、「基礎的なデータを集めて実態を早期に把握し、対策を検討していく」としている。

 日本でも早急に規制を強める必要があります。


能登半島地震能登の良さを生かした復旧・復興の加速こそ(室崎益輝*25
(内容紹介)
 タイトルにあるように「能登の良さ」を生かした「ボトムアップ、地域密着型の復興」が主張されていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆「研究力」低下問題と大学自治の危機(光本滋*26
(内容紹介)
 国立大学法人化以降の「大学交付金の削減」が研究力低下を招いていると批判。
 また「国立大学法人設置法改定(国際卓越研究大学制度の新設など)」が「大学自治」を形骸化するのではないかとの危惧を表明。
参考
国立大学法人法改悪案/吉良議員の反対討論/参院本会議2023.12.14
主張/国立大法人化20年/失敗を検証し抜本的な転換を2024.4.21

「大学改革」が奪った研究の自由 競争が目的化したその先にあるもの:朝日新聞デジタル
 国立大学の学費値上げの議論が広がっています。値上げに追い込んでいるものは何か、そのことで失うものとは。教育学者の古川雄嗣さん*27に聞きました。
◆古川氏
 ここ数十年の「大学改革」は、文教政策として「一番やってはいけないこと」をやってきました。大学と研究者を競争に駆り立て、「役に立つ研究」への「選択と集中」を進め、自由で多様な研究と教育ができる環境を奪うことです。
 この方向を決定づけたのは、2004年の国立大の独立行政法人化です。
(以下は有料記事です)


◆ 「学費値上げ大合唱」にみる自民党政治の行き詰まりと打開の方途:学生の運動に連帯し、予算増、高等教育無償化へ(土井誠*28
(内容紹介)
 学費値上げを主張する自民党文科省、御用マスコミ(日経新聞など)に対してむしろ「大学交付金(国立大)」「私学助成(私立大)」の拡充による「学費値下げ(最終的には大学無償化)」や「奨学金制度(特に贈与型や、貸与型でも無利子や低利子)の充実」こそが求められると批判。
 この点、別記事でも書きましたが東大、授業料値上げを発表 来年度の学部入学者から約11万円:朝日新聞デジタルという東大の学費値上げ方針は「東大だけでなく他大学への波及が必至」と言う意味で撤回して欲しいところです。このままでは「中国や韓国への人材流出」を助長しかねません。


シリーズ「戦争と平和の岐路に問う」
家永三郎と太平洋戦争:教科書訴訟を起こした、その思想を探る(佐藤広美*29
(内容紹介)
家永氏の
1)教科書訴訟に対する考え
2)太平洋戦争評価について
家永著書
◆『教育裁判と抵抗の思想』(1969年、三省堂
◆『教科書裁判』(1981年、日本評論社)
◆『戦争責任』(2002年、岩波現代文庫)
◆『太平洋戦争』(2002年、岩波現代文庫)等を元に論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
 なお、家永氏については以前、拙記事新刊紹介:「歴史評論」2021年12月号 - bogus-simotukareのブログで取り上げました。


◆論点「「グローバルサウス」に背を向ける岸田政権:IMF財政をめぐる先国会の議論から」(丸井龍平)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

IMF関連法案に反対/3兆円増資で小池氏/参院財金委2024.4.14
 日本共産党小池晃書記局長は11日の参院財政金融委員会で、国際通貨基金IMF)の問題点を指摘し、約3兆円を増資するIMF関連法案に反対しました。同法案は、自民、公明、立民、維新などの賛成多数で可決されました。
 小池氏は、IMFは各国に融資する際に厳しい緊縮政策を求めており、途上国の国民生活の悪化をもたらしていることを指摘。
 この問題の根本に、IMFの意志決定システムが欧米に有利で、途上国、新興国の意思が反映しにくいことがあると述べました。
 小池氏は、昨年9月のG20首脳宣言で、国際金融機関の改革における途上国の発言権の強化の必要性が強調され、グローバルサウスの国々からは出資割合の見直しを求める声が上がっていたにもかかわらず、「こうした問題点を先送りしたまま、約3兆円もの増資には賛成できない」と、IMF関連法案に反対しました。


◆暮らしの焦点「玩具による事故の根絶と消費生活用製品安全法改正」(河田洋之)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
子の製品事故根絶を/消費生活安全法案 笠井議員が質問/衆院経産委2024.6.3


ジェンダー覚書:The personal is political「ジェンダーギャップ指数と日本の高等教育問題」(朝岡晶子)
(内容紹介)
 ジェンダーギャップ指数では「教育分野は、政治や経済の分野に比べ比較的平等」と言われますが、それは「小中高教育」を加味しての話にすぎず、高等教育では
1)未だに女性の大学進学率が男性より低い(女性の短大進学率が高い)
2)女性の場合、理工系の進学率が男性に比べて低い(いわゆるリケジョ問題)。今でも「保育(保育園教師)、教育」といった「伝統的に女性が多い分野」への進学率が高い
3)大学教員も女性の割合は少ない(特に学部長、学長など重要なポストに少ない)
等という「男女格差が深刻」と指摘されます。
 また、こうした問題を取り上げた最近の著書として、横山広美*30『なぜ理系に女性が少ないのか』(2022年、幻冬舎新書)、矢口祐人*31『なぜ東大は男だらけなのか』(2024年、集英社新書)が紹介されています。
参考

「女性枠」が生む「リケジョ」の可能性とは? 女子学生が語る入学の決め手とは? - ジェンダーをこえて考えよう - NHK みんなでプラス2023.4.27
 学生や教員の募集に “女性枠” を設ける動きが、全国の理系の大学を中心に広がっています。東京工業大学では2024年4月入学の入試から総合型選抜と学校推薦型選抜で、1028人の定員のうち58人の女子枠を導入する予定です。2025年にはさらに増やし、143人の枠を予定しています。これは、1学年の募集人員のおよそ14%に相当します。
 教員の採用でも “女性限定公募” の導入が進んでいます。東北大学工学部・工学研究科では、ことし4月一挙に3人の女性の教授が誕生しました。東京大学でも2027年度までに女性の教授・准教授を約300人採用する計画を打ち出しています。

「格差って本当にあるんだ」 地方女子の大学進学に「性別」「出身地」2重の壁 - 産経ニュース2023.11.26
 女子の大学進学率はこの10年で10ポイント近く伸び、令和4年度に53%となった。それでも、男子の59%を大きく下回っており、性別によって教育機会が左右されている現実が見えてくる。
 東京大では、この春に実施した入試の合格者に占める女子比率が過去最高となった。それでも22%にとどまる。京都大や早稲田大などでも男女格差が顕著に表れている。
 性別に伴う学力差がないことは多くの調査データが示している。ジェンダーと教育を研究する宮崎公立大准教授の寺町晋哉*32は「『4年制大学へ進学してほしい』という保護者の期待は子供が男子よりも女子の方が低いなど、女子が4年制大学へ進学するプロセスにはさまざまなハードルが存在している」と語る。

数字から見る女性研究者の苦境 日本の停滞際立つ - 産経ニュース2024.8.11
 世界の研究者に占める男女の比率は最近、ほぼ同等といえる水準に達した。しかし、日本ではいまだ2割程度と割合の少なさが目立ち、国内の女性研究者が置かれる苦境があらわになった。

大学教員「女性枠」拡大の動き 北海道大、帯広畜産大なども導入:北海道新聞デジタル2024.8.20
 大学の女性教員を増やすため、教授や准教授などの教員公募に「女性枠」を設ける大学が増えている。日本は海外の先進国にくらべて、大学や研究機関、企業などの女性研究者の割合が非常に低く、ジェンダー不均衡が課題となっている。国立大学協会は2025年までに国立大全体で女性教員比率24%以上を目指すが、23年5月時点で19.3%にとどまり、より踏み込んだ対策が求められている。

“東大に女性は2割”という事実が示す、あまりにも特殊な日本の現状 | GOETHE
 横山広美『なぜ理系に女性が少ないのか』より、一部を抜粋してお届けします。

 大学のみに限ると男女の進学には大きな差があり、日本では女性のほうが男性よりも15%も進学率が低く、大学院では40%も低くなります(※1)。
 10年ほど前の(ボーガス注:東大の?)女子中高生向けイベントで、印象的な場面がありました。女子生徒の親から思いもよらぬ質問が出ました。
 「息子には大学教育を受けさせたいが、娘に大学教育、しかも理系教育をする意味はどこにあるのか」といった内容でした。
 兄は支援するが、妹は「女の子だから」、学費の苦労をしてまで送り出す必要があるのか、という質問が出たことは、女子生徒の理系進学支援事業をしている教員には大きな衝撃でした。これも、日本の社会風土を感じさせる一幕でした。

「なぜ東大は男だらけなのか」書評 一大学を超えた社会全体の問題|好書好日2024.4.6
 随所で「へえ、そうなんだ」と教えられた。性差の問題に関する東大の現状と歴史、著者の専門であるアメリカの事情、シリアスな問題であるから、面白いと言っては矢口さんの本意ではないだろうし不謹慎でもあるだろうが、だけど、それらの話がとても面白かったのだ。
 一番あきれたのは、1987年の森亘(わたる)総長の卒業生に向けての文章である。東大卒という肩書だけで世の中を渡れる時代は終わったということを言いたかったのだろうが、女性学生の存在を無視して、「かくして神様が東大出に割り当てて下さるのは、ほぼ東大と同様にダサイ某女子大学の卒業生程度」という、麻生太郎*33も顔負けの無神経で品のない言葉*34
 だが面白がってばかりはいられない。東大のあり方を変えることは、この社会のあり方を変えることにもつながるだろうし、逆に社会のあり方を変えていかなければ東大の状況も変えられないだろう。だから、東大の状況はたんに一大学の問題にとどまらない。東大が男だらけなのは、日本社会全体の、非常に大きな問題なのだ。

東大副学長「男性は自分の履く下駄を自覚せよ」 『なぜ東大は男だらけなのか』矢口祐人氏に聞く | 話題の本 著者に聞く | 東洋経済オンライン2024.5.26
 東大生に占める女性の比率はたったの2割。一方、欧米の有名大学の女性学生比率は4割を超えることが多い。東京大学副学長を務める著者は「このままでは東大は国際的に競争力の高い大学にはなれない」と断ずる。
◆矢口
 1946年の共学化以降、東大の女性学生はほとんど増えていない。東大の女性学生比率は2002年度に17.7%、22年度に20.1%と、わずかに改善しただけだ。ほかの国内大学も状況は変わらない。京都大学の女性学生比率は21.9%、早稲田大学の同比率は38.3%だ。
 一方、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の女性学生比率は54.8%、イギリスのオックスフォード大学の同比率は52.8%と、国内の大学と比較してはるかに高い。
 東大は理系学生が多いから女性学生比率が低いといわれることがあるが、アメリカのマサチューセッツ工科大学の同比率は48%、カリフォルニア工科大学の同比率は43%だ。これらの工科大学には理系学部とは異なる分野もあり、一概に比較はできないが、それでも東大の女性学生の少なさは目立つ。
 東大の女性学生が少ない一因は構造的差別(性別など特定の属性を持つ人が平等な機会を与えられず排除される状況)にある。女性、とくに地方の女性は「女子は勉強しなくてよい」「女子なのに東大なんて」など時代遅れの言葉を周囲から投げかけられることが少なくない。


メディア時評
◆新聞「自民党裏金の果ての総裁選」(千谷四郎)
(内容紹介)
 「自民総裁選に騙されてはいけない、自民は裏金を反省してない」という武田砂鉄氏*35の新聞コラムを紹介。新聞等マスコミの自民総裁選報道を批判している。
参考
自民党総裁選について。大竹まこと「問題を置き去りしにして生まれ変われないと思いますけど。」 | 文化放送
武田砂鉄氏『ニュース番組は、自民党総裁選立候補者のプレゼンテーションを無自覚に放映してはならない』 | 文化放送


◆テレビ「「虎に翼」:日本国憲法に正面から」(沢木啓三)
(内容紹介)
 NHK朝ドラ「虎に翼」について「男女平等」「LGBT差別」「朝鮮人差別」「原爆訴訟」と言ったテーマを扱ったことを高く評価している。


文化の話題
◆美術「マンガと戦争展、美術家の戦争責任問題」(朽木一)
(内容紹介)
 1)2024年ピースあいち夏の特別展「マンガと戦争展」の紹介とともに
 2)美術家の戦争責任問題が改めて論じられている。
【美術家の戦争責任問題】
日本美術会と美術家の戦争責任問題(1)-序文に代えて-【前半】 - 美術運動/artmovement2024/07/28
藤田嗣治を「一方的につるし上げを受けた被害者(その結果、失意のウチに渡仏)」であるかのように描く一部の論調に対して「根拠薄弱」「仮にそのような事実があったとしても『当時の藤田批判は適切だったか』と言う問題にはなり得ても、藤田免罪はおかしい」と批判。
【参考:マンガと戦争展】

「マンガと戦争展」始まる 原爆・特攻・満州・沖縄がテーマ 名古屋 [愛知県]:朝日新聞デジタル2024.7.24
 被爆*36が怒りを込めて描いたマンガ「はだしのゲン」から、現代の女子学生が(ボーガス注:タイムスリップし)特攻兵と恋をする、最近話題の映画の原作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。*37』まで取りあげた。

マンガと戦争展 名古屋「ピースあいち」|NHK 東海のニュース
 戦争をテーマにした漫画の作品18点をパネルや資料で紹介しています。
 このうち、汐見夏衛さんの原作を元にマツセダイチさんが漫画化した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、現代の女子高生が昭和20年の夏にタイムスリップして特攻兵と恋に落ちる物語です。
 戦争に負けることを知っている女子高生が特攻をやめるよう目に涙を浮かべながら訴えるのに対し、出撃する気持ちは変わらない特攻兵の青年たちのシーンなどが紹介されています。
 おざわゆきさん*38の『あとかたの街』は、おざわさんの母親の実体験を元にした作品で、1944年12月に起きた「昭和東南海地震」とその被害に追い打ちをかけるかのように始まった「名古屋空襲」で、平穏な日々を過ごしていた少女がいかに戦争に巻き込まれていったかを描いています。


◆演劇「巧妙な仕掛けと現代:文学座「オセロー」」(寺田忠生)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

Shakespeare『オセロー Othello』も来ちゃう - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 22024.6.20
毎日新聞夕刊に文学座公演『オセロー』
Topics:40年ぶり文学座「オセロー」 客席との「共犯関係」でスリル 横田栄司、浅野雅博に新星sara加え | 毎日新聞
 横田栄司さん、浅野雅博さん、saraさんのワクワクするインタビュー記事!いい写真です〜。横ちんさんも浅野さんも謙虚です。
 「おまえ、イアーゴー合ってるよ、腹黒いから。いつかやれよ」という浅野さんへの中嶋しゅうさんの言葉が愛あってこそなのでニヤリとしちゃう。

Topics:40年ぶり文学座「オセロー」 客席との「共犯関係」でスリル 横田栄司、浅野雅博に新星sara加え | 毎日新聞2024.6.20
 文学座が上演するのは1983年の公演(北村和夫のオセロー、原康義*39のイアーゴー、古坂るみ子のデズデモーナ、江守徹の演出)以来、約40年ぶり。

文学座の横田栄司、「オセロー」で復帰…いったんは断ったが「ポンコツなりの役立ち方があるんじゃないか」 : 読売新聞2024.6.27
 2年近く休養していた文学座横田栄司が、俳優活動を本格再開させる。復帰作はシェークスピアの4大悲劇の一つ「オセロー」。名匠・鵜山仁が演出する劇団本公演でタイトルロールに臨む。(小間井藍子)
 2022年9月、出演が決まっていた舞台「欲望という名の電車」を心身の不調のため降板した。「俳優をやめよう」と求人広告を眺める日々を送っていたところ、劇団の先輩、鵜山から声をかけられた。「オセローやりませんか?」と。
 「自信もないし、せりふの覚え方も忘れたので無理です」。
 そう断ったところ、鵜山は「もうちょっと考えてみて。別の作品でもいいし、何なら土壇場で降板しちゃってもいいから」と結論を先延ばしにしてくれた。
 「すごい人だなと。演劇に対してあきらめない人は人間に対してもあきらめないんだなと思った」
 最終的に出演を決めたのは昨年9月だった。「健康になったから」「芝居以外にできることがないから」という理由だけでなく、休養中、劇団の仲間に支えられた感謝の思いが大きかった。
 デズデモーナを演じるのは今年、座員に昇格したばかりの若手sara。すでに劇団外でも大活躍しており、横田はその逸材ぶりを二刀流のメジャーリーガーになぞらえ「ひそかに『文学座大谷翔平』と呼んでいる」という。「芝居もできて歌もできる。日本のミュージカル界を変える存在。入ってきた時から劇団みんなで大事に育ててきた」
 そしてイアーゴーは同期の実力者、浅野雅博だ。
 長年、舞台を中心に活動してきたが、2022年に三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で演じた和田義盛*40が好評を博し、知名度は全国区に。「オセロー」での舞台復帰が発表され、今年5月にチケットが売り出されると即日完売した。文学座によると、これほどの反響の大きさは2004年に当時座員だった内野聖陽が主演した「モンテ・クリスト伯」以来という。

『雨とベンツと国道と私』そして『オセロー』 - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 22024.6.26
文学座の横田栄司、「オセロー」で復帰…いったんは断ったが「ポンコツなりの役立ち方があるんじゃないか」 : 読売新聞
 2年近く休業していて、もう俳優をやめようと思っていた横ちんさんに『オセロー』をオファーして「何なら土壇場で降板しちゃってもいいから」と言った鵜山さん。「すごい人だなと。演劇に対してあきらめない人は人間に対してもあきらめないんだなと思った」と。
 「同じ劇団で育って心の共通言語みたいなものがある」
 同期の浅野さんほか文学座劇団員との復帰で本当に良かった。

お前もイアーゴーにしてやろうか〜文学座『オセロー』紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA - je suis dans la vie2024.7.1
 横田さんお帰りなさい!
 横田栄司さん、復帰後初舞台。
 チケット発売前から文学座がかつてないほどあちこちで宣伝しており、劇団の熱と意気込みがすごい本公演。
 イアーゴー(浅野雅博)がなぜあれほどにオセローを憎み騙すのか?
 イアーゴーの台詞の上での動機としては
1)ムーア人オセローへの人種的な蔑視。
2)自分でなくキャシオーが副官になったこと。自分は旗手に、という仕事上の恨み。
3)妻のエミリアとオセローが浮気した疑惑(オセローは他の女性とも浮名を流しているが、あくまで噂だけのよう)
というのが台詞で分かる主な理由だが、どれも根拠としては弱い。あそこまでオセローを追い詰める事に、果たしてイアーゴー自身に得があったとは思えない。最後に動機を問い詰められてもイアーゴーは話さない。
 一番しっくりくるのは、別の公演の時にも記したが「オセローは大谷翔平」なのである。
深淵にのみこまれる境界〜『OTHELLO』滋企画@こまばアゴラ。 - je suis dans la vie
 鵜山さん曰く
「みんな、大谷翔平の活躍見てて『楽しい』と思ってる人ばかりじゃないでしょ。『なんだかいけすかない』と思ってるはず。イアーゴーは民衆の気持ちを代弁している」
という言葉でした。
 まだ手の届かない場所にいる相手なら、その気持ちは日常に薄まる。しかし、イアーゴーのように近くで見ざるをえないポジションにいたらどうだろう?
 若くして三冠王を取り国内リーグで「村神様」ともてはやされたヤクルトの村上選手が、WBCで初めて大谷翔平選手と一緒にプレーして、その差に愕然としたという話があるが、相当な才能や力を目の前にした時に、人は対象の力に感嘆するよりも、己の非力さに向き合うはめになることがほとんどなのではなかろうか。
 イアーゴーの場合は、武人としてどの程度実力があったのかよく分からない。オセローは彼を評価して信用していた(だからこそ信じた)ようだが、イアーゴーの自己評価が低かったのか、オセローへの嫌悪が上回っていたか。そして何より、そこそこ賢くてずるくて、言葉で人を操るのがうまかったのことがこの悲劇の始まり。
 浅野さんと横田さんでM-1出たら優勝間違いなし!なくらいに2人のシーンはまるでボケとツッコミのような絶妙な間合いがたまらない。
 お二人は文学座同期とのこと。しかし活動のエリアが違ってか、共演はなかなかなかったとのことだが、別のバンドでやっていたベテラン2人が、共演したらあら意外と音もリズム合うじゃないみたいな。

文学座公演『オセロー』★★★★★ - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 22024.7.2
 横田栄司さんカムバックおめでとうございます!最高でした〜!お帰りなさい!
 劇団に入って25年で初めての共演というイアーゴー浅野雅博さんと意気のあった演技が最高に楽しい。
 浅野さんイアーゴーの嫉妬(出世欲。妻エミリアとオセローの浮気の噂への嫉妬はあっさり)が最初から最後まで徹底してオセローを言葉巧みに操る演技が凄いです。彼の策略で最愛の妻への疑いが加速していくオセロー横田さん。
 アフタートークでデスデモーナsaraさんが初舞台と言っていたのは文学座公演デビューですよね😊。今年ミュージカル『VIOLET』のシンガー役で拝見しましたが、今回のデスデモーナ、説得力のある美しい容姿・声、とても良かった。
 鵜山さんが文学座の代表になられて最初がこの作品『オセロー』。ステキな『オセロー』をありがとうございました。
 今回のイアーゴーしかり、浅野さんはどんな役でも力が入っていない(気合いは入っているはずなのに)ように見えるから、なんなんだろう。蜷川さんの舞台が多かった横田栄司さんお目当てとかで文学座公演は初めてという多くの人に浅野雅博さんを知ってもらえて嬉しい。

文学座公演『オセロー』2回目東京千秋楽★★★★★ - ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 22024.7.7
 悲劇に涙したのに多幸感でいっぱい。
 横田栄司さんにしか演じられない(ボーガス注:NHK大河『鎌倉殿の13人』で演じた)「和田義盛風味のある」高潔で誠実でチャーミングな愛されキャラの英雄オセロー。
 浅野雅博さんにしか演じられないイアーゴーは日本のシェイクスピア劇の歴史に残ると思います。誠実の皮をかぶりあんなにサラッとミリで表情を変化させ悪人を演じ、セリフと独白を交互に喋り続け、スマートに物語を動かすことができる俳優は稀です。もっと多くの人に目撃してもらいたかった。
 「タイトルロールはピュアなオセローだけど影の主役はオセローの『忠実な』旗手イアーゴーだよね、悪人だけど嫌いになれないよね〜」って友だちに言ったら「それは浅野さん(ボーガス注:ファン)だからでしょ」って言われましたが。千秋楽帰りがけにすれ違った(ボーガス注:演出の)鵜山さんが過去一番ニコニコしていらしたから、ぜったい再演考えていそう!。同じキャストでお願いします。


◆音楽「ベートーヴェン「第九」初演200周年」(小村公次*41
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

ベートーベン「第九」初演から200年 「歓喜の歌」が生み出す宗教、文化超える一体感 - 産経ニュース2024.5.1
 ベートーベン(1770~1827年)の「交響曲第9番」がウィーンで初演されて5月7日で200年となる。今年は日本人が同作を初めて演奏して100年の節目だ。
 ベートーベンにとって最後の交響曲である第九は、交響曲に声楽を取り入れた革新的な作品で、1824年に自らの指揮で初演した。
 日本で初めて演奏されたのは、第一次世界大戦下、徳島県鳴門市の板東俘虜(ばんどうふりょ)収容所。所内では音楽活動が盛んで、ベートーベンの祖国、ドイツの捕虜たちが大正7(1918)年6月1日に演奏した記録がある。
 日本人によって初めて演奏されたのは、その6年後の13年。九州帝国大学フィルハーモニー会(現九大フィルハーモニー・オーケストラ)が1月26日に、皇太子(後の昭和天皇)のご成婚を祝う音楽会で、第4楽章を祝いの詞に変えて披露したのが始まりだ。
 年末の風物詩となった経緯は定かではないが、昭和15年の大みそかがきっかけの一つとされている。このとき、ドイツなどで活躍したローゼンストックの指揮による日本交響楽団(現NHK交響楽団)の第九の演奏がラジオ中継されたのだ。
 大阪の室内楽団「日本テレマン協会*42」は「再現公演」と銘打ち、5月7日に200年前と同じプログラムを演奏する。演目は第九のほか、いずれもベートーベンの「献堂式」序曲と「ミサ・ソレムニス」。

*1:日本共産党基地対策委員会副責任者

*2:日本共産党宮崎県議団長、党宮崎県委員会副委員長、党中央委員

*3:オスプレイ配備反対佐賀県連絡会事務局長

*4:呉市議(共産党

*5:共産党京都府山城地区委員長

*6:日本共産党衆院議員団長(幹部会委員、障害者の権利委員会責任者兼務)(役職は以下、全て中央委員会の機構と人事(第29回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会を参照)

*7:日本共産党参院議員団長。党農林・漁民局長、先住民(アイヌ)の権利委員会責任者(常任幹部会委員兼務)

*8:衆院議員。日本共産党幹部会委員

*9:参院議員。日本共産党中央委員

*10:参院議員、日本共産党政策副委員長(常任幹部会委員、子どもの権利委員会責任者兼務)

*11:参院議員。日本共産党副委員長(党人権委員会責任者、ジェンダー平等委員会責任者兼務)

*12:参院議員。日本共産党幹部会委員

*13:参院議員。日本共産党幹部会委員

*14:衆院議員。日本共産党中央委員

*15:衆院議員。日本共産党幹部会委員

*16:参院議員。日本共産党政策委員長(常任幹部会委員兼務)

*17:参院議員。日本共産党中央委員

*18:衆院議員。日本共産党中央委員

*19:1901~1945年。佐賀県警察部長、千葉県内政部長、愛知県警察部長、大阪府内政部長、沖縄県知事等を歴任

*20:沖縄国際大学非常勤講師。著書『陸軍中野学校沖縄戦:知られざる少年兵「護郷隊」』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『沖縄戦の子どもたち』(2021年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)

*21:沖縄戦関係の林氏の著書として『沖縄戦と民衆』(2001年、大月書店)、『沖縄戦・強制された「集団自決」』(2009年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『沖縄戦が問うもの』(2010年、大月書店)等。沖縄戦以外の著書として、『BC級戦犯裁判』(2005年、岩波新書)、『シンガポール華僑粛清』(2007年、高文研)、『戦犯裁判の研究』(2009年、勉誠出版)、『米軍基地の歴史』(2011年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『裁かれた戦争犯罪:イギリスの対日戦犯裁判』(2014年、岩波人文書セレクション)、『暴力と差別としての米軍基地』(2014年、かもがわ出版)、『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)、『帝国主義国の軍隊と性:売春規制と軍用性的施設』(2021年、吉川弘文館)、『朝鮮戦争無差別爆撃の出撃基地・日本』(2023年、高文研)等

*22:著書『「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯』(2018年、講談社

*23:これは前衛対談で川満、林氏も指摘していますが「本土人にも立派な人がいた」といって「沖縄戦での贖罪意識」を薄めようとする「本土人の自慰行為」ではないかと言われても文句は言えないでしょう。そして残念(?)ながら川満氏らによれば「島田や荒井によって沖縄戦の犠牲者が減った」といえる事実はないようです。

*24:静岡大学教授。著書『略奪的金融の暴走』(2009年、学習の友社)、『カジノ幻想』(2015年、ベスト新書) 等

*25:神戸大学名誉教授。著書『大震災以後』(共著、1998年、岩波書店)、『震災復興の論点』(共著、2011年、新日本出版社)等

*26:北海道大学准教授。著書『危機に立つ国立大学』(2015年、クロスカルチャー出版)、『2020年の大学危機:コロナ危機が問うもの』(2021年、クロスカルチャー出版)

*27:北海道教育大学准教授。著書『偶然と運命:九鬼周造倫理学』(2015年、ナカニシヤ出版)、『看護学生と考える教育学』(2016年、ナカニシヤ出版)、『反「大学改革」論』(共著、2017年、ナカニシヤ出版)、『大人の道徳:西洋近代思想を問い直す』(2018年、東洋経済新報社)等

*28:日本共産党学術・文化委員会事務局長(党准中央委員兼務)

*29:東京家政学院大学名誉教授。著書『総力戦体制と教育科学』(1997年、大月書店)、『植民地支配と教育学』(2018年、晧星社)、『「誇示」する教科書』、『災禍に向きあう教育』(以上、2019年、新日本出版社)、『戦後教育学と戦争体験』(2021年、大月書店)、『教師のモラルとは何か』(2023年、新日本出版社

*30:東大国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構教授。著書『図解入門・よくわかる素粒子の基本と仕組み』(2006年、秀和システム

*31:現在、東大副学長(グローバル教育センター担当)、東大教授。著書『ハワイの歴史と文化』(2002年、中公新書)、 『憧れのハワイ:日本人のハワイ観』(2011年、中央公論新社)等

*32:著書『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(2021年、晃洋書房

*33:橋本内閣経企庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)、首相、第二~四次安倍、菅内閣副総理・財務相等を経て自民党副総裁

*34:麻生の差別発言や暴言については、例えば、赤旗新総裁 麻生氏 発言録/婦人に参政権与えたのは失敗/創氏改名は朝鮮の人が望んだ/豪雨、岡崎だったからいい(2008.9.23)、主張/麻生副総理の発言/国際社会に通用しない暴言だ(2017.9.1)、主張/暴言連発の麻生氏/かばい続ける首相の責任重大(2018.5.10)、麻生暴言 擁護の閣議決定/「一つの民族」 アイヌ新法否定(2020.2.7)、麻生氏 “また”差別助長発言/新型コロナを「武漢ウイルス」/WHO方針は“地名を用いず”(2020.3.12)、自民・麻生氏また暴言/“温暖化でコメがうまくなった”!?(2021.10.27)、 麻生氏による容姿発言/「言語道断の発言」撤回を/小池氏(2024.1.30)、主張/麻生氏暴言と自民/女性差別ただせない体質深刻(2024.2.10)参照

*35:著書『紋切型社会』(2019年、新潮文庫)、『コンプレックス文化論』(2021年、文春文庫)、『日本の気配』(2021年、ちくま文庫)、『わかりやすさの罪』(2024年、朝日文庫)、『マチズモを削り取れ』(2024年、集英社文庫)等

*36:原作者の中沢啓治氏(1939~2012年)のこと

*37:汐見夏衛の小説。小説投稿サイト「野いちご」で『可視光の夏:特攻隊と過ごした日々』(原題)として公開され、2016年7月に改題の上、スターツ出版文庫として刊行。WEBコミックマガジン「電撃コミックレグルス」にて、マツセダイチによるコミカライズ作品が2021年9月17日から2022年7月15日まで連載され、同年7月から9月にKADOKAWAから「電撃コミックスNEXT」上下巻が刊行。2023年12月に映画版が公開(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 - Wikipedia参照)

*38:1964年生まれ。2012年に父のシベリア抑留体験を元に描かれた『凍りの掌:シベリア抑留記』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。2015年には『凍りの掌』と母の戦争体験を元に描かれた『あとかたの街』で日本漫画家協会大賞を受賞。2019年8月10日には作者が『凍りの掌』を描き上げるのに悪戦苦闘する姿をドラマ化した『お父さんと私の「シベリア抑留」〜「凍りの掌」が描く戦争〜』がNHKBSプレミアムで放送された。また、『あとかたの街』もドラマ『あとかたの街〜12歳の少女が見た戦争〜』として2020年8月14日にNHKBSプレミアムで放送されている。(おざわゆき - Wikipedia参照)

*39:1952年生まれ。声優としても活動し、NHK教育のアニメ『おさるのジョージ』では、「黄色い帽子のおじさん」を2007年の放送開始時から演じている(原康義 - Wikipedia参照)

*40:侍所別当。和田合戦で北条義時に滅ぼされた

*41:著書『徹底検証・日本の軍歌』(2011年、学習の友社)

*42:協会名のテレマンは協会のサイトtelemann institute japanによれば、作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマン - Wikipediaのことだが、特にテレマンの作品演奏に力を入れてるわけではなさそう