◆随想「軍需産業をめぐる議論の一端」(足立浩*1)
(内容紹介)
昨今の経済紙、経済誌(日本経済新聞など)や財界幹部(川崎重工、三菱重工などいわゆる軍需産業に限らない)が、日頃から「日本企業による武器の海外への輸出」を「有力なビジネス」として躊躇なく主張することを「経済人としての劣化」と批判すると共に、「自民党の軍事偏重政治」を「やむを得ない物」と思わせる不当な主張だと論難している。
世界と日本
◆米不足はなぜ起きたのか(真嶋良孝*2)
(内容紹介)
市場任せにしたことが「儲からないコメよりも儲かる果物などへの生産転換を招き、コメ不足を助長した」と批判。
米作りで生活が成り立つようにするため、全て市場原理に任せるのではなく「最低価格補償や所得補償」など一定の経済支援を米農家に行うべきだと主張。
◆中国のアフリカ支援の変化(佐々木優*3)
(内容紹介)
中国のアフリカ支援について「量から質への転換」として「インフラ(鉄道、港湾など)整備」より「デジタルやグリーンエネルギー」への支援が増えてる(また金額もやや減少傾向にある)と指摘。
「インフラ整備による債務増加」が貸し手の中国側にも、借り手のアフリカ側にも「お互い、これ以上、返済が滞る不良債務を増やしたくない(経済的負担がお互い大きいし、欧米から『債務の罠』等と非難されるのも愉快ではない)」との思いが生じてきた物とみられる。
ということで「反中国ウヨ」は、中国を「借金の形に経済支配する悪徳金貸し」的に描く人間もいますが、むしろ「不良債権が増えたら」中国だって困るわけです。
参考
習近平氏、アフリカ支援に500億ドル 焦げ付き警戒で減額か - 日本経済新聞2024.9.5
中国の習近平国家主席は5日、今後3年間にアフリカ支援へ3600億元(約7.3兆円)を拠出すると表明した。ドル建てでは500億ドル強となる。前回2018年に「3年で600億ドル」と打ち出した支援額を縮小させた。
◆韓国・電池メーカーでの惨事(洪相鉉)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
韓国 工場火災22人死亡 約3万5000個のリチウム電池 次々爆発か | NHK | 韓国2024.6.24
現地の消防によりますと、このうち、18人が中国籍、2人が韓国人、1人がラオス国籍で、残る1人の国籍は分かっていないということです。
犠牲者が外国人ばかりという点は「外国人差別ではないのか」「韓国人ならやらない危険労働を低賃金で外国人にやらせていたのではないのか」と言う疑惑を生んでいます。
また
韓国で発生したリチウム一次電池工場の火災について | コラム | 東京海上ディーアール株式会社
火災防止で重要な要素が、組織における安全管理体制です。この点について、当該工場では以下のような安全管理体制の問題点が報じられています。
① 外国人労働者が多く、安全教育が徹底されていなかった可能性があること。
② 事故2日前にも火災が発生していたが通報していなかったこと。
③ 2019年には基準の23倍のリチウムを保管していたことで罰金を払っていたこと。
ということで安全管理が相当杜撰だったようです。事件の徹底解明が必要でしょう。
◆地方自治法「改正」の問題点(石川健介)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
「国が正しいとは限らない」 成立した改正地方自治法の危うさ 指示権の乱用、拡大解釈への懸念消えず:東京新聞 TOKYO Web2024.6.19
赤旗改定地方自治法が成立/共産党反対 「米の戦争に動員の危険」2024.6.20
特集「大統領選とアメリカ」
◆2024年米国大統領選はどうなるか(萩原伸次郎*4)
(内容紹介)
【トランプ大統領再選のリスク】
・「イスラエル贔屓のトランプが大統領になることで中東情勢がさらに不安定すること」「大統領時代にパリ協定を離脱したトランプが再度離脱し、地球温暖化に悪影響を与えること」「イスラム教徒や有色人種、LGBTに差別的なトランプによってヘイトクライムが助長されること」「ある程度、修正資本主義的な民主党と違い、むき出しの新自由主義のトランプによって貧富の格差が拡大する恐れ」等が危惧されています。
【何故バイデンは再選を断念したのか】
直接の原因は「高齢化」「トランプとの討論会で、言い間違える、言葉に詰まるなど充分反撃できず、支持層からも健康面での不安視が強まったこと(民主党支持層ですら討論会をバイデンの敗北と見なす人間が多いことが世論調査で判明)」「その結果、クリントン元大統領、オバマ元大統領、ペロシ元下院議長など民主党幹部によるバイデンおろしが始まり、バイデンが抵抗できなかったこと」です
なお、「バイデンの高齢」が一番の問題だったからこそ、「ジョンソン出馬辞退(ベトナム戦争での不人気)→ハンフリー副大統領が候補に指名された*5がニクソンに敗北」の二の舞かと、皆が脅えていたところ、若いハリスでリカバリーできたわけです。
とはいえ、「高齢」だけではなく「物価高騰」「イスラエル問題(【1】イスラエルにバイデンが甘いことでのリベラル層の離反*6:さすがにトランプには投票しないとしても棄権して民主党に投票しないことでトランプを利する恐れあり、【2】「俺ならすぐに問題解決する」というトランプの楽観論に、イスラエル問題長期化にうんざりした一部の米国人(イスラエル批判派除く)が「とにかく問題解決すれば支持する」と好感を持っている)」もバイデン不人気の理由であり、こうした点はハリスにとっても弱点です。
【2024年11月7日追記】
トランプが再選されたことにより萩原氏が指摘した危惧が「全て現実化するリスクが生じました」。「民主党の抵抗」等で危惧が「現実化しないこと」を望みますが果たしてどうなるか。また「物価高騰やイスラエル問題がハリスにとっての懸念材料」という萩原指摘も不幸なことに的中したと言えます。
【追記終わり】
◆トランプVSハリス:現地でみる激戦の様相とその行方(薄井雅子*7)
(内容紹介)
「移民がペットを食べてる」と、反移民感情を煽るためトランプが明らかなデマを飛ばしても、そしてそれをメディア等が批判しても、トランプとハリスが「世論調査では互角の戦い」であることを「米国はどうなってしまうのか」「共和党支持者は何を考えてるのか」と悲しみ、不安がる薄井氏です(俺も同感です)。ハリスには問題がないとは言いませんがもはや「トランプは論外」でしょう。
なお、薄井氏もハリス万歳ではなく「ユダヤロビーに忖度してのイスラエルへの甘さ」「自民党の改憲論との関係性(どう見ても米国バイデン政権の改憲圧力への対応という面があり、それは恐らくハリスが大統領でも変わらない)」は批判しています。ただこの点は勿論トランプの方がもっと酷いのですが。
【2024年11月7日追記】
薄井氏が危惧するようにトランプが再選されたことにより米国がどうなるか実に不安です。「民主党の抵抗」等で危惧が「現実化しないこと」を望みますが果たしてどうなるか。
【追記終わり】
◆アメリカ資本主義の現段階:新自由主義からの転換(平野健*8、河音琢郎*9)
(内容紹介)
ある意味当然ではありますが、トランプが「格差拡大を容認するむき出しの新自由主義」なのに対し、バイデンやハリスは「そこまでは酷くない修正資本主義」として評価されます(俺も同感です)。経済政策においてもハリスの当選が望まれます。
【2024年11月7日追記】
トランプが再選されたことで、河音氏が危惧する「格差拡大を容認するむき出しの新自由主義」が展開されるリスクが現実化しました。「民主党の抵抗」等で危惧が「現実化しないこと」を望みますが果たしてどうなるか。
【追記終わり】
◆高揚するアメリカの労働組合運動(岡田則男)
(内容紹介)
トランプに限らずレーガンやブッシュ親子も同じ(なお、共和党政権の労組叩きはそれ以前からあったが、レーガン以降から特に酷くなったという)ですが、共和党の大統領が「労組の結成や活動(ストライキ等)を困難にする法制度*10」を構築してきたのに対し、「労組の結成や活動を容易にする法制度」の構築に努めてきたのが民主党政権です(米国でも日本など他国同様、労組結成率は低いが、岡田氏によると「共和党の強い州は州法で労組活動が規制されてるため、結成率が低い一方、民主党が強い州はその逆」とのこと)。当然ながら労組としては民主党支持に今回も動いており選挙への影響が注目されます。
【2024年11月7日追記】
トランプが再選されたことで、岡田氏が危惧する「悪法制定による労組潰し」が展開されるリスクが現実化しました。「民主党の抵抗」等で危惧が「現実化しないこと」を望みますが果たしてどうなるか。しかし、米国において労組の力は残念ながら弱いのか、労組を敵視する「トランプの4年間」でさらに弱体化する恐れがあるのかとげんなりです。
【追記終わり】
◆独占規制の歴史と今後(浅野敬一*11)
(内容紹介)
まず1980年代のレーガン政権(1981~1989年まで2期8年)登場までは「大企業の政治的妨害はありながらも」1890年のシャーマン法*12、1914年のクレイトン法、1936年のロビンソン・パットマン改正法(クレイトン法の一部を改正。メーカーや卸売業者が小売業者に販売する場合は、同品質の商品は原則として*13全ての小売業者に対して、同価格、同条件で販売しなければならない*14と定められている。当時、米国に新たに登場してきた巨大スーパーがメーカーや卸売業者に安値販売を強要すること*15で、メーカーや卸売業者が不利益を受けることや、中小小売業者が競争上、不利になることを防ぐ目的)、1976年のハート・スコット・ロディノ改正法(クレイトン法の一部を改正。合併を行う際の事前届け出が主な内容)などで、それなりに独占規制がされてきたところ、共和党・レーガン政権以降「強いアメリカを取り戻す」「企業の成長を高めるには独占規制など有害だ。大きいことはいいことだ(森永エールチョコレート風に)」と新自由主義的風潮(シカゴ学派)により独占規制が弱められていきます。
その後、民主党はクリントン政権(1993~2001年まで2期8年)で政権を取り戻しますが、レーガン政権(1981~1989年まで2期8年)、ブッシュ政権(1989~1993まで1期4年)で弱められた独占規制をクリントンは強化することはしませんでした。
その大きな理由は「当時の民主党が右傾化していたからだ」と見なす筆者です。
しかしそうした「弱い独占規制」を強化する方向でバイデン政権は政策転換したというのが筆者の評価です(例えば米司法省がアップル提訴 独占的地位を悪用と - BBCニュース(2024年3月22日)参照)
勿論トランプ政権ではそうした「独占規制」は弱められていくでしょうから「独占規制支持」の立場に立てば選択肢はハリスになります(まあトランプの酷さはそれ以前の話ですが)。
【2024年11月7日追記】
トランプが再選されたことで、浅野氏が危惧する「独占規制の緩和」が展開されるリスクが現実化しました。「民主党の抵抗」等で危惧が「現実化しないこと」を望みますが果たしてどうなるか。
【追記終わり】
◆対アメリカ非正規移民と新自由主義的開発(所康弘*16)
(内容紹介)
アメリカの非正規移民の現状について述べられています。
メキシコ等での新自由主義的開発で「貧富の格差が拡大し」食えないから「移民が増大する」と指摘する筆者です。
当然ながら「移民を強制的に帰す」と言う対処療法では解決しません。問題はそうした「新自由主義的開発」によってメキシコ等に進出する米国企業が利益を得ているという点です(つまり米国は単純な被害者ではない)。いずれにせよ「新自由主義的開発を改め、米国に移民しなくても食えるようにすること」こそが「難しい課題だが移民問題の真の解決策だ」とする筆者です。
【2024年11月7日追記】
トランプでは残念ながら、所氏のような方向性にはならないでしょう。「民主党の抵抗」等で「移民問題の解決方向」が「少しでもまともになること」を望みますが果たしてどうなるか。
【追記終わり】
◆著書『デジタル・デモクラシー』を語る(内田聖子*17)
(内容紹介)
著書『デジタル・デモクラシー』について、内田氏に対するインタビュー記事です。ネット記事紹介で内容紹介に代替します。
<書評>『デジタル・デモクラシー ビッグ・テックを包囲するグローバル市民社会』内田聖子(しょうこ) 著:東京新聞 TOKYO Web2024.6.2
米巨大IT企業などが結託し、オンラインゲームに夢中な子どもを誘導する「デジタル・フード・マーケティング」は、肥満児を爆発的に増加させた。このままでは人類の精神構造そのものが変質せずにはいられまい。
もちろん本書は絶望のススメではない。民主主義を守ろうとする米国市民らの闘いに力点を置いている。
翻って日本はまだ、米国ほどには社会を破壊されていない。とすれば彼らの失敗と復活への努力に学び、少しは真っ当な世の中に舵を切り得る余地があるはずなのに。
そのような意識は政府にも経済界にも皆無。メディアによる批判も極端に弱い。
だからこそ著者は警鐘を乱打する。立ち止まって問い直そう、「私たちはどのような世界に生きたいのか」と。
船出したばかりの新生出版社の、最初のラインナップだ。本書の刊行を機に、評者の皮相な見解が粉砕されるような議論が盛り上がらんことを。
(地平社・2200円)
◆もう一冊
『監視資本主義*18』ショシャナ・ズボフ著、野中香方子(のなか・きょうこ)訳(東洋経済新報社)
『デジタル・デモクラシー:ビッグテックを包囲するグローバル市民社会』 著・内田聖子 | 長周新聞2024.6.10
この本は、デジタル経済の調査・提言を行ってきた著者が、その問題点を多角的に明らかにするとともに、ビッグ・テック*19の規制強化や真に民主主義的な社会を求めて世界の市民が粘り強く行動していることを報告するものだ。それは日本の大手メディアがほとんど報道しないものであり、興味深く読んだ。
米国では最近、「デジタル・フード・マーケティング」が問題になっているという。
ビッグ・テックとマクドナルド、コカ・コーラなどが提携し、芸能人やスポーツ選手の名前を冠したハンバーガーセットなどを売り出して大人気に。ところがそれは、特典やサービスによってスマホのアプリを使って注文するよう動機付けられており、そこから企業は膨大な子どもの購買データを集中する。次には子どものゲーマーを対象に「ゲーム中の注意力と正確さを高める新しいエナジードリンク(高果糖コーンシロップたっぷりの)」を売り込む。その結果、肥満の子どもが急増しているそうだが、子どもたちの健康を害してまでもうけようとする強欲さにぞっとする。
さらに驚いたのは、GAFA*20の周辺にいるデータ・ブローカーの存在だ。彼らは本人が知らない間にオンライン、オフラインのあらゆるデータを収集し、独自に開発したアルゴリズムから、個人の住所やスマホの位置情報、財産や子どもの年齢、興味関心、購買傾向、弱点などを紐付けして企業に売る。米国では、9社の大手データブローカーがほぼすべての消費者の詳細データを収集しているといわれ、その結果、住居や医療への申し込みが拒否されたり、女性がストーカー被害にあう事件が起きている。さらには米国国土安全保障省*21がここからデータを買って、不法入国した子どもの拘束や強制送還に利用しているというから、民主主義もなにもあったものではない。
だがこれに対して、世界のいたるところで市民がひるむことなく立ち向かい、隠されていたそのビジネスモデルの問題点を暴露し、政府を動かして規制する法律をつくらせている。この本を読んで、それにとても勇気づけられた。
本書を読むと、ビッグ・テックに対する法的規制について、日本はいかに遅れているかがわかる。このままでは彼らの草刈り場にされかねない。子どもたちをゲーム依存にさせないことはもちろん、さらに視野を広げて監視資本主義の仕組みを知り、ビッグ・テックそのものに規制をかける運動を広げなければならないと思う。
【書評】 デジタル・デモクラシー ビッグ・テックを包囲するグローバル市民社会|callege motib2024.7.23
本書『デジタル・デモクラシー:ビッグ・テックを包囲するグローバル市民社会』は、現代社会におけるデジタル技術の影響と、それがもたらす民主主義への課題を鋭く分析した重要な著作です。
著者は、私たちの日常生活に深く浸透したデジタル技術が、一方で便利さと快適さをもたらしながら、他方で深刻な社会問題を引き起こしている現状を詳細に描き出します。
本書の核心は、デジタル化の本来の目的が民主主義の深化にあるべきだという主張です。
しかし現実には、巨大テクノロジー企業(ビッグテック)による独占的な支配と、それに伴う監視資本主義の台頭が、この理想から私たちを遠ざけています。
著者は、ビッグテックが構築した経済モデルの問題点を様々な角度から検証します。
さらに本書は、デジタル技術の発展がもたらした新たな労働形態、特に「ゴースト・ワーク」と呼ばれる見えにくい労働にも光を当てています。こうした労働は低賃金で不安定な雇用形態であることが多く、新たな搾取の形として問題視されています。
本書が特に注目しているのは、ビッグテックによるロビー活動です。
これらの企業は莫大な資金を投じて政治への影響力を行使し、自社に有利な法律や規制を実現しようとしています。
著者はこうしたロビー活動を「要塞」と表現し、民主主義のあり方そのものを歪めていると警鐘を鳴らします。
しかし、本書は単に現状を批判するだけでなく、私たち市民が取るべき行動についても示唆に富んだ提案をしています。
著者は、デジタル技術を民主主義の深化のツールとして活用し、市民による監視と参加を強化することで、ビッグテックの力に対抗できると主張します。
【本書を読んだ感想として】
ゴースト・ワークの存在も衝撃的でした。AI技術の発展により、多くの仕事が自動化されると言われていますが、実際にはAIを支える人間の労働が水面下で増加しているという事実は、技術の進歩と人間の労働の関係について深く考えさせられます。
しかし、本書の真の力は、こうした問題提起だけでなく、それに対する解決策や希望も示してくれる点にあります。
著者は、市民の力でデジタル技術を民主主義のツールへと変えていく可能性を示唆しています。
【本書とあわせて読みたいおススメの書籍】
1)『監視資本主義*22』ショシャナ・ズボフ著:本書の基盤となる概念をより深く理解できます。
2)『21 Lessons:21世紀の人類のための21の思考*23』ユヴァル・ノア・ハラリ*24著:デジタル時代の課題をより広い文脈で捉えられます。
3)『プラットフォーム資本主義*25』ニック・スルニチェク著:デジタル経済の構造をより詳細に学べます。
4)『ゴースト・ワーク*26』メアリー・L・グレイ、シダールタ・スリ著:デジタル労働の実態をより深く理解できます。
◆後進国化する日本:どうして勤勉が報われない国になったのか(福田泰雄*27)
(内容紹介)
「子ども食堂の増加」「生活保護受給者の増加」等「貧富、格差の拡大」を「後進国化」「勤勉が報われない国」と表現する筆者です。
「後進国化」と言う表現の是非はともかく、そうした事態は「大軍拡(その結果としての福祉予算減少)」「国民負担増」といった自民党政治が生んでいるものであり、「軍縮」「福祉予算の増加」等、早急な転換が求められるとする指摘には同感です。問題はそうした転換を最も強く打ち出してるのは「共産党」であり「自民に近い立場の維新、国民民主」は勿論、立民もそうした打ち出しが弱く、また「自民党支持率」が相対評価とは言え、未だ「自民>立民」で「自民1位」であり、「展望の明るい見通し」が残念ながら小さいことですが、諦めず戦うほかはないのでしょう。とにかく衆院選では俺はいつも通り共産に投票予定です。
◆スマホソフトウェア競争促進法(阿部了)
(内容紹介)
赤旗の記事紹介で代替。
実効性のある規制を/スマホ競争促進法案巡り笠井氏/衆院経産委2024.5.21
巨大IT企業に規制/衆院経産委 スマホ競争促進法可決/笠井氏質問2024.5.23
◆ウクライナ侵攻後のロシアの貿易決済、中国の「一帯一路」:ドル体制への影響(奥田宏司*28)
(内容紹介)
まず、
1)ウクライナ侵攻後のロシアの貿易決済が「欧米の経済制裁」への対応からドル(米国)決済、ユーロ(英仏独などEU加盟国)決済が減り、人民元(中国)決済が増えてること
2)一帯一路で中国の交易関係がある国に、人民元決済が増えてること
が指摘される。
しかし、「中国の人民元」や「EUのユーロ」は将来はともかく、当面は未だドルに代わる国際通貨になるだけの力はないこと(そしてそのことを中国やEUも自覚していること)も一方で指摘される。
◆シリーズ「現代のグローバル企業分析」第14回『Inditex*29、H&M*30、ユニクロ』(中里恭平)
(内容紹介)
ファストファッション大手であるIndite、H&M、ユニクロについて論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
*1:日本福祉大学名誉教授。著書『アメリカ管理原価会計史』(1996年、晃洋書房)、『社会的責任の経営・会計論』(2012年、創成社)、『現代管理会計論再考』(2018年、創成社)
*2:全国農民連常任委員。著書『いまこそ、日本でも食糧主権の確立を!』(2009年、本の泉社)
*4:横浜国立大学名誉教授。著書『アメリカ経済政策史:戦後「ケインズ連合」の興亡』(1996年、有斐閣)、『通商産業政策』(2003年、日本経済評論社)、『世界経済と企業行動:現代アメリカ経済分析序説』(2005年、大月書店)、『米国はいかにして世界経済を支配したか』(2008年、青灯社)、『日本の構造「改革」とTPP』(2011年、新日本出版社)、『TPP:アメリカ発、第3の構造改革』(2013年、かもがわ出版)、『オバマの経済政策とアベノミクス』(2015年、学習の友社)、『新自由主義と金融覇権:現代アメリカ経済政策史』(2016年、大月書店)、『トランプ政権とアメリカ経済:危機に瀕する「中間層重視の経済政策」』(2017年、学習の友社)、『世界経済危機と「資本論」』(2018年、新日本出版社)、『金融グローバリズムの経済学』(2019年、かもがわ出版)、『「新しい資本主義」の真実』(2023年、かもがわ出版)等
*5:ロバート・ケネディ元司法長官(ケネディ大統領の弟)が最も人気が高く最有力候補だったところ暗殺され、ハンフリーが候補になったことで、今ひとつハンフリー人気が盛り上がらずニクソンに敗北した一因になったとみられる。
*6:とはいえこの点はトランプはもっと甘いのですが
*7:著書『戦争熱症候群:傷つくアメリカ社会』(2008年、新日本出版社)
*9:立命館大学教授。著書『アメリカの財政再建と予算過程』(2006年、日本経済評論社)
*10:岡田論文でも説明がありますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
*12:名前は法の制定に関わった上院議員ジョン・シャーマン(1823~1900年:ヘイズ政権財務長官、マッキンリー政権国務長官を歴任)にちなむ(ジョン・シャーマン (政治家) - Wikipedia参照)。クレイトン法など、シャーマン法以外も多分「法に付いた人名」は「法制定に関与した中心人物」でしょうがシャーマンほど有名でないのかググっても経歴等がよく分かりません。なお、シャーマン法に基づいて、1911年にスタンダードオイル(ジョン・ロックフェラーが創業者。今のエクソンモービルやシェブロンの前身)が解体されました。
*13:「原則として」とあるのは法律が「大量購入した場合は、合理的な範囲でなら値引き等は可(完全な同一価格、同一条件で無くても言い)」としているからです。浅野氏に寄ればこの「合理的範囲の値引き等」の解釈が難しいそうですが。
*14:浅野氏に寄ればロビンソン・パットマン改正法への対抗措置として生まれたのがいわゆるPB(プライベートブランド:特定の小売店でしか販売しないため、「全ての小売業者に対して、同価格、同条件で販売しなければならない」という規制から外れる、但し、いわゆるナショナルブランドメーカーがナショナルブランドと同一品質のプライベートブランドを作り、安売りした場合はロビンソン・パットマン改正法に違反する)とのこと。日本でも「セブンプレミアム(セブンイレブン)」、「トップバリュ(イオングループ)」等最近では「プライベートブランド」が増えています
*16:明治大学教授。著書『北米地域統合と途上国経済』(2009年、西田書店)、『米州の貿易・開発と地域統合』(2017年、法律文化社)
*17:NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。著書『デジタル・デモクラシー:ビッグ・テックを包囲するグローバル市民社会』(2024年、地平社)等。内田氏の新著の刊行元である地平社(岩波書店編集者だった熊谷伸一郎 - Wikipedia氏が2024年に創業)については月刊「地平」創刊 | inti-solのブログ - 楽天ブログを紹介しておきます
*18:2018年刊行
*19:世界規模で影響力を持つ巨大なIT企業群の総称。一般的には、米国のグーグル、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフトの5社(GAFAM、ビッグファイブなどと呼ぶ)を指す(ビッグ・テック - Wikipedia参照)
*20:グーグル、アマゾン、フェイスブック(なお、会社名は現在はメタに変更)、アップルのこと。これにマイクロソフトを加えてGAFAMと呼ぶこともある。
*21:概ね各国の内務省に相当する行政機関である。その業務は、「テロの防止(日本だと警察庁)」、「出入国管理(日本だと法務省の外局である出入国在留管理庁)」、「税関業務(日本だと財務省)」、「サイバーセキュリティ(日本だと総務省やデジタル庁)」、「災害対策(日本だと総務省の外局である消防庁など)」等である(アメリカ合衆国国土安全保障省 - Wikipedia参照)
*24:著書『ホモ・デウス:テクノロジーとサピエンスの未来』(2022年、河出文庫)、『サピエンス全史』(2023年、河出文庫)
*26:2023年、晶文社。書評としては例えば<書評>『ゴースト・ワーク グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか』メアリー・L・グレイ、シッダールタ・スリ 著:東京新聞 TOKYO Web(2023.8.6)、【書方箋 この本、効キマス】第36回 『ゴースト・ワーク』 メアリー・L・グレイら著/濱口 桂一郎|書評|労働新聞社(2023.9.28)
*27:一橋大学名誉教授。著書『現代市場経済とインフレーション』(1992年、同文舘出版)、『土地の商品化と都市問題』(1993年、同文舘出版)、『現代日本の分配構造』(2002年、青木書店)、『コーポレート・グローバリゼーションと地域主権』(2010年、桜井書店)、『格差社会の謎』(2021年、創風社)、『格差社会の経済学』(2022年、22世紀アート)
*28:立命館大学名誉教授。著書『ドル体制と国際通貨』(1996年、ミネルヴァ書房)、『ドル体制とユーロ、円』(2002年、日本経済評論社)、『円とドルの国際金融』(2007年、ミネルヴァ書房)、『現代国際通貨体制』(2012年、日本経済評論社)、『国際通貨体制の動向』(2017年、日本経済評論社)、『国際通貨体制の論理と体系』(2020年、法律文化社)『「資本論」諸草稿の検討』(2021年、日本経済評論社)等