岡田暁生『西洋音楽史講義』(角川ソフィア文庫, 2024) を読む/音楽家の自己表現を可能にしたフランス革命 - KJ's Books and Music
Dr.ナイフは弊ブログが以前取り上げた下記の中公新書を読むべきだ。
物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで -安達正勝 著|新書|中央公論新社
フランス革命には光と影がある。ジャコバン派には明らかな行き過ぎがあり、(中略)ロベスピエールを暴走させ、彼自身も断頭台の露と消えた。
しかし、フランス革命はその影を上回る光を世界にもたらした。
まあ、そうした指摘には俺も同感ですが「日本はフランス革命があったフランスと違い、流血の革命がなくて良かった」というDr.ナイフのような御仁(どう見ても右派)には「日本には流血の革命はなくても、政治的流血(幕末の戊辰戦争(幕府VS薩長)、明治初期の士族反乱、農民一揆、昭和戦前の515事件、226事件など)ならあった」とも批判すべきでしょう。日本での政治的流血(死者)が「フランス革命より少ない」のは単に「政府派と反政府派の軍事力が拮抗していたフランス革命とは違い、当時の日本政府の圧倒的な軍事力によって士族反乱等が短期間で終わったから」にすぎません。日本人が寛大な性格だからでは無い。日本においても「政府派と反政府派の軍事力が拮抗」していたら相当の犠牲が出たでしょう。
吉弘憲介『検証 大阪維新の会 - 「財政ポピュリズム」の正体』(ちくま新書, 2024) を読む - 鍋パーティーのブログ
kojitakenの紹介する吉弘憲介氏(桃山学院大学教授)の著書は、kojitakenの紹介する丸山真央氏*1(滋賀県立大学教授)の書評に寄れば
1)「維新人気」の背景の一つとして、維新が「支持層ではない」と見なした高齢者、障害者等に対しては「高齢者や障害者への福祉予算のカット」等、冷淡な態度を取る反面、「支持層と見なした層(子育て世代など)」に対しては「高校無償化」などで利益誘導をしたからではないか(その結果、利益を被る層からは大きな支持を得た)
2)勿論、その結果、維新によって切り捨てられた人間は不利益を被るし、維新支持層(維新で利益を得る層)と維新不支持層(維新で不利益を被る層)で深刻な対立、分断が起こるという問題を生じた
という興味深い指摘をしていますが、それについては未読ですのでコメントせず、今日もkojitakenに悪口します。
日本のリベラル・左派系ネット論壇では、ある時期からこの神野・金子系は不評になった。それに代わって人気を得たのがMMT(現代金融理論)系だが、この系列の人たちはある時期から「消費税減税」ばかり言うようになり
「そんな事実が何処にあるのか?」ですね。
第一にMMTに好意的なのはれいわ新選組ぐらいでしょう。むしろ共産、社民は否定的だと思います。そして共産、社民が消費税減税支持でもMMTには否定的なことで分かるように、消費税減税と「MMT」には何ら論理的な関係はない。
第二にそもそも神野直彦氏*2や金子勝氏*3が、リベラル・左派系(立民、共産、社民、れいわ支持層の意味か?)において「高い人気があった時期」等果たしてあったのか。
仮にあったとして、そしてそれがkojitakenの言うように最終的には「しぼんだ」としてあり得そうなことはkojitakenの言うようなこと(MMT云々)より「民主党リベラル派(今の立民党リベラル派)に近い立場*4らしい神野氏らが恐らく期待した民主党政権」が「自民党と大して違わない政治路線に次第に変わっていったこと」で「神野氏らが政治的提言をすることに意欲を失う」とともに、「立民党支持層」が神野氏らへの興味を失ったことではないか。
*1:著書『「平成の大合併」の政治社会学』(2016年、御茶の水書房)
*2:東大名誉教授。著書『システム改革の政治経済学』(1998年、岩波書店)、『二兎を得る経済学:景気回復と財政再建』(2001年、講談社)、『人間回復の経済学』(2002年、岩波新書)、『地域再生の経済学』(2002年、中公新書)、『財政のしくみがわかる本』(2007年、岩波ジュニア新書)、『「分かち合い」の経済学』(2010年、岩波新書)、『税金常識のウソ』(2013年、文春新書)、『「人間国家」への改革:参加保障型の福祉社会をつくる』(2015年、NHKブックス)、『増補・教育再生の条件:経済学的考察』(2024年、岩波現代文庫)、『財政と民主主義』(2024年、岩波新書)等
*3:慶應義塾大学名誉教授。著書『セーフティーネットの政治経済学』(1999年、ちくま新書)、『日本再生論』(2000年、NHKブックス)、『長期停滞』(2002年、ちくま新書)、『経済大転換:反デフレ・反バブルの政策学』(2003年、ちくま新書)、『粉飾国家』(2004年、講談社現代新書)、『閉塞経済』(2008年、ちくま新書)、『新・反グローバリズム』(2010年、岩波現代文庫)、『原発は不良債権である』(2012年、岩波ブックレット)、『原発は火力より高い』(2013年、岩波ブックレット)、『資本主義の克服』(2015年、集英社新書)、『平成経済衰退の本質』(2019年、岩波新書)、『人を救えない国:安倍・菅政権で失われた経済を取り戻す』(2021年、朝日新書)、『裏金国家』(2024年、朝日新書)等
*4:裏返せば共産や社民、れいわとは距離があると言うこと