■【LA発 米国通信】金正恩氏*1の“処刑”の元カノ*2TV出演 北朝鮮の都市伝説崩れる 噂の発信地は何と…
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052418000002-n1.htm
《北朝鮮の都市伝説は崩れた》。ロサンゼルス・タイムズの北京発の記事はこんな書き出しで始まっている。
産経記事が事実なら「北朝鮮の都市伝説じゃねーだろ!、手前舐めてるのか」と呆れますね。北朝鮮の秘密主義は問題ですが「事情はどうあれ」自分らメディアが「結果的にはデマ記事書いたこと」をロサンゼルスタイムズとやらは反省してないのか。
まともなメディアなら「事実に反する記事を書いて読者の皆さんに申し訳ありませんでした」の反省文掲載でしょうよ。読者舐めてるのか。
■【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(4)後半】後ろ盾ソ連崩壊 「慰安婦問題」に傾倒 朝日報道と呼応 北が世論工作
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052411120007-n1.htm
タイトルからして無茶苦茶ですね。呼応というのは「朝日と北朝鮮がグル」としか読めない表現ですが「勝手に北朝鮮の仲間扱いするな」と朝日に抗議されたらどうする気なんですかね。
さすがに本文は
呼応するように
と書いてごまかしてますが、どっちにしろ朝日に失礼な事この上ない。
というか朝日新聞が「慰安婦問題」を扱ってるのに韓国なり北朝鮮なりがそれに対して何ら動かなかったらその方が変でしょう。
「日本のメディアが同胞のために慰安婦問題を報じてるのに動かないとはどういう事だ」と言う批判が韓国政府や北朝鮮政府に対して出るでしょう。
大体政府が河野談話出したのに今更「朝日と北朝鮮がグル」もないでしょう。それとも「当時の宮沢*3内閣もグル」とでも言い出す気でしょうか?
韓国のニュースサイトは挺対協を「『反日』の仮面をかぶった『従北』だ」と報じている。
そりゃそういう産経みたいな極右ニュースサイトもあるでしょうね。でだから何だというのか。
挺対協は韓国政府が日本に賠償を求めないのは違憲だと提訴した。韓国憲法裁判所は11年に「違憲」判断を下し、李明博、朴槿恵両保守政権の手足を縛った。
縛るも何も三権分立ってそういうもんでしょう。
■【ダイナミック上海】中国、対日分断政策「二分法」へシフト 政経分離鮮明に
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/chn14052412000003-n2.htm
「政経分離(政治問題を出来る限り経済に影響させない)、二分法(極右反中国・安倍一派と安倍以外を区別しよう)にしたいのは中国にとって日本が大事だからだ」ってそれはそうなんですが日本だって事情は同じです。「政経分離、二分法に動くなんて中国に泣きが入った」と言って喜ぶ話では全然ない。
むしろ「政経不分離(政経一体)」なんかされたら日本企業だって困るんですがそういう認識は産経にはないようです。
■【編集日誌】アジアが火を噴いた
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140524/asi14052408130003-n1.htm
アジアが火を噴いた。新疆ウイグル自治区でまた爆発*4があり、最大規模の惨事となった。戒厳令が布告されていたタイではクーデターを宣言。北は延坪島の沖合で韓国哨戒艦に向け砲撃した。ベトナムなど南シナ海をめぐる緊張はやんでいない。
(中略)
この明白な危機*5に、地裁が「自衛隊機の飛行差し止め」という浮世離れした判決を出してみせた。
やれやれですね。騒音が出るから飛行差し止めになったのであり「騒音が出ようが知ったことか、国益のために住民は我慢しろ」というなら是非産経社員の皆さんが「騒音の中で毎日仕事をしたら」どうなんでしょうか?。いっそ、自衛隊基地の隣に本社ビルを建てたらどうでしょうか?
■【河村直哉の国論】「埋められた旧日本軍史料10万点発見」、検証なくプロパガンダに使う「中国」…歴史歪曲する“異形の国”に、日本は公正な証拠主義で上回れ
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140524/waf14052407000003-n1.htm
産経がわめかなくても資料批判は今後当然行われるでしょう。日本の学者は中国の言いなりとでも妄想してるんでしょうか?
しかも「中国側の資料批判がない」呼ばわりしながら何が問題なのかと言えば
筆者が文書の実物や、書かれた文章全体を実際に見ているわけではないので、史料の信頼性についての判断は保留したい。
といって腰砕けになるんだからヘタレなことこの上ない。史料に問題があるかないかわからないんだったら「資料批判がない」と言えるわけないでしょう。だったら黙ってろって話です。
南京事件があった1937(昭和12)年、南京地区の人口は113万人あり事件後約80万人も減った*6そうである。それが今回公開された文書のうち、当時の日本の憲兵隊司令官報告書「南京憲兵管轄区内の治安回復状況に関する報告」からわかる、とのこと。
ま、小生も素人なのでこの中国の主張が正しいかどうかは知りません。ただこういう指摘について反論するなら当然ながら中国が根拠にしている
について論じるべきでしょうが
筆者が文書の実物や、書かれた文章全体を実際に見ているわけではないので、史料の信頼性についての判断は保留したい。
なんだからお話になりません。
で産経が何を言い出すかと言えば
事件当時の南京の人口については事件直後から複数の調査、証言がある。南京・金陵大学教授スマイスの調査で20万から25万人、ドイツ・ジーメンス社社員で事件時南京の支社長にあり、南京安全区国際委員会委員長を務めたラーベの証言で、25万から30万人など。
とデマカセかっ飛ばすんだからどうしようもない。スマイスにしろ、ラーベにしろ、彼らの言う人口とは「南京安全区」という「南京市の一部分の人口」にすぎません(しかも彼らの発言は調査によるものではなく彼らの推計値です。実際はどうだかわかりませんし、だからこそ彼らの述べる人口にかなりの幅があるわけです)。これについては例えば『二十万都市で三十万虐殺?』(http://www.geocities.jp/yu77799/jinkou.html)、『南京の人口は増えたのか?』(http://www.geocities.jp/yu77799/jinkou2.html)を参照して下さい。
つまり産経は「東京23区の人口」を述べた発言を元に、「お前は東京都の人口は××人だといってるがそれは間違ってる」というようなもんです。デマカセきわまりない。あの世のスマイスやラーベを侮辱するにも程があります。
大体ラーベの虐殺証言については「伝聞だ何だ」と否定する癖に都合のいいラーベ証言(25万から30万人*7)には飛びつく当たりが産経は全くふざけています。
犠牲者30万人以上をいう中国にとって、当時の人口は頭の痛い数字だったわけである。
既に指摘したように「スマイスやラーベの発言は南京安全区の人口」なので全然頭は痛くありません。大体「蒋介石秘録」で「犠牲者40万人説」を紹介した産経が何を抜かしてるんでしょうか?(この件についてはたとえば産経愛読者倶楽部『産経新聞・住田良能社長は南京「40万人虐殺」を取り消せ』(http://d.hatena.ne.jp/sankeiaidokusya/20110220/p1)参照)。
公式にはこの記述について「40万人説なんか紹介して申し訳ない」と産経が謝罪したこともありません(なお小生が40万人説を支持してるわけではありません)
まずは産経には蒋介石秘録で「40万人説」を紹介したことをどう思うのか教えて欲しいもんです。少なくとも蒋介石秘録を連載した当時の産経が「40万人かどうかはともかく」「大虐殺を否定する今と違って」相当数の虐殺が存在したと見なしていたことは間違いないでしょうに。
だがこの憲兵隊司令官報告の113万人という数字が何を根拠にしているか、記述はない。日本の戦後の研究で、1936年末に南京市政府が調査した人口が約100万人とあるから、そのあたりか。しかし戦火が近づいてくるなかで、住民が避難しないわけはないだろう
おいおいですね。1936年末に100万人の人口が南京事件のおこった「1937年末」に「20〜30万人」と「1/5〜1/3」に激減したと言う証拠を産経は出せるんでしょうか?(そもそもスマイスやラーベの発言は南京安全区の人口であって南京の人口じゃありませんが)。
「避難しないわけがない」ってそう簡単に避難できるわけがないでしょう。福島被災民だってそう簡単に避難できた訳じゃない。
さきのラーベは日記に日本軍の「虐殺」を記録し、習主席*8もドイツ訪問の際「ドイツの友人」などと持ち上げた人物だ。
南京に残る必要性はどこにもないのにわざわざ残って南京の中国人被災者*9支援をしたんだから中国にとって「ドイツ人の友人」でしょう。習発言に何か問題があるのか?。産経にとってラーベは「ありもしない南京事件をデマった許し難い敵の一人」なんでしょうけど。
1929(昭和4)年、南京の月刊誌に現れたいわゆる「田中*10上奏文」を思い起こしておきたい。
やれやれ。今時まともな歴史学者は田中上奏文を本物だなんて言いません。「田中内閣当時(1927年)には既に死亡していた山県有朋*11(1922年死亡)が生存者として文書に登場してくる」など上奏文とは思えない重大な誤りがあるからです。
一方、まともな歴史学者は産経の「南京事件否定説」も支持しないわけです。
参考
人民日報
『日本軍文書:南京大虐殺で南京の人口が80万人近く減少』
http://j.people.com.cn/94474/8507124.html
『新発見の日本軍文書:慰安婦が日本政府の行為だった』
http://j.people.com.cn/94474/8508674.html
『日本軍資料:中国人労働者の強制徴用、奴隷的酷使』
http://j.people.com.cn/94474/8510592.html
『吉林省公文書館、日本軍の中国侵略文書を公表』
http://j.people.com.cn/94474/8610020.html
『吉林 旧日本軍の中国侵略に関する資料をまとめた書籍出版』
http://j.people.com.cn/94474/8610891.html
『旧日本軍の機密文書をまとめた書籍が出版』
http://j.people.com.cn/94474/8610896.html
『吉林省 旧日本軍が戦後に廃棄しきれなかった文書を公開』
http://j.people.com.cn/94474/8610911.html
『専門家が読み解く新公表の日本軍中国侵略公文書』
http://j.people.com.cn/94474/8611744.html
『吉林省公文書館が旧日本軍の活動を証明する公文書を書籍化』
http://j.people.com.cn/94475/8611841.html
『中国侵略日本軍将兵の手紙が明らかにする狂暴な行為』
http://j.people.com.cn/94474/8611893.html
『吉林省公文書館 日本の開拓移民政策を示す公文書公表』
http://j.people.com.cn/94475/8611916.html
『吉林省公文書館 旧日本軍731部隊の人体実験を示す証拠を公開』
http://j.people.com.cn/94475/8611922.html
『遼寧省公文書館、南京大虐殺の機密報告書を公開』
http://j.people.com.cn/94475/8621074.html
■【沖縄・竹富町教科書問題】採択地区離脱で町は逆に窮地に? 教員の負担増は必至 「自分の首しめた」との指摘も
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140524/edc14052407000001-n1.htm
竹富町が「退職教員の協力を得るから大丈夫」と言ってるのに「負担増ガー」「教員がかわいそう、ブラック労働になる」といつもの産経です。「お前いつもブラック企業批判なんかしてないだろ、心にもないこと抜かしてるんじゃねえよ」「大体教員は日教組が支配してるから教員の調査研究はいらない、教育委員が教科書を選べばいいってのがお前の持論だったろ?」と小一時間説教したくなります。
つうか「教員負担軽減のためにつくる会教科書採択を」ってそんなアホな話がどこの世界にあるのか。
■【産経抄】5月24日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140524/plc14052403040003-n1.htm
NHKがたまに放送する「ハーバード白熱教室」*12という番組が、若い世代になかなかの人気だとか。米ハーバード大のマイケル・サンデル教授が、多くの学生を相手に「ビンラーディン殺害に正義はあるか」「今の世代に過去を謝罪する責任はあるのか*13」といった難問をぶつけ、「君ならどうする?」「その理由は?」とたたみかける。
というサンデルを褒め広島大教員を非難する産経。訳がわかりません。
まず広島大教員の慰安婦映画。慰安婦が違法というのは政府の公式見解(河野談話)です。その政府見解に教員のした行為は反しないし、この映画が虚偽だという証拠が産経にはあるのか。
次にサンデルの「ビン・ラディン殺害に正義はあるか」。これは米国政府の公式見解では勿論「正義」のわけです。
「ラディン暗殺は違法だ」なんて当の実行者が認めるわけもない。
「政府には逆らうな」「米国万歳」が持論の産経としては「サンデルは何故わかりきったことを聞く、正義に決まってるじゃないか」「米国政府のしたことが正義かどうか聞くなんて、サンデルは反米だ」とでも言わないと筋がとおらないんじゃないいですかね。大体産経は「ビン・ラディン暗殺支持者」ですし。
次に「今の世代に過去を謝罪する責任はあるのか」。
これも産経にとっては「ないに決まってるだろ」で終わる話ではないのか(少なくとも「日本の今の世代には過去(慰安婦など)を謝罪する責任はない*14」が産経の持論です)。
おそらくこれと全く同じ授業を日本で誰かやったら産経は「反米だ、反日だ」と言ってるでしょうね。
まあ、教員の方が「ラディン暗殺は正義」「謝罪する必要はない」と言う考えで、かつ無理矢理、自分のそう言う考えへ学生を誘導するようなウヨ教員なら話は別ですが、さすがにサンデルもそういう馬鹿な事はしないでしょう。
結局「サンデルという権威」に産経は屈服してるだけでしょう。いつもながらくだらない新聞です。
講義の題目は「慰安婦問題」ではなく、「演劇と映画」だったそうで、詐欺といって差し支えない。
どういう映画ならご満足なんですかね?。仮に「講義タイトルと講義内容が離れてる」としてもそんなことは学生と教員の問題であって産経がつべこべ言う問題じゃない。ましてや「慰安婦問題での産経の主張の是非」と全く関係ないわけです。
独立行政法人*15になったとはいえ、国立大学の収入の大半は、税金*16で賄われている。お隣の国の勝手な「反日」宣伝の場に国民*17のキャンパスを使わせてはならない。
国立大教員は国を批判するな、ってどういう神経してるんですかね(というか私学も多くは私学助成をもらってるのでこの理屈だと「私学助成をもらってる大学の教員は政府批判するな」ということになりますし。またこの理屈だと「政府見解に反することを言った田母神は更迭されて当然」となるはずですが、産経が田母神をかばったこととの整合性はどうなってるのか?)。
中国で「我が国の方針に逆らう研究は認めない、国立大学にはどこから経費が出てると思ってるんだ、国じゃないか」と言ったらやれ「学問の自由を踏みにじった」と中国批判するのが産経ではないのか。
ましてや今回の件は「政府批判でも何でもない(安倍は本心では河野談話を撤回したがってるが撤回できず今も河野談話は政府見解なので)」のでなおさら意味不明です。
*1:国防委員会第一委員長、朝鮮労働党第一書記、朝鮮人民軍最高司令官
*2:「元彼女」と言うのも噂に過ぎません
*3:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根内閣、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣蔵相を歴任。
*4:事故じゃないんだから、はっきり「テロ」て書いたらどうなんでしょうね
*5:少なくとも「現時点では」完全な国内問題であるタイや中国の事件は「日本の安全保障」にとって危機でも何でもありません。これが近隣国を巻き込んだ大規模内乱にでも発展すればまた話は別でしょうが。
*6:まあ、中国もさすがに減った80万人全員虐殺という立場ではないでしょう
*7:ただしこれは南京市の人口ではないので全然「都合良くない」のですが
*8:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席
*9:戦争被害者を被災者と表現するのは不適切かも知れませんが
*10:原、山本内閣陸軍大臣を経て首相。満州某重大事件(張作霖暗殺事件)の処理の不手際を昭和天皇に叱責され引責辞任。
*11:陸軍卿、内務卿、第1次伊藤内閣、黒田内閣内務大臣、第2次伊藤内閣司法大臣、首相、参謀総長などを歴任。元老の一人。要職を務めた陸軍と内務省を中心に山県閥と言われる人脈を作り上げた。
*12:サンデルのこの「教室」を書籍化したものとして『これからの「正義」の話をしよう』(2011年、ハヤカワ・ノンフィクション文庫) がある。
*13:アメリカにとってのベトナム戦争とか、ドイツにとってのホロコーストとか、まあいろいろ考えられるでしょう
*14:なお、謝罪責任があるとする場合も「謝罪すべき過去世代が謝罪してない以上今の世代が謝罪せざるを得ない」「プラスの遺産は引き継ぐがマイナスの遺産は引き継ぐがマイナスの遺産は引き継がないというのはご都合主義ではないか」という形でそれなりの論理があるわけです。
*15:揚げ足取りすれば国立大学は「国立大学法人」であって「独立行政法人に似た制度」ではありますが「独立行政法人」ではありません
*16:もちろん「金額はともかく」税金以外にも入試試験料、入学料、授業料、産学協同による企業の寄付金、「近畿大学マグロのような大学開発グッズの販売」なんぞもあります
*17:学生には外国人もいるのに「国民」と書ける当たりがさすが産経です。