金曜ロードショー・高倉健追悼「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)を見てみる(ネタばらしあり)(追記あり)

 健さんの代表作ですね。題名は知ってますし、まあ、「落ちも有名なので分かってる*1」わけですが、「1度も見たことがない」ので、この際見てみます。つうか「あなたへ」(テレ朝日曜洋画劇場)を見そびれて何一つ追悼映画を見てないので(見そびれたことが悔やまれます)。
 しかし
1)「黒沢明死去(1998年)」のときも追悼映画「用心棒」「椿三十郎*2」を
2)「渥美清死去(1996年)」のときも追悼映画「キネマの天地」(松竹大船撮影所50周年記念作品、山田洋次監督・脚本)、追悼ドラマ「田舎刑事:時間よ、止まれ」(テレビ朝日・土曜ワイド劇場第1回放送作品)
をテレビで見ましたが「普段見ない映画、ドラマを見る機会ができる」というのはありがたいというと言い方が「死を喜んでるみたいで変」ですがまあ何というかありがたいです。
 映画の最初に出演者のクレジットが出てきますが、寅さん映画の常連「寅さんの渥美清*3」「おばちゃんの三崎千恵子」「たこ社長の太宰久雄*4が出てくるのはさすが山田洋次映画てところでしょうか。三崎氏、太宰氏は「役名がない」ので残念ながら端役なのでしょうが(もちろん「車さくらの倍賞千恵子」も「健さんの妻役」でいますが、それはまあ別格です)。
 いやあ、健さんも「健さんの同行者・武田鉄矢桃井かおり」も若いですね。
 桃井かおりというと小生は松竹映画「疑惑」*5(1982年)の「保険金殺人容疑で逮捕起訴される癖のあるホステス」など「癖のある役のイメージ」が強いですが、まあこれはそういう映画じゃないのでそういうことはありません。
 一方、武田鉄矢の方は「金八先生イメージ」ではありません。
 宿で桃井かおり相手に思い切りがっついて「同室でええ言ったやないか」「処女じゃないんやったらええやないか」「コンドームつけるから」と押し倒そうとして、桃井に大声で泣き出され、別室の健さんに「他にも客がいるんだぞ」と一喝される醜態をまずはさらします。
 健さんから「お前みたいなんをワシの故郷では『草野球のキャッチャー』つうんじゃ。ミットもないんじゃ(みっともないんじゃ)」と「山田映画らしい(?)」オヤジギャグで叱られる鉄矢。

ウィキペ「幸福の黄色いハンカチ
 帯広の駐車場では、欽也が邪魔な車(リンカーン・コンチネンタル)を無人と思い込み蹴り飛ばす。その結果、乗っていたヤクザ風の男(たこ八郎)に殴りつけられる*6が、勇作の反撃で難を逃れる。しかし、そのまま勇作が車を運転していったことで、物語は大きく展開していく。彼らの車は一斉検問に引っ掛かり、勇作が無免許運転であったことが判明。無免許の理由を問われ、一昨日までの6年間、殺人罪で刑務所に入っていたことを話す。最寄の警察署に連行されるが、そこには、かつて勇作の事件を担当した渡辺係長(渥美清)が偶然勤務しており、彼の温情で事無きを得る。刑務所帰りがばれた勇作は(注:2人に気を遣い)汽車で行くと言うが、結局3人旅は続いて行く。

ということで渥美清登場。時間的には短時間ですがやはり「寅さん以外の渥美清」を見ると何だか感動します。
 さて「健さんの過去(刑務所入り)」が分かった時点で「過去の回想シーン」がしばらく続きます。

ウィキペ「幸福の黄色いハンカチ
 旅館*7で勇作は自分の過去を語る。スーパーのレジ係だった光枝(倍賞千恵子)との出会い、結婚、そして幸せな新婚生活。光枝が妊娠したらしい、ということで喜ぶ勇作。医者に行くという光枝の、「もし妊娠していたら、竿の先に黄色いハンカチをあげておく」という言葉に、勇んで仕事に出て行く。仕事帰りに、竿の先にはためく黄色いハンカチを見つけた勇作は、天にも昇る気持ちだった。しかし数日後、無理な力仕事をした光枝は流産してしまう。絶望した勇作はヤケになり、夜の繁華街に繰り出し、肩が当たった男(赤塚真人)と喧嘩を始めてしまい、遂には相手を死なせてしまう。
 逮捕され刑務所に入った勇作は、離婚を決意する。面会に訪れた光枝に勇作は「今ならお前はまだ若いし、その気なら良い男もいるかも知れん」と諭す。不器用な生き方しかできない、彼流の男の愛情表現だった。
 勇作は(注:欽也と朱美の2人と分かれ)1人で夕張に向かおうとし、出所直後の網走で光枝宛てに葉書きを出していたことを告白する。
「(注:離婚を自分から申し出たのに未練がましい話だが)もし、まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら…黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ。それが目印だ。もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して、2度と夕張には現れない」
 それを聞いた欽也と朱美は、迷わず一緒に夕張に行くことを決心する。
 揺れる男の気持ちと、それを励ます2人。「光枝が俺を待っているはずはない」と臆病になる勇作は、朱美の(注:「黄色いハンカチを出してほしいという手紙を出した以上、確かめるだけ確かめた方がいい」という)言葉で夕張に向かう。
 「ほらー、あれ!」叫ぶ朱美。視線の先には、なんと何十枚もの黄色いハンカチがたなびいているのだ。力強く勇作の背中を押し出す2人。2人の再会に、言葉は要らなかった。2人は見つめ合い、そして仲良く家の中に消えて行く。
 それを見届けた欽也と朱美は、車中で自然に手を握り合い、強く抱き合い、キスをする。

追記あり
 id:Bill_McCrearyさんのコメントにここで応じてみます。

この映画は、典型的な誰でも絶対読めるラストに突き進んでいく映画、という印象があります。

 この映画、パンフレットでも読まない限り、初見の人には途中までは落ちがさっぱり分かりませんが、「黄色いハンカチ」云々について健さんが語り「では行ってみよう」となる辺りで落ちはわかりますね。
 「落ちが最後まで分からない映画」「落ちが途中で分かる映画」
 「落ちが分かると面白くない映画」「落ちが分かってもそれなりに面白い映画」といろいろありますが「落ちが途中で分かりしかし、それでも面白い良くできた映画」とは言えるでしょう。

 あれは、やっぱり山田監督がシナリオを担当したっていうための出演という側面もあったんですかね。

 でしょうねえ。端役ではありますがやはり名優の演技はいいモンです(セリフも一応ありますし)。
 個人的には「渥美・八つ墓村」の続編が作られ「東宝市川崑石坂浩二シリーズ(発表順に、犬神家の一族、女王蜂、獄門島悪魔の手毬唄病院坂の首縊りの家の5作)」に対抗した「松竹の野村芳太郎渥美清シリーズ」になれば良かったのにとは思います。

桃井はともかくとして、武田は当時はまだまだ無名ですからね。

 ずいぶんな大抜擢ですよね。何が理由なんでしょうか。

太宰のシーンと違ってあまりいい出演ではなかったかもです。

ご紹介の

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=90357
たこ八郎:帯広のヤクザ
太宰久雄:旅館の親父
小野泰次郎:牧場の主人
岡本茉利:ラーメン屋の女の子
笠井一彦:検問の警官
赤塚真人:チンピラ

の中では「暗がりでの撮影なので誰だかよく分からないチンピラ役の赤塚氏」並みに扱いが悪いかなあと。他の方々(太宰氏に限らず、ラーメン屋の女の子、検問の警官なども含めて)は顔がしっかり写ってるしセリフもちゃんとしたセリフですからね。
 

*1:つうか山田洋次作品では「あの落ちしかあり得ない」し、ウィキペ「幸福の黄色いハンカチ」にもはっきり落ちが書いてありますけど。

*2:単なる偶然ですが小生も三十郎からそろそろ四十郎に近づいてきました。あの映画の設定では三船は「30代後半の設定(実際には42歳だが)」ですが今の30代後半や40代前半の俳優以上に三船が重厚に見えるのは三船の威厳といったところでしょうか。

*3:ウィキペ「幸福の黄色いハンカチ」によれば健さんの事件を担当した刑事というそれなりに重要な役。この頃までは渥美も「砂の器」の「映画館ひかり座の支配人」(1974年)、「八つ墓村金田一耕助」(1977年)など寅さん以外の役もやってました。「寅さん専門」になってしまったことはやはり残念です。

*4:太宰氏は1998年に、三崎氏は2012年に死去しています。

*5:松本清張原作・野村芳太郎監督という「砂の器」(1974年)コンビの名作。個人的にはこの映画での弁護士(岩下志麻)と桃井のバトル(弁護を引き受けてくれた岩下に感謝するどころか「弁護がへたくそだ」と桃井が悪口雑言吐いたりする)は面白いと思います。

*6:鉄矢や健さんに殴りかかるシーンのフットワークは「さすが元ボクサー」です

*7:旅館のオヤジとして太宰氏(たこ社長)登場。旅館のオヤジとしての「事務的な言葉」しか言わないのが残念ですが。三崎氏の方は登場シーンがよくわかりませんでした。今思えば鉄矢ががっついた旅館で登場した旅館のおばさんが三崎氏だったんでしょうか(追記:コメ欄のご指摘に寄れば警察にぼやきにきたおばさんだったようです)。基本この映画は健さん、倍賞のカップルと鉄矢・桃井のカップル以外はあまりセリフはありません。