今日の産経ニュースほか(4/13分)(追記・訂正あり)

■4/14:五十嵐仁の転成仁語『統一地方選挙前半戦の議員選挙によって示された数字を検証する』
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-04-14
■4/13:五十嵐仁の転成仁語『統一地方選挙前半戦でも勝ったのは共産党だった』
 http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-04-13
に続く五十嵐氏の統一地方選前半戦(知事選、道府県議選、政令市議選)批評エントリです。

 昨日のブログ(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-04-13)で、(注:道議県議会選挙の結果から都議選、参院選衆院選だけでなく)統一地方選挙の前半戦でも勝ったのは共産党だと書きました。もちろん、首長選挙にはこのような評価は当てはまりません。
(中略)
(注:議員選挙以上に当選には政治的パワーが求められる首長選挙では)共産党だけの力で与党に勝つというのは至難の業です*1。しかし、それでも候補者を立てて選択肢を提起した姿勢は評価されるべきでしょう。
 (注:自公民相乗りによって)自共対決型になった神奈川、福井、三重、鳥取、徳島、福岡では、もし共産党が候補者を立てなければ選挙自体が成立せず、無投票当選がさらに増えていたはずです。選挙と民主主義を機能させるうえで果たしている共産党の役割についても、きちんと評価することが必要なのではないでしょうか。
 (中略)
 地方議員の選挙ではどうでしょうか。ここでは、国政選挙以上に、自共対決という形での政治的な地殻変動が生じつつあるように見えます。
 具体的な数字で、このことを確かめてみたいと思います。まず、都道府県議選の当選者数です。
(中略)
 前回当選者数との比較では、最も議席数を増やしたのは自民党で234議席増、次いで共産党が31議席増となっています。しかし、前回当選者数に対する今回当選者数の増加割合(増加率)は、自民党が1.03であるのに対して、共産党は1.38でした。
 自民党は増えたとはいえ増加率では前回とそれほど変わっていないのに、共産党の場合には約1.4倍になっていることが分かります。今回の選挙で共産党はいかに多くの議席を増やしたかということが、ここに示されています。
(中略)
 同様に、政令市議選当選者数の結果を検討してみましょう。その結果は、以下のようになっています。
(中略)
 前回当選者数と改選前議席との比較で、いずれも議席増となっているのは、公明党共産党大阪維新の会の3つです。いずれにおいても、議席増が最も多いのは共産党でした。
 自民党は前回当選者数よりも79議席多くなっていますが、改選前との比較では32議席減らしています(注:つまり当選後、自民議員が維新に移籍したと言う事でしょう)。民主党道府県議選で前回獲得議席と改選議席のいずれの比較でも大幅に議席減になっていますが、政令市議選の当選者数でも20議席以上の減となり、大きく後退しました。
 以上の結果から、以下のようなことが言えます。
 第1に、統一地方選挙前半戦の道府県議選、政令市議選での前回当選者数と改選前議席との比較において、4つのカテゴリーの全てでプラスになっているのは共産党だけでした。今回の議員選挙での勝者が共産党であることは数字の上でもきわめて明瞭です。
 第2に、これとは正反対に、4つのカテゴリーの全てでマイナスになっているのは民主党だけです。
 今回の議員選挙での敗者は民主党だったということになります。
 第3に、自民党道府県議選と政令市議選の両方で前回の当選者数よりも増やしていますが、改選前議席よりは減らしています。今回の選挙結果から自民党が勝利したかのような報道がなされていますが、選挙前よりも選挙後の議席が少なくなったわけですから、自民党は必ずしも順調ではなかったということが分かります。
 第4に、公明党道府県議選で微減となっており(中略)ます。政令市議選で微増となりましたが、こちらの方では大阪市議選(此花区)で新人候補が共産党候補に170票差で競り負けて落選しています。落ち目の公明党と、逆に勢いが増している共産党との違いを象徴するような結果となりました。
 第5に、維新の党と大阪維新の会は、直前の上西議員の除籍問題などがあったものの、大阪では依然としてそれなりの地盤を維持していることが分かります。しかし、府議会と市議会の両方で目標としていた過半数には達せず、府議選の大阪市都島区選挙区(定数1)で5期目を目指す自民党の現職候補と維新の新人候補との一騎打ちで敗れるなど、かつてのような勢いはありません。
 先の総選挙で示された共産党の勢いと民主党の苦境が継続されていることは、今回の統一地方選挙前半戦に関する数字の上でも明瞭になっています。自民党公明党はほぼ現状維持にとどまっていること、維新の党が一定の盛り返し*2に成功したことも、これらの数字から確認することができます。
 国政に現れた自共対決という日本政治の地殻変動が、地方政治においてはさらに深く広く及んでいるように見えます。それが同じような方向性を持った変動なのか、どれほど深く広く及んでいるのか、引き続いて実施される統一地方選挙後半戦の結果が注目されます。


■4/13:五十嵐仁の転成仁語『統一地方選挙前半戦でも勝ったのは共産党だった』
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-04-13
 タイトルは「やや共産びいき」の気がしないでもないですが認識は小生に近いと思うので紹介しておきます。

 知事・政令市長の首長選挙では、ほとんど大きな変化はなかったということになります。そもそも民主党対立候補を立てられず、相乗りするというていたらくでしたから、このような結果になることは目に見えていたと言って良いでしょう。
 今回の統一地方選挙では、無投票当選の比率が高くなっていることや投票率が低くなっていることが注目されていますが、これも民主党の責任です。
(中略)
 他方、大きな変化があったのは道府県議会や政令市議会の議員選挙の方でした。こちらの結果は、地方においても日本政治の地殻変動が生じつつあることをはっきりと示しています。
 第1に、共産党の大躍進です。共産は前回の選挙で議席を獲得できなかった栃木や神奈川などで議席を獲得して8年ぶりに100議席台を回復し、111議席となって前回より31議席も多く当選しました。政令市議選でも136議席を獲得しています。
 その結果、今回の統一選の対象外の6都県を含め、初めて47都道府県全ての議会で議席を得るということになりました。共産党の結党以来、これは史上初めてのことになります。
 「(注:終戦直後の)第1の躍進」や「(注:1970年代の)第2の躍進」の時にもなかったことであり、地方政治における草の根の力の増大を如実に示すものとなっています。安倍政権の暴走に対して明確な対立軸を提起し、候補者を立てて選択肢を提供するという、本来であれば野党第一党が担うべき役割を共産党が果たしていることに対する有権者の評価と信頼の現れでもあると言えるでしょう。
 今朝の7時のNHKニュースでのアナウンスは、この統一地方選前半戦で示された最大の特徴である共産党の躍進について、全く触れていませんでした。画面上に、テロップが出ただけです。
(中略) 
 ここに、籾井会長に支配されている現在のNHKの姿勢がはっきりと表れています。
(中略)
 第2に、民主党のふがいなさです。民主党首長選挙で与党に対する候補を立てることができず、与党候補への相乗りも少なくありませんでした。
 岡田*3代表の地元である三重県でも対立候補をたてられず、不戦敗となっています。
(中略)
 第3に、与党のしぶとさです。首長選挙で与党が敗れたのは札幌市長選挙だけで、あとは全て与党系候補の勝利に終わりました。
 議員選挙でも、自民党は前回獲得した1119議席を34人上回る1153議席を獲得し、総定数の過半数(1143)を超えました。
(中略)
 以上のように、今回の統一地方選挙の最大の特徴は都議選・参院選・総選挙に続く共産党の躍進であり、この勢いは後半戦でも続いていくにちがいありません。「第3の波」を生み出した「追い風」は、共産党の背後から一貫して吹き続けていると言えるでしょう。
 しかし、「風」が吹いていれば前進できるとは限りません。大きく「帆」を張ることができなければ「風」を捉えて推進力に変えることはできず、ただ頭の上を吹き抜けて行くだけだからです。
 上手に「風」を捉えて大きな推進力に変えることができるかどうかは、主体的な取り組みにかかっています。共産党にとっては、統一地方選挙前半戦での成果に安住せず、さらに強まった躍進の「風」をガッチリとつかんで巨大な推進力に変えられるかどうかが、これから始まる後半戦での課題だということになるでしょう。


■【統一地方選】過去最低の投票率確定 知事選47・14%、道府県議選45・05%
http://www.sankei.com/politics/news/150413/plt1504130053-n1.html
 まあ予想はしてましたけど、現実にこういうお寒い数字を突きつけられるとげんなりですね。


■【統一地方選】共産が道府県議選全てで議席獲得
http://www.sankei.com/politics/news/150413/plt1504130021-n1.html
 過大評価はしませんが「今回の選挙の最大の勝者は政党としては自民*4」でしょうが共産も「ささやかながらも勝利した」といっていいのではないでしょうか。いわゆる共産議員・空白議会が「都道府県議会」ではなくなったわけですから。当然「個々の議会では議席減もあったかも知れませんが」、トータルでは共産は議席を増やしています。一方、今回の選挙の最大の敗者はかえって議席を減らした民主党でしょう。
 「地方選での勝敗は国政に直結しない」とはいえ「最大野党が惨敗」というのは情けない話ですし、国政で「民主党に明るい展望があるわけでもない」のだからげんなりです。まあ、「今のていたらくで議席増しても」かえって民主党の危機が深まるだけと「ポジティブシンキング」したいところですが問題は「今のていたらく」を民主党が改善できるようには見えないところです。なお、小生、時々、Mukkeさんのブクマやエントリを見ていますが、彼が「共産の伸張は良かった」「民主はだらしない」と民主、共産評価が小生に似てるのは興味深いと思います。チベット認識はかなり違うんですけどね。


■【統一地方選】共産候補が岐阜県議選でトップ当選
http://www.sankei.com/politics/news/150413/plt1504130015-n1.html
 県議選・岐阜市選挙区だそうです。産経曰く「都道府県庁所在地でのトップ当選は珍しい」と書いてますが何があったんでしょうか?。岐阜てそんなに共産の強い選挙区とも失礼ながら思えませんが。やはり「都議選、参院選衆院選」に続く追い風が「過大評価は勿論できませんが」それなりに吹いてるということなんでしょうか。


■【統一地方選】夫が死去し、投開票日に喪主務める…共産山内氏、夫の死乗り越え4選 京都府議選
http://www.sankei.com/west/news/150413/wst1504130022-n1.html
 共産嫌いの産経ですが、こういう「日本人好みのお涙頂戴話」は大好きなんでしょうか?。まあ支持者として「当選おめでとうございます」と書いておきます。


■【統一地方選】都構想批判“封印”の公明…善戦強調も1人落選に「痛恨の極み」 維新の都構想には「反対」明言
http://www.sankei.com/west/news/150413/wst1504130025-n1.html
 「1人しか落選しなかったのか」と思うとアンチ公明としては残念ですが公明にとってのショックはやはり大きいんじゃないか。つうのも公明は「常勝関西」をスローガンにし「ほとんど落選者を出さないこと」を自慢してきたからです。しかも公明内部でも異論があった「住民投票に賛成したこと」が落選の一因かもしれない、落選選挙区では「ライバル」「犬猿の仲」共産の候補が当選と言うのでは、今後維新の都構想について公明としても「露骨に推進」というわけにもいかないでしょう。


■【統一地方選】「常勝関西」公明、衝撃の1敗 都構想めぐる方針転換に不満くすぶる

http://www.sankei.com/west/news/150413/wst1504130073-n1.html
 昨年末の衆院選で比例票が府内トップだった維新の党を敵に回すことを恐れた公明党本部が地方の意向を聞かずに独断で「住民投票実施容認」への方針転換を決定。しかし、大阪側が都構想制度案への反対にこだわったため、選挙中も「主張が分かりにくい」と支持者から批判を浴び、逆風にさらされた。
 告示直後は都構想批判を封印していたが、自らも市議選東淀川選挙区に立候補していた小笹正博府本部幹事長(62)が、有権者の反応を踏まえ、都構想批判の解禁を通達。市内の公明候補は「都構想批判を最後まで封印していたら、(注:1人落選にとどまらず)もっとひどい結果だった」と振り返る。

 まあ、これでは公明も露骨に都構想推進はできないでしょう。


■【統一地方選】民主、大阪で壊滅的敗北 候補者減で「戦う前に負け」
http://www.sankei.com/politics/news/150413/plt1504130025-n1.html
 野党第一党としてはふがいない戦績でしょう。しかし、ということは「共産党が微増した」てことなんですかね。だとしたらそれはそれで嬉しいんですが。


■【主張】米・キューバ会談 歴史的転換を歓迎したい
http://www.sankei.com/column/news/150413/clm1504130002-n1.html
 産経の中国、北朝鮮敵視て「単純な反共じゃないんだな」ということが分かる文章です。何せ「米国の反共反キューバ右翼」には「国交正常化交渉するな!」という人間もいるのに「歓迎」ですから。
 文章を読んでくと「これでキューバ、中国関係にくさびを打ちたい」「南米での中国の影響力を弱めたい」とか書いてあって「ああ、そう言う意味での歓迎か」「お前ら本当に中国が嫌いなのな」と思うと苦笑してしまいます。

 制裁解除で貿易、投資が促進され、キューバ経済が好転すれば、民主化が進む。慎重論を唱える人たちは、これらのことに思いをいたす必要がある。

 「ちょっと待て、お前そういうことを北朝鮮関係で誰かが言うと『制裁解除で民主化促進とかアホか』『北朝鮮の手先!』とか罵ってきたのがお前ら日本ウヨと違うのか?」と思って何というか呆れます。「米国とキューバの国交正常化では民主化の進展が期待できるが、日朝国交正常化では期待できない」という産経珍理論には唖然です。


■【統一地方選アイヌ発言の金子氏が落選 札幌市議選
http://www.sankei.com/politics/news/150413/plt1504130034-n1.html
 落選理由が差別発言かどうかは分かりませんがアイヌを差別する政治家が落選したことはグッドニュースです。


■【安倍政権考】翁長沖縄知事「敵意」むき出しで首相と面会して何を得ようとしているのか
http://www.sankei.com/premium/news/150413/prm1504130002-n1.html
 やれやれですね。知事就任直後、知事が首相と会いたいと言っても、「多忙」を理由に会わない。「外相、防衛相、官房長官など首相以外の重要閣僚が代理で会います」なんてこともしない。
 「工事を一旦停止して欲しい、でないと対話にならない」といっても「粛々*5と進める」「この道以外に道がない」といって無視して、工事を推進する。怒った知事が「環境破壊の疑い」を理由に工事停止命令を出すと、林*6農水相に「命令解除」をやらせる。これで「安倍を敵視しなかった」らその方が変でしょう。相手を怒らせることをやって相手が怒ったら「何故敵視するのか」ってそんな変な話はない。正直「知事就任直後、首相ないし重要閣僚が知事と面会」「とりあえず当面工事中止」だけでも翁長知事や沖縄県民の感情は和らいだろうにそれと逆のことをやったのが安倍です。過去の自民党総理でもここまで沖縄軽視の人間はいないんじゃないか。自民党中央も本当にとんでもない集団になったもんです。沖縄自民党すら「翁長知事の気持ちは分かる」といわざるを得ないわけです。
 

*1:しかも「自共対決型首長選」の場合「自公民相乗りで連合が支援」てケースが多いでしょうからなおさら「至難の業」です。

*2:ただし一時の勢いはない

*3:民主党幹事長(鳩山代表時代)、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行政刷新担当相などを経て現在、民主党代表

*4:もちろんアンチ自民の小生としては実に不愉快です。

*5:「何が粛々か(怒)」と知事や沖縄マスコミなどに批判されてさすがに今後は使わないそうですが工事は中止しないのだから唖然です。

*6:福田内閣防衛相、麻生内閣経済財政担当相などを歴任