今日の産経ニュース(8/20、21分)(追記・訂正あり)

■【高槻少女殺害】男児の遺体を星野さんと確認 最悪の結末に
http://www.sankei.com/west/news/150821/wst1508210093-n1.html
 下に「無事に見つかって欲しい」と書きましたが残念ながら「遺体発見」と言う情報が出てきました。しかしこうなると逮捕された容疑者が犯人としてですが「複数殺人」の上、「行きずりの殺人」「未成年者殺害」ということで、今の日本ではちょっと「死刑」以外の判決は考えられない気がしますね。まあ「判例上、そうなるのは自然」なので「それはある意味いい*1」んですが、まーたテレビが、過去のようにリンチ報道を繰り広げるのかと思うとうんざりします。


■【高槻少女殺害】「なぜ殺害」「早く帰ってきて」容疑者浮上で知人ら少年の無事祈る
http://www.sankei.com/west/news/150821/wst1508210089-n1.html
 現時点では「容疑者」に過ぎず、過去には「警察の冤罪」もありますので何とも言えません。
 まずは「行方不明の少年の所在」がわかれば、それも「無事な所在」がわかればいいのですが。もちろん「女子生徒を殺した犯人」が「男子生徒も殺してる」可能性は否定できませんが。


■【経済インサイド】日中「政冷経熱」に変化? 相次ぐ日系企業撤退、訪日中国人は増加 
http://www.sankei.com/premium/news/150821/prm1508210004-n1.html

「今回、すぐに困難な問題になるわけではありませんが、今後もこの手の話はたびたびやってきます」
 上海株式市場が乱高下した7月、財務省幹部がチャイナ・リスクの分析を説明すると、安倍首相は「それは十分分かっている。だけど、焦る必要はない*2」と冷静に受け止めた。
(中略)
 平成24年12月の政権奪還から内閣官房参与浜田宏一*3本田悦朗*4両氏らと念入りに経済政策を練ってきた首相にとって、中国経済の減速など波乱要因は織り込み済みだった。

 「平成24年12月」からまだ安倍政権が続いてるのかと思うと改めてうんざりしますが、それはともかく。
 本当に「織り込み済み」かははなはだ疑問ですし、「織り込み済み」だとしてもその結果安倍が打ち出す策がまともという保証も当然ありません。まあ、産経が「織り込み済み」として安倍批判を封じ込めようとしてることは分かります。

 人件費高騰や急速な円安などを背景に、現地からの撤退・縮小を検討する日系企業は増えている。パナソニックシチズンホールディングなどが、その一例だ。
 北京で約10年間、美容業を展開する経営者は「中国経済のリスクは重く見ている。すでに中国に残る意味はあまりなく、シンガポールバンコクベトナムの方が魅力がある」と語る。

「撤退や縮小」というのが「中国での物作り」を意味するならそうかも知れません。「もっと人件費の安い東南アジアに工場を移すか」つうことはありうるでしょう。ただ「中国市場」から撤退すると言う事は「ほとんどの日本企業」にとってあり得ない。反中国・産経はその辺り故意にごちゃ混ぜにしてるようですが。
 なお、産経の言うパナソニックシチズンの「中国撤退?」については以下の記事を紹介しておきます。まずパナソニック

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ19HUK_Z10C15A8TJC000/
日経新聞パナソニック、空気清浄機の5割を国内生産に切り替え』
 パナソニックは19日、日本で販売している空気清浄機の5割を2015年中に国内生産に切り替えると発表した。従来は大半を人件費の安い中国の工場で生産していたが、円安の長期化に伴って為替リスクを軽減する。

 要するに「中国の経済成長によって人件費が上がったから」「円安だから」「中国から工場を他に移す」といった話であり「市場としての中国」から撤退したわけではありません。
 一方で「パナソニックと中国」についてはこんな記事もあります。パナソニックの全ての中国の工場が撤退したわけではなさそうです。

http://www.sankei.com/economy/news/150109/ecn1501090045-n1.html
産経新聞パナソニックが福島でのデジカメ生産を停止 山形と中国に集約』
 パナソニックは9日、福島工場(福島市)でのデジタルカメラ生産をことし5月ごろまでに停止し、山形工場(山形県天童市)と中国・福建省の工場に集約すると発表した。

 次にシチズン
■レイバーネット日本『中国:シチズン広州の生産拠点閉鎖の悪辣な手法』
http://www.labornetjp.org/news/2015/1423814860006staff01
■ダイヤモンドオンライン『深セン工場のストライキに対応遅れたシチズン:問われるコンプライアンスと危機管理意識』(莫邦富*5
http://diamond.jp/articles/-/14697
 レイバーネット記事、ダイヤモンド記事の詳細についてはリンク先をご覧下さい。もちろん、レイバーネットやダイヤモンドの記事が正しいかどうか分かりませんが、記事が事実なら「労使紛争が原因による工場の撤退」であってこれまた「中国市場からの撤退」ではありません。

 こうした中国からの逃避の動きと連動*6するように伸びているのは、訪日外国人の消費だ。今年4〜6月に日本を訪れた外国人の消費額は前年同期比82.5%増の8887億円となり、四半期として過去最高を大幅に更新した。
 1位の中国は、前年同期比3.2倍の3581億円と大幅増。1人当たりの旅行支出額を見てもトップの中国は34.7%増の28万5306円で、「爆買い」と呼ばれる中国人の消費は日本の景気を支える時代に突入している。

「爆買い」と呼ばれる中国人の消費は日本の景気を支える時代に突入している。

とアンチ中国の産経ですら言わざるを得ないのが皮肉です。正直、この中国人消費がなかったら景気はもっと低迷し、安倍はもっと苦しかったでしょう。そして、安倍が「中国人のビザ発給要件の緩和」「免税対象商品の拡大」などでこうした「中国人の爆買い」をアシストしたことは産経にとって認めたくないことでしょうが厳然たる事実です(「反中国ウヨ」という立場上安倍はこれらについて「アベノミクスの成果」としてあまり宣伝しないようですが)。

「習政権は米国との関係しか頭になかったが、今頃になって日本も大切だと気がついたのだろう」
 ある外務省幹部が、習政権の対日姿勢の変化を物語るケースと指摘するのは、5月に自民党二階俊博*7総務会長が約3000人の財界人らを率いて訪中した際のことだ。

「どんだけ上から目線なんだよ」とこの外務省幹部*8とやらには心底呆れます。この幹部の言葉を好意的に紹介する産経にも呆れますが。
「中国が二階氏を受け入れたこと」をまるで日本の勝利のように言う産経と外務省幹部ですが「3000人の財界人が同行した」つうことは日本だって苦しいと言う事です。
 中国だって日本の経済力を取り込みたいでしょうが、一方、日本だって「中国ビジネスで儲けたい」わけです。
 大体、二階氏は

親中派の有力議員の1人と言われる。「北京オリンピックを支援する議員の会」メンバー。
・2003年に地元の和歌山県田辺市の新庄総合公園に江沢民*9が自筆で書いた「登高望遠睦隣友好」の文字と、自身も参加した2000年の日中文化観光交流使節団に対して江が発表した重要講話を刻んだ日中国交正常化30周年記念碑の建立を計画し、全国各地にも同様の石碑を建立する心算であったが、地元の抵抗等もあって頓挫した。
東シナ海日中中間線でのガス田開発問題では、中川昭一*10小泉内閣経産相帝国石油東シナ海のガス田の試掘許可を下ろしたが、二階が小泉内閣経産相になると試掘を中止させた。麻生太郎*11・第一次安倍内閣外相が中国によるガス田開発強行に断固対応する姿勢を示すと、この「日本の対応に『こそ』問題がある」、「強硬に対応するなら勝手にやればいい」と麻生を批判した。
・日中国会議員書画展へ書画を提供している。
グリーンピア南紀和歌山県)の跡地開発をめぐり、所有する那智勝浦町に中国のリゾート会社「香港ボアオ」を紹介したのは、地元政界に強い影響力を持つ二階だと報じられている。
・2007年7月4日に、王毅*12・駐日大使(当時)と大使公邸で懇談し、日中国交正常化35周年に合わせて日本と中国が進める「2万人交流」プロジェクトが秋にも達成されるのに合わせ、双方で記念式典を開催することで一致したとされる。その行事記念として2007年10月12日に中国人民解放軍交響楽団の日本公演を行った。
(以上、ウィキペディア二階俊博」参照)

つうことで中国としても面会しやすい相手のわけです。


■米中両国の顔をどう立てられるか 板挟みで踏み切った韓国・朴氏の訪中、軍事パレード観閲でまた苦慮
http://www.sankei.com/world/news/150820/wor1508200050-n1.html
 「米中両国と密接な関係がある国としてどちらともうまくやらんといかん」つうのは基本的に日本も同じですが安倍の場合「米国べったりなら御の字」ですから困ります。まあ、韓国の場合、「日本と比べたら経済力はまだまだ」と言う意味で日本以上に中国への配慮が重要なのでしょう。とはいえそれを考慮しても安倍の対中態度は異常でしょう。


■大阪知事VS文科相、残る火種 学テ内申点活用、29年度入試以降は「?」
http://www.sankei.com/west/news/150820/wst1508200124-n1.html

 「来春は今の制度のまま。生徒や保護者にも安心してもらえる」。
 大阪府松井一郎知事は20日、学力テストを内申点評価の調整に活用する府教委の決定が下村博文文部科学相に認められ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。公立高入試をめぐる学校現場の混乱はひとまず回避された。
 ただ、下村氏による容認は、来春の平成28年度入試に限るという「例外的な措置」。

 大阪都構想住民投票でも露骨に橋下を応援した安倍一派がまたも露骨に橋下アシストです。
 とはいえ「例外的措置」というあたりに「文科官僚の巻き返し」が見て取れます。
 文科官僚
「大臣、こんなことをやったら大阪市民に裁判で訴えられたら負けかねませんよ。学テはそう言う目的じゃないんですから」
「我々役人も下村大臣もSTAP細胞(小保方捏造疑惑)や国立競技場(当初予想を超える建設費)でさんざん『文科省は、文科大臣は何をやっていたんだ』と批判されてるじゃないですか。また、もめ事の種を作るのは賢明じゃないですよ」
 下村
「でも安倍首相が『橋下は俺達の盟友も同然だ、大阪都構想住民投票のときも支援した、今回もできる限り支援しろ』と言うんだ」
 文科官僚
「せめて平成28年度入試限定にしてください。大体、こういっては失礼ですが下村大臣が平成29年度入試まで大臣でいらっしゃる保証もありませんし。後任大臣に決定をひっくり返されたら下村大臣の面子が泥にまみれます」
 下村
「(「確かにいつまで俺が大臣か分からないけどな」と思いながら、むっとした表情で)わかった。それで安倍総理に話をしてみる」
つうやりとりでもやはりあったんでしょうか。

*1:とりあえず死刑廃止論の話はおきます

*2:「織り込み済み」というより「1)単に安倍が能天気でアベノミクス万歳」「2)中国の景気後退がそれほど深刻だと思ってない」てだけじゃないんですかね。仮に中国景気後退の日本に対するダメージが大きくなれば安倍も産経も「織り込み済み」という前言を撤回して平然と「アベノミクスは失敗してない、全て中国が悪い」と中国への責任転嫁を始めるでしょう。

*3:東大名誉教授。著書『アメリカは日本経済の復活を知っている』(2012年、講談社)、『アベノミクスとTPPが創る日本』(2013年、講談社)、『リフレが日本経済を復活させる』(共著、2013年、中央経済社)、『世界が日本経済をうらやむ日』(共著、2015年、幻冬舎)など自画自賛本多数。

*4:元財務官僚。静岡県立大学教授。著書『アベノミクスの真実』(2013年、幻冬舎

*5:著書『蛇頭(スネークヘッド)』(1999年、新潮文庫)、『新華僑:世界経済を席捲するチャイナ・ドラゴン』(2000年、中公文庫)、『日本企業がなぜ中国に敗れるのか』(2002年、新潮OH!文庫)、『中国「新語」最前線:インターネットから性風俗まで』(2002年、新潮選書)、『海外軍団:世界市場を変える新しい中国人』(2002年、日経ビジネス人文庫)、『日中はなぜわかり合えないのか』(2005年、平凡社新書)、『中国は敵か、味方か:21世紀最大の市場と日系企業』(2007年、角川oneテーマ21)、『中国ビジネスはネーミングで決まる』(2008年、平凡社新書)、『日中「アジア・トップ」への条件:謙虚になれ中国、寛容になれ日本』(2008年、朝日新書)、『「中国全省を読む」事典』(2009年、新潮文庫)、『この日本、愛すればこそ:新華僑40年の履歴書』(2014年、岩波現代文庫)など

*6:別に連動はしてませんよね。連動する因果関係ないでしょうし。

*7:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相など歴任

*8:政務三役(大臣、副大臣大臣政務官)だか官僚だか知りませんが。

*9:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*10:小渕内閣農水相小泉内閣経産相自民党政務調査会長(第一次安倍総裁時代)、麻生内閣財務相など歴任

*11:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)など歴任。現在、第二次・第三次安倍内閣副総理・財務相

*12:外務省アジア局長、駐日大使などを経て現在、外相