今日の産経ニュース(4/30分)(追記・訂正あり)

麻生太郎*1財務相、為替介入を示唆 急激な円高に「極めて憂慮」
http://www.sankei.com/economy/news/160501/ecn1605010005-n1.html
 問題は「本当にできるのか(口先介入じゃないのか)」と「介入して円安になるのか」でしょう。
 今まで介入してこなかったのは「円安にならないまま止めどもなく介入する」という事態が怖かったからでしょう。
 しかも

 日本の為替政策をめぐっては、米財務省が29日、半年ごとに議会に提出する外国為替報告書を公表、日本を「監視対象」に指定するとともに、足元のドル円相場は「秩序的」だとし、日本による為替介入を容認しない考えを盛り込んだ。

です。もちろんこれは「日本の為替介入(つまり円安ドル高)は米国の国益に反する」という考えがあるのでしょう。「国際経済にとってのあるべき為替相場」なるものを想定した上で「米国の国益に反する場合でも国際的な利益に合致すれば為替介入不可」なんて話じゃないでしょうがそれはさておき。
 もちろん米国は「日本の為替介入を封じて、円安を進め、安倍政権を打倒したい」なんて考えはないでしょうが一方で「米国の国益を犠牲にして為替介入を許してまで」安倍政権を支援する気もないわけです。
 そこには「日本は直接的な為替介入はしてないが、アベノミクス金融緩和という間接的為替介入はしてきたじゃないか、これ以上、為替介入するの、おかしいだろ」という判断があるのかも知れません。
 この状況下で

麻生氏は、「日本が為替への対応を取れなくなるとか制限されるとかいうものではない」と述べ、米国の報告書によって制限を受けるものではないと強調した。

と麻生が言ったところで世間的には「やれるもんならやってみな」(ドラマ半沢直樹での「半沢(堺雅人)の敵」大和田常務(香川照之)の半沢への恫喝)にしかならないでしょう。米国から何らかの了解でもとらなければ「日本は為替介入しない」と見るのは当然です。


■追加緩和見送った黒田日銀に対して“円急騰”、突きつけられた「市場との対話」という難問
http://www.sankei.com/economy/news/160430/ecn1604300014-n1.html
 産経ですらこういう記事を書くのが面白い。小生は経済素人なのでまあ色々と間違ってることを書いてるでしょうが現時点での理解を書いておきます。
1)アベノミクスの売りの一つは「金融緩和による円安」であり安倍は「円安を達成した、俺スゴイ、景気は回復する」と自画自賛してました
2)ところが中国景気の停滞とともに円安が逆に円高の方向にふれていきます(この辺りの為替メカニズムについては全く無知ですが)。
3)これに対し日銀は「さらなる金融緩和はリスキー」という判断の下「マイナス金利」という別の施策をします
4)しかし円高傾向にストップがかかりません(今ここ)
という状態でしょう。
 そもそも「無理して円安にする必要があるのか」という問題もありますが「円安にしなければいけない」という立場に立てば今の状況は安倍にとって頭が痛い。
 ここで追加金融緩和をしたら「過去に金融緩和しなかったことは間違っていたのか」という責任問題になりかねない(まあ円安になればその辺りごまかせるかも知れませんが)。しかも金融緩和したからといって円安になる保証がない。円安になるまでとめどなく金融緩和なんてのはリスキー過ぎます。
 じゃあ「マイナス金利のような新たな施策があるのか」といってもどうもあるようには見えません。


■【緯度経度】日本野党の「不都合な現実」…安倍外交に米・アジア共鳴「東南アジアでは絶大な人気」 古森義久
http://www.sankei.com/column/news/160430/clm1604300008-n1.html
 このタイトルではてっきり「米国や東南アジア諸国政府の首脳発言でも出るのか」と思いきや

・インドの「防衛分析研究東アジアセンター」の研究員ティトリ・バス氏
・米国大手シンクタンク戦略国際問題研究所」(CSIS)のフォン・グエン研究員

なんて一個人を持ち出すんだから呆れます。もちろん「米国や東南アジア諸国の政府首脳が支持してれば戦争法が憲法違反でもいい、中韓が反発してもいい」なんてことはありませんが、古森の場合それ以前の話です。


■【北朝鮮拉致】被害者救出の願い込め「空と海の向こう」熱唱、山口采希さんが松山で街頭ライブ
http://www.sankei.com/west/news/160430/wst1604300039-n1.html

http://www.sankei.com/entertainments/news/150417/ent1504170026-n1.html
 山口采希(あやき)さんによる日本海海戦110周年記念音楽コンサート「山口采希のうたひろば・横須賀〜バンザイ!連合艦隊大勝利110年!各員一層奮励努力セヨ!〜」(産経新聞社協賛)が5月10日、神奈川県横須賀市稲岡町の記念艦「三笠」講堂で開催される。
 日本海海戦*2、広瀬中佐*3水師営の会見*4、艦船勤務、婦人従軍歌、月月火水木金金などの名曲のほか、山口さんのオリジナル曲、教育勅語をテーマにした「大切な宝物」、五箇条の御誓文をテーマにした「五つ星きらめく」を演奏し、明治期の偉人の功績に思いを馳せ、日本国民としての自信と誇りを取り戻すコンサートとなる。

などという前歴のある「右翼歌手*5の山口某」はどーでもいいとして

 愛媛大や松山東雲女子大・短大の軽音楽部や合唱団など4グループが熱の入った演奏や歌声を響かせた。6人でアカペラの歌声を披露した愛媛大教育学部3年の松木わかなさん(20)は「拉致問題は遠い問題と考えていたが、身近な問題と感じた。今後も関心を持ち続けたい」と話した。

てのは正気なんですかね(苦笑)。街頭ライブで拉致が解決するなら誰も苦労しません。


■【加納宏幸が見るアメリカ大統領選】女性蔑視のトランプ候補が女性副大統領を検討 クルーズ候補はフィオリーナ*6女史起用を発表
http://www.sankei.com/premium/news/160430/prm1604300022-n1.html
 クルーズ「民主党本命・クリントンに対抗するために副大統領候補は女性のフィオリーナにするでえ」
 トランプ「ならワシも副大統領候補は女性にするがな」つうことのようです。
 まあ、クルーズやトランプが選ぶ女性では「安倍が選んだ稲田政調会長」みたいなもんにしかならないでしょう。「クリントンと比べたら見劣りがするわあ」としかならないんじゃないか。

 世論調査では女性の7割がトランプ氏を「好ましくない」と答え、11月の本選でクリントン氏と戦う場合に、アキレス腱になるとみられている。
 その打開策としてささやかれているのが女性の副大統領候補だ。オクラホマ州のメアリー・ファリン知事(61)を起用する案が米メディアをにぎわした。
(中略)
 2008年大統領選の共和党候補、ジョン・マケイン上院議員のランニング・メイトとして初の女性副大統領を目指したサラ・ペイリン*7アラスカ州知事(52)もトランプ氏を支持しているが、同氏に負けず劣らぬ品性に欠ける言葉遣いや家族の不祥事*8がたたり、副大統領候補に推す声は聞こえない。

 まあ、「マケインの足を大いに引っ張った」ペイリンを副大統領候補には普通しないでしょう。


■【北朝鮮情勢】ノーベル賞学者3人が訪朝、平壌の大学で講演
http://www.sankei.com/world/news/160430/wor1604300007-n1.html
 北朝鮮が単純な強硬論一本槍でないことが分かります。

 3人は、英国の医学生理学賞受賞者リチャード・ロバーツ氏とノルウェーの経済学賞受賞者フィン・キドランド氏、イスラエルの化学賞受賞者アーロン・チェハノバ氏。

 ちなみにこの三人のうち二人についてはウィキペディアの記述がありましたので紹介しておきます。

リチャード・ロバーツ(ウィキペ参照)
・真核生物のイントロンの発見及び遺伝子組み換え技術の発見により、1993年にフィリップ・シャープと共にノーベル生理学・医学賞を受賞した。

フィン・キドランド(ウィキペ参照)
 2004年に動学的マクロ経済学への貢献が称えられ、アメリカの経済学者エドワード・プレスコットとともにノーベル経済学賞を受賞した。


■中国による牧場買収認めず 安保に懸念、豪財務相「資産が巨大すぎ、国益に反する」
http://www.sankei.com/world/news/160430/wor1604300008-n1.html
 中国の経済力の凄さに改めて脱帽します。これに対し中国側がどう出てくるかがまずは注目でしょう。


■【杉田水脈のなでしこリポート(3)】慰安婦問題に関する岸田外相の不可解な説明の裏に見え隠れする政府・外務省内の暗闘を憂う
http://www.sankei.com/premium/news/160430/prm1604300014-n1.html
 単に
1)公然と河野談話否定論かましたら国際社会(欧米や中韓など)の日本批判がすさまじいことになる
2)でも右翼支持者の要望もあるので安倍は談話を何とか否定したい
3)「あるときは自分は空を飛べるから鳥だと言い、あるときは卵から生まれないから獣だという」イソップ童話のコウモリのような詭弁の炸裂(具体的には河野談話を歴代政権同様堅持する、日韓合意もその意思の表明だと言いながら「慰安婦銅像の撤去要求」「朝日新聞河野氏への非難」など、談話堅持に反する言動を平気で行う)
つう話に過ぎません。詭弁だから「岸田外相の不可解な説明」になるわけです。正直、岸田氏は説明したくないでしょう。
 暗闘でも何でもない。つうか安倍や「安倍の取り巻き連中(稲田政調会長、衛藤首相補佐官、下村前文科相高市総務相、萩生田自民党総裁特別補佐、山谷前国家公安委員長など)」のような極右以外、岸田外相にせよ外務官僚にせよ、こんなやばい話に手をつけたくないでしょう。安倍がやれと言うから渋々やってるわけです。
 「日本ウヨが慰安婦を犯罪じゃないことにできれば、罪悪感情がなくなって気持ちよくなる」という感情論以外にこんなことに何のメリットもない。むしろこんなことをしたら国際社会、特に中韓の反発で日本外交に支障を来しかねない(つうか来してると思いますが)。
 大体、詭弁炸裂させたって「談話それ自体は否定できない」し詭弁を炸裂させることによって「日本は結局詭弁で談話否定したいんジャン」と言う形で、「公然と否定した場合ほど強くはない」とはいえ国際社会の批判は生まれるわけです。


■【小泉*9元首相×長辻論説委員・詳報(上)】小泉氏「震災から5年…世界に冠たる自然エネ社会の実現を」 長辻氏「新たに安全な原発を造る考え方あっていい」
http://www.sankei.com/premium/news/160430/prm1604300028-n1.html

長辻
 でも、ドイツは脱原発ですけれど、中国がすごい勢いで今やろうとしてますよね。
小泉
 それは非常に、日本にとって懸念があるんですよね。事故起こしたら日本に来るから、放射能が。
長辻
 来ます。それと、中国大陸だけでなく、(ボーガス注:原発技術の輸出で)世界中に建設しようとしていますからね。
(中略)
 中国が、安全性に疑問を抱える原子力プラントを、いろんな所に建設するんだったら、日本がきちっとした技術で造った方が…。

 何で「日本の原発がいいが中国の原発はダメだ」と思えるのか分かりませんがそれはさておき。「原発は全部ダメだ」ならともかく「中国の原発はダメだ」といってもあまり説得力はないでしょう。つうか下手に中国原発批判すれば「じゃあ福島で事故った日本の原発はどうなんだよ」つうことでやぶ蛇*10でしょうから産経も「中国はダメだという印象操作」しかしないでしょう。でそれで中国の原発輸出を止められるのかといったらたぶん止められない。中国の原発輸出を止めたいのならそれこそ「日本は脱原発」じゃないんですかね。

長辻
 でも、原発は危険だとおっしゃいましたけれど、日本に実は高温ガス炉という安全性の極めて高い原子炉があるんですよ。平成10年に臨界に達していて、大洗(茨城県)にあるんですけれど、ほとんど存在が知られてない。

 「存在が知られてない」のは「実用化してないから」です。実用化してないもんを「安全だ」といわれても「実用化してからそう言うことは言えよ」としか思いませんね。

長辻
 日本は世界から核の潜在保有国とみられている面があるので、その元になっている原発をなくした場合は安全保障上、不利でないかという考えがあります

 つまり「ワシら原発技術をいつでも核兵器技術に転用することができるんやぞ!」という立場は大事じゃないかという暴論です。それ「核兵器保有オプションをたとえブラフでも日本は持っていた方がいい」という右翼的価値観でのみ支持できる考えじゃないですか。普通こう言う事は言わないと思うんですけどね。


■【小泉元首相×長辻論説委員・詳報(下)】小泉氏「原発ゼロにという国民の意見が政治を変える」 長辻氏「安全保障上、不利に…」
http://www.sankei.com/premium/news/160501/prm1605010022-n1.html

 経済産業省の所管するNUMOが、地層処分場の建設地を探し始めたときの首相が小泉さんだったのだ。首相時代は原発の有用性を信じて疑うことがなかったそうだ。
 今の原発ゼロの旗手としての立場は「過ちては(則ち)改むるに憚ることなかれだよ」とおっしゃる。

 まあ、首相時代の小泉の行為を考えれば「間違っていたことに気付いた」といわれても「ああそうですか」で容認する気には俺はなりませんが「未だに原発万歳の産経や安倍自民よりはマシかな」とは思います。


■【主張】三菱自の燃費不正 これで「存続」できるのか
http://www.sankei.com/column/news/160430/clm1604300003-n1.html

 自ら不正をただす取り組みをみせない限り、これまでのようなグループ支援は見込めない。各社の株主にも説明がつくまい。

 「不正記事(デマ記事)常習」の上、フジテレビから「フジの株主に説明がつかないような支援」を受けてる「本来なら倒産しているべき企業」の分際で良くもこんな事が言えたもんです。


■【主張】首相欧州歴訪 対中国で認識の共有図れ
http://www.sankei.com/column/news/160430/clm1604300004-n1.html
 何でこういう反中国なんだろうと産経には本当にげんなりします。

*1:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)など歴任

*2:日露戦争での海戦。日本が勝利した。

*3:日露戦争旅順港閉塞作戦で戦死した広瀬は日本初の「軍神」となり、出身地の大分県竹田市には1935年(昭和10年)に岡田啓介(当時の内閣総理大臣、元海軍大臣)らと地元の名士の手により広瀬を祀る広瀬神社が創建された(ウィキペ「広瀬武夫」参照)。

*4:旅順軍港攻防戦の停戦条約が締結された日露戦争での日露両軍幹部の会見のこと

*5:本気で右翼なのか、「三流歌手なので商売右翼をやってるのか」知りませんが「いい若いもんが恥ずかしくねえのか」と思いますね。

*6:1999年7月、ヒューレット・パッカード(HP)のCEOに就任、2000年からは会長も兼任。しかし目立った成果を上げられず、2005年2月にすべての役職を辞した。極端な人員削減策など、彼女のHPでの経営は批判派によって企業を衰退させる経営の典型例と批判されている。2005年10月、サイバートラストの取締役に、2006年4月にTSMCの取締役に就任した(ウィキペ「カーリー・フィオリーナ」参照)。

*7:ペイリンはトランプが大統領に当選した場合にエネルギー省長官として政権入りすることを目指しているといわれている(ウィキペディアサラ・ペイリン」参照)。

*8:ペイリンの妹モリーは、家庭内暴力を受けたことにより元夫・ウットンと離婚した。この件に絡んで、ウットンのモリーへの家庭内暴力や子どもの虐待、ヘラジカの密猟、飲酒運転などの数々の疑惑について、ペイリンは州警察に調査を依頼していた。一部を除いて州警察はウットンの容疑を棄却(一部の容疑を認めたウットンは5日間の無給停職処分となっている)したため、ペイリンはこの調査報告に納得ができなかった。ペイリンはモネガン州公安委員長に再調査を求めた。しかし、モネガンは再調査を断った。モネガンはこれが自分がペイリンに州公安委員長を解任された原因と主張した。ペイリンはモネガンの主張を否定したが、州議会は職権乱用の疑いがあるとして調査に乗り出した。調査を行った州人事委員会は報告書で「ペイリン知事をはじめ州当局者がアラスカ州行政倫理法に違反したと信じるに足る理由は無い」と結論付けペイリンの疑いを晴らした(ウィキペディアサラ・ペイリン」参照)。

*9:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*10:日本の原発も問題だらけでしょうからね。