今日の中国ニュース(2022年1月1日分)

習氏、天安門弾圧を称賛 「国家守った英断」と演説 - 産経ニュース
 おそらく天安門事件評価については、事件を批判すると、事件後の「趙紫陽*1総書記の更迭」「江沢民*2(95歳と高齢だが未だ存命)の総書記昇格」を批判することになってしまうので、国家主席が習氏でなくても無理な話なのでしょう。


台湾総統、中国に「軍事的手段を取るな」と呼びかけ 新年談話 | 毎日新聞
 中国は軍事侵攻について「独立宣言しない限り侵攻しない。基本は平和統一」と言ってるのに「何があっても侵攻するな」としか理解できない発言を蔡英文がするのは1)「独立宣言しても容認しろ」、あるいは2)「独立宣言しなくても中国の侵攻がありうる(中国の主張は信用できない)」と暗に言ってる「挑発行為」と中国に理解されても文句の言えない暴挙でしょう。
 おそらく「反中国の傾向が強い民進党支持層」にこびてるのでしょうが「ポピュリズムは辞めろ、外交をおもちゃにするな」と思います。


浅井基文ブログ中台緊張に関する台湾世論調査結果

 中共中央台湾弁公室と国務院台湾事務弁公室が管理する中国台湾網が12月31日、台湾の雑誌『遠見』が発表した台湾における世論調査結果について報道していました。「中国大陸が台湾に対して軍事行動を取った場合にどう反応するか」という設問に対して、20~29才の年齢の者の実に70.2%が「戦場に行きたくない」と答え

 浅井先生が確認したところ、実際に『遠見』は中国政府の報道通りの発表をしていたそうです。なお、『遠見』は中国寄りの雑誌ではありません。
 つまり、中国の警告「独立宣言したら侵攻もあり得る」を無視して、戦争のリスクを冒してまで「独立に突き進みたい」台湾人はさすがにほとんどいないということです。
 この世論調査結果を「中国が攻めても戦いたくないなんて軟弱だ」と見るべきではないでしょう。
 「独立宣言しない限り中国の台湾侵攻はあり得ない」という認識のもと、「蔡英文が独立宣言して戦争が始まったらそんな戦争では戦いたくない(蔡が独立宣言するのが悪い)」という話でしょう。この質問では「戦争が始まる経緯」については特に限定条件はついてないようですので。
 蔡英文が賢明であるなら、こうした世論調査に従い、中国に「独立を画策している」と疑われる言動を辞め、中台融和に努めるべきですが、彼女にそうした賢明さがあるか怪しいところが困ったところです。

<観察3> コロナ収束後に行きたい国
 コロナ収束後に、仕事、投資、就学、観光等で行きたい国としては、中国大陸12.6%、アメリカ12.1%、東南アジア11.2%、東北アジア*39.4%、欧州8.0%、NZ・オーストラリア7.2%の順でした(観光旅行先としては、日本49.8%、中国大陸6.9%、アメリカ4.6%です)。

 「観光旅行先」としては日本が「49.8%」で圧倒的1位*4とはいえ、「観光以外も含めた行きたい国」では中国が未だ1位というのは、明るいニュースでしょう(「中国」が34.4%(2018年)→18.2%(2019年)→12.6%(2021年)と下降傾向にあるとはいえども)。

<観察4> 両岸関係に対する見方
 まず、両岸は交流を進めるべきかどうかについては、増やすべきだ60.1%、減らすべきだ26.9%でした。

1)経済交流をすることそれ自体の利益
2)経済交流をすることで中台有事はあり得ないというムードを国際社会に与えることに寄る利益、というところでしょうか。
 交流支持が6割というのは「中台融和」を望む俺的に嬉しい話です。

 開戦した時にどの国が援助を提供するかについては、アメリカ(2020年9月:57.5%→2021年12月:62.9%)、日本(45.9%→57.5%)、オーストラリア(1.3%→6.8%)、韓国(4.3%→5.6%)

 「何で日本が2位なんだ」ですね。浅井先生が危惧するように「前首相」安倍や「政調会長高市の放言が影響してるのか。

 アメリカはいかなる形で援助するかに関しては、(中略)国民党支持者では武器売却45.2%、口頭または書面での批判20.4%であるのに対して、民進党支持者では軍艦巡航29.6%、共同作戦18.6%でした。

 ここからは国民党支持者が「米国が武器支援はしても米兵の犠牲を伴う支援はしない」とかなり悲観的に考えてるのに対し、民進党支持層は「米国は米兵の犠牲をいとわずに、ともに戦ってくれる」と楽観的であることが分かります。蔡英文の「中国への挑発」はこうした「米国を信頼する」支持層の意向を受けたものであり、一方、国民党は国民党で「米国はいざとなれば軍事支援するだけで、それ以上のことはせず逃げるかもしれない」という支持層の意向を受けて蔡英文を批判するわけです。

*1:1919~2005年。広東省長、四川省長、四川省党委員会第一書記、副首相、首相を経て党総書記(党中央軍事委員会第一副主席、国家中央軍事委員会第一副主席を兼務)となるが天安門事件を理由に解任。なお、当時、国家主席(国家トップ)は楊尚昆党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席(軍トップ)は鄧小平で、趙紫陽は党のトップでしかなかった。

*2:電子工業大臣、上海市長、上海市党委員会書記等を経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*3:南北朝鮮やモンゴルのこと

*4:「そんなに日本て人気なの?」と驚きました。