今日の産経ニュース(8/8分)(追記・修正あり)

■【自民党総裁選】竹下*1派は自主投票 衆院が首相で参院は石破氏*2 9日に正式表明へ
https://www.sankei.com/politics/news/180809/plt1808090010-n1.html
 まあ予想の範囲内ではありますが、安倍に厚遇されてる衆院竹下派中堅幹部の茂木*3経済財政担当相、加藤*4厚労相が「今後も安倍様にゴロゴロニャンニャンして大臣などで厚遇されたいんです、我々に今の大臣ポストを捨てて安倍様に干されるリスクを冒せというのですか!(要約)」と強硬に主張したが故にこうなったのだそうです。


■【自民党総裁選】石原*5派も首相支持、きょう9日表明へ
https://www.sankei.com/politics/news/180809/plt1808090012-n1.html
 「何だかなあ」ですね。せめて自主投票にしたらどうなのか。今更安倍にこびたところでこのまま「石原無視(何の要職にも就けずに放置)」が続くだけだと思うのですがね。明らかに安倍は石原など全く問題にしてないでしょう。
 石破や野田*6ほどにも評価も危険視もされてない。単に「どうでもいい奴」としか見てない。
 しかし石破派など一部を除き「モリカケの腐敗政治家・安倍を自民党みんなで支えます」とはげんなりせざるを得ませんね。


■翁長雄志*7・沖縄知事が死去 膵がん治療中
https://www.sankei.com/politics/news/180808/plt1808080020-n1.html
 健康を害しており出馬はできないかもしれないとは思っていましたが死去とはびっくりです。ご冥福をお祈りします。なんとか野党共闘候補を立て勝利したいところです。もちろん翁長県政については「まだまだ自民党などへの批判がぬるい」などの批判もあったことは「それなりには知っていますが」、公然と裏切るようなことがなかったことは評価したいと思います。


■【津川雅彦さん死去】硬軟自在 男の色気 役柄幅広く 拉致問題解決にも強い関心
https://www.sankei.com/entertainments/news/180808/ent1808080003-n1.html
 もっと「映画プライドやムルデカに出演」「安倍総理の熱烈な支持者」とかウヨ的なことについて書くとかと思ったらそうでもないですね。しかし朝岡死去時の「彼女が先になくなってくれて良かった」はこうなると本当に「全くその通り」でしょうねえ。津川の死は朝岡の死から3ヶ月程度しか経ってませんから。


■【主張】教科書検定基準 偏向授業の是正につなげ
https://www.sankei.com/column/news/180808/clm1808080001-n1.html
 いつもながらタイトルだけでげんなりですね。別に本文を読まなくても日頃の産経の論調で

日露戦争での日本勝利はアジアの諸民族に希望を与えた」
関東大震災での朝鮮人虐殺などなかった」
張作霖暗殺はコミンテルンの犯行」
南京事件慰安婦反日勢力の捏造。南京事件資料ユネスコ世界遺産登録も、河野談話も、米国下院慰安婦決議も『慰安婦についての国連クマラスワミ報告、マクドガル報告』もすべて反日の陰謀。ユネスコや米国議会、国連は反日勢力に支配されている」
「太平洋戦争はアジア解放の聖戦だった」
韓国併合は韓国の希望でおこわなれた」
東京裁判は不当な報復裁判」

などという歴史捏造主義デマが炸裂し「そうした記述がない現行教科書は偏向自虐反日だ、検定基準がおかしい」と放言してるであろうことが簡単に予想できるからです。これが朝日、読売などに比べれば「売れてない」とはいえ日本の全国紙ですからねえ。
 で現総理はこの新聞と歴史認識が一致している。そしてその総理が5年に及ぶ長期政権。
 ドイツで言えば「ドイツの全国紙がホロコースト否定論」でそれを「メルケル*8も支持してる」ようなもんです。
 あるいはイタリアで言えば「イタリアの全国紙がムッソリーニ支持」で現政権もその立場。
 いかに日本が異常な国であるかと言うことですね。少なくとも昔はここまで酷くなかった「はず」なんですが。
 もちろん「藤尾正行*9韓国併合正当化発言で、韓国の批判を受け、中曽根内閣文相を更迭される)」「奥野誠亮*10日中戦争の侵略性を否定し、竹下*11内閣国土庁長官引責辞任)」のような極右自民政治家はいましたが彼らはあくまでも傍流でした。
 歴代総理は安倍ほど酷くはないでしょう。「池田勇人*12三木武夫*13など自民党内のリベラル派が一定の力を持っていた」「最大野党としての社会党の力」など、今と政治情勢が違うので単純比較できませんが「リベラル保守の石橋*14、池田、三木や大平*15、宮沢*16などはもちろん」、「右派の岸*17、中曽根*18」ですら安倍ほど酷くはないんじゃないか。
 「金を持ってるから付き合ってる」だけであって欧米諸国の日本認識は「日本は危ない変な国」でしょう。これが例えばまだ「中国の天安門事件正当化」なら欧米も「支持はしないまでも理解はできる」でしょう。
 「文革は否定できても天安門事件を否定できないのはある意味仕方がない。あの国においてトウ小平*19否定は難しいだろう。しかも天安門事件否定すると江沢民*20の党総書記就任の意味も否定することになり、現状に色々と響く」と。
 「過去に河野談話などを出して近隣諸国との和解にそれなり努力していた国が何でいきなりそれを反故にしようとするのか。くだらない『戦前ノスタルジー』のためか?」とさっぱり理解できないんじゃないか。俺も正直理解できませんが。
 まさに国辱です。
 まあそれはともかく。外圧に必要以上に期待するのもよろしくありません。日本の政治はまず第一に我々日本人の問題です。
 そして安倍政権の極右反動性をいささかも軽視してはならない。
 とはいえ、「歴史捏造主義デマ」のうち「国内限定のマター*21」ならまだしも「南京事件ガー、慰安婦ガー」は確実に中韓との関係を悪くします。だからこそ安倍も政権担当し、5年がたったものの「領土教育」とやらはともかく「南京事件ガー、慰安婦ガー」には手をつけてこなかったわけです。産経が希望するほどの態度を安倍がとるかは疑問符がつくでしょう。

 現行では、個別の記述を対象に未確定の事象を断定的に書かないことなどを求めている。

 やれやれですね。例えば「北朝鮮が犯行を認めるまでの拉致問題」ならまだしも*22南京事件慰安婦」は「日本の戦争犯罪であること」は確定的事実です。
 「南京事件慰安婦が未確定」なんつうのは

ホロコースト否定論があるから、ホロコーストの実在は未確定」
北朝鮮が否定しているから朝鮮戦争北朝鮮が始めたか、韓国が始めたかは未確定」
源義経・チンギスハン説があるから、義経の最期や、チンギスハンの出自については未確定」

並の与太です。
 かつ「未確定云々」つうなら「竹島尖閣北方領土は日本の領土です」つうのだって「中国、韓国、ロシアから異論がある以上」未確定とも言える。
 まあとはいえ「領土問題は未確定なので『日本の立場はこうです、ただし中韓ロシアには異論があり争いがあります』と断定的に書かない書き方がいい」と産経がいうかと言ったらもちろん言わないわけですが。
 まあ小生が一寸気になってるのは「征韓論について産経がどう考えてるのか」ですね。
 通説的見解とはおよそ言えませんが、征韓論否定論(毛利敏彦*23*24)が一応ありますのでね。そして以前、別記事で指摘しましたが西郷*25ファンの多い鹿児島では、「ひいきの引き倒し」というか、「西郷さんに侵略主義者であってほしくない」「むしろ江華島事件を起こした大久保*26の方が侵略主義者だ」つう思いから、毛利説支持者がかなりいるらしい。

 南京事件の犠牲者数について「20万人」といった中国側の宣伝を断定的に書くことはなくなったが、「おびただしい」などの表現で検定をパスしている。

 まず第一に「20万人」は「中国政府の見解」ではなく笠原十九司*27など、日本における通説的見解に過ぎません。むしろ中国政府の見解は30万人説ではないか。
 つうか「正確な犠牲者数はわからない」なんていったら何も南京事件に限らず、ほとんどの戦争被害はそうでしょう。
 それにしても「おびただしい」レベルで因縁をつけるとはさすが産経です。南京事件での犠牲者が「おびただしくない」と強弁する気のようです。
 「産経的には何人ならおびただしい(数が非常に多い)んですか?。千人以上、万人以上、10万人以上?。そして南京事件の犠牲者は何人だと思ってるんですか?。まさか犠牲者ゼロとかおっしゃる?」「大体明らかに今の産経の態度って蒋介石秘録で南京事件について『一説には犠牲者は40万人とも言われる』云々とかいた態度*28と違いますよねえ。いつ立場が変わったんですか?*29」ですね。

 歴史の授業は暗記する用語や年号が多く、面白くないといわれてきた。指導要領の改定を機に、国づくりに奔走してきた先人たちのドラマなどを豊かに盛り込み、さらに学びたくなる教科書の工夫を凝らしてほしい。

 歴史とは「光ばかりではなく影もある」し、「学術的な面白さ」ではなく、「産経的な面白さ(大河ドラマ的というか東映時代劇的というか)」を求めるのなら、そんなんは「歴史教育ではなく司馬遼太郎池波正太郎などの歴史小説」ででも求めてほしいもんです。
 歴史小説では

吉良上野介は悪人でそれを討ち取った赤穂浪士は英雄(忠臣蔵)」
原田甲斐は悪人ではなく悪人の汚名を着て、酒井大老や伊達兵部の陰謀から伊達家を守ったむしろ忠臣(山本周五郎『樅ノ木は残った』(新潮文庫))」
火付盗賊改方長官・長谷川平蔵は勧善懲悪のヒーロー(池波正太郎鬼平犯科帳』(文春文庫))」
「実は徳川家康関ヶ原の戦いで戦死しており、その後の家康は影武者(週刊少年ジャンプで漫画化もされた隆慶一郎影武者徳川家康』(新潮文庫)」
上杉謙信は実は女性(週刊ビッグコミックスピリッツで連載中のマンガ『雪花の虎』(東村アキコ))」
「チンギスハンは源義経週刊モーニングで連載中のマンガ『ハーン』(瀬下猛))」

でも何でも「面白ければ」いいでしょう。小生も「歴史資料を見る限り、山本周五郎のような主張には根拠はないらしい」と知っていてもYouTube動画で「樅ノ木は残った」最終回を見る*30と、

原田甲斐平幹二朗)が、酒井大老北大路欣也)の放った刺客によって、原田より先に殺害された伊達安芸*31森雅之)らとともに瀕死の重傷を負わされながら*32も、伊達家を守るためにあえて自ら『安芸殿を切ったのは自分でござる。酒井家の方は関係ない。原田の乱心でござる』『伊達家にはおとがめのないよう』と息も絶え絶えに言い、それを『酒井の陰謀』とわかりながらも、上司である酒井を追及するわけにもいかず、しかし、原田への同情の念から『よう、わかった、原田、安心せよ、伊達家は安泰じゃ』という老中・久世大和守(岡田英次

なんぞ見るとついつい感動するわけです。
 でも歴史学はそれじゃいかんわけです。歴史資料上はやはり「伊達安芸を切ったのは原田甲斐」のわけです。

*1:第三次安倍内閣復興相、自民党国対委員長を経て総務会長

*2:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*3:小泉内閣沖縄・北方等担当相、福田内閣金融担当相、自民党政調会長(谷垣、第二次安倍総裁時代)、第二次安倍内閣経産相などを経て、現在、第四次安倍内閣経済財政担当相

*4:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相を経て、第四次安倍内閣厚労相

*5:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相を歴任

*6:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て第四次安倍内閣総務相

*7:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事

*8:コール内閣環境相キリスト教民主同盟 (CDU)幹事長などを経て首相

*9:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相を歴任

*10:田中内閣文相、鈴木内閣法相、竹下内閣国土庁長官を歴任

*11:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*12:吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*13:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*14:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相

*15:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*16:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*17:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*18:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*19:党副主席、副首相、人民解放軍総参謀長などを経て党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*20:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*21:と書いたものの今すぐにはそうしたものが思い浮かびませんが

*22:小生は「そういう話がある」と何かの雑誌記事で読んだだけで実際の教科書を確かめてはいませんが、「小泉訪朝前」に「拉致問題について北朝鮮の犯行であるかのように断定調で書いていた」のが「つくる会の公民教科書」だそうです。事実ならばいつもながらでたらめな産経らウヨ一味です。

*23:著書『大久保利通』(1969年、中公新書)、『江藤新平』(1987年、中公新書)、『明治維新政治外交史研究』(2002年、吉川弘文館)、『幕末維新と佐賀藩』(2008年、中公新書

*24:毛利『明治六年政変』(1979年、中公新書)など

*25:参議、陸軍大将、近衛都督

*26:参議、大蔵卿、内務卿を歴任

*27:著書『アジアの中の日本軍』(1994年、大月書店)、『日中全面戦争と海軍:パナイ号事件の真相』(1997年、青木書店)、『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京事件三光作戦』(1999年、大月書店)、『南京事件と日本人』(2002年、柏書房)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書)、『「百人斬り競争」と南京事件』(2008年、大月書店)、『日本軍の治安戦』(2010年、岩波書店)、『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)、『日中戦争全史(上)(下)』(2017年、高文研)など

*28:これについてはたとえば誰かの妄想・はてなブログ版『「蒋介石秘録」に見る南京大虐殺http://scopedog.hatenablog.com/entry/20120226/1330258512参照

*29:マジレスすると「蒋介石の死後、国民党が中国に宥和的になってから」「むしろ民進党の方が中国と対立的(かつ国民党と政権を争うほど力をつけてきた)」という状況(1990年代後半以降?)になってからは「南京事件は中国の捏造、もちろん(南京事件が裁かれた戦犯裁判は)蒋介石政権時代なので蒋介石はデマ屋」ということに産経は躊躇がなくなったようです。蒋介石生前時(特に日中国交正常化前)は「南京事件のようなことがあっても日本との友好を重視する蒋介石を見捨てていいのか」つう論調だったんですけどね。

*30:違法動画なんだろうなという気はしますが

*31:山本小説以前は、「伊達兵部(ドラマでは佐藤慶)の側近である原田甲斐と対立し、原田によって酒井大老邸で斬殺された」と理解されてきた人物(つうか、やはり学問上は酒井の陰謀などなく、刃傷沙汰の主犯は原田のようですが(つまりやはり原田は忠臣ではない))。

*32:ドラマでは伊達家家臣・古内志摩(若林豪)が「襲撃現場に幸いいなかったため」生き残りますが、彼は「現場にいなかった」が故に事件の真相がわかる立場にありません。