今日の産経ニュース(2019年2月11日分)(追記あり)

【最初に追記】
 id:Bill_McCrearyさん記事産経新聞も、安倍や自民党の改憲に対する姿勢には相当の不満があるようだ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事をご紹介頂きました。ありがとうございます。
【追記終わり】


【主張】自民党の運動方針 憲法改正へ機運の形成を - 産経ニュース
 「機運がない」、つまり国民大多数が希望してないなら改憲の必要などないですがそれはさておき。
 「右翼的改憲の動き」をいささかも軽視してはいけませんが、産経ですら「改憲する」といえない点が興味深いですね。まずは「改憲の機運の形成」だそうです。


【正論】領土保全がプーチン思想の柱だ 北海道大学名誉教授・木村汎 - 産経ニュース
 「会員登録(無料)」しないと途中までしか読めません*1が、本文もタイトルから予想されるとおりの内容です。
 「領土保全プーチン*2思想の柱だ」から領土(北方領土)を日本に譲り渡すことは絶対にない、「返すそぶりをして、『返してほしければ日本が何かお土産をよこすのが礼儀だろう』ということで経済支援をできる限り日本から引っ張ろうとしてるだけ」、首相はプーチンにだまされるな*3(安倍政権下、あるいはプーチン政権下での返還は無理、ポストプーチンポスト安倍に期待しよう?)、今の対ロシア外交方針はやめるべきだ、つう話です。木村*4・北海道大名誉教授だけでなく、袴田茂樹上智大名誉教授や岩下明裕*5・九州大教授、浅井基文先生*6、常岡浩介、黒井文太郎なんかも「ロシアに島を返す気があるか疑問、経済支援ひっぱるネタにしてるだけじゃないか」「安倍政権は前のめり過ぎる、プーチンに手玉にとられてる」という趣旨の同じ事言ってますけど。まあ、正直、「島を返します」とロシアが明言したことは一度もないので俺も彼らに同感です。正直、俺の様なロシア専門家でない、ド素人ですら思うことです。
 ただし安倍は聞く耳持たないでしょうね。すでに「島の返還」を「大々的にぶち上げた」以上、今更方向転換する度胸は奴にはないでしょう。正直「あまりにも大々的にぶち上げた」ので「そんな機運全然ないじゃん?」「でもあんだけぶち上げるって事はなんか隠し球でもあるのか?。もしかして島が一島だけでも帰ってくる?」と思ったら何もないようだから呆れます。
 しかし産経も「こういう記事が出る一方で」、『島の返還が確約されてないのに経済支援するな、やらずぼったくりにならないか、大体何で二島先行返還方針に変更したのか、なんで四島一括をやめたのか、などと批判*7はせず安倍総理の対ロシア外交を信じよう』つう記事が載るんだから完全に混乱してますね。
 そして安倍も「島を返してほしかったらお土産もってこい」つうプーチン・ロシアには気前よく経済支援*8するくせに「拉致問題を解決するために北朝鮮に経済支援しよう」とならないんだから無茶苦茶です。


【主張】建国記念の日 国家の存続喜び祝う日に - 産経ニュース
 まあ、予想通りの産経記事ですね。
 なお、なぜ2/11かというと産経記事にも書いてありますが「神武紀元の元日=神武即位の日(太陰暦)=2/11(太陽暦)」と明治新政府が考えたからです。
 ここでは
1)神武即位なんか事実じゃない、しかも戦前の国家神道につながりがあってよくない
2)仮に「建国の日が神道由来のフィクションでもいいじゃないか」とするにしても無理に「2/11と推定」しないで素直に「元日」でええやん
つう問題があります。
 なお、建国の日については仮に定めるにしても「1/1」や「2/11」ではなく「5/3(憲法の公布日、社会党が主張)」「4/28(サンフランシスコ平和条約が発効し独立が回復された日、民社党が主張)」なんて主張もありました。


【産経抄】2月11日 - 産経ニュース

・戦前の歴史教科書は天照大神(あまてらすおおみかみ)から始まるのが定番だった。
天照大神の章では、大国主命(おおくにぬしのみこと)に使者を遣わした国譲りの神話のほか、三種の神器の由来などもつづられている。続く神武天皇の章は、日向の国から瀬戸内海を渡り紀伊、熊野を経て大和を平定した東征の物語が描かれる。道案内役の八咫烏(やたがらす)の挿絵も入って楽しい。
・かつては祖父母、親から子へと語り継がれてきたが、戦後は「作り話」などと否定され、(ボーガス注:歴史の)教科書から消えたのは寂しい。だが先人の考え方などを今に伝える貴重な遺産だ。本紙連載に加筆した『神武天皇はたしかに存在した』(産経NF文庫)は、記者が各地に残る神武東征ゆかりの場所を歩き、「初代天皇の伝承は現代も息づいている」ことを確かめた。

 で「昔はよかった」と言い出す産経です。つきあいきれません。

*1:小生は登録してるので一応全文読めます。

*2:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*3:ただし木村は産経文化人なので「プーチンにだまされるな」とはいっても「このまま総理がだまされ続ける様なら倒閣するしかない」などとは言いません。

*4:著書『新版 日露国境交渉史』(2005年、角川選書)、『プーチン 〔人間的考察〕』(2015年、藤原書店)、『プーチン 〔内政的考察〕』(2016年、藤原書店)、『プーチン 〔外交的考察〕』(2018年、藤原書店)、『プーチンとロシア人』(2018年、産経新聞出版)など

*5:著書『中・ロ国境4000キロ』(2003年、角川選書)、『北方領土問題』(2005年、中公新書)、『北方領土竹島尖閣、これが解決策』(2013年、朝日新書)、『入門 国境学』(2016年、中公新書)など

*6:経歴や著書については21世紀の日本と国際社会 浅井基文Webサイト参照

*7:まあ、そう言う批判をしてる一人がこの記事の筆者である木村ですが。また、産経にはこの木村論文と同趣旨の『袴田茂樹の安倍ロシア外交批判論文』が時々載ります。

*8:まあ多くの場合、日本企業もそうした支援事業にコミットしてもうけるのでしょうが。