黒井文太郎
「経済の為に金正恩は非核化する」という思い込みは何処から来るのかよくわかりません。
いやむしろ「北朝鮮は何があろうと非核化しない」という黒井の思い込みがどこから来るのか分かりませんが(追記:皮肉ではなく「真面目な話をすれば」後述するように「どこから来るのか」はなんとなく分かりますし、黒井の場合「思い込み」ではなく「決めつけ」でしょうが)。
「核保有は目的ではなく『体制保障』を米国に確約させるための手段」にすぎませんので「体制保障」がとれれば核廃棄するでしょう。
もちろんそれは「米国が体制保障しなければ核廃棄しないこと(無条件の核廃棄ではないこと)」を意味しますが、それは黒井のようなウヨが言う「何があろうと非核化しない」という話ではない。
そして、もちろん黒井のようなウヨの場合、こうした「北朝鮮は何があろうと非核化しない」という主張は思い込みではなく、ただの決めつけであり、「何があろうと非核化しない→交渉不要、打倒北朝鮮」「体制保障なんか出来るか、馬鹿野郎!」という救う会路線のウヨが黒井であると言うことに過ぎないわけです。
なお、黒井がいう「非核化があり得るという考えがどこから来るのか分からない」について、「北朝鮮の核廃棄は十分あり得る」つう俺からすればその根拠は、「体制保障があれば核廃棄してもいい」という趣旨のことを北朝鮮が明言してることですね。
もちろん「明言したから本心だ」つうほど話は単純ではないが「嘘だと決めつける根拠」も今のところないでしょう。
そして「綸言汗の如し*1」「覆水盆に返らず*2」なんて言葉もありますが、いったん表明した発言というものはそうそう簡単に撤回もできないわけです。例えば、だからこそ、ロシアのプーチン*3大統領やラブロフ*4外相は今に至るも「島を返す用意がある」なんて明言しない。「島を返してほしいなら米軍を置かないと事前確約すべきだ」つうのは「返す用意がある」といってるわけではない。それどころか「クリル諸島(北方領土)はロシア領と認めよ」だの「北方領土とか不法占拠とか言ってほしくない」とか日本相手にいってるのがプーチンやラブロフです。
したがって、「体制保障があれば、核廃棄の用意がある」という北朝鮮の発言は「それなりの覚悟をしてる」と見る余地がある。
米国が「分かりました、保証しましょう」といえば、道義的(?)には核廃棄せざるを得なくなるわけですから。
であるのなら「どうしても体制保障したくない」つう立場に立たない限り「なら体制保障で核廃棄を目指してはどうだろう」つう主張が出てくるのはむしろ自然です。出てこない方がむしろおかしい。
*1:皇帝が一旦発した言葉(綸言)は簡単に取り消したり訂正したりできない(だから発言には慎重になれ)という中国の格言。出典は孔子『礼記』緇衣篇(ウィキペディア参照)
*2:一度した言動はそう簡単に撤回できないという意味。太公望が周に仕官する前、ある女と結婚したが太公望は仕事もせずに本ばかり読んでいたので離縁された。太公望が周から斉に封ぜられ顕位に上ると、女は太公望に復縁を申し出た。太公望は水の入った盆を持ってきて、水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と言った。女はやってみたが当然できなかった。太公望はそれを見て、「一度こぼれた水は二度と盆の上に戻ることはない。それと同じように、私とお前との間も元に戻ることはありえないのだ。」と復縁を断ったという(ウィキペディア参照)。