「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年3/16~17分:黒坂真の巻)

■黒坂と類友のツイートに突っ込む

黒坂真
 吉岡正史さん。昭和36年7月の第八回大会で宮本顕治*1は、日本革命の最終的な形態は敵の出方により決まるから、平和的移行唯一論の春日庄次郎氏*2社会民主主義に転落したと徹底批判しました。この「敵の出方論」は、その後の大会で否定されていない。今日でも全党員を拘束する決定として残っています。

 個人的には「敵の出方論」が党綱領に残っているのなら削除した方がいいと思いますがそれはさておき。昭和36年時点ですら「敵の出方論」は「政府が公然と白昼堂々、共産党員を暗殺するような異常事態では平和的手段にこだわることは適切ではない」という例外ケースに過ぎません。
 だからこそ日本共産党新左翼連合赤軍など)のテロ行為を批判したわけです。「敵の出方論ガー」という黒坂の物言いはデマでしかありません。

黒坂真
‏ 清水ただしさん。朝鮮労働党の在日本非公然組織が運営しているパチンコ店は利益の相当部分を金日成金正日に献上してきたはずです。韓光熙「わが朝鮮総連罪と罰」(文芸春秋)に詳しく出ています。この件を、日本共産党国会議員が国会で取り上げられますか。不破氏の逆鱗に触れる可能性有。

 そもそも黒坂がリツイートした「清水氏のツイート」が

清水ただし
‏ パチンコ・パチスロの(ボーガス注:たばこなど、出玉と交換される商品の)換金を禁止することができれば、射幸心を低減させ、のめり込む人を少なくすることができます。まずはそこから取り組みませんか。(ボーガス注:商品の換金を禁止すると共に、高額商品の提供を禁じ)名実共に「遊技」にすればいいのです。韓国のように安倍政権が一気に全国すべてのパチンコ店を廃止するのは(ボーガス注:大多数の国民がパチンコ全面禁止を支持してない以上、)現実的ではありませんから

という物であることを考えれば、清水ツイート「パチンコ商品の換金行為を禁止すれば、それだけでも現状の改善になる」と全く関係ないツイート「在日系パチンコ店から北朝鮮に送金ガー」を始める黒坂は非常識の極みでしょう。
 なお、「この件を取り上げられるか」て、黒坂は「どう取り上げろ」というのか。
 そもそも第一に「そんなことが事実として国会に持ち出せるほどの証拠があるのか」という話です。
 第二に仮に送金している*3として「それが違法行為でなければ」取り上げようがないでしょう。「合法行為でも取り上げろ」というなら、黒坂はどのように取り上げてほしいのか。
 第三にうかつにそんなことをしたらパチンコ業界に対する不当な営業妨害になりかねません。「不破氏の逆鱗」とか黒坂はバカも大概にしろという話です。
 大体そんなに取り上げてほしいのなら、共産党ではなく「大好きな自民党」にでも依頼したらどうなのか。自民党がそうしないと言うことは要するに「そもそもそんな物は国会に出せない」つうことでしょう。

黒坂真リツイート
ウンちゃん
‏・不破哲三共産党元委員長は拉致問題について国会で「『疑いがある』というのが今の結論なんですよ。『疑いがある』段階から出ていないんですよ」「その段階にふさわしい交渉をしないと(ボーガス注:いけない)」と事実上交渉すべきでないとしながら、また事件を隠そうとするものでしたね

 拉致を「事実だと断言できる証拠がない」ので「事実だと決めつけて交渉してはいけない」が「疑惑がある以上、交渉しないわけにはいかない」、だから「これこれ、こう言う理由で我々は北朝鮮には拉致疑惑があると思うが、これについて釈明してくれ」という形で北朝鮮と交渉すべきだと思うという不破氏の態度はもちろん「交渉すべきでない」などという話ではありません。本気で言ってるならただのバカです。
 うかつに「事実扱いした場合」、堀江ガセネタメールの一件(自民党が逆襲し前原*4民主党代表を辞任)のように「指摘の一部だけでも事実でなかった場合」は「ガセを事実扱いするような奴とは交渉しない」と逆襲を食らってかえって厄介なことになりかねません。
 もちろんこれは北朝鮮拉致に限った話じゃない。金大中拉致にせよ、最近の「サウジによる記者殺害」にせよ、何にせよ「韓国やサウジの犯行」などと断定できる証拠がなければ当然ながら「疑惑がある」という形でしか問題は提起できません。

黒坂真
‏ 昔の日本共産党は、ハンガリーでの市民の蜂起にソ連軍が介入したことを支持しました。

 ハンガリー動乱(1956年)直後は確かにその通りであり、その点は批判されても仕方ないでしょうが、もちろんその後、見解は訂正されています(訂正がいつ、どんな経緯か、まではよく知りませんが)。そして未だに「日中戦争、太平洋戦争」を詭弁で正当化する黒坂らウヨよりは「誤りを是正した共産党」の方が何倍もましです。
 「その後見解が訂正されたこと」に全く触れない黒坂の物言いはデマ中傷も甚だしいと言うべきでしょう。なお、共産党は「中国の文革(1966~1976年)」「ソ連チェコ侵攻(1968年)、アフガン侵攻(1979年)」「カンボジアポルポト政権の虐殺疑惑*5(1975~1979年)」「北朝鮮ラングーン事件(1983年)、大韓機爆破事件(1987年)」などについては当初から厳しく批判しています。こうした「共産国への一定の批判」が今も日本共産党が一定の政治力を保有している「大きな理由の一つ」であることは言うまでもないでしょう。
 一方「党勢については様々な理由があるので単純評価は出来ませんが」、不破氏*6、志位氏*7などが言うように「チェコ侵攻」などを容認してしまった「米国共産党」「フランス共産党」などはソ連崩壊後、厳しい立場に追い込まれるわけです。もちろん「過大評価は禁物」ですが、現在は「過去の批判的総括」がなされ、一時の最悪の状態は脱し、わずかながらも米国共産党フランス共産党も復調傾向にあるそうですが(ウィキペディア「米国共産党」「フランス共産党」参照)。

黒坂真
‏ 昭和31年のハンガリー事件に対する評価を日本共産党が変えたのは、確か昭和57年頃です。

 「いやその後、共産党は見解変更してるよね?。今もソ連の行為を支持してはいないよね?」という突っ込みに対する黒坂の応答です。
 吹き出しました。「いやその後、共産党は見解変更してるよね?」と聞かれない限り、自分からは言わない不誠実な態度も酷いですが「昭和57年(1982年)頃」なら「それなりの評価」に値するでしょう。小生は「上に書いたように」このあたり非常に無知なので「明確な形で変更を表明した」のは

ソ連チェコ侵攻を批判した頃(1968年)
ソ連のアフガン侵攻を批判した頃(1979年)
ゴルバチョフソ連書記長就任、ペレストロイカ開始後(1985年)
ソ連崩壊後(1991年)
宮本顕治*8の議長辞任後(1997年)
宮本顕治氏の死後(2007年)

の「どれなんだろう?」と思っていました。

*1:書記長、委員長、議長を歴任

*2:1903~1976年。元日本共産党中央委員。第8回大会の方針に反対して離党届を提出。それに対して反党活動として除名処分がなされた。その後、春日は社会主義革新運動(社革)、統一社会主義同盟(統社同)に参加(ウィキペディア「春日庄次郎」参照)。

*3:ただし経済制裁以降は多額の送金は無理だったかと思いますが。

*4:鳩山内閣国交相菅内閣外相、民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相、民進党代表など歴任

*5:事件当初はあくまでも疑惑です。

*6:日本共産党書記局長、委員長、議長を歴任。元衆議院議員(1969~2003年)。現在、党中央委員会常任幹部会委員、党付属社会科学研究所所長。著書『古典への旅』(1987年、新日本新書)、『科学的社会主義における民主主義の探究』(1990年、新日本出版社)、『私の宮本百合子論』(1991年、新日本出版社)、『史的唯物論研究』(1994年、新日本出版社)、『マルクスエンゲルス百年』(1996年、新日本出版社)、『科学的社会主義を学ぶ』(2001年、新日本出版社)、『歴史教科書と日本の戦争』(2001年、小学館)、『古典研究 議会の多数を得ての革命』、『古典研究 マルクス未来社会論』(以上、2004年、新日本出版社)、『私の戦後六〇年』(2005年、新潮社)、『憲法対決の全体像』(2007年、新日本出版社)、『小林多喜二 時代への挑戦』(2008年、新日本出版社)、『マルクスは生きている』(2009年、平凡社新書)、『日米核密約』(2010年、新日本出版社)、『不破哲三 時代の証言』(2011年、中央公論新社)、『「資本論」はどのようにして形成されたか』(2012年、新日本出版社)、『歴史から学ぶ:日本共産党史を中心に』(2013年、新日本出版社)、『マルクス資本論」発掘・追跡・探究』(2015年、新日本出版社)『科学的社会主義の理論の発展』(2015年、学習の友社)、『「資本論」刊行150年に寄せて』(2017年、日本共産党中央委員会出版局)、『「資本論」のなかの未来社会論』(2019年、新日本出版社)など

*7:日本共産党書記局長を経て委員長。衆院議員。著書『科学的社会主義とは何か』(1992年、新日本新書)、『韓国・パキスタンを訪問して』、『教育基本法改定のどこが問題か』(以上、2006年、新日本出版社)、『日本共産党とはどんな党か』、『ベトナム 友好と連帯の旅』(以上、2007年、新日本出版社)、『アメリカを訪問して』(2010年、新日本出版社)、『領土問題をどう解決するか:尖閣竹島、千島』(2012年、新日本出版社)、『戦争か平和か:歴史の岐路と日本共産党』(2014年、新日本出版社)、『歴史の偽造は許されない:「河野談話」と日本軍「慰安婦」問題の真実』(2014年、日本共産党中央委員会出版局)など

*8:日本共産党書記長、委員長、議長を歴任。一時、参院議員(1977~1989年の2期12年)を務めた