今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年7月10分)(追記あり)

【最初に追記】
 この拙記事をなんとも無様で無残な話だと思う(拉致被害者家族の有本明弘氏) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)で紹介頂きました。ありがとうございます。
【追記終わり】

神戸新聞NEXT|総合|「安倍外交、どう見ますか」有本さん父、在日コリアンに聞く

「この6年半、拉致問題は進んでいないが…、北朝鮮にモノが言える政治家は安倍首相しかいない」
 神戸市出身で北朝鮮による拉致被害者有本恵子さん=失踪当時(23)=の父明弘さん(91)は、自らに言い聞かせるように語る。

 「有本はバカか」と心底呆れますね。なぜ「拉致被害者帰国」という成果を上げた小泉氏を評価せず、何の成果も上げない安倍など評価するのか。それにしても評価の仕方もお粗末です。
 「成果は上げてないが、ガツンと物を言っている」て。そんなことで溜飲が下がれば「娘がいつまでも帰ってこなくても」有本は満足なのか。
 91歳という年齢では「いつ死去してもおかしくない」でしょうに。それとも「安倍や救う会を万歳し続け、田中均氏や蓮池透氏に敵対した自分の愚かさ」を今更認めたくないのか。
 「米国に言われるがまま、中国から撤退したら、日中戦争で死んだ英霊に申し訳が立たない」として米国との戦争に踏み切った「戦前日本政府」と同じような考えが今の有本なのか。

「外交は票にならないとされ、拉致問題に熱心な政治家*1が減っている」

 馬鹿馬鹿しい。拉致なんか票になるわけがないでしょう。当事者は「政府認定拉致被害者」しかいないから多くの人間は無関心です。そして解決法は「日朝外交」以外にないから、「大きな枠組みでは」与野党で「政策を差別化しようがない」。しかも「日朝交渉」を主張すると救う会や家族会が「北朝鮮シンパか」などと無茶苦茶な攻撃をしてくるから誰もそんなこと言いたがらない。
 だからこそ「増元照明」は2004年に参院東京選挙区(当時、定数4)に出馬したとき、「自民党から出たかった」のに自民党の公認がもらえなかったし、選挙結果は落選しただけではなく「増元が敵視している共産党」よりも少ない得票数でしかなかったわけです。
 2014年に衆院選に出馬したときも「泡沫政党・次世代」「次世代に言われるがままに増元となんのつながりもない宮城選挙区から出馬」「2004年の参院選が定数4に対し、今度は定数1」「当時は拉致もまだ風化してなかったのに落選、今回は完全に風化」なのだから選挙前から「ほぼ100パー落選確実」が予想されました。そして実際落選しました。
 安倍が「第二次安倍内閣」を作るときにアピールしたのはアベノミクスだし、その後も安倍がぶち上げたのは「働き方改革」だの「対ロシア外交」だのであって拉致では全くありません。

 「残念としか言いようがない」。
 在日本大韓民国民団兵庫県地方本部の李圭燮(イキュソプ)団長(71)は、先の見えない対立に陥った日韓関係を嘆く。

 どうせ民団関係者に話を聞くなら、神戸新聞は有本に「日韓関係の悪化をどう思いますか」「それで拉致が解決すると思いますか?」と聞いたらどうですかね。まあどうせ有本は本気か「安倍や救う会へのこびへつらいか」はともかく「韓国が悪い、安倍総理は悪くない」というのでしょうが。もはや家族会はただの右翼団体であり、「日本の右傾化を助長した団体」として「アンチ右翼」の俺は家族会には怒りしかありませんね。


【主張】輸出管理の厳格化 韓国は不毛な非難やめよ - 産経ニュース
 「不毛な行為」は安倍の方ですし、韓国の態度は今のところ「穏やかなもん」です。速攻でWTO提訴や対抗報復措置かと思いきやそこまではいっていません(後述するように「報復措置」はともかく「欧米や日本も過去に何度もやっている当然の権利」WTO提訴は十分今後ありうると思いますが)。
 おそらくは
1)「在庫が当面ある(すぐに実害は出ない)」
2)従来、規制免除していたのを「規制復活(一応これが原則ではあります)」しただけなので、多少手間がかかるとは言え禁輸ではない(従って建前では、他の規制対象国と同等の規制でなければならず、韓国だけ不当に厳しくすれば違法の疑いが高まる)
3)しばらくは国内外に安倍の行為の不当性を訴えると共に、他国からの購入で乗り切る構え
4)日本企業(韓国から半導体を購入or韓国に半導体材料を販売)にとってダメージゼロではあり得ないので日本国内の安倍批判にも期待する
といったところでしょうか。
 とはいえいつまでも韓国も甘くはないでしょう。「対抗報復措置」はとらないにしても「国際法上、当然の権利」であり「日本や欧米も含め」多くの国が既に行使したことがあるWTO提訴は「安倍の態度がこのままなら」当然「いずれはする」でしょう。
 なお、「日本芸能人が韓国進出したり、韓国人観光客が日本に来たり」でわかるように今や韓国は日本にとって大事なお得意様です。
 「韓国側は今のところ冷静な対応」ですし、たぶん今後も「大きな動きとしては」そういうことはないのでしょうが「日本製品不買運動の広がり」だの「韓国政府の報復対抗措置」だのなったら日本も相当のダメージであり、産経や安倍が考えてるほど日本が有利なわけでは全くないでしょう。まあ、このあたりは「朝鮮戦争では敵国だった中国、ロシア、北朝鮮(昔ほどではないにせよ今とて関係は微妙でしょう)」とのつきあいで「胆力が身についた」つうところがあるかもしれません。


韓国違法輸出、4年で156件 ウラン濃縮用機械など :日本経済新聞
兵器に転用可能…韓国「不正輸出リスト」を独自入手! サリンやVXの原材料も第三国に - FNN.jpプライムオンライン

韓国違法輸出、4年で156件 ウラン濃縮用機械など :日本経済新聞
・韓国の産業通商資源省は10日、2015年から19年3月までに戦略物資の東南アジアや中国、中東諸国などへの違法輸出が156件に上ったと明らかにした。
・韓国政府は10日の発表内容について「輸出管理が効果的にされている証左」と主張した。

 さて日経のこの記事がフジテレビにかかるとこうなります。

兵器に転用可能…韓国「不正輸出リスト」を独自入手! サリンやVXの原材料も第三国に - FNN.jpプライムオンライン*2
 FNNが韓国政府作成の「不正輸出」リストを独自入手した。
 リストによると兵器に転用可能な物資が第三国に不正に輸出されていたことが判明。2015年から2019年3月にかけて、韓国から無許可で輸出された案件は156件に上っている。

 誰しも思うのは「アレ、おかしいな。日経が韓国政府発表だと報じてる物が何でフジだと独自スクープなの?」「しかもフジは『安倍政権の制裁行為の妥当性が証明された』みたいな報道ぶりだけど、日経報道だとどう見ても韓国政府が『安倍自民への反論として発表した』としか理解できないんだけど?」ですね。
 まあおそらく「フジテレビ(つうかフジサンケイグループ)のいつものデマ報道」なんでしょうね。日経が韓国政府を無理にかばう動機などないであろう一方、フジは「無理してでも韓国を誹謗したい、そして安倍閣下を擁護したい」という黒い欲望に満ちあふれてるわけです。と言うか普通に考えてそんな事実(この不正リストとやらの存在が安倍の制裁行為の合法性や妥当性を裏付ける)があるなら「安倍応援団フジの自称スクープ」なんてわけの分からない形ではなく安倍政権がまともに発表してるでしょう。必死に安倍一味がひねくりだした「正当化材料」がこれで、しかし実は本当は正当化できるようなネタでは全くなく、日本政府発表として公然と言えないので「フジにネタ提供した」つうところでしょうか。都合が悪くなれば「フジテレビの報道に日本政府は関係ない」と言って逃げる気満満でしょう。
 いずれにせよさすがに「徴用工判決ガー(当初の安倍主張)」ではWTO提訴されたら負けるしかないことは「馬鹿な安倍」も次第に「周囲のレクチャーでわかりはじめた」わけです。その結果「本音はともかく建前では『軍事転用ガー(制度の建前、目的)』というしかない」と「やっと理解し」その方向に動いたわけですが、まあ当初散々「徴用工判決ガー」いってますので本音はモロバレです。やはりWTOに提訴されたら敗訴するかと思います。まあでも「他の日本メディア(朝日、毎日、日経など)はともかく少なくとも安倍応援団・フジ産経」は「軍事転用ガー」を言い続けるのでしょう(しかし産経も当初散々「徴用工判決ガー」いってますので本音はモロバレです)。
【追記】
韓国政府が輸出管理を行っている公開済みの証拠を【独自】とつけて不正輸出の証拠にでっち上げる産経式のやり方に騙される日本社会 - 誰かの妄想・はてなブログ版
 「やはり予想通りデマ記事か」ですね。やはり「韓国政府の公式発表(それもきちんと韓国は法規制をしてるとする趣旨の公式発表*3)」を「安倍政権の制裁の正当性を証明する独自スクープ」とデマってたわけです。
 それにしてもフジ報道に「安倍擁護のコメント」した「元・国連安保理北朝鮮制裁委パネル委員」古川某氏*4は完全に信用性を失いましたね。「パネル委員時代の昔」から彼がこうだったのか、最近このように劣化したのかはともかく。逆に「安倍政権は間違ってる」と言えば信用性が上がったでしょうにねえ。
 なおid:scopedog氏の記事については
何をいまさらながら、実に無様で無残でな有様だと思う(フジテレビのデマ報道) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でもコメントがされていますので是非ご覧下さい。


日韓貿易戦争になれば、中国に「漁夫の利」を与えるだけで終わる理由 | 長内 厚のエレキの深層 | ダイヤモンド・オンライン長内厚(早稲田大学大学院経営管理研究科教授)
 櫻井よしことつながりを切ってもダイヤモンドは「嫌韓国ウヨ商売」をやめる気はないようです。
 「WTO違反じゃない(勿論正当な理由がなければWTO違反行為です、そして今のところ安倍は正当と見なせる理由を何一つ提出していません、もちろん「徴用工判決ガー」は正当な理由じゃありません)」だの「日本企業には不利益はないが韓国企業には不利益がある(いやいや日本企業は韓国から半導体を購入していますし、日本のフッ化水素メーカーは韓国が重要な買い手だったわけです。日本に不利益はないなんてことはあるわけもないでしょう)」だのデタラメなことがよくも抜かせるもんです。
 これが早稲田大学教授だというのだから心底呆れます。
 しかも最後に「韓国が中国からフッ化水素を購入するなどして中国との関係を深めたら日本企業が困る」と言い出すのだから「はあ?」「日本が困るのか困らないのかどっちなんだよ!」ですね。それでも「日本は正当な抗議をしただけで、それに応じない韓国が悪い」と言い続けるのだから「アホか?」ですね。ウィキペディア「長内厚」によれば「早稲田大学台湾研究所研究員」だそうなので「嫌韓国」「親台湾」の結論ありきの右翼なんでしょう。
 そもそも「徴用工判決ガー」なんて正当な抗議じゃないし、仮に正当な抗議でも「手段は何でも許される」わけじゃありません。


日本を根底から変えた拉致問題とその後の17年 - 樋口大二|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

 太田昌国著『「拉致」異論』は15年にわたって版を改めながら3度刊行されるという、時事的な評論集としては異色の経歴を持っている。

 根底から変えたかどうかはともかく*5、「極右」安倍が拉致を悪用して「自民党幹事長、小泉内閣官房長官、首相」に成り上がり、その結果日本の右傾化が助長されたことは事実です。
 しかし太田氏の著書が刊行されたのは大分前のことですが「やっと朝日が取り上げるのか」ですね。それだけ拉致も風化し、冷静な議論がしやすくなったということでしょう。

 太田さんは、2002年の小泉訪朝後、「拉致非難」一色に塗りつぶされて植民地支配の歴史を相殺してしまうような国内世論を批判する一方、それまで北朝鮮の拉致を認めてこなかった「左派」や「リベラル」の言論についても厳しい態度をとった。

 そもそも「拉致疑惑」を政府が最初に認めた「梶山*6国家公安委員長答弁」「宇野*7外相答弁」を引き出したのは「橋本敦・日本共産党参院議員」です。
 「拉致を認めてこなかった左派やリベラル」などというのはやめてほしいですね。「日本共産党を馬鹿にしてるのか」「太田、手前何様だ。手前だけは正しいと自画自賛して自慢したいのか」「朝日新聞もふざけんな」といいたくなります(小生は太田氏の本を過去に一冊も読んでいないですが、「この共産党への無礼な暴言が共産党支持者として許せない」ので、今後も読まないと思います。彼のような「家族会、救う会批判」なら蓮池透氏、和田春樹氏など、他にも書き手はいますので)。
 というか「北朝鮮工作員が逮捕されて裁かれたラングーン事件や大韓機爆破事件」ならまだしも「小泉訪朝」まで拉致は「灰色の疑惑」にすぎません。
 「認めてこなかった」などと非難されるいわれは全くないと俺は思いますね。
 「南京事件否定論」「河野談話否定論」「ホロコースト否定論」などといった明らかなデマとはわけが違います。
 拉致疑惑に近いのは例えば「カチンの森虐殺(ポーランド軍将校虐殺)」じゃないですかね(ウィキペディアカティンの森事件」だけでもある程度事件の概要は分かります)。アレは「スターリンの犯行」だったわけですが、それをソ連は「スターリン死後も」、ゴルバチョフが改革路線をはじめるまで長い間認めませんでした。
 「ナチの犯行じゃないか」と言い続けたわけです。そして「スターリンの犯行だ」と言う決定的証拠も、ゴルバチョフが犯行を認めるまで残念ながらありませんでした。
 実は「ゴルゴ13の初期作品」で「カチン事件」が出てくる*8作品『みな殺しの森』(たとえばみな殺しの森 | ゴルゴ・ナビ(GOL-NAVI)ゴルゴ13第13巻-2みな殺しの森 - ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』参照)がありますが、この作品発表当時(1972年)は「ソ連がまだ犯行を認めてない」ので、作品内においては「ナチ犯行説」「ソ連犯行説」の2つが紹介されるにとどまっています。
 そして、「ソ連犯行疑惑が灰色のため」、「対ドイツ、対日戦にソ連の協力を得る必要があったこと」もあり、「共産党シンパどころか保守派*9」である事件当時のルーズベルト米国大統領やチャーチル英国首相もこの問題を大きく騒ぎ立て、ソ連批判することはしませんでした。
 拉致疑惑で日本左翼批判なんてカチン問題で「ルーズベルトチャーチル批判」位無茶苦茶でしょう。
 一方赤狩り時代になると、この件は、「赤狩りの中心人物として悪名高い」マッカーシーなど米国の反共右派によってソ連攻撃材料の一つにされます。こうしてみると「カチンの森を巡る米国の動向」は「拉致をめぐる日本の動向」にやや似ているのではないか。

*1:有本の場合「アンチ北朝鮮の右翼政治家=拉致に熱心」だからお話になりません。

*2:追記:「うかつにも」ネットでの指摘で「はじめて」気づきましたが「4年で156件」なら朴クネ政権時代も含まれてますね(文氏は2017年5月に大統領に就任したので現時点では約2年)。「文氏を批判するのに」朴クネ政権時代の事例を入れるのは明らかにおかしいでしょう。そもそも朴クネ時代から問題があるなら「朴時代になぜ制裁しなかったのか」つう話です。かつ、これは「文政権時代だけではたいした数にならないので朴クネ時代もぶっ込んで水増しした」と言う疑いもありますね。

*3:そうした公式発表の是非はひとまずおきます。そうした公式発表がされてるのにその事実を無視してこんな報道をするフジの態度は無茶苦茶でしかありません。

*4:著書『北朝鮮 核の資金源:「国連捜査」秘録』(2017年、新潮社)

*5:というのは「安倍が成り上がる前」の「石原都知事」「つくる会教科書」などの極右政治家、極右政治運動の存在を考えれば「単に隠されていた物が表に出ただけ」と見なすことも可能だからです。

*6:竹下内閣国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任

*7:田中内閣防衛庁長官福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*8:とはいえメインテーマではないですが。ゴルゴの犯行現場が皮肉にもカチン事件の近くだという似すぎません。

*9:とはいえ民主党ルーズベルトは、共和党よりは左寄りではあるでしょうが。