高世仁に突っ込む(2019年10/25分)

香港「銅鑼湾書店事件」の真相2 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 高世仁に突っ込む(2019年10/23分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた香港「銅鑼湾書店事件」の真相 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。

 アメリカはいま、世界の警察官どころか世界の愚連隊*1だ。どんどん混乱を拡大するばかりか、世界秩序の担い手をロシア、中国というヤクザに委ねようとしている。

 「米軍撤退の是非」はともかく、シリアから米軍が撤退した程度で高世も無茶苦茶言うもんです(仮にもロシアや中国という国家をヤクザ呼ばわり*2も非常識ですが)。
 まずシリアからの米軍撤退には中国は関係ありません。中国は別にシリアに軍事、政治介入しているわけではない。「高世に対し善意に解釈すれば」高世は別の件を「世界秩序の担い手を中国に委ねようとしている」と言っているのかもしれませんが、ここではシリアの話しか出さないのでその別の件がなんだかさっぱり分かりません。
 第二に、シリアからの撤退は「トルコのクルド攻撃」を誘発し、「クルドを支持するかのような態度を見せたロシア」が政治介入し、「ロシアとがちのケンカはしたくない」トルコがロシアと手打ちすることによって「ロシアのシリアでの政治力増大」をおそらくもたらしましたが、米軍撤退自体はロシアの介入を意図したもんではありません。トランプの脳内にはせいぜい「トルコとは対立したくない、対立してまでクルドに肩入れしたくない」程度の考えしかないでしょう。
 第三に「シリアイコール世界秩序」ではない。ロシアが海外で政治、軍事介入してるのなんてシリアと「ウクライナのクリミア(今は事実上のロシア領)」ぐらいではないのか。

 《トランプ米大統領は23日、トルコがシリア北東部のクルド人勢力に対する攻撃の停止に同意したことを受け、対トルコ制裁を全面解除すると発表した。
 ただし連邦議会ではこの直前、国務省のジェフリー・シリア担当特別代表がトルコの侵攻を「悲劇」と形容し、トルコを後ろ盾とする勢力が戦争犯罪に関与した可能性が高いとの見方を示していた。
 トランプ氏はホワイトハウスでの演説で、「人々からは素晴らしい成果だという声が上がっている。我々は良い仕事をして多くの人命を救った」と主張。トルコのエルドアン大統領を称賛し、同氏が近く訪米する予定だと示唆した。》(CNN24日)
 トルコのクルド人殺害、虐待を「素晴らしい成果」として称賛し制裁を全面解除するというのだから絶句するしかない。

 トランプ発言の是非はともかく、絶句するのは「高世の無茶苦茶なトランプ非難」ですね。
 ここでトランプが言う「素晴らしい成果」とは高世が言う「トルコのクルド人殺害、虐待」ではなく「(トランプの理解では、米国の対トルコ経済制裁によってもたらされた)トルコの停戦合意」であることは前後の文脈から明白でしょうに。
 この高世の文を『高世に対し善意に解釈』すれば「停戦合意しても、合意が今後破られるかもしれないし、停戦合意したところで過去にトルコが奪ったクルドの命がよみがえるわけでもない!。何が『停戦合意は我々のトルコ経済制裁によって生まれた、素晴らしい成果』『だから制裁は解除する』だ!。トランプはふざけんな。トルコに甘いのも大概にしろ」つう話かもしれませんが。

 記事にある、戦争犯罪に関与したとされる「トルコを後ろ盾とする勢力」とは、トルコから支援を受けてきた「自由シリア軍」を含む反政府武装勢力で、トルコの言いなりになってクルド勢力を攻撃し、非人道的行為に手を染めているのだろう。自由のために戦うとの大義からは遠ざかり、トルコ軍の傘下でクルド人を虐待、虐殺しているとは悲しいかぎりだ。

 高世が今回批判する前から各方面(クルド側、アサド&プーチン側、欧米側)から「トルコの支援を受ける親トルコ系武装勢力エルドアンのいいなりにクルド攻撃しており、奴らにはアサドやプーチンを非難する資格は何一つない」つう批判はありました。にもかかわらずそれを無視して「ほとんど全ての反アサド勢力」を手放しで礼賛してきた高世もついに「トルコの支援を受けるトルコ系武装勢力」は批判することに決めたようです。
 そもそもトルコ系武装勢力に「自由のためにアサドと戦う」と言う大義があったのかどうかすら今となっては怪しいでしょう。

9月初め、私は台北に店長だった林氏を訪ね事件の真相を聞いた。

Q:どのように身柄を拘束されたのか?
「香港から広東省羅湖に入境するとき、税関で突然、理由も告げられず、逮捕状も示されずに拘束された。寧波に連行され監禁された。移動中は手錠をはめられ、目隠しをされた上に布を頭にかぶせられた。」
Q:なぜ、書店の関係者を拘束したと思うか?
「私の場合は中国の政権を転覆させるための書籍を売った、反革命だと糾弾されて、懺悔する文書を書かされた。『禁書』について尋問されたが、それを誰が書いたか、そのもとの情報をどうやって入手したかに関心があったようだ」
(つづく)

 特にコメントなしで紹介だけしておきます。

*1:いやいや、ずっと昔、例えばピノチェトクーデターを支援したときから「世界の愚連隊」でしょう。アメリカは長年、自国の国益のために活動してきただけです(「自国の国益最優先」は勿論高世が非難するロシア(昔はソ連)や中国も同じですが)。それを歴代米国政府が「世界の警察官」と強弁してきたのに対しトランプは露骨に「アメリカファーストで何が悪い」と居直ってるだけです。

*2:軍事力行使に正当性があるか疑わしいからロシアをヤクザ呼ばわりしていいというなら米国も立派にヤクザでしょう。まさか高世は「米国の軍事力行為は常に適切だ」とでも強弁する気なのか。