高世仁に突っ込む(2019年11月13日分)

香港警察に「報復」を叫ぶ若者たち - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 全てのデモ隊がそうではないでしょうが、もはや一部のデモ隊は「かけらも評価できない暴徒に成り下がった」と言うのが俺の評価です。
 「報復を叫んで暴力行為をエスカレートさせて」どうするのか。それで事態が改善するのか。
 そんなもんは中国批判派ですら多くの人間はとても支持できないし、中国側からすればむしろこうした暴徒化は「思うつぼ」ではないか。
 まあ、別にそうした暴徒化を狙って銃撃したわけではなく、暴力デモ隊に対抗しようとして現場の警官が強硬手段に打って出ただけでしょうが。
 銃撃を正当化はしませんが、暴力デモは警官を敵視し暴力をエスカレートさせる、一方で上(香港当局)からは「なんとかして鎮圧しろ、多少乱暴でもかまわない」と突き上げられるという状況では現場の警官が銃撃したくなる条件はそろっています。
 いずれにせよ「暴力のエスカレート」は鎮圧のいい口実になるし、「いわゆる親中国派が不利」とされる区議会議員選挙を延期する口実にも出来るかもしれない。いや正直ここまで酷くなると口実ではなく本当に「選挙を延期した方がいい」かもしれないし、うがった見方をすれば暴力デモの目的は「選挙延期」かもしれません。
 「民主派が多少躍進したって意味なんかない」という悲観論から暴力に走ってる疑いが否定できないのではないか。そう言う意味では銃撃事件は「平和的デモ隊はともかく」むしろ暴力デモ隊にとって「暴力をエスカレートさせる口実が出来て好都合」ではないのか。
 

 5ヶ月続く抗議活動で、香港の経済が悪化しているのはたしかだ。交通機関のマヒで仕事に差し支える人もいるし、市民の間で利害対立が起き、傷つけあうことも多くなってきている。
 それでも、「世なおし」のために、中高生を含む学生たちが授業ボイコットをし、多くの市民が経済の悪化さえも耐えようとしている。むしろ経済に打撃を与えることで政権に圧力をかけ事態を動かそうとしている。これはもう革命である。

 やれやれですね。高世のように暴力デモを「世直し」「革命」などと美化するのは論外でしょうよ。
 「経済に打撃を与え」事態は変わるのか。香港当局は明らかに「不当な暴力には屈しない」と言う態度です。
 海外世論も「欧米諸国も含め」
1)暴力デモへの反発や
2)中国ビジネスの重要性からそれほどには中国に批判的ではない。
 むしろ「暴力デモの奴ら許せない」と彼らのせいで苦しむ香港の一般庶民を敵に回すだけではないのか。

【参考:中国ビジネスの重要性】
 まあこういう事態にただただ、「中国ビジネスがそんなに大事か!」と英仏独などに悪口しかしないのが阿部治平やI濱Y子女史、M谷N子女史ら「中国大嫌い人間」のわけです。
 しかしid:Mukke先生が「ノルウェーに霞を食えとは言えない」と言う「素晴らしいお言葉*1」を残されたように

・英仏独に霞を食えとは言えない
マクロンメルケルに霞を食えとは言えない
・ブリティッシュ・スチール社員に霞を食えとは言えない

わけです。

独、中国に投資増促す 首脳会談 香港「平和解決を」 (写真=AP) :日本経済新聞2019年9月6日
・訪中しているドイツのメルケル*2首相は6日、中国の李克強*3(リー・クォーチャン)首相、習近平(シー・ジンピン)*4国家主席と相次いで会談した。メルケル氏は李氏との会談冒頭で「あらゆる中国企業のドイツへの投資を歓迎する」と語り、独景気の浮揚に向けて投資促進を求めた。
メルケル氏は6~7日の日程で中国を訪問している。メルケル氏には独自動車メーカー首脳ら企業経営者らが同行している。ドイツの最大の貿易相手は中国。ドイツ経済は輸出不振で減速感が強まっている。米中対立で景気に不安を抱える両国が経済連携で一致した。
・一方、メルケル氏は香港情勢を巡り、李氏との会談後の共同記者会見で「暴力は防がなければならない。対話のみが役立つ」と述べ、平和的解決を促した。「市民の権利と自由は認められるべきだと強調した」とも指摘した。
 香港で「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする抗議活動が始まって以来、中国を訪問する最初の西側の主要国首脳としてメルケル氏の対応に注目が集まっていた。
 メルケル氏の発言に対し、李氏は香港政府を支持し「一国二制度」を堅持するという従来の原則的立場を繰り返した。
 メルケル氏の訪中を前に、2014年に香港で起きた雨傘運動の学生リーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らはメルケル氏に書簡を送っていた。「独裁的で不公平な体制に対する勇気と決意をみせてくれることを望んでいます」などと訴えた。
 メルケル氏は以前、民主活動家で事実上の獄中死を遂げた劉暁波*5の妻、劉霞さんの出国許可を中国政府に働きかけ、ドイツで受け入れたことがある。経済協力を優先し、(ボーガス注:一定の苦言は呈したものの)中国を刺激しかねない香港問題での突っ込んだ発言は避けたもようだ。

中仏首脳、「パリ協定」維持で協力 (写真=ロイター) :日本経済新聞2019年11月6日
・行動計画には中仏の巨額の商談内容も盛り込まれた。中心となるのが欧州エアバスの旅客機の購入だ。「中仏は(最新鋭の旅客機の)A350の完成と引き渡しを推進する」と明記した。エアバスの新型プロペラ機やヘリコプターも購入する可能性を示唆している。
 フランスの農産品を中国が大量に購入する方針も盛り込んだ。ロイター通信によると、フランス企業20社が中国に鶏肉・牛肉・豚肉を輸出する許可を得た。カモ、ガチョウ、フォアグラなども含まれるという。
・習氏とマクロン*6は5日に上海で開いた中国国際輸入博覧会を見学。中国国営中央テレビ(CCTV)はフランス館でマクロン氏が習氏にフランス産のワインや牛肉を勧める場面を映した。
・中国の原発大手「広核集団」とフランスの電力会社で連携に向けた交渉を両首脳が後押しする方針で一致した。第三国市場での連携にも言及した。マクロン氏の訪中でまとまった商談は150億ドル(1兆6200億円)になるもようだ。
 中国共産党の習指導部は貿易や安全保障を巡る米国との対立が長期化するとみて、欧州諸国の切り崩しを進めている。

中国敬業集団、9000万ドルでブリティッシュ・スチール買収へ=BBC - ロイターニュース - 経済:朝日新聞デジタル2019年11月11日
 中国の敬業集団は、経営破綻した英国の鉄鋼メーカー、ブリティッシュ・スチールの買収に向け暫定合意した。向こう10年間で12億ポンド(15億ドル)を投資するほか、数千人の雇用を守ると約束した。
 最終的な合意はこれからだが、レッドソム*7・ビジネス相は最終合意できると楽観していると表明した。
 英国では12月12日に総選挙が実施される予定で、合意が成立すれば、政治的に大きな得点になるとみられている。
 ブリティッシュ・スチールが本社を置くイングランド北部の経済振興を目指す団体「ノーザン・パワーハウス・パートナシップ」の幹部は、今回の動きを「非常に歓迎すべきニュース」と評価。

*1:もちろんMukkeへの皮肉。

*2:コール内閣環境相キリスト教民主同盟 (CDU)幹事長などを経て首相

*3:中国共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*5:1955~2017年。2010年ノーベル平和賞受賞者。著書『現代中国知識人批判』(1992年、徳間書店)、『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店

*6:オランド政権財務相などを経て大統領

*7:キャメロン内閣エネルギー相、メイ内閣農水相などを経てジョンソン内閣ビジネス相