今日の中国ニュース(2019年12月1日分)

【主張】中国の人権問題 弾圧者が国賓でいいのか 日本は欧米と足並み揃えよ - 産経ニュース

 中国政府によるウイグル弾圧の様子を記した内部文書が明らかになり、世界に衝撃を与えた。米国や英、仏、独などは中国を非難し、拘束された人々の解放と国連監視団の受け入れを要求した。
 香港問題をめぐっては、米上下両院のほぼ全会一致とトランプ米大統領の署名によって、民主派を後押しする「香港人権民主法」が成立した。
 隣国で過酷な弾圧が行われているにもかかわらず、日本政府や国会の反応は鈍すぎる。安倍晋三*1首相や茂木敏充*2外相は何をしているのか。もっと抗議の声を上げ、弾圧に苦しむ人々に救いの手を差し伸べなければならない。
 とりわけ懸念されるのが、習近平中国国家主席国賓としての来日だ。日中両政府は来春の実施で合意している。だが、極めて深刻な人権弾圧の最高責任者を国賓として招いていいのか。
 (ボーガス注:ウイグル自治区の収容所の)元収容者たちは、拷問や自己批判イスラム教が禁ずる豚肉食の強要があったと証言する。反イスラム的な「文化浄化」だ。
 ポンペオ米国務長官は(中略)「恣意(しい)的に拘束した全ての人々の即時解放」と弾圧停止を要求した。各国に中国へ圧力をかけるよう呼びかけた。
 フランスのルドリアン*3外相は中国政府に対し「恣意的な大量拘束の中止」と、収容所閉鎖および現地情勢確認のための国連監視団受け入れを求めた。
 ウイグルや香港の人々を守ろうと動く国々の中に、日本の姿がないのは残念だ。日本は10月、「ウイグル族拘束中止」を求めた国連での23カ国声明に名を連ねた。だが、その後はウイグルや香港問題について「大変憂慮している」「注視している」と繰り返すばかりだ。及び腰では中国政府は痛くもかゆくもないだろう。
 (ボーガス注:複数の日本人が未だ中国に身柄拘束されたままなのに)安倍政権は「日中関係は正常化した」と繰り返している。だが、(ボーガス注:安倍政権の主張「日中関係は正常化した」を仮に正当な認識として認めるとしても)2国間関係だけに気を配り、深刻な人権問題を軽視していいはずもない。日本が本当に人権を重んじる*4国なら、米英仏独などと協調して弾圧停止へもっと努力すべきではないか。
 安倍首相は12月下旬の訪中で、習主席と会談するはずだ。ウイグルの人々の解放と国連監視団の受け入れ、香港の民主派弾圧の停止を正面から迫ってもらいたい。
 習主席が聞き入れなければ、国賓として招くことは難しくなる*5と率直に説いたらいい。弾圧を続ける最高責任者を国賓として歓迎する日本を、ウイグル、香港や世界の人々に見せたくない。

 といったところで安倍は無視するでしょうし、香港、ウイグルなどで中国を批判する欧米にしても産経のようなアンチ中国ではない。
 欧米各国の政府高官が訪中することもあれば、中国政府高官の欧米各国への訪問を「安倍のように」受け入れることもあります。

【参考:12月の日本政府首脳訪中】

12月に日中韓首脳会談 日中首相、習氏来日へ協力確認 (写真=共同) :日本経済新聞
安倍晋三首相は4日、訪問先のバンコク郊外で中国の李克強(リー・クォーチャン)*6首相と約25分間会談した。李氏は12月に中国・成都*7日中韓首脳会談を開く方針を表明した。来春に予定する習近平(シー・ジンピン)*8国家主席国賓来日に向けて協力することも確認した。
日中韓首脳会談は12月下旬に開く予定で、李氏は議長を務める。安倍首相が訪中し、首脳会議に合わせて習氏とも個別に会談する予定だ。
・安倍首相は「次は私が訪中する。この機会を活用しつつ、習主席の来日を日中新時代にふさわしい有意義なものにするために協力する」と呼びかけた。

北村国家安保局長、来月訪中へ 安倍首相訪中の地ならしか - 毎日新聞
 日中両政府は、北村滋*9国家安全保障局長が来月上旬に訪中し、中国外交担当トップの楊潔チ*10共産党政治局員と初めて会談する方向で調整に入った。日本政府関係者が21日、明らかにした。12月5日を軸に日程を詰めている。年末に予定する安倍晋三首相の訪中や、来年春の習近平国家主席による国賓来日を見据えた地ならしとみられる。
 北村氏は警察庁出身で首相側近の一人。内閣情報官を経て今年9月に国家安保局長に就任した。

河野氏が来月、訪中へ 防衛相として10年ぶり - 産経ニュース
河野太郎*11防衛相は12月中下旬に中国・北京を訪問し、魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相と会談する方向で最終調整に入った。
・実現すれば、平成21年3月の浜田靖一*12以来、10年ぶりの防衛相訪中となる。来春の習近平国家主席国賓としての来日に向け、環境整備を図る狙いもある。

*1:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*2:小泉内閣沖縄・北方等担当相、福田内閣行革担当相、自民党政調会長(谷垣、第二次安倍総裁時代)、第二次安倍内閣経産相、第三次、第四次安倍内閣経済財政担当相などを経て第四次安倍内閣外相

*3:オランド政権国防相を経てマクロン政権外相

*4:そもそも「重んじてない」と言うだけの話です。産経がこんなことを言うのも「産経が敵視する中国、北朝鮮、ロシアの三国にほぼ限定」ですし。

*5:国賓として招くことは(国内外の批判で)難しくなる」ですか。産経ですら「国賓として招けない」ではないことが興味深い。

*6:中国共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*7:四川省省都

*8:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*9:徳島県警本部長、警察庁警備局警備課長、警備局外事情報部外事課長、兵庫県警本部長、警察庁警備局外事情報部長、内閣情報官などを経て国家安全保障局

*10:駐米大使、外相、国務委員(外交担当)などを経て党政治局員・党中央外事工作委員会弁公室主任

*11:第二次安倍内閣国家公安委員長、第三次安倍内閣外相を経て第四次安倍内閣防衛相

*12:麻生内閣で防衛相