「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年12/24分:荒木和博の巻)(注:『渥美清の田舎刑事』のネタバレがあります)

ありがとよ【調査会NEWS3145】(R01.12.24): 荒木和博BLOG

「俺は横田めぐみを殺して山に埋めた男だよ。北朝鮮のせいにしてくれてありがとよ」
 これは前にも書いたことがあったと思います。

 まあ、北朝鮮の攪乱行為ではなく、ただの愉快犯でしょうね。実に下劣で怒りを禁じ得ませんが。
 それにしても根拠レスでこんな話を「北朝鮮妨害工作」あるかのように放言する荒木も呆れたバカです。
 ただし、荒木の拉致認定はデタラメなので実際に「殺されて、犯人の自宅敷地に埋められた人間」を「特定失踪者認定したというとんでもないこと」が起きた事があります。
 それについてはウィキペディア「足立区女性教師殺人事件」を見るだけでもある程度の事が分かります。
 「自宅敷地が道路拡張工事の対象になり、土地が掘り起こされたら遺体が発見され、もはや逃げ切れないと観念した犯人が15年の刑事訴追時効が成立したこともあって自首し犯行が発覚した」という事件です(殺人が1978年、自首が2004年)。
 話が脱線しますが、こうした「時効成立後の自首」への反発もあったせいか、今では「殺人には時効がない」ですが昔は15年でした(15年から20年にのびて結局廃止された)。
 昔の刑事ドラマやミステリ小説だと「殺人の時効は15年」ですし、そこでよく使われる小ネタが「外国に出国してると時効が停止する」つう奴です(よど号ハイジャックに時効が成立しないのはそういうことです)。
 たとえば

渥美清の田舎刑事』(ウィキペディア参照)
 テレビ朝日系列で放映された「土曜ワイド劇場」のドラマシリーズ。
 第1作の『時間(とき)よ、とまれ』は、「土曜ワイド劇場」の第1回放送作品でもあった。

なんかは「時効15年」です。
 話が更に脱線しますが渥美清も「寅さん(渥美の最大の代表作ですが)以外の作品にもこのように出てる」のでそういうのはもっと評価されてほしいと思いますね。
 他にも小生が知ってるのだと

渥美清ウィキペディア参照)
砂の器*1(1974年):映画館「ひかり座」の支配人
幸福の黄色いハンカチ*2(1977年):渡辺係長
八つ墓村*3(1977年):金田一耕助
・キネマの天地*4(1986年):有森也実演じる主人公「田中小春(田中絹代がモデル)」の父親役

とか。
 渥美がなくなったとき(1996年)にテレ朝で「渥美さん追悼番組(そして記念すべき土曜ワイド第1作作品)」として放送されたので小生はこのドラマを一応見ています。
 「早坂暁脚本」で、特に謎解きらしい謎解きはなく「渥美演じる刑事の執念の捜査」が主テーマだったかと思います。
 これが「寅さんの役者か?」と思うほど、渥美が真面目な刑事を熱演している。
 まあ、それはともかく、まともな人間ならこんな不祥事「足立区女性教師殺人事件」が起こったらインチキな「拉致認定」という「自らの行為」を「深く恥じる」と思うのですが、荒木らウヨにはそんな常識はありません。
 そして「足立区女性教師殺人事件」の顛末だけでもまともな人間は荒木の元を離れるでしょうが、横田滋・早紀江一家ら拉致被害者家族会にもそんな常識はありません。

 金正日が拉致をが認めてしまった後、北朝鮮はまた別の情報を流し続けています。例えば横田早紀江さんが皇室につながる家系だとか、めぐみさんが金正恩の母親だとか。

 どう見ても北朝鮮が流してるのではなく「一部のトンデモさん」が流してる情報でしょう。
 「イエス・キリストの墓が日本にある」「源義経が中国大陸に渡ってジンギスカンになった*5」「上杉謙信は女性だった*6」とかいうのとその馬鹿馬鹿しさは大して変わりません。
 大体、そんな情報を流すことが北朝鮮に利益になるわけもないし。

【参考:高橋洋子

高橋洋子は女優である
 インターネットで検索すると歌手の高橋洋子(1966年8月28日生まれ)ばかりで、女優の高橋洋子(1953年5月11日生まれ)は全くヒットしない。gooの映画検索でかろうじて名前が挙がっているくらいだ。先日、手に入れた映画秘宝の「アイドル映画30年史」(2003)でも全く無視されていた。高橋洋子をアイドル女優だと思っていた私(1962年1月2日生まれ)にとっては噴飯ものである。世間の彼女への評価はそのようなものでしかなかったのか。彼女は一部の知る人ぞ知るようなカルト女優でも、単なる一発屋でもないはずである。しかし80年代後半以降は完全に銀幕から姿を消してしまった*7。目立った活動をしていない現在、忘れ去られているのは仕方がないことだが、忘れ去るには惜しい女優なのである。
 「時間よ、とまれ」(1977)。こちらは土曜ワイド劇場の記念すべき第一作。都合3本作られた渥美清(1928年3月10日生まれ)の田舎刑事シリーズの第一作でもある。ここに溌剌とした女刑事として高橋洋子が登場する。この時の高橋洋子が私にとっては最高の高橋洋子である。
 渥美清の芝居への情熱が結晶した「寅さん以外のただ一つの彼の代表作」と言っても過言ではない。時効寸前の犯人を追いつめる渥美清。彼とコンビを組んで颯爽と街を行くスリーピース姿の高橋洋子
 DVD化した暁には必ず見て損はない。
 それにしても25歳になるかならぬかであたら女優生命を使い果たしてしまった感のある高橋洋子。彼女が銀幕やブラウン管から遠ざかってしまったのは何故なのだろうか。

映画「八重子のハミング」スペシャルインタビュー③:高橋洋子さん | 認知症ねっと
撮影における印象深いエピソードを教えて下さい。
「誠吾と八重子が、飛行機の見える公園でお昼ご飯を食べるシーンがあるんですが、「ほら母さん、大好きな飛行機じゃよ」と、升毅さん演じる誠吾が八重子に優しく語りかけるところが印象に残っていますね。ちょうど陽も差してきて、いい景色だったんですよ。ただその時は本当に飛行機を見てしまうと、いかにも〝しっかりと見ている〟ように映ってしまうので、実際には飛行機を見ずに顔の前でポンポンと手を叩くようにだけしたんですね。」

「八重子のハミング」異例8→103館ロングラン - シネマ : 日刊スポーツ
 若年性アルツハイマーを患った妻と介護する夫を描いた映画「八重子のハミング」(佐々部清監督)が、上映開始時の8館から、累計103館での公開になることが21日、分かった。
 同作は、升毅(61)が映画初主演し、高橋洋子(64)と夫婦を演じた。昨秋に山口県で先行公開され、今年5月に全国公開された。全国公開初日時点の上映館数は8館だった。公開後も毎週のように佐々部監督や、升はじめ出演者が全国を回って舞台あいさつを行った。口コミでも評判が広まり、ついに大台超えとなった。
 脚本、監督だけでなく、企画、プロデューサーも務めた佐々部監督は「5万人が最終目標でした。そこまでいくには劇場数も最低30館くらいは必要だと考えていました。半年間で100館を達成。動員数も7万人に迫る勢いです。まだまだ終わらせません」と大喜びだ。
 先行公開から1年がたったが、上映は途切れていない。今月中旬には上映50週の達成記念に、佐々部監督、スタッフ、キャストが集まり、お祝いの会を催したという。
 佐々部監督が企画を立ち上げた当初、「シネコン時代に中高年夫婦の話は地味すぎる」と言われた。若い世代やファミリー層が主なターゲットのシネコンでは4~5週で作品が入れ替わる。逆に動員が見込めないと判断されれば早々に打ち切られてしまう。「八重子-」は、地方の中小劇場を中心に展開し、ロングランを達成した。作品の評判を知って、シネコンからの引き合いもあったという。
 配給関係者は「老老介護という現代社会が直面するテーマ性に加え、重責を果たそうとする升さんの熱意、監督の命がけの本気度が伝わった」と話している。

映画『八重子のハミング』 ……28年のブランクを感じさせない高橋洋子の名演…… - 一日の王
 少し前に見た『八重子のハミング』(2017年5月6日公開)という映画のレビューを書いておこうかという気になった。
 映画『八重子のハミング』は、『陽はまた昇る』『半落ち』の佐々部清監督が、4度のがん手術を受けた夫と、若年性アルツハイマー病を発症した妻の絆を、実話をもとに描いた作品である。
 夫・誠吾役を、升毅が、妻・八重子役を、高橋洋子が演じており、昔、高橋洋子が好きだった私は、28年ぶりにスクリーンに復帰した彼女の演技が見たくて、福岡の映画館(中洲大洋)へと足を運んだのだった。
 山口県のとあるホール。
 「やさしさの心って何?」と題された講演会で、白髪の老人、石崎誠吾(升毅)は、最愛の妻・八重子(高橋洋子)の介護体験について話し始める。
 胃がんを発病した夫・誠吾を支え続ける妻の八重子に、若年性アルツハイマー病の疑いがあることが明らかになったのは12年前。
 誠吾は4度のがん手術から生還することができたが、八重子の病状は進行し、徐々に記憶をなくしていく。
(中略)
 原作は、山口県萩市在住の陽信孝が自身の体験をつづった同名著書。
 高橋洋子と聞けば、若い人たちにとっては、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』『魂のルフラン』などのヒット曲で知られるアニソン歌手を思い出すことだろう。
 だから、女優であり、小説家でもあった高橋洋子を、簡単に紹介しておこう。
高橋洋子
 1953年5月11日生まれ、東京都出身。
 高校卒業と同時に文学座付属演劇研究所に入所(同期は松田優作など)。
 1972年、映画『旅の重さ』(斎藤耕一監督)のオーディションに合格、ヒロインとしてスクリーンデビュー。
 翌1973年、NHK朝の連続テレビ小説北の家族」のヒロインに抜擢される。
 翌年、映画『サンダカン八番娼館 望郷』(1974年、熊井啓監督)にて、田中絹代が演じる主人公の10代~30代を演じ話題に。
 1981年、小説『雨が好き』で作家デビュー、第7回中央公論新人賞受賞。
 1983年、同小説を自らの監督・脚本・主演で映画化する。
 その後は、『さらば箱舟』(1984年、寺山修司監督)、『パイレーツによろしく』(1988年、後藤幸一監督)などに出演。
 近年の主な活動は文筆業であり、最新刊『のっぴき庵』(2016年、講談社)で好評を得る。
 『八重子のハミング』が、待望の本格女優復活作。
【紹介終わり】
 高橋洋子といえば、やはり映画『旅の重さ』(斎藤耕一監督)であろう。
 この映画での彼女は実に魅力的で、『旅の重さ』は何度も見ている。
 ちなみに、この映画は、秋吉久美子のデビュー作でもあり、主役オーディションで、高橋洋子についで次点となり、自殺する文学少女として出演している。
 高橋洋子は、その後、NHK朝の連続テレビ小説北の家族」のヒロインとなり、映画『サンダカン八番娼館 望郷』で高い評価を受ける。
 『雨が好き』で作家デビューし、小説家としても評価され、次第に文筆業が主となり、やがてスクリーンからは遠ざかっていく。
 28年ぶりにスクリーンで見た高橋洋子はどうだったかというと……
 これが、長いブランクを感じさせないほどの素晴らしい演技であったのだ。ある意味、ビックリ。

 2015年6月に佐々部監督に呼ばれて、東京の自由が丘で会いました。監督はすでに『八重子のハミング』の脚本を手にしていて、私は母親役の出演依頼かなと思ったら、「主役をお願いします」と。
 病気の役だというからベッドに伏せているのかと考えていたら、認知症だというんです。難題だなと悩みましたが、病気より夫婦の愛情を描きたい、というのでやってみようと決意したんです。
 現場では監督から、「壊れていく過程のなかでもかわいらしい八重子さんを演じてほしい」と言われました。今まで演じた役柄の中でいちばん難しかった。役者は、誰々のことが好きだ嫌いだと感情を吐き出すことが仕事です。
 でも認知症を患った八重子さんは自我を忘れ、感情を失っていく。普段の演技とは真逆の、自分の心を粘土で包むような作業で、本当にこれでいいのかなと、もどかしかった。
(中略)
 八重子さんと陽さんのドキュメンタリービデオも何度も見て、両手を叩くシーンなどを参考にしました。私なりに何とか“わからない私”をこしらえていましたね。
 みんなのせりふを聞いて段取りよく動かないといけないのだけど、他人の言葉に反応してもいけない。誕生日のシーンで周りが喜んでいても本人は何のことかわからず、誰かにケーキを食べさせてもらっても決して嬉しくない。撮影中は誰も頼れなくてずっと孤独でした。
 でも、(夫役の)升毅さんがいつまでも私を抱きとめてくれるような、深い愛を見せてくれたから、最後まで八重子さんを演じることができました。打ち上げで「お父さん」と言ったら、升さん泣いてましたから。

と苦心談を語っているが、〈さすが!〉と、思わされたことであった。
 この映画『八重子のハミング』の脚本は、佐々部清監督が8年前にすでに書き上げていた。
 だが、大手映画会社やテレビ局映画部門に企画を持ち込んだものの、すべて断られる。
 「シネコンの時代に中高年夫婦の話は地味すぎる」と言われたそうだ。
 映画化は難航したが、地方の映画祭で出会った観客に、「シニアが見る映画がない」と言われた言葉に背中を押された佐々部監督やスタッフが、自分たちで資金を集め、昨年春に撮影にこぎつけたのだという。
 昨秋、作品の舞台、山口県内の7館で先行公開されると、約2カ月間で約2万5000人を動員した。
 好調な成績を見て、地方のシネコンからも引き合いがきて、全国で約30スクリーン規模での上映となった。

 僕は、映画化するときに“究極の恋愛映画”を作りたかった。だから高橋さんには限りなくチャーミングで輝かしい人を演じてほしいし、升さんには撮影期間だけでも高橋洋子を愛おしく思い、好きでいてほしい。それしか注文を出しませんでした。それをうまく繋げば、恋愛映画が作れるのです。縦の軸には恋愛を、横の軸には家族の物語を作れれば、背景に若年性アルツハイマーや介護を置けばいい。最初から介護を啓蒙するような難病ものにするつもりはなく、批判をされてもきれいな映画、美しくありたいという映画にしたいと思いました。

 そういう監督の思いもあってか、介護の映画、シルバー映画というより、素敵なラブストーリーに仕上がっており、特に、ラストの高橋洋子の笑顔は、本当に美しかった。
 ラストの笑顔で思い出すのは、『時をかける少女』での原田知世だが、原田知世にも負けない高橋洋子の美しく可愛い笑顔であった。
 あの笑顔を見るだけでも、この映画を見る価値は十分にある……と断言しておこう。


【参考:『渥美清の田舎刑事:時間(とき)よ、とまれ』】

http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-15945
 第32回芸術祭優秀賞受賞作品。逃亡15年、時効寸前の殺人犯を追う万年平刑事の執念を描く刑事ドラマ。土曜ワイド劇場第一作。スギの名産地・大分県日田市。その警察署の万年平刑事・杉山松次郎(渥美清)はある夜、東京から生中継のテレビのボクシング番組を見るともなく見ていたが、突然目をむいて画面に飛びついた。長い間追い続けていた殺人犯・国崎オサム(小林桂樹)の顔が客席の中に一瞬の間だが映ったのだ。15年前、この平和な日田市で木材会社の社長、孫娘、お手伝いの三人が惨殺された。

土曜ワイド劇場「時間よ止まれ」 1977年7月2日放送 - 人生に必要なことは2時間サスペンスから学んだ?
・15年間に九州のとある田舎町で起きた殺人事件を追い続けていた刑事が、事件の時効まであと10日となった日に見たテレビのボクシング中継。
 テレビに殺人事件の指名手配犯人が映っていたのだった。
 果たして刑事は時効までに犯人を逮捕できるのか。
 このドラマは、冴えない刑事役の渥美清、犯人役の小林桂樹、犯人の昔の女役の市原悦子の3人がメインキャストといえるようです。
 刑事コロンボのようなミステリファンを満足させるような仕掛けの妙はありませんが、メインキャストが演技派なので、重厚で余韻の残るドラマになっています。

早坂暁の世界 - 徒然なか話
◆田舎刑事・時間よ、とまれ(テレビ朝日 1977年)
 渥美清の田舎刑事シリーズの1本で、僕はテレビドラマ史上、傑作中の傑作だと思っている。このエピソードで小林桂樹が演じたのは殺人犯である過去を消し、別人として有力者に成り上がった男の役だった。渥美清との鬼気迫る対決が印象に残るが、普段は人のよいサラリーマンや人格者的な役どころが多い小林桂樹が、それまでのイメージを払拭するような快演だった。早坂暁による脚本は、まるで松本清張を思わせる迫力があった。
山頭火・何でこんなに淋しい風ふく(NHK 1989年)
 フランキー堺さんが種田山頭火を熱演しているが、これはもともと早坂暁さんが、渥美清さんの主演を想定して書いた脚本。諸事情*8渥美清さんは出演できなかったが、本人は並々ならぬ意欲を見せていたという。山頭火が一時、堂守を務めていた植木町味取の味取観音堂がある瑞泉禅寺に渥美さんがフラリと訪ねて来たことがあるという。おそらくこのドラマのロケハンだったのだろう。

渥美清編(下)肩ジワジワ回し私の顔が/高橋洋子コラム/芸能/デイリースポーツ online
 テレビ朝日系の「田舎刑事 時間(とき)よ止まれ」(1977年7月2日放送)という1時間半ドラマでは、渥美清さんの“役者魂”を「肩」から体感させられました。
 小林桂樹さん演じる犯人をもう少しで捕まえられる所まで来ているのに時効が迫っているという中、私が「あの人は海外に行ってます。だから時効は伸びます!」と渥美さんに伝える場面がありました。「よく調べたね!時効は伸びるんだね」と、喜ぶ渥美さんと互いに肩を抱き合うシーンなのですが、そこで渥美さんは私の肩をジワジワッと少しずつ回していきました。
 その瞬間、長くてふわふわした髪に覆われた私の横顔は見えなくなり、渥美さんの横顔のほうが大きくフレームに入りました。監督の意図ではカメラが真横から2人の横顔を捉えるはずが、私の肩を少し回して自分の顔を多く見せようとしたの。「わ~、やられちゃった」と思いました。
 昔の浅草芸人はそうだったんですってね。自分が少しでも前に出てやろう、1秒でも長く舞台に立っていたいと。我こそは我こそは~という役者魂。あんな大きな俳優さんになられても、その根性は健在だったわけです。

寅さん抜きの「永遠の渥美清」DVD-BOX希望!(笑) : ホンマタイムス
 『時間よ、とまれ』は名匠早坂暁脚本。制作局はいまでいうテレビ朝日ですが、番組枠は「土曜ワイド劇場」第一弾(1977年7月2日開始)。
 渥美清が映画『八つ墓村』で演じたような茫洋なタイプの刑事役を演じ、小林桂樹が功成り名を遂げ、いまでは新聞ダネになるほどの巷の名士、しかし、実は殺人の前科をもちながら、善行をふりまき糊塗してるという、その過去の「罪」を渥美刑事が看破して追いつめるが、いまから見たらびっくりするくらい若くてぴちぴちした市原悦子が、過去に恋したことのある小林桂樹との哀しいからみを演じさせられる。職業柄とはいえ、このときの渥美刑事が憎たらしく見える(笑)。
 黙って見過ごせよ、と、そうもいかぬか。いまなら時効もないしね。
 傑作だったなー。
 これを見るたび、俺は内田叶夢監督の映画『飢餓海峡*9』での、(ボーガス注:犯人役の)三國連太郎と(ボーガス注:三国に殺される)娼婦あがりの女性を演じた左幸子とのからみを彷彿させられ、妙にほろりとさせられるのだ。市原悦子は殺されることはなかったものの、いまは落剥した「アル中の女」ということで、もつれる足で過去の想い出にダンスするシーンから、これも「ほろり」とさせられるのだ。

「時間よ、とまれ」(1977年) 土曜ワイド劇場第1作 渥美清の田舎刑事シリーズ - Samurai Spirit ※画像転載禁止 -
 大分県の田舎刑事・杉山(渥美清)は東京で行われていたテレビのボクシング中継を見て観客の中に指名手配犯の国崎イサム(小林桂樹)を見つける。
 15年前、木材会社の社長や孫娘を惨殺し、行方を消していた犯人だ。
 杉山はこの事件に全てを賭けて生きており未だに万年ヒラ刑事で、妻とも離婚してしまった。
 時効まであと10日しかない、杉山は急いで東京へ飛ぶ。
 警視庁では杉山のサポートに桜井刑事(高橋洋子)を用意してくれた。
 ここから杉山の時間と競争の必死の追跡がはじまる。
 国崎は、現在は宮城直之と戸籍も変えて大邸宅に住む政財界にまたがる大物実業家になっていた。
 だが、杉山は彼こそが犯人の国崎と信じて疑わず何かからくりがあるのだろうと考えた。
 宮城はここ12,3年で急にのし上がってきた男で写真もとらせず、これまで表舞台に顔を出すことはなかった。
 最近になって茶会や、チャリティー、ボクシング観戦など急に顔をさらす機会が増えてきた。
 杉山は時効が秒読み態勢に入ってきて気が緩んだろうと思った。
 宮城は当時横浜にあった会社でベトナム関係の仕事で大儲けし昭和40年には横浜に戸籍を移してあった。
 杉山と桜井はその頃の身元不明者をあらう。
 大金町で通称ミヤちゃんという男が麻薬中毒の心臓発作で死亡し横浜市で焼却されていた事実をつかんだ。
 麻薬に溺れているものは、戸籍でもなんでも売って薬を手に入れたい者もいるはずだと杉山は考えた。
 杉山は元娼婦で国崎の馴染みで、現在はストリッパーのサリイ(市原悦子)が働いている小屋へ訪ねていった。
 杉山はサリイに現在の国崎(宮城)の姿を確認してもらおうとするがサリイは国崎(宮城)を見ても国崎でないと断言する。
 仕方なくサリイに証言させるのは諦めた。
 杉山は酔って国崎(宮城)の家へ乗り込んで、持っていた国崎の母の骨を渡す。
 杉山はサリイから聞いていた国崎の妹の話を始めた。
 すると、国崎(宮城)は動揺をみせるものの結局は追い詰めることは出来なかった。
 杉山は(中略)サリイが癌に侵されていてあと半年程の命だといいサリイが草加の大劇場でサリイとして働いていると告げて去っていった。
 桜井は杉山にそっと国崎(宮城)が10年前に海外に新婚旅行に行っていて時効が15日間延長になることを告げた。
 杉山はサリイの小屋の前で国崎(宮城)が訪れるのを幾日も待ち続けていた。
 そして、千秋楽の日、とうとう国崎(宮城)が姿を現す。
 そこへ、杉山が姿を現す。
 逃げてというサリイに、国崎(宮城)は時効が成立したことを知らせるが杉山は海外旅行をしていた15日間時効が延びていたことを告げる。
 すると、国崎(宮城)は突如杉山を襲うがそこへ桜井が銃を構えてやって来た。
 国崎(宮城)は杉山を盾にして、桜井が撃てないようにするがさらに刑事が駆けつけて国崎(宮城)は杉山の手で逮捕された。
 杉山の執念が実った瞬間だった。
 改めて見直してみたが、本当にいいドラマで第1作目にふさわしい出来です。
 キャストも豪華ながら、脚本も音楽も全て秀でている。

*1:監督:野村芳太郎、脚本:山田洋次橋本忍

*2:監督、脚本:山田洋次

*3:監督:野村芳太郎、脚本:橋本忍

*4:監督、脚本:山田洋次

*5:週刊モーニングに連載されてる『ハーン』(瀬下猛)はこの珍説をネタにしています。

*6:週刊ビッグコミックスピリッツに連載されてる『雪花の虎』(東村アキコ)はこの珍説をネタにしています。

*7:ウィキペディア高橋洋子』によれば『映画『八重子のハミング』(2017年春から全国展開)で、『パイレーツによろしく』(1988年)以来28年ぶりに映画出演』だそうです。

*8:要するに「寅さんの撮影に支障が出る恐れがある」という例の話です。

*9:伴淳三郎がベテラン刑事を、「まだ若かった高倉健」が若手刑事を演じた