今日の朝鮮・韓国ニュース(2023年8月5日分)

【教科書が教えない 拉致問題】(26)「遺留品 廃棄」無関心な検察を象徴 犯人を示唆した未遂事件、暴力的な犯行は止まった 中村将 - 産経ニュース

 市川さんらや曽我さんらが拉致されてからわずか3日後の8月15日夕、富山県高岡市の雨晴(あまはらし)海岸付近で拉致未遂事件があった。
 ところが、この遺留品は軽く扱われた。拉致未遂事件の公訴時効は7年。時効直前の85(昭和60)年7月、事件は被疑者不詳のまま不起訴となり、富山地検高岡支部は証拠物件を廃棄してしまったのだ。
 97(平成9)年11月に、国会答弁に立った法務省原田明夫*1刑事局長は「犯人が判明して海外にいれば、その間時効は停止する。それらの物件は重要で廃棄されたのは遺憾」とし、「記録は保持しているので、これをもとに引き続き捜査を行うことは可能だ」と釈明した。苦しい答弁だ。
 富山の未遂事件の遺留品を廃棄するぐらいなら、しかるべき場所で展示し、拉致の残酷さを後世に示すべきだった。

 原田局長の答弁については以下を紹介しておきます。正直な話「遺留品保管しても逮捕可能性皆無やし、意味ないやろ」とは思います(多分法務省もそうした考えで廃棄)。ご家族からすれば「基本的に永久保存して欲しい」でしょうが。なお、質問者が共産党(当時の木島日出夫*2衆院議員)だと書かないのが実に「反共右翼」産経らしい。

衆議院法務委員会での木島日出夫議員の質問(1998年3月11日)から一部引用
◆木島委員
 先ほど警察から報告があった七件の拉致疑惑容疑、そして一件の富山での拉致未遂事件、これについて、送致を受け、刑事訴訟法に基づく処分をした例はありますか。
◆原田(明)政府委員
 一件、富山におけるアベック拉致事件につきまして、昭和六十年七月十五日に富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致を受けた。そして、それにつきましては、当時の状況で時効が完成しているということで、昭和六十年七月十九日に不起訴処分に付されたということを承知しております。
◆木島委員
 氏名不詳のまま逮捕監禁容疑で送致を受けた、そして、時効完成で氏名不詳のまま不起訴処分をしたということですが、送致を受けたというわけですから、証拠を添えて送致を受けたと思うんです。そうですね。それで、不起訴処分をしたその一件証拠はどうされたんでしょう。
◆原田(明)政府委員
 まず、本件一件記録でございますが、その保存期間は、記録の事務規程によりますと平成二年七月十八日までであったのでございますが、この不起訴記録、不起訴にいたしました後に、昭和六十二年十一月二十九日に発生いたしましたいわゆる大韓航空機事件を契機に、本件に北朝鮮工作員が関与している可能性が必ずしも否定しがたい状況に至ったということから、この規程によりまして現在も引き続き保存いたしております。
◆木島委員
 この未遂事件の被疑者不詳ということですが、その後北朝鮮による拉致の疑いもあるということで記録は保存しておると。もし北朝鮮による拉致未遂事件だということになれば、これは時効はとまると考えていいんですか。
◆原田(明)政府委員
 もし今後犯人が判明いたしまして、ある期間海外逃亡中であったという事実が認められますならば、その間の時効の進行は刑事訴訟法の二百五十五条によりまして停止いたしますため、その段階で改めて公訴時効の完成の有無が考慮される、検討されるということになるかと存じます。
◆木島委員
 一連の事件については、家族にとって本当にほとんど情報がないという事案であります。たまたまわずかな情況証拠がかいま見れるのが今の富山の未遂事件。一件記録・証拠もある、そして、幸いにしてその証拠物件が保存されていると。ぜひこれは開示をして私にも見せてほしいんです。もう事件として明らかにした事件でありますから、刑訴法の規定によっても開示することが私は公益にかなうと思いますので、ぜひ記録を見せてほしい。また、ほかの事件の家族にも開示してほしい。
 そして、日本の主権が侵害された大変な事件でありますから、民間の力もかりて、これからでも遅くないわけですから、あらゆる情報を集約して、そして北朝鮮に迫るいうことが求められる事件だと思いますので、富山地検の高岡支部に眠り込ませておくのはいかぬと思うんですが、いかがでしょうか。開示をしてもらえませんか。
◆原田(明)政府委員
 現在、この一件記録につきましては、なお捜査の継続する可能性があるということを前提に現在保存さしていただいているものというふうに承知しておるわけでございます。
 そういう点からいたしますと、委員御承知のとおり、刑事訴訟法四十七条の規定に基づきまして検察官が判断するということになろうかと思います。そして、現在そういう面では生きている可能性のある事件ということで、その取り扱いについては、その記録の状況につきまして、閲覧の目的、必要性、その他の事項を考慮して、勘案した上で決定されるというふうに考えるわけでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、一般的に公開という点についてはいかがかと存ずるのでございますけれども、しかし、関係者との関係で検察官において個別に判断することは可能であろうというふうに考える次第でございます。
 なお、先ほど私、申し上げるのが一点委員の御質問の関係で明確でなかった点がございますが、この一件記録そのものは保存されているんでございますが、これに附属されました遺留品としての証拠物につきましては、これにつきましては不起訴にした後廃棄されているという事情がございます。その点について私のお答えが不十分であり、委員の御質問の中に、一件記録及び証拠物という意味の御指摘が私の答弁の後の質問にあったものでございますから、念のためにお答えさしていただきます。失礼いたしました。
◆木島委員
 その証拠物というのはどんなものだったんでしょうか。
◆原田(明)政府委員
 証拠物は、寝袋用の袋、そのバンド、タオル、マスク、手錠、その連結金具、バスタオル、サンバイザー等であったと記録が残っております。
◆木島委員
 何で廃棄処分しちゃったんでしょうか。
◆原田(明)政府委員
 これは、当時の事情といたしまして、時効寸前*3にかかわるものということで送致され、被疑者不詳ということで廃棄されたものというふうに考えております。

*1:1939~2017年。法務省刑事局公安課長、刑事課長、総務課長、大臣官房人事課長、盛岡地検検事正、法務大臣官房長、法務省刑事局長、法務事務次官、東京高検検事長検事総長を歴任(原田明夫 - Wikipedia参照)

*2:1946年生まれ。弁護士。衆院議員(1990~1993年、1996~2003年)。共産党国会対策副委員長、政策委員会責任者を歴任(木島日出夫 - Wikipedia参照)

*3:揚げ足取りすれば「海外逃亡の可能性」を理由に時効停止を想定し、一件記録は残してるのに遺留品は廃棄したというのは矛盾がある気がします。