黒坂真に突っ込む(2020年1月24日分)

◆黒坂ツイートにコメント

黒坂真
 日本共産党本部の皆さん。中国共産党は、武力による領土変更は許されない、と安倍総理が怒鳴れば尖閣は日本の領土と認めますか。(中略)人民解放軍の戦艦、潜水艦に勝てますか。
日本共産党
 中国による尖閣の領海侵犯が激増、香港では市民を武力弾圧。武力による領土変更*1も人権侵害も絶対許されない。ところが安倍首相は、(ボーガス注:昨年12月に訪中して習)主席や(ボーガス注:李)総理と会談したのに、「やめよ」と言うどころか、抗議すらしなかった。山下副委員長はこんな外交でいいのかと問題提起。

 おいおいですね。その黒坂の理屈なら「北朝鮮拉致被害者を帰せ」といっても返さないのだから、「抗議しても無意味」つう事になりかねませんが、それを「救う会メンバーの一人」として黒坂は認めるのか?。そしてこの尖閣の件について「政権が民主党で、批判者が自民党」でも黒坂は同じ事を言うのか(おそらく違うでしょうが)。
 そもそも共産党は「抗議せよ」とはいっても「怒鳴れ」なんていってません。「抗議しろ」を「怒鳴れ」と勝手に曲解するのは全くレベルの低い話です。
 かつ「抗議しろ」というのは「抗議しさえすれば良い」と言う話ではないのだから、黒坂のように「抗議しても中国軍が攻めてきたら意味がない」「抗議すれば中国軍に勝てるのか」と言い出すのは話のすり替えでしかありません(そもそも中国の尖閣攻撃などまずあり得ませんが。香港デモ鎮圧にさえ国際的批判を気にして手こずる中国が尖閣侵攻なんかするわけがない)。まあ黒坂も自分の物言いがレベルの低い詭弁だということはさすがに分かってると思いますが、良くもこんな馬鹿なことが言えたもんです。

黒坂真
 山添拓議員。日本で歴史的に作られ、社会的に押し付けられてきたものは無くそう、という話ですが夫婦で一つの姓は押し付けではない。明治以来庶民は自然にそれを受け入れてきた。家族という共同体を基礎にして社会と対峙していくという意識を育むためだったのでしょう。日本共産党は共同体意識が嫌。

 「夫婦同姓を自然なものとして受け入れてきた人間にとっては押しつけではない(黒坂)」て誰がそんなことを問題にしてるんだって話です。
 問題は「夫婦別姓を望む人間に同姓を押しつけていいのか」つう話です。
 そして「夫婦別姓=家族否定、共同体否定」とは呆れて二の句が継げない珍説です。別姓だろうが夫婦である以上、家族であり、共同体じゃないですか。

黒坂真
 増子典男さん。憲法には両性、と明記されています。同性の婚姻を法で認めるなら、解釈改憲です。

 憲法学会の通説では憲法24条の「両性の合意(婚姻は、両性の合意のみに基いて成立)」とは
1)「同性の合意(同性婚)」を否定してるのではなく当時の政府や国会が「同性婚を想定してないにすぎない」
2)単に「結婚当事者以外(例えば戸主)の合意は必要ない」といいたいだけで別に表現としては「両者」でもいい(「両性」という表現に同性婚を否定するという強い意味があるわけではない)
と見るので改憲なしで同性婚を認めたところでそれは違憲行為でも解釈改憲でもありません。
 少なくとも安倍の無茶苦茶な詭弁による「集団的自衛権は合憲*2」よりまともな憲法理解でしょう。
 全く詭弁で安倍の違憲行為を正当化する輩・黒坂が「同性婚違憲」とは護憲派面して「同性婚容認派(共産党に限らない)」を「解釈改憲呼ばわり」とは「ふざけてんのか!」ですね。黒坂には改めて「キチガイ」「サイコパス」の称号を贈呈したい。
 まあそもそも「同性二人だって両性」ですしね。憲法制定時の政府や国会が想定した「両性」は「二人の異性(男性一人と女性一人)」ですし、今でも両性という言葉から多くの人が想像するのは「二人の異性」でしょうが「同性二人」だって一応「両性(二つの性)」です。

参考

日本国憲法第24条(ウィキペディア参照)
 憲法学者の木村草太*314条1項・首都大学東京大学教授は、憲法第24条第1項「両性の合意」は「異性婚」が両性の合意のみに基づいて成立することを示しているにすぎず、同性婚を禁止した条文ではないと主張している(木村の主張については、例えば『同性婚と国民の権利』憲法学者・木村草太さんは指摘する。「本当に困っていることを、きちんと言えばいい」 | ハフポスト LIFE参照)。
 一方、憲法学者*4八木秀次*5麗澤大学教授は憲法第24条第1項「両性の合意」は「同性婚を否定している」と主張している(八木の主張については例えば【正論】日本の家族観に基づく法判断を 麗澤大学教授・八木秀次(2/4ページ) - 産経ニュース参照)。
 また、憲法第14条を根拠に同性婚を認めるべきだという見解も存在する。セクシュアル・マイノリティの問題に取り組む弁護士・行政書士司法書士・税理士・社会保険労務士などで構成するLGBT支援法律家ネットワークは、2015年12月、「『憲法24条1項は同性婚を否定していない』というのが憲法の趣旨や制定過程を踏まえた正しい解釈です。したがって、日本で同性婚制度をもうけたとしても、憲法24条1項に違反することにはなりません。日本国憲法同性婚制度を禁止するものではないということは、憲法学者民法学者からも有力に唱えられているところです」とする意見書を公表した。

黒坂真志位和夫リツイート
 日本共産党本部の皆さん。ジェンダー差別は政治が作り出している、との話ですが、雄雌の役割分担は哺乳類なら概ね存在。これは自らの子孫を増やすためでしょう。性差は例えば性産業の顧客の殆どが男性で、性的労働を供給する労働者の殆どが女性という件にも現れている。これらは政治と無関係です。
志位和夫日本共産党リツイート
‏ ジェンダー平等について、代表質問で首相の認識をまとまってただしました。ジェンダー差別は政治がつくり出していること、とくに安倍政権の責任が重いことが浮き彫りになったと思います。ジェンダー平等のためにも、安倍政権を終わりにして、政権交代を図ることが必要です!
日本共産党
 志位委員長の代表質問。「ジェンダー平等」に力を込めました。
 (ボーガス注:男女の)賃金格差*6ただすため企業の情報開示を。選択的夫婦別姓実現を。強制性交等罪から暴行・脅迫要件を撤廃し、同意要件の新設を。
 男性も女性も多様な性*7をもつ人々も、差別なく尊厳をもち力を発揮できる社会へ。共産党は力をつくします。

 おいおいですね。今時、「男は外で働き、女は家庭で家事育児」なんていわゆる「性別分業」を「自然なものだ、ジェンダー差別(性差別)ではない」「哺乳類には概ね性別分業が存在する*8」なんて言ったら正気を疑われますよ。こんな主張を支持するのは今時「女が外で働くなんて間違ってる」と主張する日本会議のような男尊女卑右翼だけでしょう。
 大体、志位氏のツイートの文脈を黒坂は完全に無視していますよね。
 志位氏の主張は「安倍政権はジェンダー平等(性平等)について何の興味関心もないし、まともに状況を改善する施策もないことが私の代表質問で分かった→日本ではジェンダー差別は安倍政権が作り出してることが分かった(『作り出してる』が言い過ぎなら『助長してる』でもいいですが)」という流れです。
 何も「安倍政権以前はジェンダー差別はなかった*9」「ジェンダー差別は全て政治が作り出している」なんてことを志位氏は言ってない。
 この流れで普通の人間がする「安倍擁護の反論」は「100点満点ではないとは言え、安倍政権はジェンダー平等に真摯に取り組んでいる。その結果、昔に比べれば安倍政権になってジェンダー平等は進んだ。志位氏の認識は不当だ」「志位氏は何を根拠にそのように安倍政権を否定的に評価するのか?」でしょう。
 そこで「性別分業は自然なものだ」なんて黒坂のようなとんちんかんなことはまともな人間は言わない。こんなアホなことを言われても安倍もありがた迷惑でしょう。
 そもそも安倍ですら建前では「女性の社会進出を増やしたい」といっており「性別分業は自然なものだ」なんて言ってない。
 自民党ですら「女性議員(外で働く女性)」がいるわけです(稲田朋美*10だの、片山さつき*11だの、杉田水脈だの「出世のため、総裁・安倍に調子を合わせて媚びる商売ウヨか、ガチウヨかはともかく」ろくでもないごろつきウヨが多いですが)。
 あるいは「人気取り」「話題作り」という要素が強いとはいえ、小泉jr環境相は「性別分業は良くないと思うので育休をとります」といいだしたわけです。
 また、ここで志位氏が論じてるジェンダー平等は「女性が外で働くこと」に勿論限定されてないのだから「性別分業は自然なものだ」なんてのは何の反論にもなってない。
 黒坂の場合、こういう「それ、共産主義と関係ないから、共産党以外も指摘してるがな、なんで共産党だけに因縁つけるの?」「あんたの主張って全然相手の主張とかみ合ってないわ。相手の主張する文脈を無視して因縁つけるのはやめなさい」つうのがあまりにも多すぎです。

*1:共産支持者の俺ですが「武力による領土変更」という表現は明らかに不適切だと思います。「領海侵犯(まあ、日本の立場では、ですが→中国の立場では領海侵犯ではないでしょう)」は少なくとも「武力による領土変更」と言う話ではない。

*2:勿論こちらは黒坂は容認するわけです。

*3:著書『平等なき平等条項論:equal protection条項と憲法』(2008年、東京大学出版会)、『憲法の創造力』(2013年、NHK出版新書)、『テレビが伝えない憲法の話』(2014年、PHP新書)、『木村草太の憲法の新手』(2017年、沖縄タイムス社)、『憲法の急所(2版):権利論を組み立てる』(2017年、羽鳥書店)、『自衛隊憲法』(2018年、晶文社)、『木村草太の憲法の新手2』(2019年、沖縄タイムス社)など

*4:というより「日本教育再生機構理事長」という右翼活動家ですが

*5:著書『反「人権」宣言』(2001年、ちくま新書)、『明治憲法の思想:日本の国柄とは何か』(2002年、PHP新書)、『日本国憲法とは何か』(2003年、PHP新書)、『本当に女帝を認めてもいいのか』(2005年、洋泉社新書y)、『公教育再生:「正常化」のために国民が知っておくべきこと』(2007年、PHP研究所)、『「人権派弁護士」の常識の非常識』(2008年、PHP研究所)、『憲法改正がなぜ必要か』(2013年、PHP研究所)など

*6:勿論女性の方が一般的には安いわけです。

*7:いわゆるLGBTのこと

*8:小生も動物学には無知なので本当か知りませんが

*9:まあ、せいぜい「安倍によってジェンダー差別が酷くなった」程度の話でしょう。

*10:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣防衛相など歴任

*11:小泉内閣経産大臣政務官、第二次安倍内閣総務大臣政務官、第4次安倍内閣地方創生担当相など歴任