新刊紹介:「前衛」4月号

 「前衛」4月号について「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
小沢一郎*1政治塾での講演『野党連合政権へ「政治決断」を』(志位和夫
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。赤旗記事に簡単にコメントします。

野党連合政権へ「政治決断」を/小沢政治塾 志位委員長が呼びかけ
 志位氏は冒頭、小沢氏との出会いを紹介。30年前にNHKのスタジオで、自民党幹事長だった小沢氏と湾岸危機をめぐって激論を交わしたエピソードに触れ、長年にわたって立場が異なってきたと語りました。

 つまりはブッシュ父政権の要望に応じてペルシャ湾自衛隊を送るかどうかという話で「送る方針の自民党(当時は海部総裁)の幹部」だった小沢氏を志位氏(当時は書記局長)が批判したという話です。当然ながら当時と今とでは政治状況が大きく違うとは言え、「ペルシャ湾自衛隊派遣を進めた小沢と連携する共産党が安倍政権の自衛隊中東派兵を批判するのはおかしい」という自民支持層の批判は十分予想されますので共産党や小沢氏がそこにどう応答するかという問題はあります。

 しかし、5年間の野党共闘のなかで信頼・協力関係を築くとともに、「政権党の中枢にいて、野党として2度自民党を倒してきた小沢氏の経験や知恵に学ぶところも多かった」と述べ

 「野党として2度倒し」というのは「細川内閣」「鳩山内閣」であり、小沢氏はそれぞれ「新生党代表幹事」「民主党幹事長」でした。

 日本共産党は党をつくって98年、国政で独自路線で通してきたことについて「それは一つの筋だった」と振り返りつつ、この数年来、「それでは情勢に対応できない」と、2015年9月に共闘路線に転換したことを語りました。

 「2015年9月に共闘路線に転換した」という表現はかなり問題があるように思いますね。それ以前は「最大野党・民主党」のほうが「共産党と共闘しなくても政権奪還はできる」と共闘に乗り気でなかったと思うのですが。
 安倍という「史上最低の政権」が長期政権になる一方で、「最大野党・民主党民進党立憲民主党)」の支持率がまるであがらないという事態の中、「共闘路線」に転換したのはむしろ小沢氏ら旧民主党の方でしょう。まあ、小澤政治塾でなかなかそうもいえないでしょうが。

 講演後、塾生から相次いで出された質問に丁寧に答えました。
 20代の塾生からは、若者や女性、LGBT(性的マイノリティー*2共産党や公党のリーダー*3になる条件があるのかという質問が。
 志位氏は、今回の綱領改定でジェンダー平等の実現を明記*4し、党の政策委員長に初めて女性を起用したこと、党の日常的指導機関である常任幹部会の構成も3割が女性になり、30代の若手を3人起用したことを紹介。

 中央委員会の機構と人事(第28回党大会)を見れば分かりますが、女性の政策委員長とは田村智子参院議員のことですね。さすがに「いずれは女性が委員長、書記局長になると思います」と無責任に空手形を切るわけにもいきませんが「田村智子氏を政策委員長の要職に就けました」と説明した志位氏です。
 常任幹部会メンバーは

常任幹部会(26人)
 幹部会が選出した常任幹部会はつぎのとおりです。(50音順、○印は新)
 市田忠義*5、岩井鐵也*6、浦田宣昭*7、太田善作*8、○岡嵜郁子*9、緒方靖夫*10笠井亮*11、紙智子*12、○吉良佳子*13、○倉林明子*14小池晃*15、小木曽陽司*16穀田恵二*17志位和夫*18高橋千鶴*19、田中悠*20、田村智子*21、寺沢亜志也*22、中井作太郎*23、浜野忠夫*24、広井暢子*25、○藤田文*26不破哲三*27山下芳生*28、○山添拓*29、○若林義春*30

です。「常任幹部会メンバーに30代の若手を3人」とは

◆田中悠氏(中央委員会の機構と人事(第28回党大会)時点で38歳、党書記局次長(建設副委員長、機関紙活動局長兼務))
吉良佳子氏(1982年生まれ、現在37歳。参院議員、党青年・学生委員長(建設副委員長兼務))
◆山添拓氏(1984年生まれ、現在35歳。参院議員、党ジェンダー平等副委員長(党副委員長兼務))

だそうです。

野党連合政権へ「政治決断」を/小沢政治塾 志位委員長の講演
 「安倍1強」と言われるものの、この6回の国政選挙での自民党の比例での有権者比得票率は15~18%であり、一度も2割に達したことはありません。自民党議席で多数を占めてきたのは、(ボーガス注:死票が多い小選挙区制という)選挙制度の問題と、低投票率に原因があると指摘しました。
 「野党の側にも努力すべき問題がある」と語った志位氏は、参院選直後の世論調査で、「安倍政権を支持しない」人の中にも棄権が多かったことに言及。「支持はしないが、『どうせ一票入れても、政治は変わらない』『暮らしは変わらない』と棄権した方が少なくない」として、棄権した有権者が投票所に足を運べば、情勢が激変し、政権交代の可能性が大きく開けると強調しました。

 どう言い訳しようが棄権は正当化できないと思いますが、棄権をどう減らすかという野党の取り組みが大事なことは指摘の通りです。
 そして「安倍長期政権とは低投票率に支えられたものであり熱烈に支持されてるわけではない」という指摘も重要でしょう。熱烈に支持されてれば「安倍自民への投票がされる」わけで低投票率と言うことはあり得ないでしょう。


◆NPT再検討会議の焦点と運動の課題(川田忠明*31
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

主張/NPT再検討会議へ/核廃絶の展望開く世論・運動を
主張/NPT再検討会議/核固執勢力を包囲する世論を
NPT再検討会議へ 力を結集しよう/原水爆禁止世界大会・国際会議/共産党 緒方副委員長の発言(要旨)


◆安倍政権のもとでの政治的貧困の諸帰結(二宮厚美*32
(内容紹介)
 「政治的貧困」といった場合、
1)政治によってもたらされる経済的貧困(例:福祉予算の意図的な削減)
2)政治哲学なき人気取り政治(いわゆるポピュリズム
などを意味することもあるでしょう。そしてそうした面においても安倍政権の「政治的貧困」は深刻ですし、そうした面も二宮氏は批判していますが、彼の言う政治的貧困とはもっぱら「政治腐敗」「政治私物化」「政治倫理に反する行為(場合によっては法にも反する行為)」といっていいでしょう。
 つまりは「モリカケ疑惑」「桜を見る会疑惑」「検事長定年延長問題」などを意味するわけですが

立花隆の金脈疑惑報道による田中*33首相退陣、クリーン三木*34の首相就任
リクルート疑惑報道による竹下*35首相退陣。その後も宮沢*36蔵相、安倍晋太郎*37幹事長、渡辺ミッチー*38政調会長ら政府・与党幹部連は軒並み疑惑の当事者で身動きがとれず、傍流だったクリーン海部*39の首相就任
・佐川急便疑惑による細川*40首相辞任
故人献金疑惑による鳩山*41首相辞任

などと違い、安倍支持率がなかなか下がらず、2012年12月から既に7年に及ぶ長期政権になっている点が深刻なわけです(なお、この文章執筆時点ではコロナ問題による支持率低迷は表面化していなかったらしく触れてはいません)。
 この点、二宮氏も「安倍の恫喝にマスコミが怯えてろくに批判報道しない」「維新の会や『国民民主党の一部議員』が安倍にすり寄っていること」「民進党解党、希望の党騒動で最大野党・民進党への批判が強まり、野党共闘も一定のダメージを受けたこと」「石破*42元幹事長以外の自民党領袖が、岸田外相→政調会長(岸田派ボス)、二階*43総務会長→幹事長(二階派ボス)、麻生*44副総理・財務相麻生派ボス)とポスト目当てに安倍を支えてること」「小選挙区制で死票が多い点が安倍を利してること」など考えられる理由をいくつか挙げていますが、正直、「よくわからないこと」は認めています(正直、俺は日本人の倫理観自体が崩壊している気すらしますが)。
 ただし、二宮氏は「願望込み」ではありますが、次のような点に希望を持ちたい、次のような点を事態改善の方向性としたいとはしています。
1)一時的とは言え、モリカケ桜を見る会検事長定年延長問題などは安倍にとって何のダメージもないわけではない
 少なくとも疑惑発覚当初はかなり支持率が低下したことは事実ですし、これらの疑惑は「風化の危険性がある」とはいえ、追及するネタがなくなったわけではありません。
2)「希望の党騒動」などの問題はあれども、とにもかくにも野党共闘は継続され選挙においても「過大評価は禁物ではある」もののそれなりの成果を上げています。
3)「大学入試改革問題」では安倍は野党の批判に対し、「改革の見直し」を表明し、当初予定通りの実施を諦めざるを得ませんでした。
 また、「桜を見る会疑惑」でも「疑惑などない」と強弁しながらも、2020年度の開催中止を表明せざるを得ませんでした。
 もちろんこれらを過大評価することも禁物ですが、安倍が「世論の批判」を全く恐れず、常に完全に無視してるわけではないとはいえます。
4)野党支持層としてはこの点は自民が「安倍の切り捨て、石破*45擁立で逃げを図る恐れがある」という点で必ずしも喜べませんが、干されてるとは言え、世論調査では石破は「自民党総裁に望ましい人」「首相に望ましい人」では「岸田*46政調会長」「石原*47元幹事長」など「安倍の軍門に降った自民派閥ボス」を抑えて、上位に付けています。その結果、石破自身も干されてるとは言え、意気軒昂なわけです。
5)「仮に疑惑まみれでもそんなことより政策が良ければいい*48」「野党に政権を任せていいのか*49」という安倍支持層の居直りに対抗するためにも野党共闘を進展させるとともに、野党連合政権の展望を示していくことが必要だろうとしています。
6)また安倍の政治手法を「詭弁と恫喝」とした上で、そうした「詭弁と恫喝が通用しづらい相手(例えば外国首脳)」には全くなすすべがないのが安倍であり、単に倫理面で問題なだけではなく国益も損ねているとしています。
 二宮氏も指摘していますが典型的には
そもそも日本側に北方領土返還についての「戦略」なんかあったのか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
安倍政権の外交というのも、ほぼ失敗に終わっているといっていいのではないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
も批判している「完全にプーチン*50に手玉にとられている北方領土交渉」があげられるでしょう。
 この点「その政治的手法の是非はともかく*51」たたき上げの有能なプーチンには「国内では恫喝でマスコミや官僚を屈服させる安倍」も「その政治的無能さ」から全くなすすべがないわけです。


◆学術と軍事の関わりの現段階と反対運動の課題(多羅尾光徳*52
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

軍学共同反対 連絡会を結成/大学は軍事研究を拒む/市民・科学者 17団体と120人超参加
軍学共同予算激増に抗議/研究者ら、制度廃止求め声明
進む軍産学共同/防衛省の委託研究 分担機関に6大学/藤野議員への回答で明らかに
大学での軍事研究反対/学術会議声明1年で集い
平和脅かす研究しない/天文学会が声明
「若手と未来語ろう」/科学者会議 「軍学共同」を討論
軍学共同 筑波大を採択/国大協会長校 2次応募 異常急増


◆失政をオリンピックで糊塗する安倍首相の欺瞞性:施政方針演説を聞く(廣畑成志*53
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

鼓動/首相 政治利用の演説/五輪精神ふみにじる
・見過ごせないのは、東京五輪の開催と改憲を結び付けて語ったことです。
・首相は「オリンピック・パラリンピックを控え、未来への躍動感にあふれた今こそ実行のときです」と改憲を呼びかけました。
・しかし、五輪憲章にはこうあります。「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」
◆中立性投げすて
日本共産党志位和夫委員長が施政方針演説を「オリンピック・パラリンピック憲法はまったく関係ない。こういう政治利用を許してはならない。五輪精神をけがすものだ」と批判したのは、この五輪憲章を踏まえたものです。
 一般紙も「五輪で結束 政治利用か」(「毎日」)、「(五輪と憲法は)同列に語られるべきものではない」(「朝日」)など、その点を指摘しています。
・しかも安倍首相は過去にも同様のことを繰り返してきました。
◆野望実現の道具
・17年の「共謀罪」法では「(成立しないと)五輪をできないと言っても過言ではない」とその強行を図り、同年には今回と同様に、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と東京五輪とセットで改憲を呼びかけています。


福島第一原発事故 汚染水の削減に何が必要か(柴崎直明)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

原発汚染水 海に「放出しかない」/原田環境相が無責任発言

汚染水放出発言 「自分は捨て石に」/原田前環境相が開き直り
 福島原発の汚染水をめぐってはさらに、処理設備で“浄化”したはずの水の8割以上に、トリチウム(3重水素)以外の放射性物質が国の放出基準(告示濃度限度)を超えて残っていることが明らかになっています。海洋放出するような状況は全くなく、放出発言は不見識極まりないものです。

福島原発汚染水の処分案/関係者の理解いる 高橋氏
福島第1 汚染水「放出2案」/疑問続出 検討継続に
知りたい聞きたい/福島第1 トリチウム汚染水処分は?/海洋放出に批判 検討続く
福島第1汚染水 海洋放出「社会的影響は大」/“現実的選択肢”大気放出も/国の小委が報告書
きょうの潮流 2020年2月7日(金)
汚染水放出前提やめて/反原連が官邸前抗議
放射能汚染水 海洋放出だめです/脱原発首長会議が声明


◆台風・豪雨による農林水産業被害―支援策の到達と求められる課題(笹渡義夫*54
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

西日本豪雨被害で政府交渉/全壊家屋の撤去は全額公費で/党愛媛県委 仁比議員ら要請に
台風被害 農業支援を/政府に共産党奈良県委要請/山下氏ら同席
台風15号 8月からの大雨災害 畑野・武田両議員の質問と政府答弁/衆参災害特委
離農者出さない支援を/台風19号被害 農民連、農水省に要請
台風19号 農地の稲わら被害 公費処理/紙氏に農水省回答 農家負担なし
台風・豪雨災害に関する申し入れ 日本共産党国会議員団│災害│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会
台風・豪雨災害に関する申し入れ/2019年11月18日 日本共産党国会議員団


特集「トランプ政権の中東政策と日本」
◆日本はアメリカのイラン政策に追随する必要はない(宮田律*55
(内容紹介)
 Q&A形式(架空質問形式)で書いてみます。
◆Q
 まず、米国とイランの対立の原因について簡単に説明して下さい。
◆A
 現在の対立は直接的には「イラン核合意」や「シリア内戦介入」ですが、それ以前に対立の背景として、1979年のイラン革命があります。
 ホメイニ師をリーダーとするイランのイスラム勢力は米国が支援する王制を打倒し、独自のイスラム国家を建設するとともにレバノンヒズボラ支援などでいわゆるイスラム革命輸出路線を始めます。これに反発したアメリカが、イラクフセイン政権をけしかけて発生したのがいわゆるイラン・イラク戦争です。米国が公然とホメイニ体制打倒を仕掛けたことで、イランと米国の関係は最悪になります。イスラエルロビーを支持基盤とするトランプが事態をさらに悪化させたことは確かですが、彼以前から米国とイランの関係は良くはありません。有名なブッシュ「悪の枢軸」の中にもイランは入っていました。
 勿論こうした米国のイラン敵視の背景にはいわゆる「イスラエルロビー」の存在があります。トランプが米国内のイスラエルロビーを有力な支持基盤としていること、であるがゆえに歴代政権と比べてもイスラエル寄りの政策をとってることは有名でしょう。
◆Q
 今回の米軍による革命防衛隊幹部スレイマニ暗殺について「彼は国外でのテロ行為に関与している」とその殺害を正当化する意見が「常岡浩介」など一部に見られます。はてはトランプのイラン核合意破棄まで正当化する意見も一部にありますがどう思いますか?
◆A
 とんでもない暴論だと思いますね。「必殺仕事人・中村主水(テレ朝)」「ザ・ハングマン(テレ朝)」「アクメツ週刊少年チャンピオン)」「外道の歌(ヤングキング)」など娯楽作品の世界なら「法で裁けぬ悪を野放しにするくらいなら非合法でも悪を抹殺して何が悪い」という話もあり得るでしょう。現実世界でそんなことをやったら法治主義が崩壊します。大体「スレイマニを殺して何が悪い」という人はスレイマニのような「イラン軍幹部」以外の政府高官暗殺でも同じ事が言えるのか。
 かつこんなことをして本当に中東の治安維持に役立つのか。むしろ戦争の危機が高まるだけではないのか。
 大体、米国はイスラエルの問題行為(パレスチナ弾圧)も、サウジの「反体制派ジャーナリスト暗殺疑惑」も容認しています。それで米国が正義の味方ぶるなどふざけています。
 ましてや、イラン核合意破棄は「イランに合意違反行為など認められていない」「EU諸国も破棄に反対した」と言う意味で「あえて言えば(というのはスレイマニ暗殺を私は擁護する気がないからですが)」スレイマニ暗殺以上に道理のない行為です。
◆Q
 宮田さんは日本は比較的イランで好感を持たれてきた、しかし安倍政権がトランプに追随すればそうした好印象も駄目になるだろうと著書で書いていますね。
◆A
 本屋大賞を受賞し、映画化もされた百田『海賊と呼ばれた男(出光佐三(出光興産創業者)をモデルとした小説)』で「出光の武勇伝」として描かれた「日章丸事件」という有名な事件があります。
 この時に日本企業である出光がイラン原油を買い付けたことが、イラン人の日本への好印象の始まりと言っていいと思います。その後も日本はイラン政策について言えば必ずしも米国追随ではなかった。にもかかわらず、「違憲の疑いもある形(自衛隊派遣)」でトランプの要望に前のめりになるのは絶対に避けるべきだと思います。まず国際社会及び日本がすべきことは「トランプが放棄したイラン核合意」をどう「再建するか」でしょう。
 そもそも廃棄自体が無法な行為なので、「無条件でトランプが合意に復帰すべき」と思いますが、いずれにせよ、現状のままでいいわけがありません。

参考
米と一緒に戦争やることになる/中東沖自衛隊派兵 志位委員長が批判
トランプ政権へ“助け船”/自衛隊中東派兵 閣議決定/安保法制成立後 初の派兵
きょうの潮流 2020年1月5日(日)
主張/米国の暴挙と首相/常軌逸した行動を認めるのか
主張/緊迫強まる中東/自衛隊の派兵命令は撤回せよ
「軍事的緊張高める」/小池書記局長 中東派兵を批判


◆米中東戦略から見えるトランプ追随の恐怖(坂口明*56
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。

トランプ政権の無法な軍事力行使を非難し、外交的解決の道に立ち戻ることを求める/志位委員長が声明
トランプのソレイマニ司令官殺害|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ

トランプ大統領の中東和平構想の検証 新たな中東危機に火をつけるか(川上泰徳) - 個人 - Yahoo!ニュース
◆和平原則「土地と和平の交換」の否定
 トランプ和平構想は、ネタニヤフ首相の支持基盤であるイスラエルの右派の間で反発が強い「パレスチナ国家の樹立」が入ったが、その代わりに1948年の第1次中東戦争イスラエル独立戦争)以来、国連総会や国連安全保障理事会パレスチナ紛争の解決のために採択した決議をことごとく否定している。
 パレスチナ難民の帰還を否定したことは、第1次中東戦争で70万人のパレスチナ難民が出た後、「故郷に帰還を希望する難民はできるかぎり速やかに帰還を許す。望まない難民には補償を行う」とした国連総会決議194号の否定を意味する。
 さらに1967年の第3次中東戦争イスラエルが東エルサレムヨルダン川西岸、ガザを占領した後、国連安保理は決議242号を採択し、「今般の紛争で占領された領土からのイスラエル軍の撤退」と「地域のすべての国の主権、領土の一体性、政治的独立を認めること」を求めた。
 これはイスラエル軍が占領地から撤退すれば、アラブ諸国イスラエル生存権を認めると理解され、「土地と和平の交換」の原則として、その後の中東和平の原則となった。トランプ和平構想で、西岸のユダヤ人入植地のイスラエル領への編入を認めており、安保理決議242号と「土地と和平の交換」の和平原則の否定となる。
◆入植地を「違法でない」とする米国の方針転換
 トランプ和平構想で、エルサレムイスラエルの首都と認めたことは、すでに2017年12月に決定し、18年5月に在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転させたことを追認するものである。イスラエルは67年の第3次中東戦争で占領した東エルサレムを併合し、1980年に統一エルサレムを首都とする基本法を成立させた。この時、国連安保理は「武力による領土の獲得は容認できない」として、イスラエル基本法について「法的効力はなく、無効」と決定した。トランプ大統領の2017年の決定は安保理決議違反である。
パレスチナは拒否、国連事務総長も認めず
 パレスチナ自治政府アッバス議長はトランプ和平構想の発表を受けて、「今日のばかばかしい発表を聞き、我々は『世紀の取引』に1000回のノーを突き付ける」と即座に拒否した。さらに「エルサレムは取引材料ではない。我々のすべての権利は取引材料ではない。我々パレスチナ人はこのような陰謀がまかり通ることはさせない。イスラエルの占領と米国政府はこれから何が起ころうとも、すべてに責任がある」とし、「我々は屈することも、降伏することもない」と述べ、和平構想に基づく交渉の拒否を明言した。
 構想に対して、国連のグテレス*57事務総長は報道担当を通じて、「国連は1967年の第3次中東戦争以前の境界線に基づく国境によって平和と安全のもとに2国家共存の理念を実現することを信じている」と述べ、トランプ和平構想を認めない姿勢を示した。
パレスチナでは衝突激化は避けられず
・トランプ和平構想は、今後の中東に何をもたらすのだろうか。この構想を受けて、ネタニヤフ首相は西岸の併合を開始すると表明している。イスラエルパレスチナの対立が激化することは避けられない。すでにトランプ大統領エルサレムイスラエルの首都と認定して、2018年5月に米国が大使館をエルサレムに移転するという流れの中で、パレスチナでは流血が続いている。
トランプ大統領が米国大使館をエルサレムに移転させたことに続き、今年、和平の原則を無視した和平構想を発表したことは、パレスチナ問題を激化させることで、中東を不安定化させ、次の危機に追いやる危うい判断であると思わざるを得ない。
トランプ大統領にとってパレスチナ問題は、イスラエルの首相に恩を売り、(ボーガス注:イスラエルロビーの力を借りて)米国内で自身の大統領再選を確実にする政治的取引の材料でしかないのだろう。しかし、パレスチナ問題の怖さは、アラブ諸国の政府の米国への迎合とパレスチナの孤立という構図のなかで、アラブの民衆の怒りが生まれ、次の中東危機につながる緊張が醸成されることである。

 川上氏のようなトランプ批判「トランプのパレスチナ和平提案は極端にイスラエルよりであり、和平提案の名前に値しない」「トランプを野放しにしたらパレスチナ和平合意が破壊される*58」をしないどころか、トランプにアサド政権転覆をけしかける常岡については

・まともで有能な中東ジャーナリスト(川上氏)と、なんちゃってジャーナリスト(常岡)は全然違うな
・常岡って中東関係ではアサド政権打倒論しかほとんど口にしないからな

ですね。まあ常岡の場合、最新刊が『イスラム国とは何か』(2015年、旬報社)で、それ以降、本の出版はなし。アマゾンでは『イスラム国とは何か』以外の著書は、常岡『ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記』(2008年、アスキー新書)しかありません。
 雑誌などにもどう見ても記事を発表してないし、自ブログThe Chicken Reportsの更新も長期に亘って停止してるという無様さです。
 一方、川上氏(元朝バグダッド支局長)の場合、ネット上にコンスタントに記事を発表してるし、

◆『イラク零年:朝日新聞特派員の報告』(2005年、朝日新聞社
◆『現地発 エジプト革命:中東民主化のゆくえ』(2011年、岩波ブックレット)
◆『イスラムを生きる人びと:伝統と「革命」のあいだで』(2012年、岩波書店
◆『中東の現場を歩く:激動20年の取材のディテール』(2015年、合同出版)
◆『「イスラム国」はテロの元凶ではない:グローバル・ジハードという幻想』(2016年、集英社新書)
◆『シャティーラの記憶:パレスチナ難民キャンプの70年』(2019年、岩波書店

と著書も常岡と比べたら多数あるわけです。
 いくら「数が多ければいいというもんではない(質も大事)」とはいえ「それなりに活動してる川上氏」と「まるで活動してない常岡(にもかかわらず無意味に態度だけはでかい)」では比較にもなりません。
 結局、「常岡(元長崎放送記者)」だけでなく「福島香織(元産経記者)」もそうですが無能かつ覚悟のない人間が独立すると常岡や福島みたいな醜態をさらすわけです。常岡も「意地でも絶対に認めたくない」でしょうが「独立しないで、今も長崎放送で警察裏金疑惑でも報じてた」方が明らかに幸せでしたね。


◆子どもの貧困対策推進法改正の意義と問題点(宮永弥四郎)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。宮永氏や共産党の立場は「改正法を大筋では評価するが、細部では批判する」といった立場のようです。

主張「子どもの貧困:現状打開へ真剣な取り組みを」
 子どもの貧困対策に取り組む市民らの運動を背景に、2013年に子どもの貧困対策推進法が全会一致の議員立法で成立しました。同法は14年に施行されて5年が経過する中、見直しの要望も高まり6月に改正が実現しました。
 法律の目的で「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」とあった条文の「将来」の前に「現在及び」を書き込みました。これで貧困対策が「将来」のための学習・就労支援だけでなく、「現在」の子どもの生活改善のためにも力を入れることが明確になりました。保護者への就労支援も「所得の増大」や「職業生活の安定と向上」に資するようにすることが位置付けられました。また、国連の子どもの権利条約の精神にのっとって、子どもの利益を最優先に対策を推進することなども記されました。法改正を生かし、子どもをはじめ当事者らの意見を踏まえるなどして、切実な声と実情にかみあった新大綱をつくることが重要です。

実態つかめる指標に、高橋氏 子の貧困対策めぐり指摘
 日本共産党高橋千鶴子議員は12日の衆院内閣委員会で、子どもの貧困対策を拡充するために子どもを取り巻く状況を多面的に把握する指標づくりを求めました。
 高橋氏は、12日に成立した改正子どもの貧困対策推進法で対象を「貧困の状況にある」から「全て」の子どもに変更したことを評価。その上で子どもの貧困対策大綱で設定された25の指標のうち約15が生保世帯、ひとり親、社会的援護など特別な状況下の子どもに限定されると指摘しました。欧州などでは屋外レジャー用品や修学旅行の参加費など一般家庭が持つものが欠如する「物質的剥奪」を指標にしていると紹介し、「経済的指標だけでなく健康や社会生活に関する指標が必要だ」と迫りました。宮腰光寛内閣府(ボーガス注:少子化等)特命担当相は「指標の改善・充実に取り組みたい」と答弁しました。
 高橋氏は、指標に就学援助率が入ってない背景に、就学援助制度の案内の毎学年配布率が都道府県ごとに大きな差があり、認定基準も市町村任せになっていると指摘。周知徹底について、文部科学省中村裕之大臣政務官は「検討する」と答弁しました。


◆記者ノート「被害者・遺族の苦しみに心寄せて:いじめ事件の取材から」(高間史人)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

きょうの潮流:2019年3月28日(木)
「知華は悪くなかったと伝えたい」。
 熊本県立高校の女子生徒が自殺したのはいじめが原因だと認められたとき、両親が記者会見で娘の実名を明らかにして語った言葉です
▼いじめ自殺にかかわるニュースが連日のように報道されています。しかも、わが子を失いながら、その原因がいじめとなかなか認められない現状があります。親たちの無念はいかばかりか
茨城県取手市で女子中学生が自ら命を絶った事件では、いじめとの因果関係が認められるまで3年かかりました。「娘が日記にそのまま書き記しているのに、なぜすぐに認めてくれないのかと、壊れそうな精神状況だった」と父親。「当然のことを認めるのにあまりにも長すぎる」とも
▼いじめで子どもが命を失うようなことはなくさなければなりません。子どもや親が訴えてもいじめだと認めなかったり、表面的な「仲直り」ですませたり、対応を担任まかせにしたり。そんなことが何度繰り返されてきたことか
▼いじめが原因と疑われる自殺があっても、事実を隠したり、責任逃れをしたりする学校や教育委員会が少なくありません。でも、子どものことを真剣に考えるなら、真実をきちんと明らかにしてほしい
▼いじめ自殺がなくならない現状に、対処しなかった教員の処分を法制化してほしいという声もありますが、現場が萎縮しては逆効果。大切なのは事実を丁寧に検証して、子どもを守るためにできることを考え合い、人と予算の手当てを含め、急いで力を出し合うことです。

きょうの潮流:2019年12月29日(日)
 信じがたい判決が出ました。中学時代に暴行・恐喝行為を連日受け、今もフラッシュバックに苦しむ佐藤和威さん(20)。佐賀地裁は20日、市に対する損害賠償請求を棄却したのです
▼教師や学校には早期発見義務があるのに、「いじめと認識できなかった」などとして免責する裁判所。「プロレスごっこ」をする。掃除の時間にほうきでたたく。授業中のこぎりを振り回す…。これらは「中学1年の男子にはよくあること」などとして、社会通念上許容されるとの判断は、一体どこからくるのか
▼同市の教育長は当初、いじめの範囲をこえた「犯罪」だと認めていたのに、提訴を受けて態度が一変。しかも、市の責任を免れた教育長は、判決後の会見で「ほっとした」とのコメント。心も体もズタズタにされた被害者に、心を寄せることもできないのか。こんな姿勢が学校を覆い、教師にしみ込んでいく。子どもたちは救われません
▼判決で認められたのは、加害生徒に対する最低限の損害賠償のみでした。見て見ぬ振りのおとなの無責任さも相まって、行為がエスカレート。もっと早く、彼らを止めることができていたらとの思いも
▼自殺企図もある佐藤さんですが、記者会見の場で名前も顔も公表しました。正当な判断をと25日、家族とともに福岡高裁に控訴。自分や心ない中傷を受ける家族のためだけではない。今いじめられている子どもたちの命を守りたいから
▼「僕自身はこれからも前に進み続けたい」。振り絞ったその思いに応える、大きな人の輪を。


野党共闘時代の到来と山本宣治:その理論と生き方に学ぶ(本庄豊*59
(内容紹介)
 前振りとして安住淳*60の「山本宣治に触れた挨拶」を紹介した上で、

・若宮貞夫*61代議士(立憲政友会)と川崎安之助*62代議士(立憲民政党)による山本追悼演説 

・国会質問において、望月圭介*63・田中*64内閣内務大臣、宮田光*65警視総監の引責辞任*66を主張した横山勝太郎*67代議士(立憲民政党

・山本宣治の告別式に出席して弔辞を読んだ元田肇*68衆院議長や尾崎行雄*69代議士

について触れている。
 本庄氏は
1)若宮や川崎の演説、元田や尾崎の弔辞は一般的な追悼演説、弔辞であり、同志的な演説、弔辞ではないこと。横山質問も「国会議員が暗殺されるような不祥事を起こした責任を内務大臣や警視総監がとって辞任すべきだ」とするもので同志的な質問ではないこと
2)若宮、川崎、横山、元田、尾崎いずれも保守党の政治家であること
3)(衆院議長である元田、「憲政の神様」の異名がある尾崎はともかく)若宮、川崎、横山いずれも知名度が低いこと
から従来、山本宣治研究者や「山本宣治の流れをくむ左派系の政治党派(共産党もその一つ)」においてほとんど注目されてこなかったが「国民民主党立憲民主党といった保守政党との共闘を進めている現在」、こうした若宮、川崎の演説、横山の質問、元田や尾崎の弔辞についてももっと評価すべきではないかとしている。

【参考】
山本宣治ってどんな人?
小林多喜二、山本宣治が殺されたわけは?
山宣資料館見学、小池書記局長
きょうの潮流:2019年3月18日(月)
未来ひらく生き方を、山宣生誕130年 市田氏講演、京都・宇治

きょうの潮流:2020年1月15日(水)
驚きました。ここで「山宣」こと山本宣治の話が出るとは。日本共産党の党大会に招かれた立憲民主党安住淳国対委員長があいさつで切り出しました
▼戦前の軍国主義による国民弾圧のなかで命を燃やした山宣。つねに大衆とともにあったその姿を胸に刻みながら、一緒にがんばりたいと。生誕の節目に彼の本を読み、風雪に耐え国民のためにたたかった人生に思想の違いをこえて感動したと、あとで語っていました


◆論点『特別支援学校「設置基準」策定へ』(佐竹葉子)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
「設置基準」特別支援学校にも/国に署名提出 超過密化「もう限界」
SOS 特別支援学校 設置基準がない/児童増加 足りない教室
論戦ハイライト/特別支援学校教室不足/音楽室を奪うことが適切か 設置基準策定と新増設促す/参院予算委 山下議員の質問
過密な特別支援学校/設置基準ぜひ 父母ら請願提出


◆暮らしの焦点『性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは重要な法的利益:経産省事件東京地裁判決の意義と今後の課題』(永野靖)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。なお、永野氏に寄れば、敗訴した国が控訴したため、判決が確定せず、裁判は控訴審に移りました。
「LGBT配慮はもはや先進的ではない」。経産省のトイレ使用制限、性同一性障害の女性職員が国に勝訴(判決詳報) | ハフポスト

社説:性同一性障害と職場 意識改革迫った地裁判決 - 毎日新聞
・国は判決を受け入れ、率先して職場環境を改善すべきだ。
・働く環境の改善はまだ途上だ。金沢大などの調査では、トランスジェンダーの4割が、使いたいトイレを利用できていなかった。周囲の人々に抵抗感が残っているとの結果も出た。
 判決は、こうした現状に意識改革を迫ったものだ。社会全体で、性的少数者への理解を深め、多様性を尊重し、誰もが生きやすい環境づくりを進めていかなければならない。

心は女性 経済産業省の職員 東京地裁 “女性トイレ使用制限は違法” - 特集ダイジェスト - ニュースウオッチ9 - NHK
◆桑子
「きょう、注目の判決が下されました。こちら、性同一性障害で(ボーガス注:外見は男性ですが)心は女性の経済産業省の職員です。職場で女性用トイレの使用が認められないのは不当な差別だ、と訴えました。」
◆有馬
「裁判所は判決で、トイレの使用を認めないとした国の措置は違法だとして取り消し、賠償を命じました。」
◆訴えを起こした 経済産業省の50代の職員
「単に平等にしてほしいということだけ。私みたいに女性として生活している人が、一般の女性がトイレを使うのと同じように。」
 職員は男性として入省しましたが、職場に性同一性障害の悩みを打ち明けて相談し、女性職員として働くようになりました。
 女性用の休憩室や更衣室の使用は認められましたが、女性用トイレについては自分の部署のフロアでは使用が認められず、2階以上離れたフロアのトイレを使うように言われました。
◆訴えを起こした 経済産業省の50代の職員
「ほかの民間企業では、何も制限が加わっていなのが友人の状況。経済産業省だけは個人のプライバシーを全く無視する条件を突きつけてくるのか理解できない。」
 裁判で職員は、職場で女性用トイレの使用を認められないのは不当な差別だとして、国に対して処遇の改善や、1,650万円あまりの賠償を求めました。
 これに対し、国側は「ほかの女性職員との間でトラブルが生じるおそれがあり、合理的な判断だ」と主張していました。
 きょうの判決で東京地方裁判所の江原健志裁判長は、「性同一性障害を含むトランスジェンダーの人が働きやすい職場環境を整えることの重要性はますます強く意識されるようになってきている」と指摘。
 その上で、「職員は女性として認識される度合いが高く、男性用トイレを使うことも現実的に困難だ。女性用トイレの使用を認めないのは社会観念上、妥当ではなく、違法だ」としました。
 そして、女性用トイレの使用を認めないとした国の措置を取り消したうえで、国に130万円あまりの賠償を命じました。
◆訴えを起こした 経済産業省の50代の職員
「非常に安どしている。同じような当事者に対して勇気づける判決の内容だったと思う。この判例を1つの目安にしながら、企業・職場で判断できること、たくさんあると思う。ぜひ前向きに取り組んでほしい。」
 一方、経済産業省は、「国の主張が認められなかったと承知している。控訴するかどうかは、判決を精査した上で関係省庁とも相談の上、対応することとしたい」というコメントを出しました。
◆原告側の証人として裁判に出廷 大阪府立大学大学院 東優子教授
「今まではトイレ・更衣室・宿泊で、性別・性自認が問題になると想像しなかったかもしれないが、勇気を持って声が上がってきている。
 どういった解決策がいいのかは目の前にいる当事者が教科書。ニーズを聞き取り、画一的ではなく柔軟な対応することが重要。」


メディア時評
◆テレビ:「持ち込み番組」をめぐって(沢木啓三)
(内容紹介)
 いわゆる持ち込み番組に対する批判。

【参考:ニュース女子

沖縄デマ番組「ニュース女子」 「事実まげた」放送せず/ミヤギテレビ、社内考査で判断
 沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設に反対している人は「金で雇われている」などとデマのリポートをしたテレビ番組「ニュース女子」を東京MXテレビが放送したことに批判が集中しています。この問題で、「ニュース女子」の放送枠があるローカル局ミヤギテレビ」(仙台市)が社内の考査でこの回の番組を「事実をまげている」と判断、放送しないことを決めていたことが24日、本紙の調べで明らかになりました。
 「ニュース女子」は化粧品・健康食品製造販売のDHC(吉田嘉明会長)が地方テレビ局から時間枠を買い取り、子会社「DHCシアター」が制作した番組を持ち込み、地上波で放送しています。

東京MXテレビ/「ニュース女子」月内終了へ/沖縄への偏見あおると批判の声
 沖縄県の米軍基地建設反対運動を取り上げた東京MXテレビの情報バラエティー番組「ニュース女子」に批判が出ていた問題で、同局は1日、番組の放送を3月末で終了すると発表しました。
 「ニュース女子」は、化粧品会社「DHC」がスポンサーとして番組枠を買い取り、子会社の「DHCテレビジョン」が取材・制作し、完成版をMXが放送する「持ち込み番組」。
 問題になったのは昨年1月2日放送分で、米軍ヘリパッド建設反対運動について、「日当をもらっている」「テロリストみたい」などと報道。放送直後から、「デマで誤解と偏見をあおった」「差別的な発言があった」として市民団体が抗議行動を続けています。放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会は昨年12月、現地調査もふまえ、中核的な事実の裏付けがなく、MXが番組内容を検証する「考査」も機能していなかったとして、「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表しました。

【参考:欲望の塊】

賞品トラブルでMXテレビ謝罪 「宣伝費、把握せず」:朝日新聞デジタル
 東京メトロポリタンテレビジョンMXテレビ)が昨年放送した番組で、ゲームに優勝したホストの男性に、賞品として約束していた「2千万円相当の超高級スーパーカー」を渡していなかった問題で、MXテレビは21日、ホームページで「出演者の皆様、関係者の皆様を始め、視聴者の皆様には、ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫(わ)び申し上げます」と謝罪した。
 番組は、昨年1~3月に関東ローカルで放送された「欲望の塊」。ホストクラブ勤務の男性を集め、相撲やクイズ、ばば抜きなどで競わせる内容で、優勝者には「2千万円相当の超高級スーパーカー」を贈ると繰り返し放送していた。番組に出演し、ゲームに優勝した男性によると、番組側に「宣伝費」として約150万円を支払い出演したが、放送後、番組側に何度催促しても賞品の提供がされず、昨年末からは関係者と連絡が取れなくなったという。
 MXテレビによると、番組の企画は外部の制作会社から持ち込まれ、MXテレビは放送枠を販売した、いわゆる「持ち込み番組」だった。宣伝費については、「出演料(宣伝費)とされる150万円については、当社は把握しておらず、番組内における表記もありませんでした」とした。
 番組を企画したのは制作会社とは別の会社だが、そこから、番組のMC、お笑いコンビ極楽とんぼ山本圭壱さん*70と出演していた俳優の小沢仁志さんへのギャラや、制作会社への支払いも行われていなかったという。

識者「ニュース女子思い出す」 賞品トラブルのMX番組:朝日新聞デジタル
 東京メトロポリタンテレビジョンMXテレビ)が放送したバラエティー番組「欲望の塊」で、優勝決定から約1年を経ても賞品を渡していない問題。ホストクラブ勤務の男性を集めてゲームを競わせ、優勝者にスーパーカーを贈るという企画だった。しかも、優勝者の男性が約150万円を負担するなど、出演者は番組に参加するため「宣伝費」などとして制作側に金銭を支払っていた。MXテレビによると、外部の会社の持ち込み番組で、MXテレビは放送枠を販売したという。問題については21日、「当社が制作著作権保有しない番組でありますが、放送責任は当社にある」と謝罪した。民放の制作現場に詳しい砂川浩慶*71立教大学教授(メディア論)に今回の問題のポイントを聞いた。
『放送という公共的なもので、特定の出演者から金銭をもらって出演させるということだったのならば問題だ。一般的にギャラは局が出演者に払うもので、出演者がお金を出して出演するということは当然一般的ではない。結局、お金を出したら誰でも出演できるのか、という話になる。そもそもメディアの信頼性にも関わってくる話だ。』

賞品トラブルのMX番組騒動は制作担当者の自殺に発展 無責任な局の体質に疑問
 騒動となっている番組は「欲望の塊」。この番組は人気ホストが簡単なゲームで競い合い、優勝者にはランボルギーニ社の2000万円といわれるスーパーカーが贈られるという、たわいもないバラエティー
 ところが、番組の放送から1年近くも経っているにもかかわらず(放送は昨年1〜3月だった)、優勝者の元にスーパーカーが送られてこない。しかも、番組でMCを務めていた「極楽とんぼ」の山本圭壱(51)や、ゲスト出演した俳優の小沢仁志(57)に対してもギャラが支払われていないことまで判明した。放送関係者が言う。
「そもそも今回の問題が大きくなったのは、番組の制作手法でした。企画した制作会社は、出演するホストの店から〝番組出演広告宣伝費〟と称して1店あたり150万円を徴収していたのです。番組には15人前後のホストが出演していたので、少なくとも2000万円以上を集めていたと思います。現時点で言えるのは企画会社が、その徴収した制作費をネコババしたということです」。
 出演者のギャラばかりか制作費もほとんど支払っていなかったことを考えると、利益はさらに増えるわけで、やはり企画会社の〝計画的犯行〟だったことは間違いなさそうだ。
◆企画会社の担当者が自殺か 無責任なMXテレビ
 しかも27日になって、この騒動は企画会社で番組を担当したと思われる40代の男性が、自殺するという最悪の事態に発展した。この男性は24日に福岡市西区にとめた車の中で、遺体で見つかっていたというのだ。 
 そもそもMXテレビの認識だ。同局がホームページで出した「お詫び」だが、これが

「本番組は、外部からの企画持ち込み及び制作により放送したもので、当社が制作著作権保有しない番組でありますが、放送責任は当社にあると考えております」

 唖然である。
 放送法に則って、MXテレビの番組として放送しているはずなのに「当社が制作著作権保有しない番組」と言い放ってしまう。免許事業者としてこの認識は問題だろう。そもそも、番組の編成権はMXテレビにあるのだから、放送する責任は全て負うのが当然である。
MXテレビは自社番組以上に番組を外部の制作会社に丸投げしているケースが多いといわれています。それは収益もありますが、基本的には局に制作能力がないためです。局の責任者が現場のことをほとんど把握せず任せっきりで、チェックもしていなかったことこそが大問題です。自社で放送する番組すらチェックも出来ないのなら、放送局としての放送免許も返上すべきでしょう」(週刊誌の放送記者)。
 しかも、MXテレビが「無責任発言」したのは今回だけではない。3年前の2017年1月に、沖縄の基地反対運動について放送した「ニュース女子」でも似たようなことが起こった。
 いずれにしてもMXテレビの対応の鈍さ。危機意識のなさ。放送事業者としてのコンプライアンスの欠如…改めて実感する。おそらく、今回の事件も(ボーガス注:ニュース女子同様に被害者の訴えで)BPO審議入りすることは確実だろう。
◆テレビ業界は制作体制を刷新できるか
 今回の騒動はあらゆるメディアで報じられ、問題視されてきた。しかし、現実にはMXテレビに限ったことではない。
 お笑い芸人で、タレントのカンニング竹山(48)は、フジテレビ系の報道番組「直撃LIVEグッディ!」に出演して「そもそも150万円払ってテレビに出るっていうのが、それでいいの? っていうのもあるし、あんまり聞いたことがない形ですよ。テレビに出るのにお金払って出るわけないですから。基本ないですから」なんて言っていたが…果たしてそうなのか。
 MXテレビのような独立系の放送局に限らない。各地の放送局はもちろん、在京キー局でも外部の制作会社からの持ち込み番組は多い。しかも、その番組では「番組出演広告宣伝費」と称して、制作費を徴収するケースもある。
 実際に「(番組に出演するために制作会社に)50万円支払った」という新人歌手もいたし、音楽番組に出演する代わりに、レコード会社がスポットCMを出稿することは普通にある。しかも「音楽番組の場合は、歌手への出演料は支払っても、バックバンドには支払わないことはよくありますからね」(レコード関係者)。
 結局、今回のMXテレビの「欲望の塊」の場合は、賞品だったスーパーカーは諦めるとしても、山本圭壱と小沢仁志の出演ギャラについては、(おそらく)出演契約書はないと思うが、番組自体は制作会社が委託を受けていた以上、(ボーガス注:MXが)とりあえず肩代わりするしかないだろう。
 しかし今回、企画会社の責任者が自殺してしまったことも含め、再検証が必要だろう。少なくともMXテレビは「外部に任せた」とか「気づかなかった」なんて無責任なことを言っている状況ではなくなったことは確かだ。

 「MXてまともな会社じゃねえな」としか言いようがないですね。


【参考:その他】

BPO、地方局2番組を審議入り 広告放送の疑い
 審議対象は、琉球朝日放送が9月21日に放送した「島に“セブン-イレブン”がやって来た 沖縄進出の奇跡と挑戦」と、北日本放送が10月13日に放送した「人生100年時代を楽しもう! 自分に合った資産形成を考える」。琉球朝日放送の番組はセブン&アイ・ホールディングス北日本放送の番組は富山県内の金融商品取扱会社がそれぞれ提供していた。

BPO放送倫理検証委員会、長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見を公表、放送倫理違反があったと判断
 放送倫理・番組向上機構BPO]の放送倫理検証委員会(神田安積委員長)は、長野放送働き方改革から始まる未来』に関する意見(委員会決定 第30号)をまとめ、2019年10月7日、記者会見して公表した。対象となったのは、内容が番組か広告か曖昧であるとして審議していた長野放送の持ち込み番組『働き方改革から始まる未来』。委員会は、長野放送が民放連放送基準「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」に盛り込まれた「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らした適正な考査を行わず、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した。
◆概 要
 長野放送が3月21日にローカル枠で放送した持ち込み番組『働き方改革から始まる未来』について、5月の委員会において、民放連放送基準に照らし番組で取り上げている特定企業の事業紹介が広告放送と誤解されかねない内容になっているのではないか、考査が適正だったか検証する必要があるとして審議入りしていた。
 番組は、長野県内の社会保険労務士法人の1社提供番組だったが、『働き方改革から始まる未来』というタイトルとともに「社会保険労務士法人」が掲げられたこと以外、番組を提供した広告主としての表示はなかった。番組本編が放送された後の2分間に流されたCMを除くと、正味28分の番組の間にCMはいっさい入らなかった。
 テレビ・ラジオ局を問わず、民放経営の根幹にかかわる広告との関係をめぐって審議入りしたのは、今回が初めてとなった。
◆委員会の判断――放送倫理違反があった
 本件番組は社労士法人の1社提供による持ち込み番組だったにもかかわらず、広告主のタイムCM枠はなかった。その一方、番組自体には社労士法人の名前が頻出し、それが主語となるナレーションも目立った。開設された東京事務所の紹介やセミナーの一部は、番組のテーマに掲げられた働き方改革との関連性が薄かった。
 持ち込み番組に対する考査の重要性を強調した委員会決定「東京メトロポリタンテレビジョンニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見」の教訓も長野放送の各部門で生かされなかったことについて、委員会は深刻な思いを禁じえない。
 本件番組は、全体的に社労士法人とその事業内容のPR色が濃い。どこからどこまでがスポンサーの意向や事業などから独立した番組なのか見分けがつきにくく、視聴者が広告放送であるとの疑いや誤解を抱くのも無理はない。限られた地域での放送だったにせよ、本件番組は民放の番組と広告放送の信頼性を揺るがしかねない、ゆゆしき問題ではないか。

 特に酷いのがMXですが、他局にも問題があるわけです。


文化の話題
◆美術『美術館をとりまく「危機」』(朽木一)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

【参考:災害被害】

台風19号 美術館にも被害、収蔵品破損の恐れも :日本経済新聞
 各地に豪雨をもたらした台風19号は美術館にも大きな損害を与えている。川崎市市民ミュージアム川崎市)では、雨水が大量に流れ込み、建物の地下部分が水没。同市によると、地下にある機械室や電気室、発電機が浸水により使用できなくなっている。
 同館は1988年に開館。日本の公立美術館・博物館で初めて漫画部門を設置するなど、ユニークな収蔵品で知られる。ポスターや映画フィルム、ビデオ、写真などの収集にも力を入れており、全国でも屈指のコレクションを誇る。水没した地下には収蔵庫もある。19世紀末の仏の画家、ロートレックのポスターや江戸時代の浮世絵師、鳥山石燕の妖怪図「画図百鬼夜行」などの作品が保管されている。収蔵庫は機密性が高い構造になっているが、「水に対して、どのぐらい効果があるかはわからない」(同振興室)。電気系統が機能していないため通常行っている空調による温湿度管理もできておらず、中にある作品の状態が心配される。
 栃木県の佐野市立吉澤記念美術館は、床上浸水と土砂の流入に見舞われた。伊藤若冲菜蟲譜(さいちゅうふ)をはじめ約600点の収蔵品に被害はなかったものの、館内設備の被害は大きく、休館を決めた。19日から始まる予定だった企画展「創る女たち」の開催も未定となっている。同館は「なるべく早期の開館を目指したい」としている。

東京新聞:台風で市民ミュージアム浸水 川崎市長謝罪「資産毀損、責任を痛感」:神奈川(TOKYO Web)
・台風19号の影響で川崎市中原区の博物館兼美術館「川崎市市民ミュージアム」の収蔵庫が浸水した問題で、川崎市の福田紀彦市長は二十五日、「資料や作品を寄贈した関係者、市民に心よりおわび申し上げる」と謝罪した。同日開会した市議会定例会の本会議で言及した。 
・福田市長は「次代に引き継がなければならない歴史的、文化的な資産を毀損(きそん)した責任を痛感している」と述べた。また、今後の災害に備えて「このたびの対応を検証し、課題に真摯(しんし)に向き合い、備えに反映していくことが必要だ。市の災害対応についてあらためて精査し、対策を進める」とも語った。

川崎の市民団体、ミュージアム浸水で収蔵品管理改善要求 - 産経ニュース
・台風19号で大量の収蔵品が浸水した川崎市市民ミュージアム(同市中原区)について、市民団体「かわさき市民オンブズマン」は、市のハザードマップで5~10メートルの浸水が想定されていた区域だったとして、地下収蔵の対応を批判し、収蔵品管理の改善を求める申し入れ書を福田紀彦市長宛てに提出した。
・市民団体は申し入れ書で「地下収蔵は避けるべきだった」と指摘。記者会見した代表幹事の篠原義仁弁護士は、被害品について「収蔵品リストも不完全で照合できない。財産管理を怠っている」と批判した。

【参考:経済危機】

デトロイト美術館展 市民が守った名画、日本公開(1/3ページ) - 産経ニュース
 栄光と凋落(ちょうらく)。
 ゼネラル・モーターズ(GM)などが名車を生産し、米製造業の“心臓部”とも呼ばれたデトロイトが2013年夏、自動車産業などの衰退に伴って財政破綻に陥った。デトロイト美術館(DIA)もそのあおりを受け、絵画売却という未曽有の危機に直面。だが、市民から売却反対の合唱が巻き起こり、市は絵画売却の方針を転換するに至った。市民らの熱意で守られた名画の数々を一挙公開する「デトロイト美術館展」が27日から、東京・大阪など国内3都市で開催される。
 2007年に金融危機が発生すると、クライスラーとGMが相次いで破綻。税収の激減などで、市は13年7月に財政破綻した。
 市側は財政再建のため美術館の絵画売却を検討。米競売商クリスティーズも査定に乗り出す事態となった。だが、市民や各地の美術団体が猛反発。市側は結局、市職員らの年金削減などで負債を削減する再建計画を提出し、名画流出の危機は回避された。

名古屋ボストン美術館が残したもの 【きよみのつぶやき】第3回 – 美術展ナビ
名古屋ボストン美術館名古屋市中区金山町)が10月8日で閉館し、20年にわたる活動を終える。かなり前から予期されていたこととはいえ、今年の美術界で残念な出来事の一つだった。
・同館は名前の通り、米ボストン美術館の姉妹館として1999年4月、金山駅前の再開発ビル3~5階にオープン。自前のコレクションは持たず、ボストン美術館の所蔵品を中心に紹介してきた。
・しかし、「平成の不平等条約」とも揶揄された(ボーガス注:ボストン美術館への)巨額の寄付金支払い条件が重荷となり、スタート当初から経営は苦しかった。地元の大手企業から集めた寄付金と、愛知県と名古屋市から借りた経営安定化資金を活用して赤字を埋める計画は、不況に伴う超低金利や円安であっさり目算が外れた。同館を運営する名古屋国際芸術文化交流財団は2016年5月25日の理事会で、今年度末までの契約を延長しないことを決定。同日の記者会見で発表した。
・私は2004年に文化面で担当した連載企画「ミュージアムの現在」で実情を取材したが、その当時も財団は年間5億円に達する赤字を圧縮するため、経費削減と資金集めに追われていた。20年の契約満了を待たず、運営が頓挫するのではないかと危ぶんだほどだ。
・部外者の立場で勝手なことを言えば、せっかく地元の熱意で開館した美術館を、もっと多くの人が訪れ、盛り立てることは出来なかったのか、という思いも残る。
名古屋ボストン美術館が地域の将来に向けて残した最も大きな足跡を指摘するなら、さまざまな教育普及活動だろう。ボストンと名古屋の子どもたちがアートを通じて交流した「日米アート交流プログラム」や、「視覚障がい者向けプログラム」。2004年から小中学生を入場無料とし、2007年には大学などと連携した学校法人賛助会制度を導入して地元の60校あまりが参加した。これは加盟校の学生なら学生証の提示で無料観覧できる制度だ。高校生も昨年3月から平日午後5時以降を無料とした。
 バブルが生んだ一時の夢、と言ってしまっては身も蓋もない。ボストン美術館のすぐれたコレクションが20年近くも名古屋で展示されてきたことは、地元の人々に長く記憶され、有形・無形の影響を与え続けるだろう。その「経済効果」は計り知れないほど大きなものだと信じたい。

名古屋ボストン美術館、後継施設が未定 宙に浮く一等地:朝日新聞デジタル
 昨年10月に閉館した「名古屋ボストン美術館」(名古屋市中区)の後継施設について、名古屋市は1日、不動産会社「矢作地所」(同市東区)から応募があったものの要件を満たさず、不調に終わったと発表した。市は「3度目の募集をかける可能性は低い」としており、市が直接活用することも含めて今後の対応を検討する。
 市によると、矢作地所は美術館の要素を盛り込んだ事業を提案したが、同社が「考えうる最高額」の賃料は、市が設定した最低額の年5280万円に届かず、外部有識者による審査で失格となった。同社は朝日新聞の取材に「提案内容を含め、答えられない」としている。
 美術館は金山駅前の複合高層ビル「金山南ビル」にあった。ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋などが入る31階建てのホテル棟と5階建ての美術館棟からなり、美術館棟は名古屋市が所有する。
 市が昨年12月に締め切った最初の募集では、現地説明会に10社が参加したものの、応募はなかった。今年5月に始めた再募集では、共用部の共益費や光熱費を市が支払い、事業者の負担が年3千万円ほど減るように条件を見直していた。


◆音楽『新作オペラ「イワンのばか」』(小村公次*72
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

坂手洋二が書き下ろす新作オペラ、こんにゃく座「イワンのばか」(動画あり) - ステージナタリー
 オペラシアターこんにゃく座「オペラ『イワンのばか』」が、2月6日から11日まで東京・あうるすぽっとで上演される。
 これは、トルストイの原作をもとに坂手洋二*73が書き下ろす新作公演。演出を坂手、作曲を萩京子*74、振付を山田うんが担当する。
 無欲な農民のイワンをたぶらかそうと計画する大悪魔は、3人の小悪魔たちを差し向ける。イワンの2人の兄は悪魔の誘惑に負け、欲に溺れるが、純真なイワンは悪魔たちを撃退。その後、王の娘の病を救い、国王となったイワンを破滅させようと、再び大悪魔が現れ……。

仕掛けでグイグイ、教えにグサリ!こんにゃく座の新作「イワンのばか」が上演中(公演レポート / コメントあり) - ステージナタリー
 オペラシアターこんにゃく座「オペラ『イワンのばか』」が、昨日2月6日に東京・あうるすぽっとで公演をスタートさせた。
 本作は、トルストイの原作をもとに坂手洋二が書き下ろしたオペラ。坂手が自ら演出し、萩京子が作曲を、山田うんが振付を担当した。
 劇中では、小悪魔を差し向けてまで農民イワンをたぶらかそうとする大悪魔と、その誘惑に負けない純真なイワンとのやりとりが描かれる。


◆演劇『民芸創立七〇周年「白い花」』(鈴木太郎)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

「劇団民芸」創立70周年 新作「白い花」に次代担う中地美佐子、飯野遠が主演(1/2ページ) - 産経ニュース
 今年、創立70周年を迎えた劇団民芸。亡き滝沢修*75宇野重吉*76北林谷栄*77ら昭和の演劇史に名を刻んだ名優らが結成した新劇の老舗が、23日まで、新作「白い花」紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA(東京都渋谷区)で上演している。東京五輪(昭和39年)の熱が地方にも残る40年代初頭、瀬戸内海地方で生きる対照的な姉妹の物語だ。(飯塚友子)
 山深い田舎で、老父と暮らす38歳独身の姉・百合(中地美佐子)と、かつて姉と将来を誓った男と駆け落ちのように夫婦になり、都会で生きてきた妹・彩(飯野遠)。家事や畑仕事に追われ、婚期を逃した百合のもと、彩が10年ぶりに帰郷したところから、物語は急展開する。

*1:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党代表、民主党幹事長など歴任

*2:なお、共産党を含む野党各党の地方議員、国会議員の中には「石川大我・参院議員(立憲民主党)」「尾辻かな子衆院議員(立憲民主党)」「小原明大・京都府長岡京市議(日本共産党)」「高月まな・東京都新宿区議(日本共産党)」「滑川友理・茨城県水戸市議(立憲民主党)」「渕上綾子・北海道議(立憲民主党)」「細田智也・埼玉県入間市議(国民民主党)」など、LGBTであることをカミングアウトしている人間が既にいます(例えばLGBTに関する問題発言をした議員・カミングアウトしている議員性の多様性を考える、民青がLGBT対談、京都28回党大会、ジェンダー平等社会 みんなで実現、東京・高月さん、当事者として議会で発言ウィキペディア「日本のLGBTの政治家」参照)。

*3:女性について言えば過去にも「扇千景保守党代表」「嘉田由紀子日本未来の党代表(選挙後、敗戦を理由にすぐに辞任しましたが→苦笑)」「小池百合子希望の党代表(選挙後、敗戦を理由にすぐに辞任しましたが→苦笑)」「土井たか子社会党委員長」「浜四津敏子公明党代表」「福島瑞穂社民党代表」「蓮舫民進党代表」などがいますが「数が少ない」のでこの塾生は「条件がない」という考えなのでしょう。

*4:そしてジェンダー平等委員長を新設し、委員長に倉林明子参院議員(党副委員長)が就任

*5:参院議員、党副委員長

*6:党財務・業務委員長(党出版企画委員長兼務)

*7:党国民運動委員長

*8:党訴願委員長(災害問題対策委員長兼務)

*9:自治体局長

*10:党国際委員長(党副委員長兼務)

*11:衆院議員、党国際副委員長

*12:参院議員、党農林・漁民局長(「先住民(アイヌ)の権利」委員長、国民運動副委員長兼務)

*13:参院議員、党青年・学生委員長(建設副委員長兼務)

*14:参院議員、党ジェンダー平等委員長(党副委員長、人権委員長兼務)

*15:参院議員、党書記局長

*16:党機関紙編集長(赤旗まつり実行委員長兼務)

*17:衆院議員、党国対委員長(選対委員長兼務)

*18:衆院議員、党委員長

*19:衆院議員、党「障害者の権利」委員長

*20:党書記局次長(建設副委員長、機関紙活動局長兼務)

*21:参院議員、党政策委員長(党副委員長兼務)

*22:党政策副委員長

*23:党筆頭書記局次長、選挙対策局長

*24:党人事局長(党副委員長兼務)

*25:党監査委員長(建設副委員長兼務)

*26:党機関誌『女性のひろば』編集長

*27:党書記局長、委員長、議長を経て、現在、党社会科学研究所長

*28:参院議員、党筆頭副委員長(建設委員長、中央党学校運営委員長兼務)

*29:参院議員、党ジェンダー平等副委員長(党副委員長兼務)

*30:党書記局次長(建設委員長代理兼務)

*31:日本平和委員会常任理事、原水爆禁止日本協議会原水協)全国担当常任理事など歴任。日本共産党平和運動局長。著書『それぞれの「戦争論」:そこにいた人たち(1937・南京〜2004・イラク)』(2004年、唯学書房)、『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社)、『社会を変える23章 そして自分も変わる』(2015年、新日本出版社

*32:神戸大学名誉教授。著書『現代資本主義と新自由主義の暴走』(1999年、新日本出版社)、『日本経済の危機と新福祉国家への道』(2002年、新日本出版社)、『構造改革とデフレ不況』(2002年、萌文社)、『ジェンダー平等の経済学』(2006年、新日本出版社)、『格差社会の克服』(2007年、山吹書店)、『新自由主義破局と決着』(2009年、新日本出版社)、『新自由主義からの脱出』(2012年、新日本出版社)、『安倍政権の末路:アベノミクス批判』(2013年、旬報社)、『終活期の安倍政権』(2017年、新日本出版社)など

*33:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*34:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光葵総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*35:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)を経て首相

*36:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相を経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*37:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*38:福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政調会長(中曽根、竹下総裁時代)、宮沢内閣副総理・外相など歴任

*39:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相を経て首相

*40:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*41:新党さきがけ代表幹事、細川内閣官房副長官民主党幹事長などを経て首相

*42:ただし彼も当初は自民党幹事長として安倍を支えていたわけですが

*43:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*44:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務省、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*45:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*46:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*47:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*48:安倍支持層が本気でそう思ってるかは疑問ですが

*49:もちろん「金脈・田中辞任」「リクルート竹下辞任」が政権交代を意味しなかったように「安倍の辞任」は「野党への政権交代」を必ずしも意味しないので詭弁も甚だしいですが。

*50:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*51:プーチンも正直「リトビネンコ暗殺疑惑」「米国大統領選介入疑惑」などを抱える「政治的貧困」の政治家ですが。

*52:東京農工大学准教授。著書『「軍学共同」と安倍政権』(共著、2017年、新日本出版社

*53:著書『オリンピックの旅に、きみも行ってみないか』(2013年、本の泉社)、『コンセプトはアスリート・ファースト:オリンピック・パラリンピック2020東京』(2015年、本の泉社)、『国民の体力と余暇を国家管理に(シリーズ『過去の戦争とスポーツ―その痛恨の歴史』1)』(2016年、本の泉社)、『スポーツ物資の規制と軍部への供出(シリーズ『過去の戦争とスポーツ―その痛恨の歴史』2)』、『スポーツ団体への統制と報国団化(シリーズ『過去の戦争とスポーツ―その痛恨の歴史』3)』(以上、2017年、本の泉社)

*54:農民運動全国連合会会長

*55:静岡県立大学准教授などを経て、現代イスラム研究センター理事長。著書『現代イスラムの潮流』(2001年、集英社新書)、『物語イランの歴史』(2002年、中公新書)、『イラクと日本』(2004年、集英社新書)、『中東 迷走の百年史』(2004年、新潮新書)、『中東がわかる8つのキーワード』(2005年、平凡社新書)、『中東イスラーム民族史:競合するアラブ、イラン、トルコ』(2006年、中公新書)、『イラン:世界の火薬庫』(2007年、光文社新書)、『ドバイの憂鬱:湾岸諸国経済の光と影』(2009年、PHP新書)、『アメリカ・イラン開戦前夜』(2010年、PHP新書)、『激変! 中東情勢丸わかり』(2011年、朝日新書)、『過激派で読む世界地図』(2011年、ちくま新書)、『世界を標的化するイスラム過激派』(2013年、角川oneテーマ21)、『石油・武器・麻薬:中東紛争の正体』(2015年、講談社現代新書)、『オリエント世界はなぜ崩壊したか:異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』(2016年、新潮選書)、『トランプが戦争を起こす日:悪夢は中東から始まる』(2017年、光文社新書)、『イスラム10のなぞ』(2018年、中公新書ラクレ)、『黒い同盟:米国、サウジアラビアイスラエル「反イラン枢軸」の暗部』 (2019年、平凡社新書)など

*56:著書『国連その原点と現実』(1995年、新日本出版社

*57:ポルトガル首相、国連難民高等弁務官を経て国連事務総長

*58:細部はともかく、前衛今月号での坂口論文、あるいは「日本共産党自体の立場」は「トランプの和平提案は話にならない」という点では川上氏と同意見です。

*59:著書『山本宣治』(2009年、学習の友社)、『テロルの時代:山宣暗殺者・黒田保久二とその黒幕』(2009年、群青社)、『魯迅の愛した内山書店』(2014年、かもがわ出版)、『戦争孤児をしっていますか?』(2015年、日本機関紙出版センター)、『戦争孤児』(2016年、新日本出版社)、『「明治150年」に学んではいけないこと』(2018年、日本機関紙出版センター)、『優生思想との決別:山本宣治と歴史に学ぶ』(2019年、群青社)など

*60:民主党国対委員長(菅代表時代)、野田内閣財務相などを経て立憲民主党国対委員長

*61:1875~1946年。逓信次官から政界入り。犬養内閣陸軍政務次官立憲政友会幹事長など歴任。吉田、岸内閣厚生相などを務めた橋本龍伍代議士の義父。橋本龍太郎元首相の祖父。

*62:1867~1930年。京都府大山崎村長、京都府議を経て代議士。

*63:1867~1941年。田中内閣逓信相、内務相、岡田内閣逓信相を歴任

*64:原、第二次山本内閣陸軍大臣を経て首相

*65:1878~1956年。福島県知事、加藤友三郎内閣書記官長、警視総監など歴任

*66:なお、虎ノ門事件(摂政・裕仁暗殺未遂)の時は「山本権兵衛首相以下全ての大臣」が引責辞任するとともに、湯浅倉平・警視総監が免職されています(ただし後に湯浅は復職し内務次官、会計検査院長宮内大臣内大臣を歴任)。

*67:1877~1931年。濱口内閣で商工政務次官

*68:1858~1938年。、第1次山本内閣逓信大臣、原、高橋内閣鉄道大臣、衆院議長など歴任

*69:1858~1954年。第1次大隈内閣文相、第2次大隈内閣司法相など歴任

*70:いったん「少女との淫行」で吉本興業を首になったのですが、いつの間にか吉本に復帰したようです(ただし相方である加藤浩次ほどには活躍してないようですが)。

*71:著書『安倍官邸とテレビ』(2016年、集英社新書)など

*72:著書『徹底検証・日本の軍歌』(2011年、学習の友社)

*73:1962年生まれ。劇団「燐光群」主宰

*74:1956年生まれ。オペラシアターこんにゃく座代表・音楽監督

*75:1906~2000年。1951年(昭和26年)の三好十郎作『炎の人』ではゴッホを演じて芸術祭賞、毎日演劇賞を受賞。この役は生涯の当たり役となり、公演は83歳を数えるまで続けられた。その他の舞台の代表作に『セールスマンの死アーサー・ミラー作)』のウィリー・ローマン、『オットーと呼ばれる日本人(木下順二作)』のオットーなどがある(ウィキペディア滝沢修」参照)。

*76:1914~1988年。舞台の代表作に『ゴドーを待ちながら(サミュエル・ベケット作)』のウラジミール、『夕鶴(木下順二作)』の与ひょうなどがある(ウィキペディア宇野重吉」参照)。

*77:1911~2010年。1959年の今井正監督作品『キクとイサム』で混血児の孫を育てる祖母を演じ、ブルーリボン賞主演女優賞、毎日映画コンクール主演女優賞を受賞。1991年、岡本喜八監督作品『大誘拐』で日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞、毎日映画コンクール主演女優賞を受賞。2002年、『阿弥陀堂だより』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞キネマ旬報助演女優賞を受賞(ウィキペディア北林谷栄」参照)。