黒坂真に突っ込む(2020年4月29日分)

黒坂真
 左翼知識人は、日本が20世紀で最悪*1戦争犯罪国家だったと宣伝します

 そんな宣伝は誰もしていないと思いますが、黒坂らウヨにとっては「南京事件」「慰安婦」「731部隊」「バターン死の行進」「沖縄での集団自決強要」などの「戦前日本の戦争犯罪」への批判がそのように見えるようです。
 そして「ナチスドイツのヨーロッパ侵略のほうが20世紀で最悪」「スターリンソ連の東欧支配の方が(以下略)」とでも言いたいようです。ばかばかしいことこの上ない。

黒坂真リツイート
 渡辺輝人さん。下記は典型的な、米国とソ連戦争犯罪免罪論です。
◆渡辺輝人*2
 昭和天皇は、自分の命と地位が惜しくて、沖縄戦、原爆投下、ソ連参戦を招いた戦争犯罪人だし、本当に国民に申し訳ないと思ってたら、最高の戦争指導者として(ボーガス注:東京裁判に訴追されて処罰される、自ら退位する、『阿南惟幾*3陸軍大臣近衛文麿*4元首相、杉山元*5陸軍大臣』などのように自決するなど)責任を取る手もあった。マッカーサーに対して命をかけて国民を守ったなどというのは虚偽であり、とんでもない。

 渡辺氏が「米国の原爆投下やソ連北方領土侵攻」を正当化してるのではなく、

・もっと早く降伏してれば沖縄戦も原爆投下もソ連北方領土侵攻もなかった。遅くてもサイパン島が陥落した時点で、日本の敗北は明白だった
・にもかかわらず『国体護持(天皇制維持)』にこだわって降伏を遅らせたのは昭和天皇だ、『終戦の聖断』なんて嘘っぱちだ。嘘つきで卑怯者の昭和天皇が許せない

と言う意味であることはまともな人間なら分かるかと思います。なお、「保身で降伏が遅れた」という話は、「昭和天皇の戦争責任」をライフワークとする山田朗明治大学教授の諸著作

昭和天皇の戦争指導』(1990年、昭和出版
『遅すぎた聖断:昭和天皇の戦争指導と戦争責任』(纐纈厚氏*6との共著、1991年、昭和出版
大元帥昭和天皇』(1994年、新日本出版社
昭和天皇の軍事思想と戦略』(2002年、校倉書房
昭和天皇の戦争:「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』(2017年、岩波書店) 
『日本の戦争III:天皇と戦争責任』(2019年、新日本出版社

が詳しいです。
 あるいは「マッカーサーに対して命をはったなんて嘘」という話は

豊下楢彦*7昭和天皇マッカーサー会見』(2008年、岩波現代文庫)

が詳しいです。
 それにしても黒坂が「米ソを免罪するのか」と渡辺氏に因縁を付けても『昭和天皇は保身のために降伏を遅らせてなどいない』は言えないのはまさに『語るに落ちている』といっていいでしょう。

黒坂真リツイート
的場光昭*8
 ウソ満載のアイヌ副読本は、何故か国土交通省管轄で発行されています。文科省の検閲*9もないままに、小学生用・中学生用・教師用が全国の小中学校に頒布されます。特に北海道では小中学生と教師全員に届けられます。
 このデタラメ「反日」本に対する反論を書きました。Amazonで予約してください。

黒坂真リツイート
◆篠原常一郎
 ぜひみなさん、北朝鮮の指導思想*10を信奉する人々が偽造した歴史*11を公教育に持ち込んでいる「アイヌ副読本」問題をこの労作から知って下さい!

 以前も黒坂や的場の「アイヌへの暴言」については黒坂真に突っ込む(2019年9月30日分) - bogus-simotukareのブログで批判していますが全く酷いもんです。
 的場の言う『このデタラメ「反日」本に対する反論』、篠原の言う『この労作』とは

◆的場『アイヌ副読本『アイヌ民族:歴史と現在』を斬る:北朝鮮チュチェ思想汚染から子供を守れ』(2020年、展転社

と言うとんでもない代物です。「アイヌ先住民族性」を否定したあげく、国土交通省が関わったという副読本を「主体主義呼ばわり」とは常人には真似の出来ないキチガイぶりです(真似したくもありませんが)。
 改めて「櫻井よしこ島田洋一はここまで酷くねえと思うなあ」と黒坂のキチガイぶりに唖然とします。黒坂が「救う会メンバー」なんだからそりゃ拉致敗戦も当然です(まあ黒坂以外にも西岡救う会会長、島田救う会副会長なども酷いもんですが)。
 ちなみに「何故か国土交通省管轄(的場)」の理由は簡単で「現在、赤羽国交相アイヌ問題担当大臣だから(ちなみに赤羽氏の前任である石井国交相時代から国交相アイヌ担当大臣)」です。
 なぜ「国交相アイヌ担当大臣」を兼務するのか「国交相ポストが(国交相が北海道のダムを管理するなどで)アイヌ問題と関係が深いと安倍政権が判断したから」なのか、「国交相ポストを指定席とする公明党アイヌ担当相を希望したから(つまり、例えば公明党の指定席が文科相なら、文科相アイヌ担当相を兼務した)」なのか、その理由は残念ながら知りませんが。
 なお、話が脱線しますが

歴代国交相
北側一雄*12小泉内閣
冬柴鐵三*13(第一次安倍、福田内閣
太田昭宏*14(第二次安倍内閣
石井啓一*15(第三次安倍内閣
赤羽一嘉(第四次安倍内閣、つまり現在)

ということで、国交相ポストは自公連立政権において「麻生内閣の中山*16成田闘争ごね得国交相」など一部例外はありますが「公明党幹部の指定席」と化しています。
 話を元に戻しますが、黒坂や篠原、的場にとっては「アイヌ先住民族」というと「反日」であり「主体主義の信奉者」なんだそうです。
 ということは黒坂や篠原、的場にとっては「アイヌ新法を政府法案として提出して成立させ」、また「アイヌ博物館を国費で建設した」安倍自民は「反日」であり「主体主義の信奉者」なのでしょう。
 そして黒坂や篠原、的場にとっては「石井、赤羽」といった歴代「アイヌ担当大臣(そして彼らが所属する公明党)」も「反日」であり「主体主義の信奉者」なのでしょう。おそらく、国交省官僚も黒坂らにとっては「反日」であり「主体主義の信奉者」なのでしょう。
 呆れて二の句が継げませんね。主体主義も何も、「アイヌ先住民族性」を否定するのなんて「黒坂ら日本のデマ極右」ぐらいのもんです。
 正直、「アイヌ先住民族性を公然と否定し、先住民族性を認める人間を主体主義者呼ばわりする」など、アイヌ協会などの抗議で大阪経済大学から黒坂が「大学教員にあるまじき民族差別暴言、デマ中傷」として懲戒処分食らっても何ら文句言えない暴言ツイートでしょう。
 まあ、それはともかく。
 あの「モリカケ疑惑」「桜を見る会疑惑」「布マスク疑惑(最近浮上)」安倍ですら、「アイヌ先住民族性」は否定しない。その程度の常識はさすがに安倍ですらある。そしてあの安倍ですらやらないことを平気でやれる「クズでバカ」が黒坂、篠原と的場の訳です。
 しかし篠原も「離党して反共右翼に転進(転落、堕落)した」とはいえ元共産党員で「筆坂秀世参院議員秘書(当時)」ですからねえ。「今や、河野談話を公然と否定するデマ右翼に転進(転落、堕落)した筆坂」ともども、どこまで落ちぶれれば気が済むのかと心底呆れます。
 大体、共産党など左派が篠原を「馬鹿右翼」と軽蔑するのは当然ですが、日本会議などウヨの方だって篠原のことなど「右翼に変節した転び左翼」と馬鹿にしてるでしょうにねえ。
 まあ篠原みたいな「共産党からウヨに変節したバカ」は他にも「篠原の元上司・筆坂」「つくる会副会長・藤岡」などがいますが、筆坂や藤岡にしてもウヨ連中は「右翼に変節した転び左翼」と馬鹿にしてるでしょう。

*1:文字通りの「最悪(ワーストワン)」ではなく「言葉のあや(例:最悪の戦争国家の一つ)」としてなら「最悪」といって何ら問題はないでしょう。

*2:著書『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?:ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(2014年、旬報社)、『残業代請求の理論と実務』(2018年、旬報社

*3:陸軍省兵務局長、人事局長、陸軍次官、陸軍航空総監、鈴木内閣陸軍大臣など歴任

*4:貴族院議長、首相を歴任

*5:陸軍省軍務局長、陸軍次官、陸軍航空本部長、参謀次長、陸軍教育総監、林、第一次近衛内閣陸軍大臣参謀総長、小磯内閣陸軍大臣など歴任

*6:山口大学名誉教授。日中戦争、太平洋戦争に関する著書として『日本海軍の終戦工作:アジア太平洋戦争の再検証』(1996年、中公新書)、『侵略戦争:歴史事実と歴史認識』(1999年、ちくま新書)、『「聖断」虚構と昭和天皇』(2006年、新日本出版社)、『憲兵政治:監視と恫喝の時代』(2008年、新日本出版社)、『「日本は支那をみくびりたり」:日中戦争とは何だったのか』(2009年、同時代社)、『侵略戦争と総力戦』(2011年、社会評論社)、『日本降伏:迷走する戦争指導の果てに』(2013年、日本評論社)、『日本はなぜ戦争をやめられなかったのか:中心軸なき国家の矛盾』(2013年、社会評論社)、『戦争と敗北:昭和軍拡史の真相』(2019年、新日本出版社)など

*7:著書『安保条約の成立:吉田外交と天皇外交』(1996年、岩波新書)、『集団的自衛権とは何か』(2007年、岩波新書)、『「尖閣問題」とは何か』(2012年、岩波現代文庫)、『昭和天皇の戦後日本』(2015年、岩波書店)など

*8:著書『「アイヌ先住民族」その真実:疑問だらけの国会決議と歴史の捏造』(2009年、展転社)、『アイヌ民族って本当にいるの?:金子札幌市議、「アイヌ、いない」発言の真実』、『改訂増補版・アイヌ先住民族、その不都合な真実20』(2014年、展転社)、『反日石碑テロとの闘い:「中国人・朝鮮人強制連行」のウソを暴く』(2015年、展転社)、『科学的アイヌ先住民族否定論』(2019年、的場光昭事務所)

*9:憲法第21条第2項『検閲は、これをしてはならない』ということで、検閲は憲法の明文で禁止されてるので、「教科書検定違憲論」の立場でない限り、教科書検定を検閲というのはおかしな話です。おそらく、的場は「教科書検定違憲論」ではなく「憲法について無知」なのでしょう。

*10:主体主義のこと

*11:アイヌ先住民族説という「アイヌについての通説的見解」のこと(もちろんそんなもんが主体主義と関係があるわけもない。デマ中傷にもほどがあります)。

*12:小泉内閣国交相公明党政調会長、幹事長など歴任

*13:第一次安倍、福田内閣国交相公明党幹事長など歴任

*14:第二次安倍内閣国交相公明党国対委員長、代表など歴任

*15:第三次安倍内閣国交相公明党政調会長など歴任

*16:小泉内閣文科相麻生内閣国交相など歴任