◆黒坂のツイート
黒坂真がリツイート
吉岡正史さん。日本は古代*1より、皇室を中心とした共同体です。昔の日本共産党はソ連から資金と拳銃を受け取り、天皇制転覆、プロレタリア赤衛軍創設、労働者農民兵士ソビエト樹立を叫んだ。武装して内乱を策す集団の逮捕、投獄は当然です*2。
◆吉岡正史
新春対談/同志社大学教授 岡野八代さん/日本共産党委員長 志位和夫さん2021.1.1
◆志位
日本学術会議への不当な人事介入に対し、反対の輪が広がってきています。
歴史を考えても、この問題は絶対に引くことはできないと思います。1933年の滝川事件、1935年の天皇機関説事件など*3、戦争に向かう時期に、政権の意に沿わない学者が弾圧され、これが歴史の大きな分水嶺になっていきました。
天皇機関説事件の後、「国体明徴声明」というのが出されました。「国体」=「天皇中心の神の国」が神聖不可侵だという観念が社会全体に徹底的にたたき込まれました。敗戦までの最後の10年間は、子どもたちにも「国体」を徹底的にたたき込んで、軍国少年、軍国少女をたくさんつくりました。
「皇室を中心とした共同体」とは、森*4元首相の「天皇を中心とした神の国」レベルの暴言で呆れます。大体「滝川事件」「天皇機関説事件(美濃部達吉への攻撃)」への批判に対して何で「共産党の暴力革命方針ガー*5(黒坂)」なのか。滝川も、美濃部もリベラル派とは言え共産党員ではない。
なお、これらの言論弾圧事件については新刊紹介:「前衛」2021年3月号 - bogus-simotukareのブログでも紹介しましたが改めて以下の参考文献を上げておきます。
【滝川事件】
◆伊藤孝夫*6『瀧川幸辰』(2003年、ミネルヴァ日本評伝選)
◆松尾尊兊*7『滝川事件』(2005年、岩波現代文庫)
【天皇機関説事件】
◆山崎雅弘*8『「天皇機関説」事件』(2017年、集英社新書)
【河合栄治郎事件】
◆松井慎一郎*9『河合栄治郎:戦闘的自由主義者の真実』(2009年、中公新書)
【矢内原忠雄事件】
◆将基面貴巳*10『言論抑圧:矢内原事件の構図』(2014年、中公新書)
話が脱線しますがこれで『将基面』(しょうぎめん)と読むそうです(将基面貴巳 - Wikipedia参照)。 珍名の一種と言って良いでしょう。
◆赤江達也*11『矢内原忠雄:戦争と知識人の使命』(2017年、岩波新書)
黒坂真がリツイート
石川康宏先生。アイヌの言葉を、母語として話す方は既に存在しません。言葉の習得は自助努力にしないと力がつきません。
◆石川康宏
赤旗アイヌ語継承 紙氏/話者の育成へ支援急げ4/26
紙氏*12は、「アイヌ語継承の取り組みが急がれる中、アイヌ語の効果的な教育法の確立をめざす「アイヌ語教育基盤整備事業」への2021年度予算は528万円にとどまると指摘。「アイヌの人は、話者の家に住み込んで継承しようと努力している。こうした取り組みにも支援が必要だ」と提案。
加藤勝信*13官房長官は、実情は承知していないとした上で「アイヌ施策推進法の趣旨にのっとり対応する」と述べるにとどめました。
日本テレビの番組でアイヌ民族への差別的な表現をした問題で、紙氏は政府の再発防止策を質問。加藤官房長官は、内閣官房などで再発防止策の検討を指示したと述べました。
「アイヌの言葉を、母語として話す方は既に存在しない*14」から「アイヌ語を税金で保護する必要など無い」「そんなに継承したければ自己負担でやれば良い」と放言する黒坂です。日本のアイヌ同化政策を棚上げしてこの放言。正気じゃないですね。自民党政権ですら、共産党に「もっと予算を付けるべきだ」と批判されてるとは言え「528万円の予算」を付けてるのに。
これがまだ「財政が苦しいので528万円の予算でも仕方が無い」「今は528万円の予算でもいずれ段階的に増えていくことを期待したい」などとして自民擁護ならともかくこんな「528万円の予算措置すら否定する」アイヌ差別暴言では「自民もありがた迷惑」でしょう。
そしてこんな「アイヌ差別男」が「ウイグルやチベットの同化政策ガー」などとよくも中国批判できるもんです。単に反共ウヨ・黒坂が「少数民族問題」を中国叩きのネタにしていることがモロバレです。
*1:「天皇家が成立していない卑弥呼などの時代」はさておき、実際には『古代~幕末まで』において「上流貴族、武士などを除き」大半の国民にとって天皇は「会うこともない、全く身近でない存在」であって「皇室を中心とした云々」なんて親近感は無かったでしょう(一方で批判意識や敵意も無かったでしょうが)。そんな親近感が「国民に生まれてくる」のはそれこそ「そうした親近感」によって国民を団結させようとした「天皇を中心とする国」となった明治維新以降のことでしょう。
*2:1)戦前においても「共産党(特に個々の党員)イコール暴力路線」では必ずしもない、2)また、そうした暴力路線は特高警察の弾圧や「スパイ松村謀略」などによって助長された、3)ヤクザやオウム真理教だろうと人権侵害が許されないのと同様、戦前共産党をどう評価しようとも小林多喜二虐殺のような無法は許されない、4)戦前において治安維持法で弾圧されたのは共産党に限らない(例:大本、創価学会、PL教団など)と言う意味で黒坂の主張は非常に問題です。
*3:「など」の具体例としては例えば「矢内原忠雄事件(1937年に事実上追放される形で、東大教授辞任(矢内原忠雄 - Wikipedia参照))」「河合栄治郎事件(1938年に河合の著書が発禁処分、1943年に出版法違反で300円の罰金)」「津田左右吉事件(1940年に津田の著書が発禁処分、1942年に出版法違反で津田は禁固3ヶ月、執行猶予2年の判決(津田左右吉 - Wikipedia参照))」。もちろん矢内原、河合や津田は共産党員ではありません(『河合の弟子たち』は旧民社党のイデオローグ、津田も「皇国史観に批判的」とはいえ、皇室崇拝者です)。
*4:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相
*5:既に脚注で指摘したようにこうした理解も非常に問題ですが。
*6:京都大学教授。著書『大正デモクラシー期の法と社会』(2000年、京都大学学術出版会)など
*7:1929~2014年。京都大学名誉教授。著書『大正デモクラシー』(2001年、岩波現代文庫)、『大正デモクラシー期の政治と社会』(2014年、みすず書房)など
*8:著書『日本会議:戦前回帰への情念』(2016年、集英社新書)、『〔増補版〕戦前回帰:「大日本病」の再発』(2018年、朝日文庫)、『歴史戦と思想戦』(2019年、集英社新書)など
*10:ニュージーランド・オタゴ大学教授。著書『ヨーロッパ政治思想の誕生』(2013年、名古屋大学出版会)、『愛国の構造』(2019年、岩波書店)など
*11:関西学院大学教授。著書『「紙上の教会」と日本近代:無教会キリスト教の歴史社会学』(2013年、岩波書店)。なお矢内原は「無教会キリスト教」の立場の人物として著名です。
*12:北海道出身。参院議員。日本共産党先住民(アイヌ)の権利委員会責任者(党常任幹部会委員、農林・漁民局長兼務)
*13:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣厚労相などを経て菅内閣官房長官
*14:本当にそう言えるかは疑問でしょう。