高世仁に突っ込む(2020年5/24日分)

中国政府による香港の完全破壊が始まった(周庭) - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 「香港の完全破壊」とは正確には「一国二制度(ある種の自治制度)の完全な破壊(香港の民主派、反政府派の表現)」ですね。物理的な意味での「破壊」ではない。
 そこまで言い切っていいのかはともかく、締め付けが強まってることはもちろん事実でしょう。
 高世が紹介する香港の件については以下の通り、いくつかネット上の記事を紹介しておきます。

新型コロナ:中国、香港で強硬姿勢、外相「安全法、一刻も早く」 :日本経済新聞
 中国の王毅*1(ワン・イー)外相は24日の記者会見で、中国政府が香港の社会統制を強める「香港国家安全法」の準備を進めていることについて「一刻の猶予も許されない。必然的な流れだ」と制定を急ぐ考えを示した。

香港で「国家安全法」に反対デモ 120人以上を逮捕 (写真=ロイター) :日本経済新聞
 香港で24日、社会統制を強める「香港国家安全法」に反対する数千人規模のデモがあった。警察は物を投げつけた若者らに催涙弾を発射し、120人以上を逮捕するなど混乱が広がった。

香港で移民相談が急増、台湾などへ 治安法制着手に動揺:朝日新聞デジタル
 香港メディアによると、関連議案が全国人民代表大会全人代)に提出された22日、香港の移民手続きの代行サービス会社には通常の5~6倍の問い合わせが殺到。六つの電話回線が全てふさがった。台湾や米国、カナダなどへの移住相談が多かったという。

英・豪・加外相「深い懸念」 中国の香港国家安全法に 米も声明 :日本経済新聞
 中国が全国人民代表大会全人代、国会に相当)で香港の社会統制を強める「香港国家安全法」を制定すると発表したことを受け、英国、オーストラリア、カナダの外相は22日、「深い懸念」を表明する共同声明を発表した。香港の人々や立法府などが直接参加せず法を制定することは「香港に高度な自治を認めた一国二制度の原則を明らかに損なうことになる」とした。

トランプ氏「強力に対処」、香港統制強化で中国けん制 (写真=AP) :日本経済新聞
 トランプ米大統領は21日、中国政府による香港の統制強化に向けた法案について「もしそんなことが実現すれば、私たちは極めて強力に対処することになる」と述べ、中国を強くけん制した。
 米上院は国家安全法に関わる中国共産党幹部らに制裁を科す新たな法案の検討に入った。準備を主導しているクリス・バンフォーレ上院議員民主党)はツイッターに「私たちは政治的自由のために勇敢に抗議する香港の市民とともにある」と書き込んだ。

香港の治安法 米などの反対に中国が反発 | NHKニュース
 抗議活動が続く香港の治安維持のため中国が直接、法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けてアメリカなどが強く反対していることに対し、中国外務省の香港の出先機関は「内政干渉をやめるべきだ」と反発しました。
◆香港の元総督「香港の市民は裏切られた」
 イギリスの統治時代に最後の香港の総督を務めたクリス・パッテン氏*2は、イギリスの新聞、タイムズのインタビューで、香港の治安維持のため中国が直接、法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことをめぐり、「中国は新たな形で独裁政治を進めている。香港の市民は裏切られた」と述べ、中国政府の対応を強く批判しました。
 また「中国に従順であり続ければ、富が得られるなどという考え方はまったくの幻想だ*3」などと述べ、イギリス政府は中国との関係を厳しく見極めるべきだという見方を示しました。

「G7は香港の自由のために立ち向かえ」香港最後の総督が英紙に寄稿 - 産経ニュース
 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は24日、「先進7カ国(G7)は香港の自由のために立ち向かわなければならない」という表題で、英国統治時代の香港最後の総督、クリス・パッテン氏の寄稿を掲載した。寄稿は、1997年まで香港の主権を持っていた旧宗主国である英国が、香港での国家分裂行為などを禁じる国家安全法に「率先して抗議すべきだ」と主張した。
 その上で、国家安全法を香港に強要しようとする中国の企てについて「英国は、来月に予定されているG7首脳会議の議題にすることを確実にしなければならない」との考えを示した。
 また、寄稿は、英国が1997年に中国に香港を返還した後、中国の習近平国家主席が2013年に国家主席に初選出されるまで、香港は「一国二制度」に基づいて自由を損なわれていなかったと指摘。「習氏は中国政府と中国共産党当局に、(香港の)自由民主主義のあらゆる兆候とその価値観を攻撃するよう指示してきた」と批判した。習氏は、香港の高度な自治を47年まで保障した中英共同宣言を「事実上破った」と断罪した。
 寄稿は、英国が新型コロナウイルスを含めた地球規模の問題に対処するために中国との関係を持つ必要があるとしつつも、「習政権を信用できない」と強調。英国には、香港のために率先して中国に立ち向かう「政治や道徳的な義務がある」とした。英国と同盟国はG7首脳会議を皮切りに、「あらゆる場所で開かれた社会の敵である習体制に断固たる立場をとらなければならない」と訴えた。

 パッテンの言動を政治的にどう評価するかはひとまず置きます(そもそも、この産経記事だけでは評価も困難です)。
 いずれにせよ、「最後の香港総督」として彼なりにある種の責任感を感じてるらしいことはわかります。

香港統制法制、日本は「関心」と「注視」表明もトーン弱く - 産経ニュース
 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は22日の記者会見で、議案について「大変高い関心を持って注視している」と述べた。その上で「香港はわが国にとって緊密な経済関係と人的交流を有する極めて重要なパートナーであり、一国二制度の下で、自由で開かれた香港が安定的に繁栄していくことが重要だ」と強調した。
 だが、議案に対する批判や懸念の表明はなく、強い語調で中国を非難し、議案の再考を求めたポンペオ米国務長官の声明と比べ反応のトーンは控えめだった。

【人民網時評】中央政府の香港問題処理の能力と決意を過小評価してはならない--人民網日本語版--人民日報
 香港地区の祖国復帰から23年近くが経ち、「一国二制度」の実践は香港地区でかつてない成功を収めたが、新たな状況や新たな問題にも絶えず遭遇し、新たなリスクと挑戦にも直面してきた。2019年に香港地区で「逃亡犯条例」改正案に反対する騒ぎが起こり、国家に反逆し香港地区を混乱に陥れようとする勢力は大胆に悪事を働き、外部の中国に反対する勢力もたびたび魔の手を伸ばし、「一国二制度」の原則の最低ラインに重大な戦いを挑み、法治に重大な損害を与え、国家の主権、安全、発展の利益に重大な危害を加えたため、有力な措置を取り法律に基づいてこれを防止し、制止し、処罰しなければならなかった。暴力に反対し、法治を守り、国民生活を保護することは、香港地区の同胞を含む全国国民の共通認識だ。これは全人代が関連の法律制定に動いた現実的な背景であり内在する論理だ。
 影響を受けるのは、国家に反逆し香港地区を混乱に陥れようとする勢力と外部の中国に反対する勢力だけだ。

*1:駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを経て国務委員(外交担当)兼外相

*2:サッチャー内閣環境相、保守党幹事長、香港総督など歴任

*3:いやいや「従順」という表現はともかく「中国との友好」で「富が得られる」し、富のことだけ考えれば「この件で中国と対立しても利益はない」でしょう。従って「幻想」ではない。反中国分子にありがちなことですが、事実に反する物言いは辞めて欲しいもんです。言うべきことは「利益が減っても人権面から抗議すべきだ」という話でしょうよ。