高世仁に突っ込む(2020年7/2日分)(追記あり)

香港が「一国一制度」になった日 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 高世仁に突っ込む(2020年7/1日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログで紹介した香港の自由弾圧法がスピード可決 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
 締め付けが強まったことは事実ですし、将来的には「一国二制度否定」かもしれませんが現時点ではそこまでは言えないでしょう。

 きのう周庭さんが民主派団体からの離脱を表明したさいのメッセージは、死をも覚悟した響きがあった。

 「弾圧があっても運動は辞めない」というならまだしも

周庭 6月28日
・香港で自由や民主主義のために戦う人たちは、自由や命を失うことも考えないといけないということが、本当に悲しい。私も、たくさんの夢を持っているのに、こんな不自由で不公平な社会で生き、夢を語る資格すらないのか。これからの私は、どうなるのか...
 いつかまた日本に行きたいなぁ。

周庭 6月30日
・私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。
 絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。
 生きてさえいれば、希望があります。

という「弾圧が怖いから運動から離脱します(俺の要約)」としか理解できない弱腰、腰抜けメッセージの何が「死をも覚悟」なのか。
 しかも法可決前は

周庭 6月2日
「いまはとっても怖い、すごく怖いです。でも、だからこそ、声をあげることは、今やらなければいけない。私たちは、絶対に沈黙しません。抗議の声を上げ続けます。」

周庭 6月18日
 G7*1外相が香港の国家安全法に対し、共同声明を出しました。私たち香港人も引き続き戦います。

と言っていたのに、これです。結局「実際に法が可決されるまでは、『欧米の批判で撤回するに決まってる(条例案は撤回された)』と甘く考えていたので勇ましかったが、いざ可決されるや、可決後の闘いなど何一つ考えてなかったので、急速に弱腰になった無能&無責任」と批判されても周庭たちは文句は言えないと思います。
 高世仁に突っ込む(2020年7/1日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログでも指摘しましたが、もちろん、俺のような部外者が安全地帯から無責任に「新法で厳罰になる恐れがあっても戦え」とはいえません。言ったところで何の説得力もありませんが。
 しかし、「条例案撤回を契機にひとまずデモを収束させてはどうか」「暴力デモはやめるべきだ」「展望の無いまま運動を過激させればかえって中国の反撃を招きかねない」と言った危惧の念を無視して、あえてデモ(中には暴力デモもあった)を継続した結果、危惧通りに中国の反撃を招く。
 あげく法成立直後に運動からの撤退表明とはあまりに無責任で無能すぎるでしょう。
 「部外者の俺が無責任に『新法で厳罰になる恐れがあっても戦え』とは言えない。しかし周庭とそのお仲間連中があまりにも無能、無責任で呆れた。羽振りのいいときは中国との対決を煽り、羽振りが悪くなるとすぐに逃げ出すとは何事か!」というのが俺の正直な感想です。

東京では、在日香港人らが会見を開き、覆面をした3人が登壇
「日本は香港人の移住先として対応を」国家安全法を受け、“犯罪者認定”覚悟で在日香港人たちが記者会見 | ハフポスト

で、この会見ですが、「日本は香港人の移住先として対応を」国家安全法を受け、“犯罪者認定”覚悟で在日香港人たちが記者会見 | ハフポストによれば

自民党中谷元*2・元防衛大臣
自民党山田宏参議院議員
◆国民民主党山尾志桜里*3衆議院議員

が同席したそうです。中谷や山尾はまあいいでしょう。
 何で歴史修正主義右翼にして『たいした政治力も無い』山田なんか呼ぶのか。あまりにも政治センスがなさ過ぎでしょう。
 id:MukkeやI濱だと「この三人が一番好意的な態度だから」と言い出して、会見を開いた政治グループを擁護しそうですが、中谷や山尾はともかく山田なんか関与させても「ああ、そう言うレベルの低いただの反中国か(呆)」と思われて良識派から距離を置かれるのが落ちでしょう。

 日本が香港人の移住先にある可能性があるので、移住条件の緩和を含めた対応策の早期整備を求めた。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5efc21ebc5b6ca970916b495
 彼らの「覚悟」に我々も応えたい。
 香港情勢がどのように日本に関わってくるか。
 これから注目し、考えていきたい。

 まあ北朝鮮問題では無茶苦茶言う高世も相手が中国だと随分と腰が引けてますね。
 「移住条件の緩和を含めた対応策の早期整備を求めた」「彼らの「覚悟」に我々も応えたい」としながらもその覚悟とやらが「移住条件の緩和(香港からの政治難民を多く受け入れると言うこと)」を意味するのか、明確には語ろうともしません。
 ちなみに

香港290万人、英国が移住後押し「将来的に市民権も」:朝日新聞デジタル
 英国は香港からの移住を後押しする対抗策にでている。英国が発行する「海外市民旅券」を持つ香港市民について、ビザなし英国滞在期間を現在の6カ月から12カ月に延長する措置だ。ジョンソン*4首相は、6月3日付の英紙タイムズへの寄稿でさらなる権利拡大も示唆し、「将来的な市民権獲得に道を開くものだ」と強調した。

台湾が香港人の移住受け入れ策 専門窓口を設置 「実際的な支援と協力を」 - 毎日新聞
 台湾の蔡英文政権は1日、政治的な理由で台湾への移住を希望する香港人を受け入れるための専用窓口を設置した。香港市民の統制を強化する国家安全維持法の施行を受け、台湾への移民希望者が急増することを見据えた措置。

豪、香港住民の受け入れを検討 国家安全法施行で (写真=ロイター) :日本経済新聞
 オーストラリアのモリソン*5首相は2日、6月30日に施行された「香港国家安全維持法」を受け、香港住民の受け入れを検討する方針を示した。既に英政府が香港住民に英国での定住や市民権の獲得を促す措置を決めており、同国に続く動きとなる。
 モリソン氏は英国と同様の措置を「積極的に検討している」と記者団に述べた。

ということで英国や台湾、豪州は既に「香港の政治難民受け入れの用意」を積極的にアピールしています。
 まあ、「香港からの政治難民受け入れ」の是非はひとまず置きます。
 たぶん、多くの香港人は移住するとしたら『政治難民にも外国人一般にも冷たい社会』日本よりも『それらに寛大とされる』欧米を目指すのでしょうし。特に台湾や英国、豪州は早速受け入れアピールしていますから台湾や英国を目指す人間は多いでしょう。
 日本に「香港からの政治難民受け入れ」程度の事が出来ないようでは「万単位で脱北者を受け入れれば北朝鮮崩壊(id:noharraの主張)」なんてのはまさに「世迷い言」「妄想」といっていいでしょう。

【追記】

国家安全維持法、香港市民が漏らす絶望と安堵(JBpress) - Yahoo!ニュース近藤大介*6
・私はこの日、6人の香港人の知人に、この新法について話を聞いた。以下、賛否とその理由を列挙してみる。
◆<40代男性・IT企業経営者 反対>
 私はもはや、このような香港は耐えられないので、来年までにシンガポールかマレーシアへ移民しようと考えている。
◆<50代男性・電器関連企業経営者 反対>
 私は広東省に工場を持っているが、米中貿易摩擦とコロナ禍で、大変な逆境のさなかにある。そこへ来て、香港国家安全維持法が施行されたことで、三重苦となった格好だ。オーストラリアやインドに続き、欧米でも中国製品のボイコット運動が起こるかもしれないからだ。
◆<40代女性・ジャーナリスト 反対>
 今回の香港国家安全維持法によって、今後はわれわれも中国大陸の『人民日報』記者のような存在にされていくのではないか。私にはそれは耐えられないので、若い頃仕事していた広告関係の会社に転職しようと思っている。だがコロナ禍の不況で、転職先がすぐ決まるとも限らず、まずは社内の広告部門に異動申請を出すつもりだ。
◆<20代男性・大学院生 反対>
 自分たちは香港人であって中国人ではないと思っている。これまでは、北京政府や習近平のことなど、意識したこともなかった。だが香港国家安全維持法が施行されたことで、これからは毎日、習近平の顔色を意識しながら生活していくことになるのかもしれない。それを考えるとゾッとするので、将来、香港で就職したいとは思わない。
◆<70代女性・年金生活者 賛成>
 私は、香港国家安全維持法に賛成する。この一年というもの、香港はまるで無法地帯のようになってしまっていた。ウチの近所でも、たびたびデモや店舗への破壊行為などが起き、住民たちは恐くて仕方なかった。これからは香港が安全な町になることを思うと、ホッとする。
 そもそも、香港は生活用水さえ、中国大陸から送ってもらっているくせに、よく中国の悪口が言えたものだ。『一国二制度』とは、『二国二制度』から『一国一制度』になる過渡期の状態であり、徐々に『一国一制度』に変わっていくのは当たり前のことだ。
◆<50代男性・金融関係者 棄権>
 国家安全維持法の賛否については、ノーコメントだ。政治的な話には、コメントしたくないからだ。いま言えるのは、香港経済は今後、より中国大陸を頼るようになるだろうということだ。昨年11月のアリババの上場に続き、6月18日には京東(JD)が香港市場に上場した。香港市場では、これからも中国の大型企業の上場ラッシュが続くだろう。
 中国政府は『粤港澳大湾区』(グレーター・ベイエリア=広東省・香港・マカオの一体化)を進めており、ちょうど3周年を迎えた。今回の法律は、この3地域の一体化を加速させることになるだろう。
・まとめると、反対が4人、賛成が1人、棄権(ノーコメント)が1人だった。サンプル数はひどく不足しているが

 反対意見が多いとは言え、賛成やノーコメントもあること、反対でも「移民したい」とはっきり言ってるのは一人だけ(将来、香港で就職する気は無いという大学院生は移民希望なのかもしれませんが)と言うことを注目したい。

*1:米英仏独伊、カナダ、日本のこと

*2:小泉内閣防衛庁長官、第三次安倍内閣防衛相など歴任

*3:民進党政調会長蓮舫代表時代)

*4:ロンドン市長、メイ内閣外相を経て首相(ボリス・ジョンソン - Wikipedia参照)

*5:アボット政権移民担当相、社会福祉相、ターンブル政権社会福祉相、財務相を経て首相(スコット・モリソン (政治家) - Wikipedia参照)

*6:週刊現代特別編集委員。著書『「中国模式」の衝撃』(2012年、平凡社新書)、『金正恩の正体』(2014年、平凡社新書)、『中国経済「1100兆円破綻」の衝撃』(2015年、講談社+α新書)、『パックス・チャイナ』(2016年、講談社現代新書)、『未来の中国年表』(2018年、講談社現代新書)、『2025年、日中企業格差』(2018年、PHP新書)、『習近平と米中衝突』(2018年、NHK新書)、『ファーウェイと米中5G戦争』(2019年、講談社+α新書)など(近藤大介 (評論家) - Wikipedia参照)