新刊紹介:「経済」7月号

「経済」7月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
世界と日本
◆GDP・二期連続マイナス(金子豊弘)
(内容紹介)
 コロナ不況について論じられている。もちろん対策としては「コロナ早期収束」「それが実現するまでは生活保障や景気対策」と言う話です。

参考
GDP 年率3.4%減、消費税10%に加えコロナ禍、1~3月期
2次補正 財政出動を大胆に、GDP減 小池書記局長が会見
主張『GDPのマイナス:思い切った対策を打ち出す時』


◆マイナスから続騰・原油価格(萩村武)
(内容紹介)
 コロナによる需要の落ち込みでいったんは下落した石油価格も、中国や韓国などが「コロナ封じ込めを宣言」、経済活動をかなり回復させたことで、反動で高騰しているという話です。とはいえこのまま、「経済活動の回復」が続行する保証もないので今後の動きが読み切れないとのことです。


◆韓国の新型コロナ感染(洪相鉉)
(内容紹介)
 韓国でのコロナ不況について論じられている。もちろん対策としては「コロナ早期収束」「それが実現するまでは生活保障や景気対策」と言う話です。


特集「気候危機に立ち向かう」
◆破綻する日本の石炭火力輸出戦略(佐藤洋
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。
 破綻するというのは
主張/石炭火力発電/撤退求める声に政府は応えよ
石炭火発投資を批判/衆院委 清水議員が姿勢ただす
石炭火力 融資やめよ/汚職疑惑受け、岩渕氏が迫る
が指摘するような環境面の問題(火力発電にする場合でもCO2排出の少ない天然ガス火力にするなど)もありますが実は別の問題もあります。

石炭火力 覆る輸出の「理由」 環境省検討会が報告書:朝日新聞デジタル
 また、日本の石炭火力発電技術では、日本が輸出支援の対象としているUSC(超々臨界圧発電方式)について、「10年からの中国のプラントのカタログ上の性能は、日本と遜色ない」と示した。

ということで実は「インドネシアで中国に敗北した新幹線」などだけでなく、今や火力発電輸出の分野でも中国の技術力が日本に追いついてきたわけです。単純な商売の見地ですら日本の石炭火力輸出戦略に展望があるか疑問です。


◆横須賀の石炭火力発電所を建設させてはならない(鈴木陸郎)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。
石炭火力を考える東京湾の会 | 東京湾岸の石炭火力発電所の問題に取り組む市民グループ
被害受ける人 原告に適格/横須賀石炭火発訴訟 住民側が弁論/東京地裁


◆いまこそ「エネルギー戦略転換」が必要(明日香壽川*1
(内容紹介)
 エネルギー戦略転換とは「脱原発放射能の危険性)」「CO2削減、脱火力(温暖化防止)」「再生可能エネルギー(太陽光、地熱、潮力、風力など)の推進」と言う話です。

参考
主張/原発のコスト/「安価」の根拠は崩れている
主張/エネルギー政策/大転換こそ未来への希望生む
主張/日本の温暖化対策/「世界をリード」には程遠い
削減目標引き上げ促す/COP25閉幕 成果文書に盛る
COP25閉幕/日本政府の態度が世界の足を引っ張った/小池書記局長が指摘
主張/気候危機と首相/非常事態と認識できないのか
温室ガス30年までに大幅削減/政府は目標引き上げを/CAN JAPANが会見
脱石炭こそ雇用創出/藤野氏 気候危機とりあげ迫る
CO2削減目標引き上げよ/田村貴昭氏 石炭火発脱却訴え


特集「新型コロナウイルス
コロナウイルスパンデミックとたたかう世界の労働組合田中均
(内容紹介)
 コロナを理由とした解雇や労働条件切り下げに対する各国の労働運動の戦いについて述べられています。


◆新型コロナでの混乱を招いた「失政」:「医療崩壊」を避け、ウイルスに正しく向き合う(杉山正隆)
(内容紹介)
 もちろん安倍政権が当初、事態を極端に楽観視し、無根拠に「蔓延はあり得ない」としたこと、日本で蔓延するより以前に一定の対策を行い、成果を上げた台湾や韓国の取り組みに何ら学ぼうとしなかったことも「失政」ですが、むしろ杉山氏が問題にしているのは「病床を減らしたこと」ですね。
 これについては感染拡大でも病床削減/地域医療構想 田村氏が撤回迫るを紹介しておきます。


特集『子どもの貧困・社会の貧困』
児童虐待をめぐる昨今の状況と児童相談所(川崎二三彦*2
児童相談所・一時保護所の現状:児童虐待の現場から(二見清一)
(内容紹介)
 コロナによって児童虐待が深刻化している疑いがあり、児童相談所・一時保護所の体制強化(予算増額、人員増加)が急務だという話です。
参考
主張『児童虐待死:悲劇断ち切る真剣な対策を』
児相の体制拡充を/倉林議員 財政支援強化求める
きょうの潮流:2020年1月30日(木)


◆日本経済を読み解くキーワード⑦「グローバル・サプライチェーン」(長田華子)
(内容紹介)
 『バングラデシュの工業化とジェンダー:日系縫製企業の国際移転』(2014年、御茶の水書房)、『990円のジーンズがつくられるのはなぜ?:ファストファッションの工場で起こっていること』(2016年、合同出版)の著書がある茨城大学准教授の筆者が『人権に配慮したグローバル・サプライチェーン』の構築を訴えています。
 筆者が過去に取り上げたバングラデシュを例にとれば「長時間低賃金労働」が横行しているわけで、それをどう克服するかが問題です。


◆電機産業での大リストラ攻撃と人権・尊厳を守る闘い(米田徳治*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
電機リストラ止めよ/畑野氏 企業への指導求める


◆空洞化と属国化の克服と新たな資本主義の模索を(上)(坂本雅子*4
(内容紹介)
 属国化とは要するに「米国の属国化」であり具体的には「米国製兵器の爆買い」「日米FTAによる米国製農産物の対日輸出」「カジノ法制定(米国カジノ産業の進出)」などといったところです。
 一方、空洞化とは産業空洞化ですね。企業の利益だけを考えれば「空洞化」には問題はないでしょうが「国内雇用」の減少という意味では安易に容認できない問題です。
 今回はそうした問題点が指摘されるにとどまっています。
 そうした「空洞化と属国化の克服」については8月号の(下)で述べられる予定です。

参考
グローバル経済の迷宮 日本の新属国化① 企業本位に政策を支配 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 日本の新属国化② 米のアジア戦略の先兵に - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 日本の新属国化③ 米国のための「成長戦略」 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 日本の新属国化④ 外国株主の利益を優先 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化① 母国捨て福祉国家破壊 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化② 日本だけ成長せず敗北 - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化③ 電機産業は崩壊過程に - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化④ 国民の英知集めるとき - きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

*1:東北大学教授。著書『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます! 』(2009年、岩波ブックレット)、『クライメート・ジャスティス:温暖化対策と国際交渉の政治・経済・哲学』(2015年、日本評論社)など

*2:著書『児童虐待:現場からの提言』(2006年、岩波新書)、『虐待死:なぜ起きるのか、どう防ぐか』(2019年、岩波新書)など

*3:「電機・情報ユニオン」委員長

*4:名古屋経済大学名誉教授。著書『財閥と帝国主義三井物産と中国』(2003年、ミネルヴァ日本史ライブラリー)、『空洞化と属国化:日本経済グローバル化の顚末』(2017年、新日本出版社