新刊紹介:「経済」2021年1月号

「経済」1月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
◆随想『SDGsは救世主か』(宮本憲一*1
(内容紹介)
 一般論としては「SDGs(国連が提唱する『持続可能な経済目標』)」という概念には問題は無いでしょう。問題は「各論として有効かどうか」ですがこれはなんとも言えません。そもそもSDGsとは「国連の議論によって形成されている政治的な代物」であり、一定の限界があることは否定できません。
 「国連の議論」とは何も「無色透明な中立な立場の議論」ではありませんので。結局「SDGs」を評価するにしても、それは「あるべきSDGsを我々が形成していく」という現在進行形の政治活動であって「完全無欠のSDGs」などというものはそもそもない。


◆学術会議新会員任命拒否問題について(吉田栄司*2
(内容紹介)
 菅政権の無法な学術会議新会員任命拒否問題が批判的に取り上げられています。

参考
赤旗
主張/学術会議 首相答弁/開き直りとすり替え許されぬ
主張/学術会議 国会論戦/任命拒否の論拠 完全に崩れた
主張/首相の事前調整論/苦し紛れの卑劣なウソ許せぬ
学術会議介入Q&A/国民全体の問題です/もの言えぬ社会にしないために
井上担当相答弁/学術会議の在り方を否定 学問の自由への重大な挑戦/穀田国対委員長が批判
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「学術会議の総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」/無関係な引用を“基準”に
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「『必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではない』が政府の一貫した考え」/18年以前の記録なし
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「会員の出身や大学に偏り。閉鎖的・既得権のようになっている」/15年間で多様性向上
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「(任命拒否が)政府の法案に反対したからということはあり得ない」/「政策に反対」課長更迭
学術会議に10億円と攻撃するが/菅氏 機密費から毎年11億円超/「閉鎖的で既得権益」なのは いったいどちらか
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「任命しなかったことと学問の自由は関係ない」/誹謗中傷や萎縮の事態
主張/「軍民両用」強要/日本学術会議の原点を壊すな
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック/「推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」/政治介入の本音を吐露
軍事転用要請は違法/井上議員 学術会議の独立脅かす/参院外交防衛委
任命拒否 論点そらす/学術会議「切り離し」 田村氏が批判
学術会議/「国からの切り離し」許さず/参院委 田村氏 担当相を批判
学術会議の独立性脅かす/切り離し検討 畑野議員が批判


世界と日本
中国共産党の5中全会(平井潤一)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

中国、外需依存から内需主導型へ移行目指す 五中全会が閉幕:東京新聞 TOKYO Web
中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が29日、閉幕した。2021年~25年の経済運営目標「第14次5カ年計画」では米中対立の長期化をにらみ、成長の軸足を外需依存から内需主導型への移行を目指す新政策「双循環」が盛り込まれた。
・また「科学技術を自力で向上させることは国家戦略の要だ」と、米国とのハイテク技術の覇権争いを念頭に、デジタル技術など研究強化も打ち出された。
二酸化炭素(CO2)排出量を60年までに「実質ゼロ」にする公約*3については「資源の利用効率を高める」などとしたが具体策はなかった。

「科学技術を自力で向上させることは国家戦略の要だ」つう辺りは今更ですが「千人計画とかを今後も発展させていく訳か」「科学振興予算が減らされる日本と何という違いか」と改めてため息が。さすが「理系の名門」精華大卒の習主席というべきでしょうか?

軍創立100年、27年に新目標 中国、西太平洋で「米軍排除」の観測:時事ドットコム
 中国国営新華社通信は3日、共産党の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)で採択した第14次5カ年計画(2021~25年)と2035年までの長期目標に関する基本方針の全文を明らかにした。それによると、軍創立100年に当たる2027年に「奮闘目標を実現する」と定めた。
 目標の詳細は不明だが、台湾侵攻や南シナ海をめぐる紛争などで米軍の介入を阻止できる軍事力の獲得を目指していることが考えられる。

 「まさか台湾侵攻などの戦争をする気もない」でしょうが、気になる動きではあります。
 なお、これについて福島香織

戦争を起こす気満々の中国「建軍100年奮闘目標」 - ライブドアニュース福島香織
・今回の五中全会で初めて打ち出された「建軍100年奮闘目標」とは具体的にどういうことか。
・建軍100年奮闘目標とは、2027年までに戦闘があると仮定した上での人民軍の戦略能力の大幅向上であり、今世紀中葉までに世界に通用する一流の軍隊を作るというこれまでの長期目標の前に短期目標を設定し、チャンスがあれば、中国の発展にとって脅威である勢力に打撃を加え、外国からの干渉を失敗に終わらせていこう、ということだろう。
 すでにこのコラムでも取り上げたが、10月の台湾海峡における人民解放軍の動きは、確かに台湾侵攻作戦をきわめて具体的に想定した動きであり、目下、台湾国軍には、こうした人民解放軍の動きに十分に対応できる装備も人的余裕もない状態であることが露呈している以上、不穏な空気は日に日に濃厚になっている。
共産党政権は銃口から生まれた政権*4であり、ゲリラ戦法で勝利を重ね続けてきたからその正統性を人民が認めてきた。つまり、どんな手を使ってでも戦争に勝利すること*5は、共産党政権にとってその正統性を証明する最も有効な方法なのだ。
・実際、共産党政権の発展プロセスには常に戦争があった。内戦を経てようやく共産党政権が打ち立てられた翌年には、抗美援朝戦争(朝鮮戦争)に義勇軍の名目で人民解放軍を投入。中国側に20万人近くの犠牲を出したが、この戦争は、ゲリラに過ぎなかった人民解放軍の国際デビュー戦でもあり、軍の近代化の一里塚であったという意味では犠牲に見合う価値があった。毛沢東が終身領袖のカリスマ的地位を得るためにも必要な戦争であったといわれている。これに味を占めた毛沢東は、自分の人気に陰りが出るたびにインドや旧ソ連に国境紛争を仕掛けてきた(もちろん、それだけが理由ではないが)。
 鄧小平も、権力の正統性を固めるためにベトナムとの戦争を利用した。1979年の中越戦争1984年の中越国境紛争は、客観的にみれば人民解放軍側の惨敗、あるいはギリギリ引き分けといえるが、国内的には大勝利と喧伝され、この二度の戦争経験によって人民解放軍は近代軍への転換を図ることができた。
 逆にいえば、戦争をしなかった江沢民胡錦涛はついにカリスマ性を持てずに任期を終えることとなった。習近平毛沢東や鄧小平の境地を目指すなら、戦争は必要、ということになる。
 そう考えると2027年までに中国が関与する戦争、紛争が起こりうる可能性は決して低くはない

と放言しています。「以前も指摘しましたが」産経退社後の劣化が本当に酷い。哀れな女です。人間としてこうはなりたくないもんです。さすがに「商売右翼」であって本気で書いてるわけでもないでしょうし。
 つうか鄧小平のカリスマ性において「改革開放」や「香港返還」を持ち出すならともかく「1979年の中越戦争1984年の中越国境紛争」て(呆)。
 馬鹿馬鹿しすぎてマジで吹き出しました。
 ちなみに阿部治平も以前、

リベラル21 中印国境は緊張する阿部治平
 中国は内政の矛盾をそらすために、国境に緊張を作り出すのを躊躇しない国家である。たとえば中国が1979年の中越戦争を始めた理由のうち最も説得力のあるものは、当時の指導者鄧小平が中国解放軍の主導権を握るためだったという。
 また習近平の「中国の夢」はまずアジアの覇権国家になることである。
 かりに南シナ海のフィリピンなど周辺諸国との関係を穏やかなものにするのに成功し緊張が緩和したとき、中国の矛先が内陸で国境を接するミャンマーやインドに向かう可能性は否定できない。我々は南シナ海東シナ海ばかりでなく、大陸の国境地帯から目をはなすことはできない。

福島香織と似たり寄ったりの与太(特異な中越戦争認識とか、習主席を戦争狂扱いとか)飛ばしてましたっけ。たぶん、阿部に「あなたの中国認識って福島香織にそっくりですね」というとマジギレするのでしょうが。


南コーカサスの戦争(西海敏夫)
(内容紹介)
 トルコの支援を受けたアゼルバイジャンが奇襲攻撃でアルメニアに勝利し「奪われた領土の大部分」を取り返すことに成功した「ナゴルノ・カラバフ紛争」が取り上げられています。アルメニアの後ろ盾のロシアは今回、アルメニア軍事支援はせず、アゼルバイジャンのなすがままに事実上任せました。
 これはトルコだけでなくイランもアゼルバイジャン支持を表明したことで、ロシアが「シリアでイランやトルコと事を構えたくないこと」があるとみられます。
 もちろんこれで「ナゴルノ・カラバフ紛争がアゼルバイジャン有利で解決し、トルコ、イランが地位を高め、一方ロシアが地位を落とした」とは単純には言えませんが「一時的とはいえ、この紛争において勝利した側が地位を高めたこと」は否定できないでしょう。とはいえプーチン・ロシアはこの程度で崩壊するほど甘い政治体制ではないでしょうが。


特集「コロナ危機とグローバル資本主義
◆資本主義の限界と変革を考える:パンデミックが問うもの(石川康*6
(内容紹介)
 つまりは「短期的な金儲け」から「長期的視野」を無視しがちな「資本主義経済体制」では「福祉が軽視され」、今回のようなコロナ被害を生みやすいという話です。
 そこから「北欧社民主義」のような「長期的視野に基づく福祉に目配りした社会形成」の重要性が訴えられています。


◆コロナ危機下の世界経済をどう見るか(英吉利)
◆経済指標から読み解くコロナショック:グローバル資本主義の動態と課題(小林尚朗*7
(内容紹介)
 コロナ危機によってダメージを受ける世界経済が取り上げられていますが、今回の危機で「多国間協調主義の重要性」が改めて明らかになったとしています。


◆コロナ危機への欧州労働者・市民の取り組み(宮前忠夫*8
(内容紹介)
 コロナ危機で解雇や賃金引き下げなどが横行する中での欧州労働者・市民の取り組みが紹介されていますが小生の無能のため、詳細な紹介は省略します。


◆コロナ・パンデミックと移民労働者(岩佐和幸*9
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。低賃金労働で立場の弱い移民労働者(外国人労働者)がコロナ危機の中で「解雇や賃金引き下げなどの不利益を受けやすいこと」、あるいは「いわゆるタコ部屋のような劣悪な居住環境などでコロナ感染リスクが高いこと」が指摘されています。

新型コロナにより各国の移民が特に大きな影響 OECDが報告書 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
 OECD経済協力開発機構は、ヨーロッパなど加盟国で暮らす移民の人たちが、その国の出身者に比べ新型コロナウイルスによって仕事を失ったり、高い感染リスクにさらされたりするなど特に大きな影響を受けているとする報告をまとめました。
 OECDのグリア事務総長は記者会見で、「移民の人たちはパンデミックに弱く支援が必要だ。移民が先進諸国にとっても不可欠な存在であることを再認識しなくてはならない」と訴えました。
◆仏の人権団体「移民の労働者によって社会が維持」
 難民の支援などにあたるフランスの人権団体のイブ・パスクオ氏はNHKのインタビューに対し、新型コロナウイルスへの対応で、ヨーロッパ各国が国境の往来を規制したことなどから、移民や難民の数が制限され、厳しい状況に置かれた人たちが行き場を失っているとして懸念を示しました。
 一方でパスクオ氏は、ヨーロッパ各国では、市民生活を支える現場で働く、いわゆる「エッセンシャルワーカー」の多くを移民の人たちが担っていると話しています。
 そのうえでパスクオ氏は「最前線で働く移民の労働者によって社会が維持できた。こうした人たちがいなければ、状況はさらにひどくなっていただろう」と述べ、今回のコロナ禍が、移民や難民の受け入れを前向きにとらえるきっかけになる可能性があると指摘しています。

困窮、やむなく窃盗…「レ・ミゼラブル」のような実習生:朝日新聞デジタル
 新型コロナウイルス禍で職を失い、苦境に追い込まれているベトナム人技能実習生たち。どんな人が来日し、日本でどんな状況にあるのか。ベトナム語が堪能で、日本のベトナム人コミュニティーにも詳しい神戸大の斉藤善久*10准教授(アジア労働法)に聞いた。
◆斉藤准教授
 多くの技能実習生は、家族を助けたり事業を始めたりするため、日本で稼ぐことを夢見てやってくる。日本語は難しい上に世界では通用せず、日本に永住もさせてもらえない。それでも来日するのは、安全なイメージがあり、きちんとした実習先で数年働けば、帰国して家を建てられる人もいるからだ。だが、中にはひどい扱いをされて苦しむ人も多い。
 コロナで失職した実習生は多いが、犯罪集団に入る人が多いわけではない。だが、失職して居場所をなくし、やむを得ず怪しげなグループに身を寄せる例はあるのではないか。ベトナム人コミュニティーの高利貸に金を借り、返せないならと使われる例もある。素人で捨て駒として使われるから捕まってしまう。
 警察庁によると、2019年の外国人検挙件数の国別割合は、ベトナム人が35%で最も高かった。来日する人が増えているから、ある意味当然だ。検挙されたベトナム人技能実習生について、違反法令別にみると、出入国管理法違反の不法残留が最も多い。

都内の風俗店を摘発 コロナで生活苦の技能実習生ら雇用:朝日新聞デジタル
 技能実習生として来日したベトナム国籍の女性を雇い、男性客に性的なサービスをさせたとして、警視庁は10日までに、東京都荒川区の派遣型風俗店「美・ワンダフル」を出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で摘発し、経営者の男女2人を同容疑で逮捕した。ともに否認しているという。
 逮捕されたのは、いずれも住所不詳の川口宣之(48)と張維君(34)の両容疑者。技能実習や留学目的で来日し、コロナ禍で職を失って生活苦になったり、希望しても帰国できなかったりした女性ら約30人を雇用し、4月以降だけで約1億円を売り上げたという。

「本当はやりたくない」 摘発風俗店で働く実習生の構図:朝日新聞デジタル
 ベトナム人技能実習生の女性を雇って性的なサービスをさせたとして、東京都内の派遣型風俗店「美ワンダフル」が今月、出入国管理法違反の疑いで警視庁に摘発された。朝日新聞は、この店の仕事をしていたベトナム人2人に取材した。新型コロナウイルスの影響で、借金返済や学費の支払いを抱える実習生らが追い込まれていく構図がここにもあった。

https://mainichi.jp/articles/20201121/k00/00m/040/009000c
 群馬、栃木県など北関東を中心に家畜が大量に盗まれた事件に絡み、10月以降、入管法違反(不法残留)などの疑いでベトナム人が相次いで逮捕された。その多くは技能実習生として全国各地で働いていた若者たちだ。何が目的だったのか。背景を取材すると、実習生が置かれた過酷な労働環境やコロナ禍が影を落としている実態が浮かぶ。全3回で「闇」に迫る。【菊池陽南子、妹尾直道/前橋支局、中川友希/さいたま支局】
 北関東では今年に入ってから、家畜が盗まれる被害が出始め、群馬県ではこれまでに豚約720頭、ニワトリ約140羽の被害が確認されている。近県の栃木、茨城、埼玉でも家畜が盗まれる被害が相次いだ。
 事件に関連し、群馬県警は10月26日、太田市に住む20~30代の男女13人のベトナム人入管法違反(不法残留)などの容疑で逮捕した。
 家宅捜索したところ、床下からビニール袋に詰められた30羽分の鶏肉が見つかった。さらに、県警は太田市内の宅配センターから、逮捕した2人の名前が書かれた発送伝票を入手した。

妊婦「何でもするから助けて」 実習生、コロナ禍の過酷:朝日新聞デジタル
 群馬、埼玉両県警が10月以降、ベトナム人の元技能実習生らを相次いで逮捕し、家畜や果物が大量に盗まれた事件との関連を調べている。事件の解明はこれからだが、大量の家畜などを売りさばく組織的な犯行が疑われる一方で、背景の一つとして実習生らの生活苦を指摘する見方もある。「労働者」として急増したベトナム人の中には、新型コロナウイルス禍で仕事を失ったまま、帰国できない人も少なくない。
 日本で暮らすベトナム人は近年、良好な両国関係や日本の労働力不足を背景として、技能実習生や留学生を中心に急増している。2019年末時点で前年末から24・5%も増え、約41万人。09年の約4万人から10倍に増えた。
 15年末に約6万人だった技能実習生は16年末に中国を抜いてトップに。今やベトナム技能実習生の最大の送り出し国で、実習生約41万人のほぼ半数にあたる約22万人を占める。留学生は約8万人で、約14万人の中国人に次いで多い。
 一方、法務省によると、失踪した技能実習生は18年までの5年間で計約3万2千人にのぼる。ベトナム人が約1万4千人で全体の45%を占め、最多だ。
 行き場を失ったベトナム人技能実習生や留学生を保護している寺がある。4日、群馬県に近い埼玉県本庄市の山あいにある大恩寺を訪ねると、様々な事情を抱えて助けを求めたベトナム人たちが暮らしていた。
 ベトナム人の尼僧で在日ベトナム仏教信者会会長のティック・タム・チーさん(42)がこの春、大恩寺を拠点にするようになり、困り果てたベトナム人の若者たちが頼って来るようになった。技能実習生や留学生、出頭したオーバーステイ(超過滞在)の人など約40人が、帰国できるまで共同生活を送っている。

ベトナム人実習生、国策で受け入れたなら 元警官は思う:朝日新聞デジタル
 群馬、埼玉両県警が10月以降、ベトナム人の元技能実習生らを相次いで逮捕し、家畜や果物が大量に盗まれた事件との関連を調べている。事件の解明はこれからだが、大量の家畜などを売りさばく組織的な犯行が疑われる一方で、背景の一つとして実習生らの生活苦を指摘する見方もある。「労働者」として急増したベトナム人の中には、新型コロナウイルス禍で仕事を失ったまま、帰国できない人も少なくない。
 群馬、埼玉両県警が出入国管理法違反やと畜場法違反の容疑で逮捕したのは20人近くにのぼる。一部は自宅アパートで豚を違法に解体したなどとされる。また、家宅捜索された群馬県の貸家からは約30羽分の鶏肉が見つかり、配送センターで肉類や果物を県内外のベトナム人に送る伝票も確認されたという。
 ベトナム人の犯罪と実習生の実態に詳しい人は今回の事件をどうみるのか。ベトナムの首都ハノイで2018年秋から、技能実習生送り出し機関の日本語センター校長を務める金谷学さん(39)はベトナム人の犯罪を取り締まってきた埼玉県警の元警察官だ。その経験を生かし、日本の習慣を知らない実習生が犯罪に手を染めないよう指導している。金谷さんに今回の事件について聞いた。
◆金谷さん
 一部の犯罪でベトナム人全体の評価が下がり、偏見が定着しないか心配だ。
 2007年から9年半、国際捜査課などで勤めた。うち7年間ベトナム人犯罪を担当した。ベトナム語の通訳官をし、400人近くを取り調べた。7割は留学生、3割は技能実習生で、9割は万引きと不法滞在だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0fa222c475e005586cfab469c3cbeb10caf4b0e7
 群馬県をはじめ北関東で相次いだ家畜や果物の大量窃盗事件に絡み、太田市ベトナム人グループが群馬県警入管難民法違反容疑で摘発されて2週間を迎えた。グループの一部はSNSを通じて肉や果物を県内外のベトナム人に転売したとみられ、他に違法に豚を解体したグループが摘発されているが、盗難被害との関連は依然として判然としない。事件の背景として、コロナ禍で働く場所を失った外国人の厳しい境遇も浮かび上がる。
 豚720頭、鶏140羽、ナシ5700個。
 県内での被害は甚大で、他に茨城、栃木、埼玉各県などでも被害が確認されている。県内で入管難民法違反容疑でベトナム人13人のグループ、と畜場法違反容疑で同4人がそれぞれ逮捕され、埼玉県でも摘発されている。
 捜査関係者によると、逮捕された13人のうち10人は技能実習生として来日、茨城や埼玉、熊本など全国各地で実習していた。しかし、日本語の学習費用や送り出し機関への仲介料で100万円前後の借金を抱えていた上、過酷な勤務や待遇への不満などから失踪。SNSや知人を介してベトナム人コミュニティーを頼り、同市に集まってきたとみられる。
 実習先を逃げ出したり、在留期限が切れたりした後は、多くが建設現場での日雇い作業などで収入を得ていたが、新型コロナウイルスの拡大により、各地で仕事が減少、経済的な困窮が加速したとみられる。
 一連の大量窃盗事件も新型コロナの影響が広がった時期に集中している。捜査関係者は「困窮した複数のグループが、生活費などのために盗みを繰り返した可能性がある」とみる。
 実習生を受け入れる各地の監理団体は、実習生が計画通りに働いているのか監理し、実習生を保護する役割を担う。ただ、県内の監理団体関係者は「悩みを抱える実習生のサインに気付けない、気付こうとしない監理団体は多い」と指摘。その上で「実習生を奴隷のように働かせる実習先も少なくない。労働環境の改善も必要だ」と訴える。
 出入国在留管理庁は、大量に失踪者を出した実習先や監理団体には新規受け入れを停止させているが、失踪者は後を絶たない。担当者は「SNSでの甘い言葉に誘われ、実習生が犯罪に手を染めるケースが増えている。いかに失踪を未然に防ぐかが課題だ」としている。
 400頭以上の豚を盗まれた前橋市の養豚業の40代男性は「こうした犯罪が繰り返されないためにも、誰が豚を盗んだのか、(容疑者らが)知っているなら全てを話してもらいたい」と語った。

コロナと実習生 制度の矛盾が露呈した:東京新聞 TOKYO Web
 コロナ禍に伴う解雇などで外国人技能実習生らが苦境に陥っている。「国際貢献」の美名とはかけ離れた「雇用の調整弁」としての技能実習制度の本質が露呈した。制度の廃止を検討すべきだ。
 北関東で家畜や果物が大量に盗まれた事件に関連し、群馬県警は十月、入管難民法違反などの疑いでベトナム人技能実習生ら十数人を逮捕した。大半は県外の実習生で「コロナで仕事がなくなり、群馬のコミュニティーに身を寄せた」と話しているという。
 外国人実習生の人数は昨年末時点で約四十一万人。その約半分がベトナム人だ。コロナ解雇に加えて、祖国と結ぶ定期便は運休。多くの実習生が来日のため、祖国で多額の借金をしており、手ぶらでは帰れない事情も抱えている。
 かねて技能実習制度は賃金の未払いや不当な労働条件など問題が多く、政府は改善のため、二〇一七年に技能実習法を施行した。
 三条で「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定めたが、実態は有名無実。コロナ解雇はその典型といえる。
 結局、「技術移転」などの名の下、安価で都合のよい労働力を集めるという制度の本質がコロナ禍で浮き彫りになったといえる。
 国の制度で受け入れた以上、政府には実習生を守る責任がある。まずは雇用助成金などで解雇を防ぎ、健康相談などの充実も図るべきだ。
 そのうえで技能実習制度を廃止し、当面は特定技能制度を拡充する必要がある。菅義偉首相は官房長官時代の昨年十二月、外国人受け入れの関係閣僚会議で「外国人が国を選ぶ時代」と発言した。それにふさわしい対応を求めたい。

 それにしても最近は日本にベトナム人が大分増えてるみたいですね。上で紹介した記事の多くは「ベトナム人がらみ」です。
 そういえば以前、今日の産経ニュース(12/20分)(追記・修正あり) - bogus-simotukareのブログなどで取り上げた「千葉の少女殺害」の被害少女リンさんはベトナム人でしたし、三浦小太郎に突っ込む(2019年7月3日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログでは「美作市ホーチミン銅像問題」を取り上げたことがあります。
 しかしこの種の「外国人差別批判」記事を朝日や毎日が書いてる当たりはやはり「リベラル派の朝日、毎日」というべきでしょうか。


◆メキシコ「左派」政権の挑戦と課題(所康弘)
(内容紹介)
 メキシコのオブラドール*11政権が取り上げられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


アメリカ大統領選挙2020:バイデン新政権は分断社会の転換をはかれるか(中本悟*12
(内容紹介)
 副題「バイデン新政権は分断社会の転換をはかれるか」が重要ですね。
 まあ「異常なイスラエルびいき」「温暖化防止協定からの脱退」「深刻なコロナ失政」などトランプの問題点は山ほどあります。これらについて「良い意味での変化」がバイデンに期待されますが、やはり大きいのは中本氏が主として問題にしている「BLM運動をもたらした黒人差別問題」ですね。
 その点、中本氏が指摘するようにトランプが「前回当選時の得票数よりも今回の方が得票が多い」ということにも、未だに共和党がトランプに引導を渡せないことにも絶望的思いを禁じ得ません。「分断社会の転換」が困難であることは否定できません。


敗戦処理内閣としての菅*13政権の途(二宮厚美*14
(内容紹介)
 敗戦とはもちろん「コロナ敗戦」ですね。「コロナの蔓延による支持率下降(しかしコロナが終息せず挽回の望みがない)」から安倍*15は退陣を決意したわけです。サイパン陥落による「東条*16内閣崩壊」のようなもんです。「安倍の病気辞任」は明らかに仮病でしょう。何せ首相を辞めたら元気はつらつですから。
 できれば「安倍疑惑(桜を見る会モリカケなど)」という「不祥事敗戦」で退陣させたかった(そして、ダグラス・グラマン事件での岸*17のような議員辞職ロッキード事件での田中のような逮捕起訴)ところですが(もちろん「安倍疑惑」も安倍退陣意思に一定の影響はあったでしょうが、残念ながら『コロナ敗戦』ではあるでしょう)。
 首相辞任に追い込まれた「田中*18首相の金脈問題」「竹下*19首相のリクルート疑惑」「細川*20首相の佐川ヤミ献金疑惑」「鳩山*21首相の故人献金疑惑」などと比べても安倍の疑惑は立派に「首相辞任に値する酷い代物」です。その安倍が史上最長の長期政権とは恥辱に耐えません。
 なお、「二宮氏も指摘していますが」安倍が「北朝鮮拉致被害者帰国」「日露平和条約締結」「九条改憲」を「在任中に実施する」と豪語*22しながら挫折し、あるいは「在任前に豪語しただけで政権誕生後、早々に諦めた」とはいえ、一時は豪語していた「河野談話撤回」「靖国参拝」「尖閣への自衛隊常駐(→最終的にはそれどころか習主席の国賓訪問を計画)」も挫折したという意味では「外交敗戦」「改憲敗戦」などと言っても良いでしょう。
 安倍の外交敗戦については安倍政権の外交というのも、ほぼ失敗に終わっているといっていいのではないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。
 もちろん「安保関連法制定」「特定秘密保護法」などのウヨ施策をいささかも甘く見てはいけませんが、安倍はウヨ連中の期待を大いに裏切ってきました。その点では「野党やマスコミ、あるいは外国政府の安倍批判」は「過大評価は禁物ですが」一定の意義があったと言っていいでしょう。
 さて「安倍を退陣に追い込んだコロナ」についてどう対応するかが「先ずは菅に問われている」「(ポスト東条の小磯*23内閣が終戦工作も、戦局挽回も出来ずに結局退陣したように)コロナ対応を誤れば安倍のような退陣は免れないだろう」とする二宮氏です。現時点においては「コロナ第三波の襲来」にも関わらず、ろくな対策も取らずに、それどころか「東京のgoto続行を宣言」。
 政府寄りと野党などに批判される尾身新型コロナウイルス感染症対策分科会会長からさえも「東京はgotoから除外すべきだ」「(goto続行の決定について)政府から何一つ相談を受けてない」と菅が批判される有様です。菅批判派の俺の願望込みですが、これでは「対応を誤れば安倍のような退陣は免れないだろう(二宮氏)」で菅が早期退陣する可能性も充分ありうるのでは無いか。


◆コロナ危機下のテレワーク、ジョブ型雇用(牧野富夫*24
(内容紹介)
 いわゆるテレワーク、ジョブ型雇用については小生も「不勉強(?)」なので何とも評価しづらい。ただし牧野氏も指摘していますが、はっきりしていることは少なくとも「日本経団連流のテレワーク、ジョブ型雇用」は「いかに賃金など労働条件を切り下げてコストカットするか?」という不純な代物でしかなく、労働者にとっては不利益しか無いと言うことでしょう。

参考
赤旗
在宅ワークの課題と留意点は/労働時間の適正管理必要
テレワーク 長時間労働招く/原則禁止に反し6割残業可


核兵器禁止条約の発効と原水爆禁止運動(高草木博*25
(内容紹介)
 条約発効を高く評価するともに
1)日本の条約批准
また
2)核保有国、特に核五大国(米英仏中露)がこの条約を真摯に受け止め、核軍縮、ひいては核廃絶に乗り出すこと
を強く求めています。

参考
赤旗
核兵器禁止条約の発効の確定を心から歓迎する│核兵器│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会
主張/禁止条約発効へ/核兵器廃絶の新たなステージ
主張/日本の「軍縮」決議/世界から信頼を失うばかりだ
支持失う日本の核決議/井上議員 禁止条約参加求める


◆対米従属の日本の宇宙軍拡計画(小泉親司*26
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
赤旗
主張/米ミサイル防衛/不毛な宇宙軍拡に加担するな
宇宙監視レーダー反対を/山口県に平和委要請/“米軍への情報提供が目的”
武器見本市にJAXA出展/子どもの期待踏みにじる/研究者ら意見書
宇宙は平和利用こそ/赤嶺氏、「作戦隊」創設反対
スパイ衛星に1.4兆円超/国費投入 藤野議員調査で判明


◆グローバリゼーションと森林開発・破壊:バイオマス発電からみる(満田夏花*27
 バイオマス発電とは「エコだと評価されがち」ですが実はそれほど単純ではないと言う指摘です。
 バイオマス発電には燃料として「パーム油」「トウモロコシやサトウキビから作るバイオエタノール」などが使われます。しかし、ここで「東南アジアやブラジルアマゾンの熱帯雨林を大量伐採してそこでアブラヤシ(パーム油の原料)、トウモロコシ、サトウキビをバイオマス燃料用に栽培した(実際そう言う事態が既に発生しているようですが)」としてそれは「環境に優しいと言えるのか」。
 当たり前ですが、全然優しくないわけです。これは何もバイオマスに限らない。太陽光発電でも風力発電でも何でも同じです。そこは個別にものを見ていく必要がある。とはいえそこで産経のように「どんな発電方法でも環境破壊は免れないのだから原発の何が悪い」と居直るのは論外ですが。

【参考:バイオマス発電】

何が問題? H.I.S.のパーム油発電Q&A|FoE Japan
Q:なぜ、パーム油発電が問題か?
①熱帯林の消失と生物多様性の減少
 パーム油の需要の増大に伴い、アブラヤシ・プランテーションが急速に拡大し、インドネシアやマレーシアにおける熱帯林の破壊の主要な要因のひとつになっています。インドネシアとマレーシアでは過去 20年間に約 350万haもの熱帯林がアブラヤシ・プランテーションに転換されました(注1)。
 多様な樹種から構成される熱帯林がいったん伐採され、単一のアブラヤシが植えられるプランテーションになると、もともと熱帯林に生息していたオランウータンやゾウなどの野生生物が生息できなくなり、生物多様性が失われます。
②膨大な量のCO2が発生
 熱帯林や泥炭地の開発により、膨大な量のCO2が放出されます。それらの土地利用転換による排出を加味すれば、パーム油発電は、石炭火力発電よりはるかに多くののCO2が発生することとなります。
Q:諸外国の対応は?
 アメリカでは、パーム油を輸送用のバイオ燃料として使うことについて、温室効果ガスの削減効果が基準に達しないとして認められていません(注9)。 これまでパーム油をバイオ燃料として使用してきたEUも、今後使用を止める方向です(注10)。

HISスーパー電力など推進/パーム油発電中止せよ/CO2大量排出 環境団体など指摘
 宮城県角田市で建設中のバイオマス発電所をめぐり、中止を求める環境団体などが30日、事業主のHISスーパー電力と株主の旅行大手エイチ・アイ・エスに署名を提出し、国会内で会見を開きました。
 環境団体などはアブラヤシ農園開発のために熱帯雨林が伐採されていることやそのためにパーム油の二酸化炭素(CO2)排出量が石炭の倍以上であることを指摘しています。「熱帯雨林と地球の未来を守るため、真の震災復興のために撤退を」と求め、アブラヤシ農園があるインドネシアやマレーシアなど海外を含む14万8000人が署名しました。
 会見した「プランテーション・ウォッチ」の飯沼佐代子さんは「アブラヤシ農園のために泥炭地を開発すると、泥炭地でない場合の139倍のCO2が排出される。電気の利用者が再エネ賦課金を払うことに問題がある」と主張。「バイオマス産業社会ネットワーク」の泊みゆき理事長は「燃料を輸入すれば地域経済の恩恵もなく、パーム油を材料とした食料との材料奪い合いをもたらすことを考えればFITにそぐわない」と指摘しました。
 「FoE Japan」の満田夏花事務局長は「FITで温室効果ガス排出量を評価していないことが問題だ」と述べました。

パーム油発電を中止/反対住民「大勝利」/京都・舞鶴 日立造船
 国内最大のパーム油発電所建設計画(京都府舞鶴市)をめぐり、建設運営を担う日立造船大阪市)は「案件は消滅」として、計画の中止を決めました。同社への取材で分かりました。事業者の「舞鶴グリーンイニシアティブス合同会社」は解散の見込み。中止を訴え続けてきた住民は「大勝利」と喜んでいます。
 「喜多地区環境保全委員会」代表の大西寛治さん(65)は「ほっとした」と声を弾ませました。
 パーム油は東南アジアで栽培されるアブラヤシから生産されますが、広大な熱帯雨林を伐採して農場を開発するため環境への負荷が甚大です。日本政府はパーム油発電を再生可能エネルギーとして固定価格買取制度(FIT)の認定をしていますが、世界ではパーム油の使用をやめる動きが進んでいます。大西さんは「国がパーム油を再エネとしていることが問題」と指摘。計画の中止が国や他のパーム油発電計画へ波及することを期待しています。

 ということでもろに満田氏の批判「森林の大量伐採」が該当します。

“なぜこんな事業者に国は許可を”/京都・福知山のパーム油発電被害/倉林副委員長が住民と懇談
 日本共産党倉林明子副委員長・参院議員は8日、京都府福知山市を訪れ、近隣住民が悪臭や騒音の被害を訴えるパーム油発電所(三恵福知山バイオマス発電所、同市土師新町)を視察し、住民らと懇談。山内健衆院京都5区候補、福知山市議らが同行しました。
 「三恵パーム油バイオマス発電所被害者の会」の三谷義臣代表が、騒音、悪臭、ばい煙、低周波音によるめまいや睡眠障害、ストレスによる体調不良など、被害の実態を説明。また、事業者の虚偽の説明など不誠実な態度や、国による再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)のガイドライン違反などを指摘し、「なぜこんな事業者に国は許可を出したのか。FITの規制を強めなければ、再エネビジネスに群がる業者が制度を食い物にしている」と告発しました。

 発電所が悪習、騒音被害を生んでるという話であり「森林伐採」という満田氏の批判とは、ずれがありますがこういう批判もあるわけです。

バイオマス事業やめよ/超党派原発ゼロの会が要請
 超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は30日、復興庁の「福島再生加速化交付金」のうち農林水産省が交付決定を行う「木質バイオマス関連施設整備事業」を中止するよう、復興相と農水相に要請しました。
 同事業は、被災12市町村を対象に、木質バイオマス発電の燃料として放射性物質の付着した樹皮やキノコ原木などの利用を推進しようというもの。
 要請では、労働環境や周辺住民の環境保全の観点から、同事業を政府の交付金で推進すべきではないとしています。また、高濃度に放射性物質に汚染した焼却灰が生じる可能性が高いにもかかわらず、健康被害や環境汚染が起きても「汚染者責任もあいまい」であること、森林内のほとんどの放射性物質が残留する土壌表層が豪雨等により流出する懸念があること、交付金の運用がずさんなどの理由から、同事業を直ちに中止すべきだとしています。
 要請した日本共産党笠井亮衆院議員は「森林全体がどの程度放射性物質を吸い上げているか、原発を推進してきた国の責任で調査すべきだ」と強く求めました。
 復興庁では横山信一復興副大臣が、農水省では本郷浩二林野庁長官が対応しました。

 まあこれはバイオマス燃料となる木材が「放射能汚染されてる疑いがある」という特異なケースですがこういう批判もあるわけです。
【参考終わり】


◆コラム『軽視できないトリチウムの猛毒性』
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
知りたい聞きたい/福島第1 トリチウム汚染水処分は?/海洋放出に批判 検討続く
海洋放出認められない/福島原発汚染水 高橋氏が追及/衆院復興特
福島第1汚染水/懸念無視し海洋放出へ/菅政権の姿勢に反発の声


◆本の紹介:纐纈厚*28『戦争と弾圧:三・一五事件と特高課長・纐纈弥三の軌跡』(2020年、新日本出版社
(内容紹介)
 戦前は警視庁特高課長として、1928年の三・一五事件、1929年の四・一六事件で共産党弾圧の指揮を執り、その後も茨城県警察部長、静岡県警察部長、三重県警察部長、宮城県警察部長、兵庫県警察部長、大分県知事、文部省社会教育局長、普通学務局長、国民教育局長を歴任。戦後は自民党衆議院議員として池田内閣文部政務次官、大蔵政務次官、科学技術政務次官などを務めた纐纈弥三を採り上げた著書です。
 なお、纐纈弥三 - Wikipedia纐纈厚 - Wikipediaによれば纐纈弥三も纐纈名誉教授も岐阜出身です。纐纈とはかなり珍しい名字だと思いますが岐阜に多いようですね。

参考

戦争と弾圧三・一五事件と特高課長・纐纈弥三(こうけつ・やぞう)の軌跡 纐纈厚著:東京新聞 TOKYO Web
 纐纈弥三という人物を知る人は少ないだろう。一九二〇年代後半、「三・一五」や「四・一六」の名で知られる共産党弾圧事件を指揮した、特別高等警察(いわゆる特高)課長だと記憶している極少の方は別として。
 日本の近現代史における戦争と弾圧の闇を明かす作業を着実に続けてきた著者は、今回はあえてこの人物の全生涯を通観する仕事に取り組んだ。同郷(岐阜県中津川に近い)同姓のよしみもないではないだろうが、弥三の日記をはじめ、彼がのこした数多くの文書に触れる機会に恵まれたからである。
 そこで明らかになったのは、特高、敗戦に伴う公職追放と解除、国会議員への転身、紀元節復活への執念など、戦前と戦後がひと続きとなって断絶していない、弥三の姿であった。
 (ボーガス注:極右安倍政権という)保守主義国家主義が台頭する現在の日本の政治・社会状況に危機感を覚える著者には、陰の人物であった弥三の実像を描くことで、(安倍の祖父・岸信介*29元首相など)権力の座にある者たちが、敗戦によっても何ひとつ変わることなく、戦前と戦後を密通させてきた構造を解き明かす必要があった。
 弥三の(ボーガス注:最初の)妻は若死にするが、彼は寄せられた香典を貧困や差別に苦しむ人びとに寄付する心根の持ち主であった。この慈善事業と時期を同じくして、彼は特高としての職務を忠実に果たす。社会的不正義を正そうとして活動する人びとを弾圧し、拷問にかけるのである。著者はその矛盾を問うが、この時期の日記はなく、その内面をうかがい知ることはできない。それだけに、このあたりの叙述にはもどかしさが残る。
 敗戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は特高解体を命じる。だが、当時の政治・官僚・軍事のすべての組織がそうであったように、上層部は巧みな延命策を講じて、来るべき占領体制解除後に備える。
 弥三も国会議員となって、紀元節復活に熱心に取り組む。戦後過程が孕(はら)む「無責任体制」の再検討を改めて促す好著である。

纐纈弥三 - Wikipedia
 日本共産党機関紙「赤旗」の取材に応じ、十数回にわたり自身の特高警察時代について証言し、録音された。このときシマ夫人は、戦前の弾圧の報復を恐れてか、もらい物の食品はシマ夫人や客が先に「毒味」した後に口にする纐纈の習慣や、日本共産党内のスパイに対し金品や就職など家族ぐるみで世話してきた事実について述べている。

*1:滋賀大学学長。大阪市立大学名誉教授、滋賀大学名誉教授。著書『日本社会の可能性』(2000年、岩波書店)、『維持可能な社会に向かって』(2006年、岩波書店)、『戦後日本公害史論』(2014年、岩波書店)、『日本の地方自治 その歴史と未来(増補版)』(2016年、自治体研究社)など

*2:関西大学教授。著書『憲法的責任追及制論Ⅰ、Ⅱ』(2010年、関西大学出版部)など

*3:我が国の菅のように「そのためにCO2を排出しない原発を増設します」などという寝言だけは辞めて欲しいところです。

*4:国共内戦中国共産党が勝利し1949年に中華人民共和国を建国したこと

*5:普通に考えてそんなことより「経済発展」の方が「共産党政権にとってその正統性を証明する最も有効な方法」でしょう。習主席の一帯一路にせよ、AIIBにせよ、千人計画(科学技術の振興)にせよそういうことが大きな目的でしょうに。福島の寝言には心底呆れます。

*6:神戸女学院大学教授。全国革新懇平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)代表世話人。個人サイトはげしく学び はげしく遊ぶ-石川康宏研究室。著書『現代を探究する経済学』(2004年、新日本出版社)、『いまこそ、憲法どおりの日本をつくろう!: 政治を変えるのは、あなたです。』(2007年、日本機関紙出版センター)、『覇権なき世界を求めて』(2008年、新日本出版社)、『人間の復興か、資本の論理か:3・11後の日本』(2011年、自治体研究社)、『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『橋下「日本維新の会」がやりたいこと:何のための国政進出?』(2012年、新日本出版社)、『「おこぼれ経済」という神話』(2014年、新日本出版社)、『社会のしくみのかじり方』(2015年、新日本出版社)など

*7:明治大学教授

*8:著書『企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(2017年、本の泉社)、『あなたは何時間働きますか?:ドイツの働き方改革と選択労働時間』(2018年、本の泉社)など

*9:著書『マレーシアにおける農業開発とアグリビジネス』(2005年、法律文化社

*10:著書『ベトナムの労働法と労働組合』(2007年、明石書店

*11:メキシコ市長を経て大統領(アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール - Wikipedia参照)

*12:立命館大学教授。著書『現代アメリカの通商政策』(1999年、有斐閣)など

*13:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*14:神戸大学名誉教授。著書『生きがいの構造と人間発達』(1994年、労働旬報社)、『現代資本主義と新自由主義の暴走』(1999年、新日本出版社)、『自治体の公共性と民間委託:保育・給食労働の公共性と公務労働』(2000年、自治体研究社)、『日本経済の危機と新福祉国家への道』(2002年、新日本出版社)、『構造改革とデフレ不況』(2002年、萌文社)、『構造改革と保育のゆくえ』(2003年、青木書店)、『憲法25条+9条の新福祉国家』(2005年、かもがわ出版)、『ジェンダー平等の経済学』(2006年、新日本出版社)、『福祉国家の姿とコミュニケーション労働』(2007年、文理閣)、『格差社会の克服』(2007年、山吹書店)、『新自由主義破局と決着』、『保育改革の焦点と争点』(以上、2009年、新日本出版社)、『新自由主義からの脱出』(2012年、新日本出版社)、『橋下主義解体新書』(2013年、高文研)、『安倍政権の末路:アベノミクス批判』(2013年、旬報社)、『終活期の安倍政権』(2017年、新日本出版社)など

*15:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*16:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、陸軍航空総監、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相を歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀

*17:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*18:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*19:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*20:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*21:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*22:ただしいずれも遅くても政権末期には完全に諦めていたでしょうが

*23:陸軍次官、関東軍参謀長、朝鮮軍司令官、平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督などを経て首相。戦後、終身刑で服役中に病死。後に靖国に合祀

*24:日本大学名誉教授。著書『構造改革は国民をどこへ導くか』(2003年、新日本出版社)、『労働ビッグバン』(編著、2007年、新日本出版社)、『“小さな政府”論とはなにか』(2007年、公人の友社)、『アベノミクス崩壊』(編著、2016年、新日本出版社)など

*25:原水爆禁止日本協議会代表理事

*26:著書『日米軍事同盟史研究』(2002年、新日本出版社)、『今日の「日米同盟」を問う』(2019年、学習の友社)など

*27:国際環境NGO FoE Japan理事、事務局長

*28:山口大学名誉教授。著書『日本海軍の終戦工作:アジア太平洋戦争の再検証』(1996年、中公新書)、『検証・新ガイドライン安保体制』(1998年、インパクト出版会)、『日本陸軍の総力戦政策』(1999年、大学教育出版)、『侵略戦争:歴史事実と歴史認識』(1999年、ちくま新書)、『有事法制とは何か』(2002年、インパクト出版会)、『有事体制論』(2004年、インパクト出版会)、『文民統制自衛隊はどこへ行くのか』(2005年、岩波書店)、『戦争と平和政治学』(2005年、北樹出版)、『「聖断」虚構と昭和天皇』(2006年、新日本出版社)、『監視社会の未来:共謀罪・国民保護法と戦時動員体制』(2007年、小学館)、『憲兵政治:監視と恫喝の時代』(2008年、新日本出版社)、『私たちの戦争責任』(2009年、凱風社)、『「日本は支那をみくびりたり」:日中戦争とは何だったのか』(2009年、同時代社)、『田中義一:総力戦国家の先導者』(2009年、芙蓉書房出版)、『侵略戦争と総力戦』(2011年、社会評論社)、『領土問題と歴史認識:なぜ、日中韓は手をつなげないのか』(2012年、スペース伽耶)、『日本降伏:迷走する戦争指導の果てに』(2013年、日本評論社)、『日本はなぜ戦争をやめられなかったのか:中心軸なき国家の矛盾』(2013年、社会評論社)、『反「安倍式積極的平和主義」論』(2014年、凱風社)、『集団的自衛権容認の深層』(2015年、日本評論社)、『暴走する自衛隊』(2016年、ちくま新書)、『逆走する安倍政治』(2016年、日本評論社)、『権力者たちの罠:共謀罪自衛隊・安倍政権』(2017年、社会評論社)、『増補版・総力戦体制研究:日本陸軍国家総動員構想』(2018年、社会評論社)、『戦争と敗北:昭和軍拡史の真相』(2019年、新日本出版社)、『自衛隊加憲論とは何か:日米同盟の深化と文民統制の崩壊の果てに』(2019年、日本機関紙出版センター)、『日本政治史研究の諸相:総力戦・植民地・政軍関係』(2019年、明治大学出版会)、『崩れゆく文民統制』(2019年、緑風出版)、『重い扉の向こうに:歴史和解と戦前回帰の相克』(2020年、緑風出版)など

*29:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相などを経て首相