今日の産経ニュース(12/20分)(追記・修正あり)

【最初に追記】
 id:Bill_McCrearyさん記事
■どういう了見で、毎日新聞はこんな記事を書くのか
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/6377b0414b1b1f3a63ef652ef74fd2bf
で拙記事がご紹介いただきました。
 いつもありがとうございます。
【追記終わり】

産経
■【和歌山小5殺害3年】都史君の父親の手記全文(原文のまま)
http://www.sankei.com/west/news/180203/wst1802030036-n1.html
■【和歌山小5殺害3年】100歳まで生きる約束…「納得の判決で都史のもとへ」
http://www.sankei.com/west/news/180203/wst1802030035-n1.html
■「あの子の命は風船より軽いのか」 和歌山・小5殺害3年、父親が手記 軽い判決、納骨できず「最も重い刑罰を」
http://www.sankei.com/west/news/180205/wst1802050007-n1.html

 いつものことですが、結局「死刑にしろ」という厳罰論(感情論)の訳です。まあ死刑にはならないでしょうけど。


■産経【千葉・9歳女児殺害】リンさんの父 渋谷恭正被告の極刑求め駅頭で署名活動 ベトナム人から3万人署名も日本人からは…
http://www.sankei.com/affairs/news/180127/afr1801270030-n1.html
■日経『リンちゃん事件、怒るベトナム 厳刑求め有名人も署名』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26583360W8A200C1000000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26583360W8A200C1000000/
「あなたも子供がいるでしょ。正義を守るために署名して」。
 ハノイのOL、グエン・バン・アインさん(37)は自分が働く会社の近隣を回り、一人で400人の署名を集めた。「私にも娘がいる。お父さんお母さんのためにも、日本政府が正しい裁きをくだしてくれることを願う」と話した。
(中略)
 歌手のミー・リンさん、ダン・ビン・フンさん、サッカー選手のブイ・ティエン・ズンさんら有名人も自分のフェイスブックページで情報を広げ、署名を呼びかけた。
 ハノイタイビン省などでは学校や小売店でも署名を受け付けるところが増えた。署名は2月6日時点で日本で3万人分、ベトナムでも3万人分集まった。
(中略)
 リンちゃんの事件では「なぜ、犯人が逮捕されているのに裁判が迅速に行われないのか」「日本の司法制度はおかしい」といったベトナム人の不満の声が高まっている。

 こういうのを毎日新聞も「ベトナム一党独裁で司法の独立がないから」云々とはおそらく言わないわけでまあ中国に対する見方が明らかにゆがんでますね。なお、父親の気持ちはわかりますが、こういう感情論については、あまり積極的に応援する気にはやはりならないですね。なお、凶悪犯罪とはいえおそらく、死刑にはならないでしょう。

http://www.sankei.com/affairs/news/180127/afr1801270030-n1.html
 ハオさんによると、集まった署名のうち、約3万人がベトナム人からのもので、日本人からの署名はわずか1千人余りという。

 こういう父親の言葉をそのまま流す産経は明らかに「日本人もベトナム人を見習ってもっと多く署名すべきだ」といいたいのでしょう。「わずか」て1千人てのは相当の数字だと思いますけどね。

【追記】

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26583360W8A200C1000000/
 署名は2月6日時点で日本で3万人分、ベトナムでも3万人分集まった。

 すごいですね。日経記事が事実なら日本でも3万人署名が集まったそうです。
 さてリンちゃん事件についての別の産経記事をコメント抜きで紹介だけしておきます。

http://www.sankei.com/affairs/news/170926/afr1709260004-n1.html
 リンさんの父、レェ・アイン・ハオさんがインターネットなどを通じて始めた被告の厳罰を求める署名活動にも、多くのベトナム人が名前を連ねている。
 「死刑にしてほしい」「協力します」。
 フェイスブックに寄せられた声は、9割以上が激励の声だ。東京都武蔵野市の大学院生の女性(25)は、「日本への留学希望者が多い理由のひとつは“安全”と思われているから。ちゃんと処罰が下らないと認識が変わりかねない」と話した。
 アムネスティ・インターナショナル日本の報告書では、ベトナムは世界で最も死刑執行の多い国のひとつとされる。殺人や国家反逆罪などに死刑が適用されるほか、(ボーガス注:日本や欧米では死刑対象犯罪でない)13歳以下の児童に対する強姦(ごうかん)、「極めて重大」な被害を及ぼした横領や麻薬売買なども死刑の対象となる。


滝本太郎氏の正論
https://yoshiko-sakurai.jp/2001/02/28/35

 麻原弁護団の姿勢について、弁護士でオウムにサリンで命を狙われた滝本太郎氏は、こう説明します。
「依頼者、被告に対して誠実に働く義務が先決であって、真実義務は劣後する。それが弁護士の当然の倫理であって、この点は誤解されていると思います。被告なり被疑者なりの秘密、正当な利益を守るのが弁護士の本質で、依頼者の言うことをまずは信じてやる。検察なり相手との攻撃防御のなかで、裁判所が真実を発見するものですから、真犯人だとわかっていても、捜査機関に言わないことも当然あります」

毎日新聞『中国留学生殺人で東京地裁に傍聴殺到 司法違い感情論も』
https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/030/027000c
がらみでここに書きます。
 桜井よしこブログからの引用です。いかにオウムと敵対関係にあったとはいえ、滝本氏は弁護士なのでさすがに発言が常識的です。
 で、よしこは、この滝本発言や麻原弁護団も非難するわけです。よしこによれば江川紹子佐木隆三も非難してるそうですが、もちろんこれは非難するよし子らの方がおかしいわけです。
 つうか江川紹子は『冤罪の構図:「やったのはおまえだ」』(1991年、社会思想社)、『名張毒ブドウ酒殺人事件:六人目の犠牲者』(2011年、岩波現代文庫)など、もともと裁判記事が多いジャーナリストだと思っていたんですが、この非常識さは何なんでしょうか。
 「明らかに犯人である麻原と、私が記事にしたえん罪事件とは違う」とか思ってるのか?。いや「明らかに犯人かどうかは裁判しなければ解らない」つうのが法治国家の理念なんですが。
 それはともかく、滝本氏の発言は正論です。もちろん被告人擁護はあくまでも「法律の枠内」という歯止め(?)はある。
 「証人を暗殺する(殺人)」「証人を恫喝して証言を撤回させる(強要)」「捜査当局の保有する証拠を窃盗し破壊する(証拠隠滅)」なんて違法行為は許されません。ただそういう違法行為で無い限り「原則、被告人の利益擁護」が弁護士の職務の訳です。
 「犯罪追及」なんてことは検事の仕事だし、「検事と弁護士の言い分を聞いて客観的に判断する」のは裁判官の仕事です。それが解らないよしこや佐木、江川のようなバカが「なぜ犯罪者をかばう」とか言い出すわけです。犯罪者をかばうのが弁護士の仕事です。犯罪者をかばわない仕事は「検事と判事がやってる」わけです。


毎日新聞『中国留学生殺人で東京地裁に傍聴殺到 司法違い感情論も』
https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/030/027000c
 感情論ねえ。いや、中国人被害者遺族の「死刑にしろ!」は感情論ではあるでしょうが、名古屋闇サイト殺人光市母子殺害事件などで遺族の感情論「死刑にしろ!」をそのまんま垂れ流した分際で良くもふざけたことがいえるもんです。
 たとえばid:Bill_McCrearyさん記事で

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/f4d3c86714aa36dec39af3c42e1c750d
・私の見たところどうもこの事件は、マスコミが確信的に被告人らのしょーもない発言を大々的に報じたり、遺族にそれらを聞かせて煽って「復讐譚」にしているところがあるようで。
私見では、この女性が犯人たちに極刑を求めるのは、仕方ないかなとは思いますが、マスコミがそれを喜々として(と、私には見えます)報道するのは良くありませんね。どんな人間のクズであろうと、死刑などという刑罰をマスコミが煽る(と、私には見えます)のは、最低の倫理に反します。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/bb0db0ec5ea52d82bb23bef8ea05fae9
・マスコミもあんまり「遺族感情」で読者を煽るのはよくないですね。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/77b3459a2b23176275596bb08bd49d95
・新聞がそんな話を無批判に垂れ流しているのでは、この母親より新聞のほうがはるかに悪いと思います。この母親はともかく、新聞社もこの記事を書いた記者も、闇サイト事件の母親の意見が正しいなんて全然考えちゃいないだろ? 

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/dd1936681f1f950d5e75d4ba05b66469
 しかし問題なのはこの女性よりむしろ、こんな発言を報道する新聞社ですね。毎日新聞社は、裁判官は判例固執しないで判決を下すべきだという考えを会社全体でお持ちなんですかね? そんなことはないでしょうけど。この記事を書いた記者だって、そんなことはからきし考えてはいないでしょう。そして、これもあえて書けば、この母親が主張する「判例重視に疑問」とかいうお考えについては、毎日新聞社はそれなりに妥当性のあるものとみなしているんですか? この女性の意見が受け入れられる実現性はありますか? 実現性は論外、妥当性もないと私は考えますが、どうなんですかね。

と非難されてるマスコミの一つは毎日新聞ですからねえ。
 はっきり言ってこの毎日記事は中国人に対する偏見と差別ではないのか。
 もちろんこの一件で中国人被害者遺族が「死刑にしろ!」と叫んでるのは「司法の違い」「民族性の違い」ではない。

https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/030/027000c
 中国では「司法の独立は西側の誤った思想」(周強*1最高人民法院院長)とされ、社会的に注目される事件では治安を重視する共産党の意向は無視できない。「『人民の意思』の名目で厳罰が科されることは珍しくない」という。

なんて王雲海*2・一橋大大学院教授(刑事法)のいうような話では全くない(つうかマジレスすれば「光市事件の少年の死刑(無期懲役からの変更)」なんかは明らかに日本の裁判所が死刑を求める世論にこびてると思いますが。日本だって「社会的に注目される事件」では裁判所は世論の動きを無視はできないでしょう。「日本では裁判所は世論から完全に独立してるんです!。中国とは違うんです!」なんて本気で思ってるならぶっちゃけ毎日新聞はバカです)。本気でこんなことを毎日新聞が考えてるなら正気を疑います。
 三権分立や「司法の独立*3」をネタに毎日新聞が中国政府を批判したいなら「そうした問題は実際にあるのでしょうから」勝手にすればいい。しかし、少なくともこの件はそういう話ではない。
 日本人だって例えば「名古屋闇サイト殺人の母親」、「光市事件の被害女性の夫」や岡村勲なんぞは感情論丸出しで「死刑にしろ!」と叫んでいる(あるいは叫んでいた)わけです。それとも彼らは中国人だったんでしょうか?。彼らは「三権分立司法権の独立を否定していた*4」んでしょうか。そして岡村らを美化した毎日新聞などは「中国メディア」だったんでしょうか?。なるほどねえ、産経が毎日新聞を「中国の手先!」と非難していたのは正しかったわけですね!。俺も今後は毎日新聞のことを「中国の手先」と呼ぶことにしましょう(もちろん皮肉のつもり)。
 「中国人遺族が死刑にしろと叫ぶと感情論だの、中国には司法の独立がないからだのと非難して、日本人遺族が死刑にしろと叫ぶと、正義の発言であるかのようにそのまんま垂れ流すのが手前らのやり口か、ふざけんな、マスゴミ毎日新聞」と腹立たしくなりますね。
 ちなみにこの毎日記事には

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/030/027000c
・ncc1701
 え、感情論は日本人も同じだろ。光市事件の時なんか、国民総掛かりで吊るせ吊るせの大合唱だったし。
・usi4444
 「遺族感情を考えて死刑判決を」というのは今の日本のマスコミ報道の主流じゃないですか。どんな顔して中国世論を批判しているの?

という俺と同趣旨の毎日批判ブクマがついています。

【追記】
フォーサイト『日中「死刑観」の違いを浮き彫りにした「中国人留学生殺害事件」の判決』(野嶋剛*5
http://www.fsight.jp/articles/-/43142
 あえて詳しくは突っ込みませんが、内容的には「死刑をむやみに望まない冷静な日本人、死刑を強く求める感情的な中国人」という「事実に反する」「日本人を不当に持ち上げる一方、中国人を不当におとしめる」毎日新聞と同レベルの駄記事です。別にこの事件は「日中の死刑観の違い」など浮き彫りにしていない。
 日本人が騒がないのは単に「被害者が中国人だから」にすぎません。
 一方、中国人は被害者が中国人ではない「名古屋闇サイト殺人」、「光市母子殺害事件」などで騒がなかったわけです*6。そして少なくない日本人がこれらの事件では騒ぎ立て、死刑を叫ぶ遺族を礼賛したり擁護したりした。
 この記事では「日中死刑観の違い」ではなく、むしろ野嶋という馬鹿者の「中国に対する酷い偏見」が明白になってると言うべきでしょう。
 野嶋は『ラスト・バタリオン:蒋介石と日本軍人たち』(2014年、講談社)、『台湾とは何か』(2016年、ちくま新書)なんて本を書いてる男なので「産経並みのウヨ」であり中国に対する酷い偏見があるのかもしれません。いずれにせよ馬鹿馬鹿しい話です。


NHK天皇陛下の会見内容明かした比に抗議 外交文書公開』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171220/k10011265311000.html

 この会見をめぐっては、フィリピン政府の報道官が会見の内容を外国の報道機関に明かし、天皇陛下が太平洋戦争での日本の侵略行為について、大統領に謝罪した*7などと報じられました。
 公開された外交文書では、外務省は、報道を受けてフィリピン政府の関係者と面会し、「御会見は私的な会話なので、あらかじめ合意された場合を除き一切外部には出さないこととなっている」としたうえで、「陛下との御会見の模様が報じられたことに困惑している」と不快感をあらわにしています。
 日本とフィリピンの外交史に詳しい一橋大学の中野聡*8教授は「天皇陛下の発言の中でも、特に太平洋戦争をめぐる発言には、政府が神経をとがらせていた時代背景の中で、日本の外交当局がぴりぴりしていた当時の雰囲気が伝わってくる」と話しています。

 天皇の戦争責任問題が国際的に問題にされることを相当恐れていたわけです。


日経新聞『脅威にさせない協力を 中国近代化で日米模索』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24866870Q7A221C1M10800/

 外交文書によると、訪米した園田直*9外相は79年4月6日、バンス*10国務長官と会談し、中国を巡る日米の権益争いが太平洋戦争につながった教訓から「中国の近代化に協力するに当たり、日米が協力すべきだ」と述べた。
 具体的には中国の輸送、石油・ウランなどの資源開発、通信・電力分野を列挙。日米の協力に加え「日中経済協会のような機関を米国内にも設立し、この間で話し合わせてはどうか」とし、双方の民間団体にも中国経済の近代化支援を担わせるべきだと訴えた。
 外相は翌7日にも長官と会談し「将来、中国が日米の脅威となる事態も考えられなくはない」と指摘。日米民間団体による対中協力の狙いは「中国が今後日米から離れて近代化を推進し得ない仕組み」づくりにあるとして、中国を日米につなぎ留める戦略を明かした。

 確かに今の中国は「脅威と言っていい政治、経済、軍事大国」でしょうが、本気で園田外相はそんなことを思っていたんですかねえ。中国への経済進出を米国に持ちかけるに当たり「米国が納得しそうなこと」を主張したに過ぎないんじゃないか。


【ここから産経です】
台湾当局、統一派の政党幹部を拘束 中国当局反発「恣意的な迫害」
http://www.sankei.com/world/news/171220/wor1712200044-n1.html
 まあこの記事だけではなんとも評価できません。

 台北地方法院検察署(地検)は19日、中国のスパイを取り締まる「国家安全法」違反容疑で、新党の幹部(30)ら4人の事情聴取を試み、拒否した1人の身柄を一時拘束した。
 聴取は、9月に同法違反で有罪判決を受けた中国人の元留学生が、同党にも接触していたことが判明したためだという。

というのが正当な捜査か不当な嫌がらせかで評価は大きく違ってきます。


■【大阪正論】「反日宣伝による日米分断工作にひっかかるな」 評論家・江崎道朗氏*11
http://www.sankei.com/west/news/171220/wst1712200080-n1.html
 「反日宣伝による日米分断」ではなくマイク・ホンダ氏のような人権派、リベラル政治家にとって「慰安婦戦争犯罪じゃない」だのとデマる連中は容認できないつうだけの話です。
 つうか米国のまともな政治家でそんな与太を支持するバカはいないでしょう。大体これほど日本が慰安婦問題で諸外国(欧米、中国、韓国など)に非難されてるのは安倍が首相になってからの話です。
 韓国との関係で言えば、小渕政権時代なんかは「日韓共同宣言」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/yojin/arc_98/k_sengen.html)ですからねえ。
 あるいは2002年は日韓共催ワールドカップだったわけです。

 江崎氏は、トランプ米大統領の支持基盤である米保守派に最近、旧ソ連の秘密工作が日米開戦の元凶だったという歴史観ができたと紹介。

 ばかばかしい。
 日米戦争になったのは
1)日本は蒋介石政権を転覆し中国を完全植民地化しようとしたが蒋介石政権を支持する米国はそれを容認しなかった。日本の反省を求め「今北朝鮮を制裁してるように」日本相手にくず鉄や石油などを禁輸し制裁した
2)それに反発した日本は真珠湾攻撃で米国を攻撃した。「欧州の覇者・ドイツはいずれ英国も屈服させる、そうなれば米国なんぞ怖くない」と甘く考えてた(実際にはドイツは英国を屈服させられず結局敗戦)
つうだけの話です。ソ連なんか全く関係ない。
 日本が中国侵略をやめるか、(あり得ない話ですが)米国が日本の中国侵略を容認するか、すれば戦争にならなかったわけです。
 それとも「蒋介石ソ連の手先だった」とか言い出すんでしょうか。


■【歴史戦】慰安婦像は「無許可で設置」 マニラ市、フィリピン外務省に回答へ
http://www.sankei.com/world/news/171220/wor1712200037-n1.html
 いくら何でも「無許可で設置」はしないと思うのですがね。何せ当初の報道では市長の代理で市幹部が式典に出席してるわけですから。
 まあ「日本が飴と鞭を使ってマニラ市を屈服させた」つうところでしょう。日本人として実に嘆かわしい。そしてこんなことをすれば現地住民は確実に日本への怒りを深めていくでしょう。


■「朝日新聞やめた」…ツイッターで発信の長崎・平戸市長インタビュー 購読中止は3年前「事実を基に主張を展開すべきだ」
http://www.sankei.com/politics/news/171220/plt1712200047-n1.html
 本気なのか商売右翼なのか知りませんが「慰安婦のデマは朝日新聞がー」などとそれこそ明らかなデマを公言するとは平戸市の恥を世界にさらしてるのも同然です。
 つうか「河野談話も、米国下院慰安婦決議も、サンフランシスコ市が記念碑をつくったのも、国連クマラスワミ報告も、ローマ法王慰安婦に面会しその労をねぎらったのも」全て朝日のせいなんて本気で言ってようが故意のデマだろうが最低のクズです。まあ、まともな住民が平戸市にいるのかしりませんが、「まともな平戸市民」にとってはこの市長ほど腹立たしい存在もいないでしょう。


■【外交文書公開】胡耀邦*12総書記「長老引退を」 中国、トウ小平*13と人事で温度差
http://www.sankei.com/world/news/171220/wor1712200028-n1.html
 こうした胡の発言がトウの耳に入っていれば彼も面白くはなかったでしょう。しかも胡の発言相手はよりによって外国首脳(中曽根首相)です。胡の失脚はこうしたことが遠因なのかもしれません。

参考

https://digital.asahi.com/articles/ASKDG6WW5KDGUTFK024.html
朝日新聞胡耀邦氏、中曽根氏*14に人事漏らす「年寄り引退」、直後失脚』
 夕食会では「少なくとも4名程度の若手幹部を党中央指導部に抜擢したい」と語っている。後に常務委員となる胡啓立氏*15と、政治局員になる王兆国*16を指さし、「少なくとも7〜8名の若手幹部の中の2人」と踏み込んだ。

胡耀邦(ウィキペ参照)
 1985年5月10日、香港の雑誌『百姓』のインタビューで、自身が進歩派と表現されたことに反対せず、軍事委員会主席には用が無いと発言したため軍事委員会主席だったトウ小平の不興を買い、後に総書記を解任される一因となった。また同郷(湖南省)の先輩である王震*17を南轅北轍(意志と行動が矛盾していることのたとえ)と言ったため、総書記就任後悪くなっていた関係は修復不可能になり、批判が激しさを増した。
■失脚
 胡の政治改革は、保守派の巻き返しにあい、1986年9月の第13期6中全会で棚上げされた。逆に同会議において保守派主導の「精神文明決議」が採択され、胡は保守派の批判の矢面にさらされた。ついに1987年1月16日の政治局拡大会議で胡耀邦は総書記を解任された。この会議には陳雲*18ら党長老が出席し、全会一致で胡耀邦の解任と趙紫陽*19が総書記代理に就任することが決まった。罪状は集団指導原則に対する違反と政治原則問題での誤り、つまり「ブルジョワ自由化」に寛容だったためとされた。


■【外交文書公開】軍国主義回帰を懸念 改憲巡りダレス*20米長官 1956年来日
http://www.sankei.com/world/news/171220/wor1712200029-n1.html
 米国ですら戦前日本軍国主義の復活を警戒していたことが興味深いですね。そしてダレスの発言相手が「船田中鳩山内閣防衛庁長官」であることがこうした発言に影響してるのかどうかが気になるところです。


■【産経抄広辞苑は中国の圧力から「自由」なのか 版を重ねるほど、日本がどんどん悪玉に 12月20日
http://www.sankei.com/column/news/171220/clm1712200003-n1.html

 同僚記者がネットで見つけた。面白がって印刷し、仕事部屋の壁に張っていた。「50年後」の日本地図である。西日本は中国の「西海省」、それ以外は「東北自治区」となっていた。

 「面白がって」というのが「語るに落ちてます」ね。つまり産経もこんなものは怪文書に過ぎないと理解してるわけです。

 第6版の中華人民共和国の項目を見て驚いた。行政区分を示す地図で、台湾が26番目の省として表記されている。台北駐日経済文化代表処や在日台湾人組織が、岩波書店に対して修正を求めるのは当然である。

 いや全然「当然」じゃないですね。
 まず第一に「日本に限らず」中国と国交を持つ国の立場である「一つの中国」によれば「台湾は中国の一部」なんだから広辞苑の記述には何の問題も無い。もちろん広辞苑だってまさか「台湾を中国が実効支配してる」といってるわけもない。「中台早期統一」を主張してるわけでもないでしょう。
 おそらく「広辞苑以外の日本の辞書」「日本以外の外国の辞書」でもこういう記述はあるんじゃないか。
 第二に広辞苑第6版は2008年にでています(ウィキペ「広辞苑」参照)。
 蔡英文政権が「抗議」してるこの件が、6版以前にあったのか、はたまた6版で初めて発生したのかはさておき。
 まあ蔡は「2008年当時は国民党の馬政権だった」と強弁するのでしょうが、過去に抗議してない件を今頃になって抗議することが妥当な行為なのか。
 第三に仮に岩波が書き換えたとして何の意味があるのか。台湾の国際的地位が向上するわけでもないでしょう。産経だってこんなことは蔡英文が今回「抗議する」まで別に騒いでなかったわけです。
 結局「蔡英文は『日本ウヨが敵視する岩波にけんかをうって』台湾ロビをーを自称する日本ウヨにこびてるだけ」なのでしょう。
 こうした蔡の行為は中国の不信と反発を買い中台関係を悪化させるだけでしょう。まったく何を考えてるのかと蔡のバカさには心底呆れます。こんなんが「国家*21」トップで台湾は大丈夫なのか。 

 日本政府は台湾の帰属について、中国の立場を「十分理解し、尊重」すると言った。

 「理解し尊重してるが支持してない」なんてのは産経と蔡英文の詭弁です。
 「事実上の支持」の婉曲表現であることは明白でしょう。そもそも「理解し尊重するが支持してない」なんてことがどこの世界にあるのか。そして台湾の帰属について「中国に帰属する、台湾は国ではない」との認識から台湾と断交したんでしょうに。
 この件について聞かれた菅官房長官が「ノーコメント」としたのも要するにそういうことです。ここで台湾の抗議を支持なんかしたら「なら一つの中国を認めないのか」「ならばなぜ台湾と断交(国交断絶)したのか。それとも断交は間違っていたとの認識の元、国交『回復』でもする気か」という中国の反発と疑念を買いかねません。

 水野さんによると、広辞苑は版を重ねるに従って、偏向の度合いを増してきた(『「広辞苑」の罠(わな)』*22)。たとえば第1版で「日本軍が南京攻略の際に行った暴行事件」だった南京事件が、第3版では「大虐殺事件」となる。

 やれやれですね。実際大虐殺事件でしょうに。大体、南京事件東京裁判で裁かれたときの中国政権与党は蒋介石・国民党であり、産経も「蒋介石秘録」では南京事件の実在を認めていたのに良くもこんな態度がとれるもんです。

 第4版からは「南京大虐殺」という項目が別個に独立した。「日本軍が中国軍の投降兵・捕虜および一般市民を大量に虐殺し、あわせて放火・略奪・強姦(ごうかん)などの非行を加えた事件」と説明する。中国の主張通り、日本がどんどん悪玉になっていく。

 産経の引用を見る限り「表現がやや詳しくなっただけ」で「中国の主張通り、日本がどんどん悪玉になっていく」なんて事実はどこにもありません。
 4版の記述にはどこもおかしいところはない。「中国軍の投降兵・捕虜および一般市民を大量に虐殺」「放火・略奪・強姦」も全て事実ですし、「東京裁判での認定」もこうした認定です。


■【目を覚ませ韓国】近代化のため日韓併合推進した李氏朝鮮松木國俊*23
http://www.sankei.com/world/news/171220/wor1712200001-n1.html
 「日本のおかげで近代化できた」ならまだしも、でまかせも大概にしてほしいですね。武力をバックに恫喝して無理矢理併合したことは明白でしょうに。何が「李氏朝鮮日韓併合推進した」なのか。
 

■【主張】米の国家安保戦略 超大国の責任実行に移せ
http://www.sankei.com/column/news/171220/clm1712200002-n1.html

 トランプ氏は安保戦略の中で、中国をロシアと並べて「現状変更国家」と名指しした。米国の価値や富に挑戦し、力ずくで米国が築いた国際秩序の破壊を狙う勢力だと位置づけた。

 非常識極まりないですね。先日、トランプが訪中してそれなりの友好をアピールしたのは一体何だったのか。
 過去にも人権問題などで一定の中国批判を米国政府はしてるので「中国批判は予想はしていても」ここまで酷い悪口が飛び出すとは中国もびっくり仰天でしょう。
 「あの男は何を考えてるのか」と。
 AIIBにほとんどのG7諸国が参加する今、この種の無茶苦茶な中国非難に現実性があると本気で思ってるのか。レーガンの「ソ連は悪の帝国」なみの悪口じゃないですか。過去の政権が天安門事件などで一定の中国批判はしてもここまで悪口しなかったのはこんなことしても何の意味も無いからです。ここまで中国に悪口するならトランプ政権は米国企業すべてが中国から撤退すべきだとでも思ってるのか。

 同時に核・ミサイルによる挑発を続ける北朝鮮を、イランとともに米国や同盟国の安全を脅かす「ならず者政権」と非難した。

 おいおいですね。
 「せっかく実現に達したイラン核合意を否定する気なのか?」「ブッシュ政権イラクフセイン政権を転覆したように北朝鮮やイランを転覆する気なのか?」という恐怖感を感じます。大体、選挙期間中に言っていた「外国のことにはなるべく関わらない」と全然違うじゃないですか。

前政権は「アジア回帰」を掲げながら、それを裏付ける軍事的行動をとらなかった。

 おいおいですね。オバマ政権のアジア回帰をどう評価するにせよ「アジア回帰=軍事行動」と評価する産経は異常です。政治オプションのうち「一番実行しづらい」のが軍事行動でしょう。そうそう簡単に軍事力とは発動できるもんではない。大体誰にどう発動するのか。北朝鮮政権転覆とでも言うのか。

*1:中国共産主義青年団中央書記処第一書記、湖南省長・党委員会書記などを経て最高人民法院院長

*2:著書『賄賂の刑事規制:中国、米国、日本の比較研究』(1998年、日本評論社)、『「刑務作業」の比較研究(中国、米国、日本)』(2001年、信山社出版)、『死刑の比較研究:中国、米国、日本』(2005年、成文堂)、『「権力社会」中国と「文化社会」日本』(2006年、集英社新書)、『日本の刑罰は重いか軽いか』(2008年、集英社新書)、『賄賂はなぜ中国で死罪なのか』(2013年、国際書院)、『対論! 日本と中国の領土問題』(共著、2013年、集英社新書)など。個人的には『賄賂はなぜ中国で死罪なのか』は面白そうです。まあ死罪はともかく日本は(少なくとも政治家に対する処罰は)軽すぎでしょう。有罪判決が下ったはずのロッキード佐藤孝行とか見てると本当にそう思います。まあ当選させる方にも問題がありますが。

*3:ただ砂川事件での田中最高裁長官と政府高官の密談(政府の方針に沿った判決を出すことを田中が約束)なんかわかりやすい例ですが、「三権分立」「司法の独立」と書いてあれば当然にそれが守られてるわけではない。もちろん「一応建前としてある(欧米や日本)」と「正式に否定してる(中国)」のとではかなり話は違いますが。

*4:いやもしかしたらマジで否定してるのかもしれませんが。

*5:著書『ふたつの故宮博物院』(2011年、新潮選書)、『ラスト・バタリオン:蒋介石と日本軍人たち』(2014年、講談社)、『認識・TAIWAN・電影:映画で知る台湾』(2015年、明石書店)、『故宮物語』(2016年、勉誠出版)、『台湾とは何か』(2016年、ちくま新書)など

*6:もちろん中国人が騒がないのは当たり前ですし、騒いでほしいわけでもありませんが。

*7:まあさすがの昭和天皇もわびないわけにはいかないと思っていたのでしょう。

*8:著書『フィリピン独立問題史:独立法問題をめぐる米比関係史の研究 1929〜46年』(1997年、龍溪書舎)、『歴史経験としてのアメリカ帝国:米比関係史の群像』(2007年、岩波書店)、『東南アジア占領と日本人』(2012年、岩波書店)など

*9:第2次佐藤内閣厚生相、福田内閣官房長官、福田改造、大平内閣外相、鈴木内閣厚生相、外相など歴任

*10:ケネディ政権陸軍長官、ジョンソン政権国防副長官、カーター政権国務長官など歴任

*11:日本青年協議会・月刊誌『祖国と青年』元編集長。著書『戦後教育を歪めたGHQ主導の教育基本法』(共著、2006年、明成社)、『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾:迫り来る反日包囲網の正体を暴く』(2012年、展転社)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(2016年、祥伝社)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(2017年、PHP研究所)、『日本は誰と戦ったのか:コミンテルンの秘密工作を追求するアメリカ』(2017年、ベストセラーズ)など

*12:党中央組織部長、党中央秘書長(党中央宣伝部長兼務)などを経て党総書記

*13:党副主席、第一副首相、人民解放軍総参謀長などを経て党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*14:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*15:天津市長・党委員会書記、党中央弁公庁主任、党中央書記処常務書記を歴任するが、天安門事件で党中央書記処常務書記を解任され、中央委員に格下げ。その後、復権し、全国政治協商会議副主席。

*16:党中央弁公庁主任、党中央書記処書記を歴任するが、胡耀邦失脚時に彼に近かったことから党長老の不興を買い福建省長に左遷。その後、復権し、国務院台湾事務弁公室主任、党中央統一戦線部長、全国政治協商会議副主席、全国人民代表大会副委員長、中華全国総工会主席を歴任

*17:副首相、党副主席、国家副主席など歴任

*18:党副主席、第一副首相など歴任

*19:広東省長、四川省長・党第一書記、副首相、首相などを経て党総書記、党中央軍事委員会第一副主席。天安門事件で失脚

*20:アイゼンハワー政権国務長官

*21:まあ日本や欧米は中国の主張「一つの中国」を受け入れ、台湾を国とは認めてませんが、中国が実効支配してるわけでもなく、「事実上国です」しうまい表現が思い浮かばないのでこう書きました。俺が「台湾独立や日台国交回復を支持してる」という意味ではありません。

*22:2013年、祥伝社新書

*23:著書『「従軍慰安婦」強制連行はなかった』(2011年、明成社)など