安田峰俊インタビュー記事で、在日ベトナム人って数が増えてるんだなあと改めて実感(副題:常岡浩介に悪口する)

警察を怖がらず、気軽に犯罪を重ねる…日本の田舎が不良ベトナム人「ボドイ」の標的になっているワケ 犯罪件数では中国を抜いて国別トップに | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

【記者】
 安田さんといえば、(ボーガス注:2019年の)大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞した『八九六四:「天安門事件」は再び起きるか*1』(KADOKAWA)や『性と欲望の中国*2』(文藝春秋)など*3、中国ライターの印象が強いですが、最近は(ボーガス注:『北関東「移民」アンダーグラウンドベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪』(2023年、文藝春秋)など*4)在日ベトナム人をよく取材されていますね。
安田峰俊
 コロナ禍が起きて、そもそも海外に渡航できなくなりました。なので、国内取材にシフトしなければならなかった*5のですが、当時の僕にとって在日中国人は、正直に言えば「いまさら」面白いと感じる対象ではなかったんですよね。
 私が彼らを見慣れすぎていて、サプライズがない(笑)。また、ある意味、彼らはもう成熟してしまったんです。
 中国という国家がそれなりに豊か*6になり、彼らが変なことをしなくなったんです。気付いている人は少ないですが、2020年から在日外国人の犯罪件数は国別で見るといまやベトナムがトップなんですよ。
 犯罪にしても(ボーガス注:在日中国人の場合)知能犯めいたものばかりで、(ボーガス注:在日ベトナム人による家畜窃盗のような)カオスさは感じにくい。そうなってくると、まさに30年前ぐらいの中国人のポジションが、今はベトナム人に置き換わっているんです。
 コロナが始まったばかりの2020年5月くらいから、日本にいる外国人が干上がっているという話を聞き、各地を取材すると、そのボドイ*7ベトナム語で「兵士」の意。技能実習先から逃亡した不法滞在者ベトナム人のこと)たちの困窮や暴走が見えてきたんです。
 同年の夏あたりから、北関東を中心に豚などの家畜が盗まれる事件が相次ぎましたが、いつも取材の際に通訳をしてもらっているベトナム人のチー君が、テレビで放送されている監視カメラの映像を見て、「安田さん、これベトナム人ですよ」と言ったんです。
【記者】
 報道されていた監視カメラの映像には顔にモザイクがかかっていたはずですが、なぜベトナム人だとわかるんでしょうか。
【安田】
 豚を抱えて歩いている姿がもうベトナムの労働者っぽいんですよね。ちょっとモサッとした感じというか。あとは短パンにTシャツという服装ですよね。「真面目に」窃盗をやる人は、こんなラフな格好はしない。
【記者】
 本書にも登場する2021年3月に起きた列車衝突事故も、状況を記した新聞記事から「ボドイの仕業」とすぐにわかったそうですね。
【安田】
 これは、無免許運転の車がJR常磐線のフェンスを突き破って線路上で立ち往生して車をそのままにして逃走し、そこに常磐線普通列車が衝突し炎上。首都圏の幹線である常磐線の一部が、2日にわたってまひしたというかなりの大事故です。
 新聞によれば、事故を起こした車両はその日、後部ライトを付けずに走っていて、警察に追跡されていました。速度を上げて逃げ切るも線路に突っ込み、車両を放置して逃走しています。もう、この報道を見ただけで「ボドってる」感じを受けたんですよね。普通に考えれば、線路上に事故車を放置して立ち去るなんて、明らかに悪手です。
【記者】
 たしかに、日本人の感覚からするとあり得ない行動パターンですよね。「ボドってる」行動の傾向というか、ボドイに共通する特徴はあるんでしょうか。
【安田】
 基本的には何も考えていないボーっとした人が多いです。彼らは後先を考えずにとりあえず技能実習生になり、事前にものを調べず日本に来たらあまりの低賃金にがっかりして、再び後先を考えずに逃亡する。そして、バクチで借金を作って犯罪に巻き込まれたり、何も考えずに無免許運転をおこなって人をはねたり電車を炎上させたりしている。
【記者】
 列車衝突事故の状況を見ると、想像力があまりにも欠けているなという気もしました。
【安田】
 (ボーガス注:ベトナムのような)社会主義圏かつ発展途上国となると、どうしても教育環境が整っていないという印象があります。逃亡した技能実習生を見ていて思うのは、自分に不都合なものも含め、いろんな情報を自分の頭で考えて判断し、論理的・構造的に考えることが難しい人が多いということです*8。また、基本的に遵法意識が低いという問題もあります。
 たとえば、他人が所有する山に勝手にわなを仕掛け、野生のイノシシを狩って、それを車に積んで帰り、自宅でかっさばく動画をFacebookTikTokにアップして、その肉を第三者に販売した場合です。不法侵入、わなの無免許設置、鳥獣保護管理法違反、屠畜場法違反、食品衛生法違反……と、一体いくつの罪状がつくのか。
 もちろん、彼らがイノシシの輸送に使う車は、Facebook上で買った車検も何も通ってない車体で、言うまでもなく無免許運転です。しかし、ボドイはこれらの一連の行動について、それが深刻な犯罪に該当するとはほとんど自覚していない*9
 おそらく彼らがこれまで過ごしていたベトナムの農村地帯では、いつ買ったかもわからないようなボロボロの車で他人の山に入り、鹿やイノシシを狩るくらいは、そこまでおかしくないことのはずです。
 論理的な考えができる人であれば、(中略)逃げたりすれば逆に罪も重くなるので損をするとか、日本の司法とか警察を相手にしたらどうせ逃げても捕まるんだし、認めてしまったほうが逃げるよりはマシになるという判断もする。
 でもボドイにはそういう認識がないわけですよ。彼ら自身の視野の狭さに加えて、母国のベトナムの社会であれば「逃げたほうが得」というケースもある。日本人なら当たり前のように持っている解釈を、ベトナム人労働者の一部は、まるで共有していないんです。もっとも、そういう人たちだから賃金が安くても済むわけで、彼らをわざわざ呼び寄せているのは、日本の側(ボーガス注:である意味、日本人の自業自得)なんですけどね。

 まあ、千葉小3女児殺害事件 - Wikipediaの被害女児もベトナム人でしたしね。
 以前、今日の産経ニュース(6/7分)(追記・修正あり) - bogus-simotukareのブログで紹介しましたが以下のような話もありました。

【アジア風雲録】岡山・美作市が公共施設にホー・チ・ミン像 在日ベトナム人ら反発、撤去求める(1/4ページ) - 産経ニュース
 ベトナムとの交流を推進している岡山県美作(みまさか)市が昨年、同国政府から「建国の父」とされるホー・チ・ミン主席(1890〜1969)の銅像を寄贈され公共の文化施設に設置したところ、日本在住のベトナム人団体が「残虐な独裁者だ」として反発し、撤去を求めるなどの騒ぎに発展している。
 美作市には現在、交流によってベトナム人90人以上が在住。こうした実績をもとに昨年10月、同国政府から「友好の証」としてホー・チ・ミン銅像が日本では初めて同市に寄贈された。
 人口約2万8千人の美作市少子高齢化労働人口の減少を受け、近年は外国人技能実習生を積極的に受け入れている。中でも企業に勤勉さが評価されるベトナム人の受け入れを積極的に進め、同国との交流推進にも力を入れてきた。

 ベトナム人が日本に急増してることは間違いないのでしょう。
 なお、ベトナムがトップについては「在日外国人犯罪ベトナム」等でググってヒットした以下の記事を紹介しておきます。

来日外国人の摘発1万1756人、ベトナム人が初の4千人超…技能実習先の解雇も影響 : 読売新聞2021.4.8
 全国の警察が昨年摘発した来日外国人は1万1756人(前年比101人増)で、国籍別ではベトナムが最多の4219人(35%)だったことが警察庁のまとめでわかった。次に多かったのは中国人の2699人(前年比249人減)で、フィリピン人765人(同19人増)、ブラジル人508人(同増減なし)、タイ人480人(同29人減)と続いた。

外国人摘発最多はベトナム人、県警「支援組織の摘発必要」…支援団体「犯罪目的では来日しない」 : 読売新聞2022.1.28
 新潟県内で昨年、外国人が摘発された刑法犯事件は112件(速報値)に上り、このうちベトナム人の摘発件数は82件と、国籍別で4年連続最多となった。県内ではここ数年、ベトナム人窃盗団による万引き事件が相次いでおり、県警は犯行を支援する組織があるとみて捜査を続けている。
 県警捜査3課は「支援組織を摘発しなければ、新たな窃盗団が犯行を繰り返すだけ。窃盗団は複数県にまたがって犯行を繰り返す傾向にあり、他県警とも連携して捜査を進めていきたい」としている。
 事件の背景には、技能実習生として来日したベトナム人の生活苦もあるとされ、県内の外国人支援団体は「支援体制の整備が必要だ」と訴える。 
 県内在住の外国人を支援する「新潟ヘルプの会」(新潟市中央区)によると、多くのベトナム人技能実習生として来日する際、日本語教育などの名目で80万~100万円の借金を抱えるという。借金の返済で生活が苦しくなったり、労働環境の悪さに耐えられなかったりして実習先から逃亡。不法残留となり、生活費などを稼ぐために犯罪に手を染めるケースが目立つという。
 同会で相談員を務める早津博美さんは「犯罪目的で来日するベトナム人はいない。犯罪に加担するケースを減らすためにも、実習先を逃げ出した人をしっかりとサポートする体制が必要」と訴える。


ベトナム人技能実習生は「かわいそうな弱者」でないと困る…マスコミが無視する「ボドイ犯罪」の悩ましい実態 日本の過疎地域のために、基本的人権を奪っている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
 安田が言うほど「在日ベトナム人犯罪者」が「かわいそうな人扱いされてるか」は非常に疑問で、むしろ「技能実習制度がいかに酷かろうが家畜窃盗など許されない」等、むしろ「否定的見方」ではないかと思いますが、それはさておき。

【安田】
 現状、ファミレスの総菜もコンビニ弁当も技能実習生かボドイが作っている場合があるわけです。技能実習生の基本的人権を奪っているからこそ、あの値段が実現できている。
 外国人の人権のために、牛丼の並が1000円になってもいいと言い切れる日本人は多くありません。

 コメント欄でのご指摘とかぶる内容ですね。
 「低賃金で外国人を呼んでこき使う」ようなことをするから一部が犯罪者化するわけですが、そこで「外国人を含む労働者の待遇をアップさせる」「技能実習生のようなインチキはやめる」「結果として物価が高くなったとしてもやむを得ないことだ。無理に安くするのには限界がある、弊害がでる」とする認識は残念ながら安田が言うように「決して多くはない」でしょう。
 なお、米国で「違法移民」がなくならないのも事情は全く同じです。

【記者】
 本書には、「あと15年でボドイは消える」とありました。これから先15年、日本はどうなっていくんでしょうか。
【安田】
 中国人の技能実習生が減少したように、ベトナムの経済が発展して日本との格差が縮小すれば、ボドイは結果的に日本社会から消えるでしょう。さきほどもお伝えした通り、彼らが日本に来る動機はお金なので、ベトナムから見て日本が稼げない国になれば、出稼ぎに来る必要はなくなります。書籍では「あと15年でボドイは消える」と書きましたが、もしかしたらボドイが消えるまでにあと5年もかからないかもしれません。

 「日本での出稼ぎが儲からない」と思えば安田が言うように「外国人労働者は減っていく」でしょう。
 安田は何故か「減る要因」として「発展途上国(昔の中国、今のベトナム等)側の経済発展→日本との格差縮小」しか上げませんが、出稼ぎが減る理由はもう一つあり得ます。
 TBSラジオ・森本毅郎スタンバイ『進む「脱日本」』(2023年2月17日記載) - bogus-simotukareのブログ(この場合は豪州への出稼ぎ)でも触れましたが「日本以外の外国への出稼ぎ」です。
 中国、韓国、豪州、ニュージーランド、米国、どこであれ「日本よりも儲かる海外の出稼ぎ先(金額が高い、金額は高くないが3K労働でなく負担が軽いなど)」があるなら「ベトナムなど発展途上国の経済」が発展しなくても「中国、韓国」などを出稼ぎ先に選び日本へ来る外国人は減っていくでしょう。

*1:2018年、KADOKAWA→2021年、角川新書

*2:2019年、文春新書

*3:「など」の例としては『和僑:農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人』(2016年、角川文庫)、『野心:郭台銘伝』(2016年、プレジデント社)、『さいはての中国』(2018年、小学館新書)、『もっとさいはての中国』(2019年、小学館新書)、『現代中国の秘密結社』(2021年、中公新書ラクレ)、『中国vs.世界:呑まれる国、抗う国』(2021年、PHP新書

*4:中国ネタ以外の安田の著書は他に『「低度」外国人材:移民焼き畑国家、日本』(2021年、KADOKAWA)があります。

*5:なお、皮肉にも安田の「国内取材にシフト」発言は、常岡浩介の「海外取材専門なので、日本政府の旅券交付拒否で失業した」という言い訳が成立しないことを示しています。旅券拒否がなくても恐らく安田のようにコロナのために海外取材など無理だったでしょうし、その場合、常岡にも安田同様「国内取材シフト」と言う道があったからです。

*6:これについては例えばいまさら中国と対外援助ではりあって勝負になるわけないだろう(日本政府はまだしも、日本のマスコミがそんな見解をたれ流してどうする) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2022.10.24)参照

*7:なお、「ボドイ」でググったところ連載「ボドイ 技能実習「兵士」の肖像」一覧:朝日新聞デジタルがヒットしました。

*8:要するに「現実を検討する能力が著しく劣る」というのは、ろくでもない人生を送る人間に共通するところなのだと思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2022.12.2)ということです。

*9:要するに社会常識、道理、正論、合理的解釈、法令順守、他人に迷惑をかけない、こういったことが通用しないと本当に迷惑だしどうしようもない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2020.3.9)ということです。