今日の産経ニュースほか(2021年1月7日分)

新しい歴史教科書をつくる会「勝岡論文」をめぐる論争(資料)『史』令和3年1月号(144号)掲載

・(ボーガス注:つくる会の検定不合格には何ら問題は無い、文科省は不正などしていないと主張する)勝岡寬次氏*1の「自由社教科書不合格問題と、欠陥箇所の『二重申請』問題」と題する論文が、9月18日に発行された歴史認識問題研究会(以下、「歴認研」)の機関誌『歴史認識問題研究』第7号に掲載された。これに対し、つくる会は10月9日、「文科省の『不正検定』を擁護する勝岡寬次氏の論文について」という見解(『史』令和2年11月号掲載)を公表した。
 すると、掲載誌の発行主体である歴認研は、10月13日、西岡力*2会長名で(ボーガス注:勝岡氏を擁護し、つくる会を非難する)「『新しい歴史教科書をつくる会』の本会機関誌掲載論文への反論声明に対する、本会の見解」(以下、「歴認研文書」)を同会のホームページに発表した。
 その後、勝岡氏は雑誌『正論』の令和2年12月号に「文科省は『不正検定』に手を染めたのか(ボーガス注:いや染めてない、と言う反語)」という、歴認研の機関誌と基本的に同趣旨の(ボーガス注:つくる会の検定不合格には何ら問題は無い、文科省は不正などしていないと主張する)論文を寄稿した。これには、つくる会見解への内容的な反論も含んでいる。つくる会側関係者は当然反論の掲載を求めたが、『正論』の田北真樹子編集長はこれを拒否した。
・雑誌『正論』の言論弾圧問題である。『新しい歴史教科書』の前回検定時の代表執筆者・杉原誠四郎顧問と、今次検定時の代表執筆者・藤岡信勝副会長は、連名で『正論』編集部に反論の掲載を申し込んだ。しかし、田北真樹子編集長は、回答を一週間も遷延したあげく、反論の掲載を拒否した。
 なお、『正論』は産経新聞社から発行されているが、産経本紙は教科書問題について公正・公平に扱っていること*3を明記しておきたい。
 『歴史認識問題研究』には貴重な実証的・学術的論文が多数掲載されており、日本の歴史認識問題を研究する上での貴重な財産となっている。今後もその役割に期待するところは大きい。それだけに、教科書改善に取り組んできたつくる会への突然の攻撃は不可解*4であり、歴認研の今回の対応は極めて残念という他はない。雑誌『正論』についても同じことが言える。 

 「文科省は不正などしていない!、と主張するなんて我々への誹謗だ!」という勝岡、西岡、田北に悪口雑言するつくる会ですが、もちろん勝岡らは完全につくる会を舐めています。
 それも当然でしょう。「安倍政権下におけるつくる会検定不合格」は「育鵬社の合格」とセットで考えれば当然ながら「安倍による育鵬社応援、つくる会つぶし」以外の何物でも無く、一方、「長い間、安倍を礼賛し続けたつくる会」にはこの期に及んでも安倍批判する度胸がないからです。
 また、月刊『正論』(扶桑社)編集長の田北に悪口するつくる会ですが、「育鵬社」と同じ産経グループの「正論」田北が「つくる会攻撃」をするのは「予想の範囲内」です(そもそも田北はもともとは産経新聞の政治部記者です)。にもかかわらず、この期に及んでも田北や月刊『正論』には悪口しても「フジ産経グループ」は批判できないのだからつくる会も呆れた腰抜けです。つうか勝岡、西岡、田北についても、最初は悪口していても結局は、勝岡らに対して「今後もその役割に期待するところは大きい」と腰砕けになるのだから話になりません。


【正論】年頭にあたり 皇室の「藩屏」再建に着手せよ 東京大学名誉教授・小堀桂一郎 - 産経ニュース
 「皇室の藩屏」と言った場合、普通は「華族制度(もちろん戦後廃止された)」のことを意味しますが、ここでは「藩屏再建」とは「華族制度の復活」ではなく「元皇族の皇族復帰」を意味しています。まあどっちにしろ「非現実的な馬鹿げた話」です。そこまでして女帝制度を嫌う産経らの考えは理解できません。


トランプ支持者が議会議事堂に侵入 バイデン氏勝利確定に反発 - 産経ニュース

 米大統領選で民主党のバイデン前副大統領の当選を公式に確定させる上下両院合同会議*5が行われていた連邦議事堂に6日、大統領選で敗北した共和党トランプ大統領を支持するデモ隊が侵入し、上院本会議場を占拠した。
 選挙結果の確定手続きは中断され、議事進行役のペンス副大統領や上下両院議員らは議場から一斉に避難した。
 トランプ氏はこの日の演説で、ペンス氏に大統領選の結果を確定させないよう要請していたが、ペンス氏は合同会議の開会直前に発表した声明で自身には結果確定を阻止する権限がないと言明。これによりバイデン氏の勝利を覆す方途が消滅したとして失望したトランプ氏の支持者らが議事堂に乱入したとみられる。

 トランプの主張があまりにも無茶苦茶であるために部下のペンスですら付き合えないわけです。こうしたトランプ支持者の無法は嘆かわしいことですが、「もはやトランプの敗北は動きようがないこと」は喜ばしいことです。


【産経抄】1月7日 - 産経ニュース

 疑問がある。感染拡大が止まらないといっても、欧米諸国に比べれば、感染者数、死者数ともにけた違いに少ない。一方、人口当たりの病床数は世界一を誇っている。そんな日本がなぜ医療崩壊の危機に直面しているのか。
▼ヒントは北欧のスウェーデンにありそうだ。
「私たちは新型コロナへの対応に失敗した」。
 昨年末のカール16世グスタフ国王による異例の発言は反響を呼んだ。この国は「ロックダウン」(都市封鎖)を感染対策の切り札とする欧州各国とは違う、緩い規制で対応してきた。その結果、人口当たりの死者が近隣の北欧諸国に比べてはるかに多くなっているのは事実である。
▼ただし医療現場にはまだまだ余裕がある。病院同士の連携や機能分担がスムーズに行われているからだ。病院のほとんどが自治体による「公立」という事情が大きい、と医療ジャーナリストで医師の森田洋之さん*6が指摘する。一方日本では病院の約7割が民間病院である。
▼つまり厚生労働省日本医師会も病院に指揮命令する立場にない。それゆえコロナ患者を受け入れた病院では医療従事者が疲弊し、別の病院では患者が来なくて困るという現象が起こる(『日本の医療の不都合な真実*7』)。
(中略)
 急がれるのが、限られた医療資源を効率的に活用できる仕組みづくりである。自衛隊の医療支援に頼ってばかりもいられない。

 産経には珍しく「まともな記事」ではないか。
 問題はこうした具体論であって「緊急事態条項改憲ガー」で新型コロナは終息する話ではない。
 そして「病院の約7割が民間病院」となってしまった「理由の一つ」は「国や自治体が国立、公立病院の充実を怠ってきたこと」にもあるのだからその点への反省(つまり国公立病院の充実をこれからでも行うこと)が必要では無いか。

*1:著書『韓国・中国「歴史教科書」を徹底批判する:歪曲された対日関係』(2001年、小学館文庫)、『韓国と歴史は共有できない:日韓歴史共同研究のまぼろし』(2002年、小学館文庫)、『抹殺された大東亜戦争:米軍占領下の検閲が歪めたもの』(2005年、明成社)、『沖縄戦集団自決 虚構の「軍命令」』(2008年、明成社)、『「慰安婦」政府資料が証明する“河野談話”の虚構』(2014年、明成社)、『安倍談話と朝日新聞慰安婦問題と南京事件はいかにして捏造されたか』(2015年、双葉社)、『昭和天皇の祈りと大東亜戦争:『昭和天皇実録』を読み解く』(2015年、明成社)など

*2:歴史修正主義極右団体」歴認研などを舞台に、南京事件否定論河野談話否定論などを垂れ流すデマ右翼西岡が救う会会長なのだから拉致が解決しないのも当たり前です。家族会は西岡、島田、荒木らデマ右翼と縁切りすべきです。

*3:誰が考えてもそんなことはないのですが「つくる会にはフジ産経グループ全体を批判すること」は絶対に出来ないようです。

*4:不可解どころか「実に分かりやすい話」ですがつくる会にとって「安倍や産経、西岡力など日本ウヨの多くが育鵬社を応援しつくる会つぶしに加担している」という事実はどうしても認められないようです。

*5:過去においては「大統領選の敗者が早期に敗北宣言を出していたこと」でこうした会議には実質的意味はほとんど無かったところ、トランプの居直りによって実質的意義が生じているわけです。

*6:著書『医療経済の嘘』(2018年、ポプラ新書)など

*7:2020年、幻冬舎新書