常岡浩介に突っ込む(2021年2月20日分)

◆常岡著書のAmazonレビュー

◆著書『ロシア 語られない戦争:チェチェンゲリラ従軍記』(2011年、アスキー新書)
◆Ginji
 巻末で著者も認めているが、ルポとしては全くまとまりがない。何が起きているのか、状況がよくわからない中で従軍し、終始状況に振り回されている。本書のみでは理解を完結できない
◆bons
 はっきりとチェチェン側の視点に立っておきながら、その内容が様々な人物像の描写で終わっているのも、物足りなさを感じる。組織の内情とまではいかなくても、組織のメンバー構成や行動原理、活動の様態についてはもう少し説明がほしい。

 この書評が正しいならば、なるほどこれこそが「常岡の重大な欠陥」であり常岡が「現在、廃業状態」の大きな理由なのでしょう。


◆常岡ツイートに突っ込む

常岡浩介が春日孝之をリツイート
◆春日孝之*1リツイート
 さすが宮本*2元大使。言いにくいことを明確に指摘。クーデターに対しスーチーも責任を負うべき、と。国軍のメンツを潰し、追い詰めた責任。
ミャンマー軍事政権と中国の「急接近」はあるか?宮本雄二・元中国大使に聞く | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
◆インタビュアー
 軍はなぜ今回、実力行使に出たのですか。
◆宮本
 スーチー氏が軍のメンツを立てながらやらないといけなかった。もちろん軍部にも責任があったが、スーチー氏も責任を負わないといけない。NLDと国軍の間で常に対立があった状況を克服し、民政を守っていく努力が双方ともに不十分だった。今回のクーデターの根源的な原因はそれだと思う。
 国軍からすれば、スーチー氏が国軍の力を弱めようとする動きをずっとするわけだ。(ボーガス注:全議席の1/4という)国軍枠の議席を保障した憲法の修正提案をずっとやって(中略)NLD政権は軍の既得権益を脅かそうとしているというふうに軍は考える。メンツが著しく損なわれたと受け止めたのだろう。メンツは彼らにとってはべらぼうに大事な価値観だ。
 ただ、国民にクーデターが支持されているかといえばそうではない。
 一つは国軍クーデターの正当性が著しく弱いことがある。
 民主化ロードマップも軍事政権の時に作られ、軍自身がそれを実現してきたことを考えると、選挙に不正があったという名目だけでクーデターをするのに値するのか、という疑問が軍の中にもあると思う。現地の関係者に聞いた話だが、テインセイン氏*3は2016年に(ボーガス注:大統領を)退任したが、昨秋の選挙結果を受け入れるように軍幹部には言っていたようだ。軍が一枚岩ではない可能性がある。
 それに国民の意識も違っている。
 民政移管後のこの10年でミャンマーの人々が経済発展の果実を得て豊かな生活を体験した。軍政に戻るということはこれを放棄して、経済もうまくいかず、前と同じ貧しい生活に戻るということになる。それを納得するのかどうかだ。
 今の抗議デモはNLDの支持者が中心だと思われるが、今後、経済がうまくいかなくなると、一般大衆が立ち上がる。そうなると、おそらく軍も相当に手を焼くと思う。

 「軍を免罪するのか!」「むしろスーチー批判するとしたら『軍のクーデターを予測し阻止できなかったこと』ではないのか」という春日氏や宮本元ミャンマー大使(元中国大使)への批判は勿論可能ですが、それはひとまずおきます(また春日氏はともかく、宮本氏は一応軍部を批判はしています)。
 プーチン批判運動に対しては「いいぞ、もっとやれ、プーチンに遠慮するな」と煽る常岡が、ミャンマークーデターについては、「軍を追い詰めたスーチーも悪い」とはどれほど常岡はデタラメなのか。その常岡の理屈なら「ナワリヌイ暗殺未遂がプーチン一派の犯行だとしてもそこまでプーチンを追い詰めた方も悪い」ということにならないのか。
 「コメントが付いてない」とはいえ、どう見ても常岡のリツイートは「宮本氏が典型だが、日本の政府、外務省はミャンマー軍に甘い」という批判の意味合いでは無いでしょう。
 それはともかく。春日氏の指摘で重要なのは「きれい事で上手くいけば誰も苦労しない」つうことですね。
 春日氏のいうように「早急な民主化という『非現実的なきれい事』で軍を追い詰めたスーチーも悪い。もっと軍に妥協すべきだった」かどうかはともかく一般論で言って「問題解決のため」には春日氏が言うように非現実的な理想論を棚上げして「汚いことに手を染める必要悪、政治的妥協」つうのはあります(もちろん注意しないと「ただの現実容認」になる危険性はありますが)。
 「例は何でもいい」ですが、例えば北朝鮮拉致問題でのバーター取引はそうでしょう。「春日氏風に言えば」バーター取引を否定して『北朝鮮のメンツを潰し、追い詰めた責任』が家族会にはあり、『拉致敗戦に対し家族会も責任を負うべき』と俺は思っています。おそらくそういうと家族会はマジギレするのでしょうが。

常岡浩介がリツイート
◆FrancoisNoelBabeuf
 正直言ってしまうと、脱炭素エネルギーに原発が入らないのは、日本ぐらいなんだよねぇ

 「明らかにデマ」&「常岡はそう言う方面を本業としているわけでは無いはず(本業は一応、著書『ロシア 語られない戦争:チェチェンゲリラ従軍記』(2011年、アスキー新書)があるロシアと著書『イスラム国とは何か』(高世と常岡の共著、2015年、旬報社)がある中東か?)」なので怒ったり呆れたりするより前に吹き出しました。
 とりあえず「温暖化防止は原発に頼らなくても出来る」「環境面で放射能廃棄物問題、原発事故問題がある原発は問題がありすぎる」という問題は「価値観の問題が大きい」ので、ひとまずおきます。
 まず第一に自民党や、財界、経産省は「入らない」どころか明らかに入れています。
 第二に、日本の「温暖化防止を訴える民間団体」の多くは「脱炭素エネルギーに原発が入らない(水力、太陽光、地熱、潮力、風力などが入る)」でしょうが、これは世界的にも「温暖化防止を訴える民間団体」の多くはそうではないのか。
 第三に、韓国や台湾、ドイツなどは明らかに「脱原発」に政権自体がシフトしています。
 第四に、統計データ上、原発と温暖化はあまり関係ない。というのも、仮に常岡のように「原発はCO2を出さない」云々という立場に立ったところで、原発を増やしても、火力発電など他にCO2排出源を増やすならCO2は減らないし、実際の統計データ上も、原発推進国で軒並みCO2排出量が減り、脱原発国で軒並み増えてるとはとても言えません。
 それはともかく、高世仁が「常岡と縁切りした理由の一つ」は明らかに「常岡の原発礼賛論」でしょう。高世は「脱原発を持論」とし、知人、友人にもそうした価値観の人間が多い。
 まあ、常岡が「原発万歳の暴論」を放言していても「他の面で評価に値する活動」があればともかく「明らかにそうではない」ですからねえ。
 高世にとってもはや常岡など「つきあっても何の利益もない迷惑な疫病神」でしかないでしょう。何せ、常岡が武装勢力に身柄拘束されたときは「常岡の身の安全」の為に動いたのは高世でしょうし。
 例の『イスラム国とは何か』(高世と常岡の共著、2015年、旬報社)も高世が期待したほどには売れなかったし、世間的評価も低かったんでしょうねえ。まあ、常岡の場合『イスラム国とは何か』以降に「どう見ても目立った活動がない」のでお話になりませんが。 

*1:毎日新聞イスラマバード支局員、テヘラン支局長、ヤンゴン支局長など歴任。著書『アフガニスタンから世界を見る』(2006年、晶文社)、『イランはこれからどうなるのか:「イスラム大国」の真実』(2010年、新潮新書)、『未知なるミャンマー』(2013年、毎日新聞社)、『黒魔術がひそむ国:ミャンマー政治の舞台裏』(2020年、河出書房新社

*2:著書『これから、中国とどう付き合うか』(2011年、日本経済新聞出版社)、『激変ミャンマーを読み解く』(2012年、東京書籍)、『習近平の中国』(2015年、新潮新書)、『強硬外交を反省する中国』(2017年、PHP新書)、『日中の失敗の本質:新時代の中国との付き合い方』(2019年、中公新書ラクレ)など

*3:首相や大統領を歴任した軍の重鎮(テイン・セイン - Wikipedia参照)。