今日の産経ニュース(2021年3月7日分)

下関市長選告示 現職・新人の一騎打ち 田辺氏「市政を変える」 前田氏「未来示し希望を」 - 産経ニュース

 任期満了に伴う山口県下関市長選が7日、告示され、いずれも無所属で、元同市議の新人、田辺よし子氏(72)と再選を目指す現職、前田晋太郎氏(44)が立候補を届け出た。共産党、れいわ新選組などが支援する田辺氏と自民、公明両党などが推薦する前田氏の一騎打ち
 前田氏は自公に加え、連合山口も推薦するなど、幅広い支持を得ている。

 安倍の城下町「下関」で安倍子飼いの現職市長に対する対立候補を「最大野党立民」が立てられず、連合山口は公然と現職を支援。共産が候補を立てなければ「無投票当選」だったわけで、「立民のやる気のなさ」「連合の反共右翼ぶり(あるいはためらいなく権力にすり寄る『理念なき実利主義』)」にはいつもながら心底呆れます。安倍を頭にのらせてる一因は「ここにある」と言っていいでしょう。
 しかも「立民幹事長の福山自体が反共ウヨ」の上に「立民の最大の支援組織連合が反共ウヨ」なのだから、げんなりせざるを得ません。


「人質司法」の誤解アピール 法務省、ゴーン事件受け世界へ動画発信(1/2ページ) - 産経ニュース
 「おいおい」ですね。「人質司法」と言う批判は日弁連もしており、少なくとも「海外の誤解」と言う話では全くありません。法務省に好意的に評価してもそれは「価値観の違い」でしかない。まあ「女性天皇を認めるべきだ(国内でもそう言う指摘はある)」でも何でも、海外からの日本政府批判を「海外の誤解」と言い出すのが自民党政権なので何一つ意外性はありませんが。

 法務省はサイドイベントとして、慶応大の笹倉宏紀教授やニューヨーク大ロースクールのブルース・アロンソン客員研究員ら日米の法学者4人が全編英語で対談する84分間の動画を作成。会場で上映し、京都コングレスの専用サイトでも発信を始めた。
 ダニエル・フット*1東大名誉教授を含む米側の2人は、取り調べの弁護人立ち会いは「認めるべきだ」と主張。司会役の川出(かわいで)敏裕*2東大教授は、弁護人の立ち会いが容疑者の更生可能性や謝罪の意思を阻害する可能性もあると指摘した。

 「法務省(検察)、警察庁寄りの御用学者(川出氏)は言うことが酷い」という感想しかないですね。「自白強要」などの危険性を排除するための弁護士立ち会い主張(フット氏)に「更生を阻害するおそれ」よばわり。どれほど「捜査当局」を善人扱いし、被疑者*3や弁護士を悪人扱いしてるのか。
 そもそも警察や検察は「犯罪捜査が目的」であって、「犯罪者の更生」が目的ではない。弁護士が被疑者、被告人の依頼で「無罪や減刑」などの主張をするのは当たり前のことであって「更生意思の阻害」と言う話ではない。
 ちなみに「更生、謝罪云々の意味が全く分からない」とコメ欄でご指摘頂きましたので、それに対してコメ欄において

 たぶん「警察官、検察官」が「反省して自白しろ」つうのに対し「警察、検察の言いなりに自白したらダメですよ。あなたが『警察、検察の指摘通りだ』と思ったときだけ自白して下さい」「あなたが無実の場合は勿論、真犯人の場合だって自白する義務はないんですよ。拒否権を行使して一向に構わない」と弁護士がダメ出し(当然のダメ出しですが)するのを「更生」云々と強弁してるだけでしょう。
 「反省して自白しろ」て「冤罪での自白強要の典型的パターン」だし「自白」がストレートに更生や被害者への謝罪につながるわけでもないのに「お前はアホか?」て話ですよねえ。

と俺の考えを書きました。
 まあ、法務省作成動画なのでこれが「法務省公式見解」なのでしょう。呆れて二の句が継げません。「単なる客観報道」で法務省を批判する気も無いらしい(それどころか支持したい?)産経にも呆れますが。
 しかし、コメ欄でご指摘があって気づきましたがこれ「海外への広報動画」なんですよね。「国内への広報動画」でも非常識ですが、こんなん、コメ欄での指摘通り「THE facts」並に呆れられるだけでしょう。「デマ記事常習(例:江沢民死去、ミンダナオ島日本兵発見)」「過去に何度も抗議を受け、謝罪や名誉毀損訴訟での敗訴(例:辻元議員に敗訴)は数知れず」の産経では「産経のデマ記事?」と疑いますがまあデマなら法務省や川出氏も抗議するでしょうし、いくら産経でもこんなことでデマを書くとも思えないんですよねえ。
 さて「京都コングレス、人質司法、動画」でググっても産経以外にこの件の記事がヒットしないんですよね。どんな動画内容であれ「人質司法の誤解解く」云々なんて動画についてマスコミが記事にしないなんて、まずすぎでしょう。
 動画内容があまりにも酷すぎるので、好意的に報じることをためらったが、批判報道して、法務省を激怒させて検察取材などに悪影響が出ることを恐れてのマスコミの忖度か?
 はたまた「人質司法の誤解解く」云々なんて動画についてニュースバリューがないと思うほどのバカが今のマスコミなのか。
 あるいは法務省がこの件を教えたのは産経だけ(他のマスコミは動画の存在に気づいてない)という「意味不明な話」なのか。いずれにせよ「産経以外報じない」と言う時点で「人質司法の誤解解く」云々なんて今回の動画は「問題外」でしょう。
 ちなみに「京都コングレス、人質司法、動画」でググってヒットした他の記事を紹介しておきます。

「人質司法」シンポ、ゴーン氏も参加予定 動画で配信:朝日新聞デジタル2020.4.22
 「人質司法」などと批判される日本の刑事司法のあり方を、保釈中に海外逃亡した日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(66)らの動画配信などを通じて考えるイベントが22日、インターネットで始まる。京都で予定された犯罪防止などを議論する国際会議の「裏企画」だが、「本家」は新型コロナウイルス感染拡大で延期に。裏企画のイベント主催者側は「司法のあり方をじっくり見直すきっかけに」と意気込む。
 イベント名は「裏コングレス」。京都に各国の閣僚級が集い今月開催予定だった国連主催の「国連犯罪防止刑事司法会議」(京都コングレス、延期決定)を受け、企業会計評論家の細野祐二氏*4(66)が企画した。
 細野さんは2004年に粉飾決算事件で東京地検特捜部に逮捕・起訴され、190日間勾留。一貫して無実を訴えたが、執行猶予つきの有罪判決が確定した。細野さんは罪を認めないと身体拘束が長引くと批判されている人質司法」をテーマに京都コングレスにブースを出そうとしたが「関連性がない」と断られたため「裏」を企画したという。
 当初、京都市内でシンポジウムを開く予定だったが、新型コロナの影響で動画配信に切り替えた。「布川事件」で再審無罪が確定した桜井昌司さんや元裁判官の木谷明*5弁護士らの議論を22日夜から連日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されて保釈中に逃亡したゴーン被告も24日レバノンから同時中継で参加予定という。

 赤字部分の詭弁には苦笑しますね。単に「京都コングレスのイベントブースで政府批判なんか許さない」てだけの話でしょうに。まあ、朝日記事(2020年4月)で分かるように「コロナのために2020年開催が延期(何せ海外から人を呼びますので)」されて「今年やってる」わけですね。その意味では東京五輪に似ています。まあ五輪はまだ再延期や中止の可能性が「ゼロではありませんが」。


【産経抄】3月7日 - 産経ニュース

 小学生のグループに問題を出した。次の掛け算の答えを予測してください。
▼〈8×7×6×5×4×3×2×1〉。別のグループには並びを逆さまにして見せた。〈1×2×3×4×5×6×7×8〉。結果は「8」から始まる式を見た子供たちの方が、大きな数を予測した。行動経済学の本にも載るこの研究は、人の判断や選択が、最初に目印とした数字に左右されることの裏付けだという。

 事実ならば「朝三暮四」という故事成語を連想させるエピソードですね。

*1:著書『裁判と社会:司法の「常識」再考』(2006年、NTT出版)、『名もない顔もない司法:日本の裁判は変わるのか』(2007年、NTT出版)など

*2:著書『別件逮捕・勾留の研究』(1998年、東京大学出版会)、『少年法』(2015年、有斐閣)、『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』、『判例講座 刑事訴訟法(公訴提起・公判・裁判篇)』(以上、2018年、立花書房)、『刑事手続法の論点』(2019年、立花書房:立花書房は警察官向けの雑誌や書籍を多数出しており、明らかに警察寄りの出版社。重役も警察OBの天下りが多いらしい。そう言う版元から出してる時点で、川出氏がどう言う方か想像が付きます)など

*3:そもそも更生意思も何も「現行犯逮捕」でない限り「推定無罪」であり、無実の可能性は否定できません。

*4:1953年生まれ。1982年、公認会計士登録。2004年3月、キャッツ株価操縦事件に絡み、有価証券虚偽記載罪で逮捕・起訴。一貫して容疑を否認し、無罪を主張するが、2010年、最高裁で上告棄却、懲役2年、執行猶予4年の刑が確定し、公認会計士登録抹消(Amazonの著者紹介による)。著書『司法に経済犯罪は裁けるか』(2008年、講談社)、『法廷会計学VS粉飾決算』(2008年、日経BP社)、『公認会計士VS特捜検察』、『粉飾決算VS会計基準』(以上、2017年、日経BP社)、『会計と犯罪:郵便不正から日産ゴーン事件まで』(2019年、岩波書店)など

*5:水戸家裁所長、水戸地裁所長、法政大学教授(退官後)など歴任。著書『刑事裁判の心(新版):事実認定適正化の方策』(2004年、法律文化社)、『刑事事実認定の理想と現実』(2009年、法律文化社)、『刑事裁判のいのち』(2013年、法律文化社)、『「無罪」を見抜く:裁判官・木谷明の生き方』(2020年、岩波現代文庫)など