今日の産経ニュースほか(2020年9月8日分)(注:松本清張『天城越え』のネタばらしがあります)

リベラル21 夏の終り・高原野菜の物語(阿部治平)
 リベラル21の「阿部治平・特別扱い」はいつもながら常軌を逸してますね(呆)。
 「梅雨の長雨で日照不足だったり、逆に梅雨が明けたらまるで雨が降らないから野菜が育たない」という話と「私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民メディア、リベラル21を創った」と何の関係があるのか。しかもそんな話は

「レタス」は2倍以上 日照不足や長雨で野菜が高値 | 気象 | NHKニュース
 先週の全国平均の小売価格は、平年と比べて1キロ当たり、「レタス」が891円で2倍以上となったほか、「ばれいしょ」が68%高い649円、「キャベツ」が55%高い245円、「きゅうり」も41%高い723円となるなど、8種類すべてが平年より高値になりました。
 これは、先月の日照不足や長雨の影響で生育が悪かったり、収穫作業が進まなかったりしたことで、供給量が減ったためです。

ということでテレビニュースでもやってますしねえ。阿部でなければ書けない話では全くない。


【総裁選を追う 9月8日】総裁選初日、関心は既に解散総選挙へ(1/3ページ) - 産経ニュース
 勝手に「菅政権誕生後の即時解散総選挙」を「既定路線扱い」している産経ですが、もちろんこれは「石破や岸田が善戦(残念ながら勝利は難しいでしょう)」したり、政権発足時の菅政権支持率が低かったりすれば、「崩壊するであろう」単なる産経と菅の「願望」にすぎません。
 「コロナ禍で何を馬鹿なことを考えてるのか」「そんなことはまず国会での論戦で政権の方向性を示してからの話だ、政権の実体が分からないうちにご祝儀相場で解散して勝利しようなどふざけてる」と厳しい批判を加え「馬鹿げた謀略」を挫折させる必要がありますね。もちろん不幸にして「菅がそのような暴挙」をし、「読売、産経など」自民万歳マスコミが菅応援団を始めようとも、立ち向かうほかはない話ですが。しかし菅と取り巻き連中がこうした「馬鹿げたこと」を考えるのも習近平「抗日戦争勝利75周年座談会」講話と日中関係|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ9月6日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント:五十嵐仁の転成仁語:SSブログが批判するように、「最近の世論調査で菅が首相にふさわしい人第1位になる」などの嘆かわしい話があるからで本当にげんなりします。


公訴時効撤廃から10年 苦悩続く遺族 捜査員「先が見えない」(1/2ページ) - 産経ニュース

 福岡で暮らしていた父親の金丸金次郎さん=当時(81)=と、母親の愛子さん=同(73)=が自宅で首を絞められて殺害されたのは平成13年2月のことだった。強盗殺人だとみられているが、犯人の手がかりはつかめておらず、藤堂さんは19年以上を未解決事件の遺族として過ごしてきた。
 「殺人事件の遺族は重い荷物を背負って歩み続けている。時効撤廃のおかげで希望を失わずに済んだ」と語る。

 昔のミステリ小説、ミステリドラマだと「時効成立前に逮捕する!」とか「時効をネタにした」設定が良くあったんですけどね。
 『渥美清主演の「時間よ、とまれ」(1977年) 土曜ワイド劇場第1作 渥美清の田舎刑事シリーズ - Samurai Spirit』(時効成立前に逮捕する!)、『土曜ドラマ 『松本清張シリーズ 天城越え』 (1978年) | NHK放送史(動画・記事)』(時効が成立した殺人事件がテーマ:清張の作品当時は15年の時効)なんかもその一つです。
 そもそも20年(当初は15年だが法改正で延長)の公訴時効が成立するような殺人事件は「そのほとんどがもはや起訴して有罪判決がとれるかどうか以前に容疑者を見つけ出すことすらできない、いわゆるお宮入り事件」なのであり、「事件が解決するかどうか」と言う意味では「公訴時効を廃止したところでほとんど意味が無い」のはわかりきっていました。だからこそ「廃止しても意味が無い」という廃止反対論もあった。
 でそれを「なんとかして欲しい」「私たちの苦しみを解決して欲しい、犯人を逮捕して欲しい」といわれてもどうしようもない。「警察は神様ではないので諦めて下さい」と言う話です。
 しかし「希望」ねえ。あえて「冷たいこと」を言いますが、そんなもん希望と言えるんでしょうか。

参考

松本清張の短編「天城越え」 時効を扱ったミステリー 時を経ても消えない罪の重み - 来栖宥子★午後のアダージォ
日経新聞 春秋(2009/1/9)
 30数年前に殺人を犯しながら、今では印刷所を営んで静かに暮らす男。そこへ、不意に老刑事が現れる。こともあろうに、かの事件の捜査記録を製本してもらいにきたのだ。とっくに時効の古い話で、と笑う刑事を前に男は青ざめる。
松本清張の短編「天城越え」のサワリだ。時効を扱ったミステリーは数多いが、どんなに時を経ても消えない罪の重みを描いて、これは出色の作品だろう。加害者でさえそんな傷を抱え続けるのが犯罪なのだ。ならば、被害者や遺族の苦悩はまたはるかに深く、時効だからといって区切りを付けられるはずもない。
▼いっそ、この制度を見直したらどうか。未解決の凶悪事件が目立つなかでこう訴える声がある。法務省は殺人などの時効は撤廃も含めて検討を始めるという。東京・世田谷の一家4人殺害はあと7年、葛飾区で上智大生が殺された事件はあと3年弱、八王子市のスーパーでの3人射殺は残りわずか1年半で時効だ。
▼歳月が流れれば証拠が散逸してしまう。時効制度はこんな事情も支えになっているが、最近はDNA鑑定の向上もあって様子がかなり変わってきた。「天城越え」の老刑事は30年ぶりに真相をつかんだのだが深追いはしない。もしDNA鑑定があり時効の壁がなかったら、動かぬ証拠を突きつけるところだろう*1
◆映画「天城越え」あらすじ
 静岡で印刷屋を営む小野寺(平幹二朗)のもとに、田島と名乗る老人(渡瀬恒彦)が、県警の嘱託で「天城山殺人事件」という刑事調書の印刷を依頼しに来た。原稿を見て激しく衝撃を受けた小野寺は十四歳の頃を思い浮かべる。小野寺は十四歳のとき、母の情事を目撃し、(中略)亡き父を裏切った母が許せず、静岡にいる兄を訪ねて一人で天城越えの旅に出た。少年は素足で旅する若い娘ハナ(田中裕子)と出会い、並んで歩いた。少年は美しいハナに母の面影を感じる。ところが、道中、ハナは一人の土工に出会うと、無理矢理に少年と別れ、男と歩きだした。気になった少年が後を追うと、草むらの中で情交を重ねる二人を目撃する。その土工が殺された。ハナが容疑者として逮捕される。土工と歩いているところを目撃した者もおり、彼女は土工から貰ったと思われる金も持っていた。さらに、現場には九文半ほどの足跡があり、ハナの足も九文半だった。警察の取調べに対し、ハナは土工と関係して金を貰ったことは認めたが、殺しは否認した。売春宿の女だったハナは一文なしで逃げだし、金が必要だった。結局、ハナは証拠不十分で釈放された。彼女は真犯人を知っている様子だが、頑として口を割らず、事件は迷宮入りとなった。田島老人はそのときの刑事だった。「九文半の足跡を女のものだと断定したのが失敗でした。犯人は子供でした」と老人は語る。そして、犯人である子供の動機が分らないと続ける。犯人は、少年=小野寺であった。
(中略)
 刑事だった老人は、三十年ぶりで小野寺が真犯人であるという推理に達し、印刷を依頼に来たのだ。しかし、もう時効であった。

 
豪首相「安倍首相は世界の指導者の模範」 電話会談で賛辞 - 産経ニュース
 リップサービスにしてもあまりにも酷すぎるというべきでしょう。俺の心の中で豪州の評価が大いに落下しました。


【主張】新党代表選の告示 選挙互助会で終わるのか - 産経ニュース
 「立民支持者でも無いのにお前に関係ないだろ?」であり、「むしろ自民の方が選挙互助会だろ?」ですね。


【尖閣衝突事件10年】極秘訪中した細野豪志氏 長い交渉の末に「邦人釈放」耳打ち(1/2ページ) - 産経ニュース

 平成22年9月7日、尖閣諸島沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件後、中国は日本人の拘束などさまざまな報復措置に出た。当時、民主党政権の議員として極秘に中国を訪問した細野豪志*2衆院議員に話を聞いた。(肩書は当時)
◆細野
「建設会社の社員4人が拘束され、状況は最悪だった。」
◆産経
「29日に訪中し、面会した戴秉国*3(たい・へいこく)国務委員(外交担当)とのやり取りは」
◆細野
「午後3時から北京の釣魚台国賓館で交渉を始めた。戴氏以外も含め7時間以上の厳しい交渉だった。社交辞令は一切なく、談笑する場面もなかった。夕食は30分間で、あとはひたすら交渉だった。」
「中国側は『日本が新しいアクションを起こした』と言っていた。尖閣では今までいろいろなことがあっても(ボーガス注:民主党政権以前の自民党政権は)逮捕しなかったが、今回は逮捕した、と。海保の巡視船にぶつけてきたわけだから『逮捕は当然だ。国内法を粛々と執行したまでだ』と説明したが、彼らは盛んに『ハードルを上げてきた』という言い方をしていた」

 なにゆえに細野が訪中したのか、細野にはそんなに太い中国とのパイプでもあるのか、謎ですがそれはさておき。
 ということで「細野を信用すれば」で細野が極秘訪中して「どうすれば身柄拘束された邦人を解放してもらえるのかと中国と水面下交渉→船長釈放とのバーター」つう流れだったようです。細野の「発言の思惑」がなんであれ、これは「外交とは政治とは、きれい事では無い」と言うことがよく分かる話です。
 「きれい事で上手くいくのなら」それに越したことは無い。しかしそれで上手くいかないなら「バーター取引」のような行為とてやむを得ないわけです。
 正直、こうした事実を前原が全く知らなかったとはとても思えませんので、「俺は釈放に反対した!」つうのは前原の嘘でしょう。細野の思惑が何でアレ、細野発言は「前原発言が嘘に違いないこと」を暴露しています。
 あるいは反対したのかもしれませんが、菅*4首相、仙谷*5官房長官らに「細野君がまとめた話をぶち壊すというのならあんたはどうやって、邦人解放を目指すんだ?。」などと突っ込まれ、黙らざるを得なかったというのが事実でしょう。
 なお、「尖閣では今までいろいろなことがあっても(ボーガス注:民主党政権以前の自民党政権は)逮捕しなかったが、今回は逮捕した、と」という細野が紹介する「中国側の発言」が重要ですね。民主党政権を弱腰呼ばわりする産経ですが、中国はそうは理解していなかったわけです。


前原氏「仙谷氏への筋違い批判が心に」 尖閣衝突 産経に語った理由を投稿 - 産経ニュース
 もちろん「仙谷氏が故人(病死)であり、前原が何を言おうと反論しないから」こんなことを言ってるのでしょうねえ。仙谷氏が存命なら「勝手に俺を代弁するな!」「俺に関係なくお前が菅元首相を批判したいだけだろ!。お前が何を言おうとお前の勝手だが俺の名前を勝手に使うな!」と仙谷氏に批判されるのが怖くて前原もこんなことは言えなかったでしょう。「以前から知ってはいましたが」前原もどこまで卑劣なクズなのか。


船長釈放「菅首相が指示」 前原元外相が証言 尖閣中国船衝突事件10年 主席来日中止を危惧 - 産経ニュース
【尖閣衝突事件10年】前原誠司元外相「菅首相が船長を『釈放しろ』と言った」(1/2ページ) - 産経ニュース
 前原が得意げに語るまでも無く「そりゃそうだろ、皆そう思ってるだろ」、「小泉政権が例の密入国男を『金正男氏と思われる男性』て言い続けたからって誰も『そうか、正体不明なんだ』と思わないのと一緒だろ」て話です。
 やれやれですね。前原が当時、抗議活動をしたわけでも無いのに「今頃何を言ってるんだ?」と言う話です。
 「俺たちの羽振りが悪いのは、立民への支持が強いからだ、立民の足を引っ張ろう」とでも思っての菅氏攻撃かもしれませんが、立民支持層はむしろ「積極的には支持できないかもしれないが、まあ必要悪なんじゃ無いの?」でしょう。
 立民支持層はむしろ前原には「お前そんなことより自民党批判をしろよ」「お前の自民党入党の前振りかよ?」でしょう。
 一方、自民支持層は「当時、全てを暴露して菅政権倒閣運動でもやったのならまだしも今更かよ、そんなことでお前なんか支持しねえよ」でしょう。まあ、いつもながら「ガセネタメールで代表辞任」「希望の党騒動で枝野の株をかえってあげる」前原も全く政治センスが無い。
 「首相の不当な政治介入」云々と産経はいいたいようですが「私利私欲でしか無い安倍のモリカケ桜を見る会、レイプもみ消し」「安倍が政治的圧力で潰した疑い濃厚の森友事件捜査(財務官僚から逮捕者ゼロ)」などとは次元の違う話です。
 そもそも「民主党政権以前(自民党政権)」は逮捕などせず、国外退去ですし、第二次安倍政権後も逮捕などしていません。逮捕などして事態をこじらせた当時の民主党政権がアホなのであり、「釈放以外に現実的な日中関係改善方策」もなかったでしょう。
 かつ起訴したところでほぼ確実に執行猶予がついたでしょうから、釈放しても大して問題も無い。
 まあ「反中国」産経的には日中関係がズタボロになった方がいいのでしょうが。まあ、ダッカ事件での「福田赳夫首相の超法規的措置(人質を解放させるために赤軍メンバー釈放と身代金支払い)」に比べたら全く大した問題では無い。
 まあ、そう言う意味で言えば「金正男密入国」を「逮捕起訴」などしなかった小泉政権は賢明でしたね。まあ、当時既に水面下で小泉訪朝にむけた交渉をしており「逮捕起訴なんて論外」だったのかもしれませんが。


◆フジテレビが産経を支えきれなくなったとき「どうなるか」を適当に予想する
 安倍退任のあとの首相が、産経新聞にどう対応するか非常に興味深い(これは同時に、フジの産経に対する態度の問題でもある) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)から適当に思いついたことを書いてみます。
◆プラン1「読売新聞が引き取る」
 例の『前川出会い系バー報道』でわかるように「産経ほどではないとはいえ」読売のドン「ナベツネ」及び「彼の取り巻き連中」の悪影響で、安倍万歳報道を繰り広げてるのが昨今の読売ですからねえ。
 とはいえ「読売の子会社が産経」というのも「変」でしょうから「産経を倒産させて使える記者だけ読売で引き取る」という「解体処分」が実施されるでしょう。
◆プラン2「右翼企業・団体の子会社になる」
 下手なことをすると「会社経営が傾きかねない」「場合によっては株主代表訴訟など訴訟沙汰になりかねない」ので「本当に引き取るかどうかは別として」俺が思いつく例としては

◆右翼メディアの文藝春秋、新潮社
◆アパ賞のアパホテル
◆「ニュース女子」のDHC
◆安倍万歳財界人・葛西敬之 - Wikipediaが支配するJR東海
◆右翼宗教の神社本庁幸福の科学

といったところですね。ホテルや化粧品企業、鉄道会社、宗教団体の子会社が新聞というのも「なかなか斬新」です。
 いざとなったら産経もなりふり構わずそう言う方向性を目指すでしょう。

*1:DNA鑑定というのは「魔法の杖」ではありません。現場に犯人のDNAが残っていなければどうにもならず、かつ「残ってる保証」はもちろんどこにもありません。日経はアホと違うか(呆)。

*2:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)など歴任

*3:中国共産党対外連絡部長、外務副大臣、国務委員(外交担当)など外交の要職を歴任

*4:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相などを経て首相

*5:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官民主党代表代行(菅代表時代)など歴任