今日の中国ニュース(2021年3月27日分)

澤藤統一郎の憲法日記 » 「社会主義核心価値観」とは、現代中国版「教育勅語」である。
 「中国に悪口雑言するだけの駄文」という澤藤は怒り出すのでしょうが、まあ、それ以外の何物でも無いですね。
 そもそも「社会主義核心価値観」とは

国家が目標とすべき価値:富強、民主、文明、和諧*1
社会が重んじるべき価値:自由、平等、公正、法治
個人の道徳規範の価値 :愛国、敬業*2、誠信*3、友善*4

だそうですが、一般論として何ら問題ないでしょう。問題は「具体論」のわけですが。
 そして「過大評価は出来ない」「お題目」とはいえ、こうして掲げる以上例えば「民主や公正を完全無視」つうことはさすがにないでしょうに。
 民主について言えば「日本や欧米とは性格がかなり違う」とはいえ、「全人代や政協」があるし、公正にしても今時「格差の拡大が公然と容認される時代」でもないでしょう。


中国、イランと25年間の包括協力協定調印 経済軸に対米共闘を強化 - 産経ニュース
 「米国の締め付け→反米感情の高まり→イランでの反米方向への施策傾斜→更なる米国の締め付け」という「米国とイランの対立が激化する負の無限ループ」だけは避けて欲しいので「中国の思惑」が何であれ「中東の平和」と言う意味では喜ぶべき事では無いか。


中国供銷集団「新疆産綿花・製品の地理的表示の認知を加速」--人民網日本語版--人民日報

 中国供銷集団の侯順利会長は26日に行なわれた2021年全国綿花取引市場綿業発展年次総会で、「新疆維吾爾(ウイグル自治区エリアにおける綿花産業の発展は貧困脱却の難関攻略に打ち勝ち、小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に完成させるために重要な寄与を行なった。(後略)」と述べた。

 この「候会長の発言」は彼の意図と関係なく「経済制裁とは結局、現地住民の経済活動を妨害し、彼らを苦しめるだけでは無いのか?」という「以前からある制裁論への懐疑的意見」を改めて思い起こさせます(注:俺が『ウイグル問題での欧米による対中国制裁(綿花購入の否定)』に反対しているというわけでは無く、一般論を述べているにすぎません)。


【産経抄】3月27日 - 産経ニュース

 政府はウイグルの人権状況に深刻な懸念を示す。だが、中国は日中戦争で「3500万人を超える中国人が死傷」などと誇張したあり得ない被害を持ち出し、「日本は人権を尊重しているといえるのか」と反論するなど聞く耳を持たない。

 産経には「やれやれ」ですね。
 まず第一に「3500万人死傷」は別に誇張した数字では無く充分あり得る数字です。
 第二に産経自身が「慰安婦問題に『ライダイハンガー』」などと過去に何度も「どっちもどっち論」を持ち出し、居直り続けてきたくせに、同じ事をされると逆ギレするのだから呆れます。
 なお、「それ(ウイグル問題)はそれ、これ(日本の人権問題)はこれ」ですが「日本は勿論、人権尊重国などではない」し、「南京事件否定論」を自民党政治家が放言する日本に対して「戦争被害国の中国を侮辱する日本にそんなこと言われたくない」「日本だってアイヌ同化の問題があるでは無いか」などという反応は「一理はあります(『一理しか無い』とも言えますが)」。あながち「話のすり替え」ともいえず、かなり「中国の本心」ではないか。

 今こそ、中国との太いパイプを誇る親中派政治家の出番ではないか。幸い河野洋平*5官房長官福田康夫元首相、二階俊博自民党幹事長、小沢一郎*6自治*7…と大物がずらりと並ぶ。真価を発揮し、少数民族弾圧はやめるよう中国を説き伏せてはどうか。

 「反中国」産経的には「皮肉のつもり」なのでしょうが、おいおいですね。
 「政権与党の現役幹事長」二階氏はともかく、小沢氏は「過去は政権与党(海部内閣時代の自民党鳩山内閣時代の民主党)の幹事長」でも今は無役だし、河野氏、福田氏は現役の政治家ではない。河野氏、福田氏は「菅の親書」でも携えない限り、出来ることには限界があるでしょう。本気で産経がそう思うのなら、産経は「菅の親書を携えた二階氏の訪中」でも主張したらどうか。
 それにしても「親中派政治家」には「中国にガツンと物を言え(お前ら、ただの中国の太鼓持ちか!)」と言う一方で「沖縄の米軍基地反対運動」は「反米呼ばわり」というのだから産経のデタラメさには心底呆れます。
 産経こそ「親米派」として「沖縄基地問題」などで米国にガツンと物を言ったらどうなのか。

*1:和諧社会 - Wikipedia によれば「格差対立」「民族対立」などの対立がない「調和の取れた社会」

*2:ググったところ「勤勉」と言う意味らしい。

*3:ググったところ「誠実」と言う意味らしい。

*4:ググったところ「友好親善」と言う意味らしい。

*5:新自由クラブ代表、中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長などを歴任。現在、日本国際貿易促進協会会長

*6:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党党首、民主党幹事長など歴任

*7:普通は「元幹事長」と書くべき所、「元自治相」と言うのには吹き出しました。歴代自治相には「自民党幹事長を務めた小沢氏」の他にも「同じく自民党幹事長(宮沢総裁時代)を務めた梶山静六氏(竹下内閣自治相)」「同じく自民党幹事長(森総裁時代)を務めた野中広務氏(村山内閣自治相)」など大物政治家もいますが、必ずしも「自治相=大物政治家」ではありません。たとえばこの三人の場合「自治相が初入閣」ですから、幹事長などの要職を務めた時点はともかく、自治相時点ではそれほどの大物ではありません(まあ大臣に一回もなれずに政治家を終える人間のことを考えれば「大臣になっただけでも大物」とはいえますが)。小沢氏のことを元自治相というのは「河野洋平科学技術庁長官(中曽根内閣)」と書くようなもんです。よほど小沢氏が嫌いらしい。