「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年11/12日:荒木和博の巻)

「日朝国交正常化」のウラにあるもの(R3.11.13): 荒木和博BLOG
 6分51秒の動画ですが、動画説明文だけでも見る気が失せます。実際、見る価値はありませんが。
 北朝鮮と国交を結ぶことの何が不利益なのか。むしろ「国交正常化とのバーター」でしか問題は解決しないのではないか。
 「国交正常化」に裏なんかない。国益に資すると思うからそう主張している。
 勿論、荒木らウヨは『国交正常化の裏には利権がー』と言い出すわけです。
 しかも荒木らウヨは

◆日韓国交正常化の時もいろいろな利権疑惑(日韓疑惑)が取り沙汰された

と言い出すから「はあ?」ですね。

1)お前らウヨは日韓国交正常化に賛成だったろ?
2)日韓疑惑を追及したのはむしろ左派(社会党共産党)だろ?

ですよねえ。
 日韓疑惑については例えば

ソウル地下鉄一号線物語 | ちきゅう座
 1973年から75年にかけて、金大中氏の拉致事件とともに、地下鉄疑惑事件が新聞紙面を賑わせた。三菱商事を中心とする商社が請け負った地下鉄建設をめぐる不可解な資金の動きは、日韓両国の政界を巻き込む大事件として注目を集め、日本の国会でも追及された。
 これは、地下鉄の車両が当初額の2倍の価格で水増し契約され、大儲けをした商社は手数料(リベート)としてアメリカ在住の韓国人に250万ドルを支払い、さらに22億円もの巨額資金が三菱商事から朴正煕政権へ賄賂として、また日本の政治家にも多額の金が還流したとされる事件だ。日本での国会追及は「守秘義務」の壁にさえぎられ、結局、真相解明は不発に終わった。
 問題点だらけの「経済援助」の中でも、ソウル1号線建設とPOSCO(旧浦項総合製鉄所)の開設にまつわる疑惑については、韓国側の資料によって、これまで蓋をされてきた日韓の経済癒着の実態が、白日の元にさらされる可能性がある。疑惑では「日韓協力委員会」の会長だった岸信介*1と政界の黒幕として名をはせた矢次一夫*2の暗躍が取りざたされてきた。

金大中事件及びソウル地下鉄問題に関する質問主意書正森成二)から一部引用
 ソウル地下鉄建設に関して三菱商事など日本連合四商社が米国に送金した二百五十万ドルの一部である百万ドルが、韓国外換銀行東京支店に還流されたうえ、スイス・バンク・コーポレーションの日本人の口座に送金された事実について、私は去る五月二十三日の法務委員会で質問し、政府に捜査・調査を求めたところ、法務省伊藤刑事局長は、「御指摘のような点は検察当局に連絡をしておきたい」、「検察は検察として独自でやるならやりたい」と答弁した。この点についての法務・検察当局、国税当局の捜査・調査の結果もしくは途中経過を明らかにされたい。
 さらに、日本に還流された百三十万ドルの一部である一億数千万円が、日本の首相経験者二名に支払われたという点について、法務・検察当局及び国税当局の捜査・調査結果もあわせて明らかにされたい。

を紹介しておきます。
そもそも
朝鮮民主主義人民共和国の国際関係 - Wikipediaなどを見ればわかることですが

北朝鮮に大使館を置いている国は2021年3月時点では13カ国

にとどまるとはいえ

約160カ国と国交を有する

し、2000年以降は

朝鮮民主主義人民共和国の国際関係 - Wikipediaなど参照
◆2000年1月にイタリアが北朝鮮と国交を樹立すると、それが呼び水となり、英国は2000年12月、カナダは2001年2月、ドイツは2001年3月に北朝鮮と国交を樹立した

ということで「G7諸国の一部(英独伊、カナダ)」も北朝鮮と国交樹立しています。
 これについては

北朝鮮と国交を結んだイタリア側の思惑:Foresight | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト2000年1月号
 北朝鮮とイタリアが大使級の外交関係を樹立したことは、様々な波紋を広げている。
 G7で北朝鮮と外交関係を樹立したのはイタリアが初めて。現イタリア政権では左派勢力が主導権を握っており接触が容易だったという側面もあるが、北朝鮮が欧州に足場を築くことの意味は大きい。
 これに伴い、EU内で「ドミノ現象」が起こる可能性もある。北朝鮮との関係樹立に関して米国の顔色を窺っていた各国が、イタリアの決断を機に国交樹立に動き出すかもしれない*3というのだ。

[外交] 欧州、北朝鮮との国交ラッシュ : 東亜日報2001.2.9
 欧州諸国が最近、急ピッチで朝鮮人民民主主義共和国(北朝鮮)と国交を結んでいる。オランダ(1月15日)、ベルギー(1月23日)、カナダ(2月6日)に次いで7日にスペインが北朝鮮との国交を樹立した。

北朝鮮と国交がある国・ない国・大使館設置国の全リスト(50音順) | じじろぐ2017年02月22日
 実は北朝鮮と国交がない日本は、世界ではマイノリティです。
 EU加盟国で北朝鮮と国交がないのは、エストニアとフランスだけです。
◆核開発後に北朝鮮と国交を樹立した国
 日本的に一番とんでもない*4のがこれです。
 北朝鮮は2003年に核兵器不拡散条約から脱退、2005年に核兵器保有を宣言、2006年には初の地下核実験を実施しました。
 ところが、2003年以降に北朝鮮と国交を樹立した国があるのです。
 こちらの国々です。
アイルランド(2003年)
サンマリノ*5(2004年)
モンテネグロ(2007年)
アラブ首長国連邦(2007年)
スワジランド(2007年)
ドミニカ共和国(2007年)
グアテマラ(2007年)
南スーダン(2011年)
 けしからん!と言いたいところなんですが、アイルランド以外、どこにあるか地図上で正確に言えます?(笑)
 僕らが興味を持たない国は、僕らに対しても興味がないってことですね。
 彼らにとっての北朝鮮(ボーガス注:拉致)問題は、僕らにとってのパレスチナ問題のようなものなのでしょう。
 良し悪しではなく現実問題として、北朝鮮と国交がない日本は世界の少数派です。
 日本が期待するほど、世界の国々は北朝鮮と険悪な関係ではない。
 というか、ぶっちゃけ、東アジアのことに興味がない。
 世界の8割以上の国々は北朝鮮と国交がある。
 我々日本人にとって、不愉快で不都合な事実です*6
 しかし、この事実を受け入れて初めて、北朝鮮問題を日本に有利な方向で解決するように、世界を動かすことができるのではないでしょうか。

といった記事も紹介しておきます。
 それにしても荒木が「金丸*7訪朝で抑留された第18富士山丸船長が帰国したこと」に触れながら「金丸訪朝」を「利権目当て」云々というのだから心底呆れますね。ならどうすれば第18富士山丸船長が帰国できたのか。おそらく荒木らウヨにとっては「第18富士山丸船長が帰国しない」方が「船長抑留をネタに北朝鮮叩きができてむしろよかった(金丸は余計なことするな!)」のでしょう。
 たぶんこれは「小泉*8訪朝」についても「本音は同じ」でしょう。おそらく荒木らウヨにとっては「蓮池夫妻らが帰国しない」方が「蓮池夫妻らの拉致をネタに北朝鮮叩きができてむしろよかった(小泉は余計なことするな!)」のでしょう。そんな連中と家族会が野合して拉致が解決するわけがないでしょう。
 また荒木が動画内で

◆国交正常化賛成派は今後、拉致被害者家族取り込みを図るのではないか。拉致被害者家族が『国交正常化に賛成です。その方向で拉致を解決してください』といわせようとするのではないか。私ならそうする。そうすれば国民の多くは『国交正常化するな』とは言いづらい。
◆国交正常化が最終目的とみられる金丸訪朝、小泉訪朝で第18富士山丸船長や蓮池夫妻らが帰ってきたのはそういう意味合いがある。

と言い出したのには「語るに落ちてる」と吹き出しました。
 これとは逆のこと(国交正常化反対)を「拉致被害者家族」に言わせて「正常化妨害」に励んでるのが荒木ら救う会ですからね。
 そしてこんなことを言う荒木は「家族会が小泉訪朝以降19年にも及ぶ拉致敗戦に耐えかねて、蓮池徹氏と和解して、国交正常化とのバーター路線に動くこと」をよほど恐れてるのでしょう。おそらく荒木には(そして、多分西岡、島田にも)家族会に対する信頼関係は実はないでしょう。


街頭演説の話(R3.11.12): 荒木和博BLOG

 昔の話なので今やっている皆さんには時代遅れかもしれませんが、かつてしょっちゅう街頭演説をやっていた頃のエピソードなどを少々。

 6分33秒の動画ですが、動画説明文だけでも見る気が失せます。実際、見る価値はありませんが。
 「昔の話」という言葉で想像がつくでしょうが、これは荒木が「現在、特定失踪者問題調査会代表として拉致関係でやってる街頭演説」ではありません。
 荒木が旧民社党職員時代にやっていた「民社党職員としての街頭演説」です。拉致が全く関係ない。
 「今回に限らず」最近では荒木は拉致と関係ないことばかり、話すのだから心底呆れます。
 荒木曰く
1)「日本では『あと一歩です。大激戦です。このままでは負けるかもしれない』という選挙演説が多いが、韓国ではむしろ『圧勝しましょう。大差で勝ちましょう!』という選挙演説が多い。民族性の違いだろうか?」
2)旧民社党職員時代に選挙演説で鍛えられたので「短く話を切り上げること(応援弁士が多いとき)」や逆に「長く話をすること(応援弁士が少ないとき)」が得意になった
3)街頭演説は聴衆が好意的とは限らない。「うるさい!」「帰れ!」などとヤジも飛ぶので精神が鍛えられた
 全然拉致が関係ない。 

*1:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*2:1899~1983年。国策研究会常任理事という右翼フィクサー大宅壮一は彼を「昭和最大の怪物」と評した。戦時中は、企画院委員、大政翼賛会参与、翼賛政治会理事などを歴任。終戦後は公職追放されたが、1951年、追放解除。1956年、矢次は台湾を訪問して蔣介石総統と会談。また、矢次の仲介で金東祚韓国外相が岸信介首相と接触。1958年に岸の特使として訪韓して李承晩韓国大統領と会談。日韓国交正常化後の1970年には朴正煕韓国大統領によって一等樹交勲章を受章した。金大中事件で日韓関係がこじれた際にも1973年に岸と共に訪韓し、事件処理と経済関係を切り離すことで朴大統領と合意を取りつけた。その一方で1972年には矢次と金炳植朝鮮総連副議長が会談。日朝経済関係の促進に乗り出し、矢次自ら日朝貿易を取りまとめる協和物産を設立している。1980年には岸の特使として訪中し、中国の最高指導者である鄧小平と会談。中台統一に向けた台湾の蔣経国総統との仲介役を鄧から要請を受けると共に、中韓経済交流についても交渉した。元読売新聞記者の橋本文夫は、矢次をこう評している。『黒幕と言われる他の人々、例えば児玉誉士夫小佐野賢治国際興業社主)らは利害関係にある人達としか交際はなく、彼等の知り得る情報は彼らの企業の利益に必要なものに限られている。小林中(日本航空会長、東急電鉄社長、富国生命保険社長などを歴任)、笹川良一日本船舶振興会会長)にして然りである。一方、矢次の持つ情報は多方面にわたり、かつ正確なのだ。会った人が必要とする情報を常に持っている。彼は偉大なる情報屋であり、それが怪物の本質である』。矢次の著書として『わが浪人外交を語る』(1973年、東洋経済新報社)、『政変昭和秘史:戦時下の総理大臣たち』(1979年、サンケイ出版)、『東条英機とその時代』(1980年、三天書房)、『北京会談、華国鋒・鄧小平両首脳と語る全記録』(1980年、三天書房)、『岸信介の回想』(1981年、伊藤隆が聞き手、文藝春秋)、『 矢次一夫対談集Ⅰ:天皇・嵐の中の五十年』、『 矢次一夫対談集Ⅱ:昭和政界秘話』(以上、1981年、原書房)(矢次一夫 - Wikipedia参照)

*3:勿論、実際にそうなったわけです。

*4:「日本も早急に国交樹立すべき」という俺的には「何ら問題などない」ですが。

*5:以前、産経が【話の肖像画】駐日サンマリノ大使・マンリオ・カデロ(2)欧州初の神社建立に尽力(1/3ページ) - 産経ニュース(2017.1.17)などで『サンマリノ親日国』とふかしたことを知っていると「黒い笑い」が(苦笑)。なお、「サンマリノ北朝鮮」でググったら パキスタン、サンマリノ首脳が金正恩氏に建国記念日の祝電 | DailyNK Japan(デイリーNKジャパン)(2016.9.18)という記事がヒットしました。

*6:「日本も早急に国交樹立すべき」という俺的には「不愉快でも不都合でもない」ですが。まあ、救う会にとっては「不愉快で不都合」でしょう。

*7:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、副総裁(宮沢総裁時代)など歴任

*8:宇野内閣厚生相、宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相