「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年3/18日分:荒木和博の巻)(副題:荒木の「山本美保デマ」に呆れる)

新潟県長岡市中村三奈子さん現地ライブ(R4.3.18): 荒木和博BLOG
 「1997年が安明進証言と家族会結成」「2002年が小泉訪朝」です。1998年という失踪時期から考えてどう見ても北朝鮮拉致ではありません。


嘘ばかりの北朝鮮・拉致に関わる小さな嘘と大嘘(R4.3.18): 荒木和博BLOG

 北朝鮮にまつわる嘘の三題噺です。それにしても三つ目のは悪質なので、ネット上での御協力*1よろしくお願いします。

 6分16秒の動画です。タイトルと説明文だけで見る気が失せます。実際見る必要は全くありません(とはいえ一応見ましたし、見た感想を後で書きますが。俺も我ながら「変人」だとは思います)。
 荒木の三題噺とやらはどれ一つとして「拉致被害者救出」に何の関係もない。拉致問題で大事なことは「拉致被害者救出」です。それにつながらないことは何の意味もない。実にくだらない。
 第一の嘘の話。荒木(一応拓殖大の教員)曰く、拓殖大の学生に「北朝鮮の言うことは最初から全て嘘だと思え」と言っているというのには呆れました。
 まともな学生なら「荒木はダメだな。荒木が教授の拓殖大もダメだな」と呆れたでしょう。言うべきことは「北朝鮮の言うことだからって嘘と決めつけるな。虚心坦懐に向き合え」でしょうに。嘘かどうかはいわゆる「ファクトチェック」をして初めてわかることです。
 第二の嘘の話。荒木曰く、特定失踪者・山本美保さん(失踪当時、山梨県甲府市在住)は失踪の日に「山梨県立図書館(甲府市)に行く」といったがその日、図書館は休館日だったそうです。他にも特定失踪者には失踪においてその種の嘘が少なくないとのこと。それからわかること、それは「その特定失踪者は嘘をついて家を出たのではないか」というだけの話です(勿論「嘘ではなく勘違い」という可能性もありますがそれはひとまずおきます)。
 「自発的失踪」かもしれない。少なくともそんなことは北朝鮮拉致どころか「拉致」と決めつける根拠にならない。「嘘をつくように北朝鮮工作員(拉致実行犯)にそそのかされた」という荒木説には何の根拠もない。まあ百歩譲って「嘘をつくように拉致実行犯にそそのかされた」としてもその実行犯が「北朝鮮工作員だ」という根拠は何もない。そもそもそれが「嘘をつくように北朝鮮工作員(拉致実行犯)にそそのかされた」のだとしても「特定失踪者の現在の居場所がわかるわけでもなければ、拉致実行犯が誰かわかるわけでもない」。全く無意味です。
 まあ、そもそも美保さんについて言えば「失踪:1984年6月4日」「遺体発見:1984年6月21日(山形県の海岸で遺体が発見されたが腐乱が酷く発見当時は身元不明遺体で処理。但し当時から自殺か事故死とみられていた。2002年小泉訪朝後の2004年にDNA鑑定で身元が判明)」であり北朝鮮拉致の可能性など最初からないのですが。美保さんの遺体発見については後でいくつか記事を紹介しておきます。
 これに対して「警察の発表は嘘、美保さんは間違いなく北朝鮮拉致」「DNA誤鑑定ではなく故意の捏造」と放言する荒木ら救う会には心底呆れます。勿論ここまで酷いデマを放言したことが荒木ら救う会への不信感を招き、拉致の風化を助長したことは言うまでもない。蓮池透氏の救う会批判の一因はこの「美保さんデマ」でしょう。特に「誤鑑定なのに居直ってる」ではなく「救う会の評判を落とすために故意に捏造した」と荒木が言い切ったことは「そこまでデマ飛ばすか」と心底呆れます。
 第三の嘘の話。荒木曰く「横田めぐみ金正恩北朝鮮国務委員長の母」「横田早紀江は皇室の縁戚」なんて嘘が一部で流れてるそうです。
 「拉致解決に関係ない」「明らかなデマなので世間から全く相手にされてない」という意味で、横田早紀江ら当事者である横田一家が「デマの流布者を民事提訴する」などというのでない限り「全くどうでもいい話」です。
 荒木は「北朝鮮が攪乱工作として流してるのではないか」などと言ってますが何の根拠もない。北朝鮮と関係ない「不謹慎な愉快犯」でも十分、説明ができる。
 なお、ググったら、荒木が今回紹介したデマを垂れ流す

佐藤守*2金正日は日本人だった』(2009年、講談社
 金正恩金正日横田めぐみの息子で、横田めぐみの母「横田早紀江」は李氏朝鮮皇太子・李垠と日本皇族の梨本宮方子王女の間に生まれた女子であり、金正恩は旧朝鮮王室と日本皇室の血が流れている。

◆飯山一郎『横田めぐみさんと金正恩』(2012年、三五館)

などのトンデモ本があるようですね。

【参考:特定失踪者・山本美保氏】

朝日新聞拉致疑いの山本美保さんは水死 双子の妹とDNA一致』2004.3.5
 1984年6月に失跡し、北朝鮮による拉致の疑いがあると家族が告発していた甲府市の山本美保さん(不明当時20)について、山梨県警は5日、失跡直後に山形県の海岸で見つかった身元不明遺体が山本さんであると断定した、と発表した。双子の妹とDNAが一致したという。
 山本さんについては、韓国に亡命した元北朝鮮特殊部隊員という男性が「平壌の特殊部隊で目撃した」と証言。調査団体・特定失踪者問題調査会が2003年9月に「拉致の疑いが濃い」と発表し、今年1月には家族が国外移送目的略取容疑で山梨県警に告発していた。
 県警警備1課によると、1984年6月21日、山形県遊佐町の海岸に漂着していた女性遺体が見つかり、山形県警が死因を水死としていた。2002年9月から山本さんの家族の要請で山梨県警が再捜査をし、保存されていた遺体の骨髄と、双子の妹の森本美砂さん(40)の血液のDNAが一致したという。
 山本さんは1984年6月4日、図書館に行くといって甲府市の自宅を出たまま行方不明になり、同8日に新潟県柏崎市でセカンドバッグが見つかっていた。

「 “拉致被害者”美保さんの行方 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト週刊新潮2004年3月18日号
 山本美保さんは1984年6月4日、図書館に行くといって山梨県甲府市の自宅を出たまま失踪、4日後の6月8日に新潟県柏崎市の海岸でバッグが見つかった。北朝鮮から韓国に亡命した権革(クォン・ヒョク)氏は「1994年頃、北朝鮮国内において見かけた女性が美保さんにそっくり」と証言、荒木氏らも美保さんは拉致された可能性が極めて高いと判断している。
 2004年3月5日、山梨県警警備第一課が「行方不明者『山本美保』さんについて」という文書を公表した。それによると美保さんは拉致ではなく、日本国内で死亡していたというのだ。
 発表資料には、1984年6月21日、山形県飽海(あくみ)郡遊佐(ゆざ)町の海岸に、一部白骨化した遺体が漂着。「山形県内で発見された身元不明遺体の一部とのDNA鑑定(本年3月上旬判明)を含めた捜査の結果により、山本美保さんと同一人物であることを判断した」と書かれている。
 整理すれば美保さんは、1984年6月4日甲府で失踪、6月8日新潟県柏崎市の海岸でバッグを発見、6月21日一部白骨化して、山形県の遊佐海岸に漂着したことになる。

「 私は美保じゃない、遺留品は語る 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト週刊新潮2004年4月29日号
 2003年3月に、妹の美砂さんが韓国に亡命した北朝鮮工作員・権革(クオン・ヒョク)氏にツテを求めて東京で会った時から、少しずつ展望が開けてきた。話を聞くことが出来たのは30分間だったが、パッと視界が開けるような時間だった。権革氏は、1994年頃に北朝鮮国内で見かけた女性が美保さんにそっくりだと言って、美砂さんを見ながら、「あなたの方が華奢ですね」という意味のコメントをしたのだ。
 だが、3月18日号の当欄で伝えたように、山梨県警は、今年3月5日、突然、美保さんは日本国内で死亡していたと発表した。
 20年前の6月4日に甲府で失踪した美保さんは同年6月21日に一部白骨体となって山形県の遊佐海岸に漂着したという説明だった。美保さんの家族のDNA鑑定と、遊佐海岸に漂着した遺体のDNAが「99・999%」一致したと言われたと母親の文子さんは語る。

 2004年にこんな記事を書いて「荒木の警察誹謗」に同調した櫻井よしこも今では「黙り」です(苦笑)。

'10 11/2 テレビ朝日「スーパーJチャンネル」(1)20歳女性失踪 遺体が語る“真相” 特定失踪者 山本美保さん: aoi blogから一部引用
 2010年11月2日夕方放送の「スーパーJチャンネル」のシリーズ「追跡!真実の行方」を文字化テキストにしました。(約21分間)この日は特定失踪者・山本美保さんを取り上げていました。テキストは2回に分けてご紹介しております。
【アナウンサー・渡辺宜嗣さん】(スタジオにて)
 「“追跡!真実の行方”です。26年前、山梨県で当時20歳の山本美保さんが失踪、その20年後、警察はDNA鑑定の結果から山形県で発見されました遺体が美保さんであると断定しました。警察の判断に疑問を持つ家族は執念でこの遺体の鑑定書を入手、疑問はある確信へと変わっていきます。果たして警察の判断は正しかったのか?真実の行方*3を追いました。」
【ナレーター】
 26年前*4山梨県に住む1人の女性が自宅を出たまま姿を消した。山本美保さん、当時20歳。20年後の2004年、山梨県警は美保さん失踪の17日後に山形県の海岸で発見されていた遺体が美保さんのものだと断定。鑑定の結果、この遺体と美保さんと一卵性双生児の妹・美砂さんのDNAが11か所で一致したのだ。
 山梨県甲府市。この街で暮らす森本美砂さんのもとに山梨県警から突然電話がかかってきたのは6年前のこと*5。それは青天の霹靂だった。
【特定失踪者 山本美保さんの妹・森本美砂さん(46)】
 「本当に突然です。平成16(2004)年の3月4日の夕方、当時の山梨県警の担当者から電話がありまして『山形で見つかったご遺体と(妹の)美砂さんの血液を鑑定した結果、一致しました』という言い方だったのです。それがにわかにどういう意味を示すのかよく私も分からなくって、一瞬(ボーガス注:頭の中が)まっ白になったのですね。」
【ナレーター】
 26年前に失踪した姉の山本美保さんと、その直後に山形県の海岸で発見された遺体がDNA鑑定で「同一人物」と断定されたことを知らせる電話だった。実は美砂さんは電話の1年前、山梨県警から「血液を提供してほしい」という要請を受けていた。DNA鑑定で、26年前、山形県の海岸に打ち上げられた女性の水死体が失踪した姉の美保さんと断定されたのだ。
 ことの起こりは26年前に遡る。美砂さんには一卵性双生児の姉がいる。自宅から忽然と姿を消した山本美保さん、当時20歳。高校卒業後、甲府市内の看護学校へ進学したが2年で中退。大学への進学を目指し受験勉強を始めた矢先の失踪だった。
1984年6月4日 美保さん 失踪当日
【ナレーター】
 その日、美保さんは受験勉強のため、いつものようにスクーターで甲府市内の図書館(山梨県立図書館)へ向かったという。これが家族が見た美保さんの最期の姿だった。翌日、行方を捜していた母親が甲府駅前で美保さんのスクーターを発見する。そして失踪4日後、まったく予想外の展開が。
1984年6月8日 美保さんのバッグ 発見
【リポーター・勝田和宏さん】
 「美保さんがいなくなってから4日後、山梨県から遠く離れたここ新潟県柏崎市の海岸で、財布や免許証が入ったセカンドバッグが発見されたのです。」
1984年6月21日 身元不明 水死体 発見
【リポーター・勝田和宏さん】
 「美保さんの財布や免許証が見つかった13日後、山形県のこの海岸で身元不明の女性の遺体が発見されました。」
【ナレーター】
 その場所は美保さんのバッグが発見された新潟県柏崎の海岸からさらに北へ200キロ離れた山形県の海岸だった。そして美保さんの失踪から20年が経ったある日。突然山形県の海岸で当時発見されていた女性の遺体と、美保さんと一卵性双生児の美砂さんのDNA型が一致したとの連絡が入ったのである。その時行われたDNA鑑定は2003年から使われていた当時最新の方法。科学警察研究所では2か所が一致しただけだったが、その後の名古屋大学での鑑定では11か所が一致。山梨県警は遺体を美保さん本人であると断定した。

'10 11/2 テレビ朝日「スーパーJチャンネル」(2)20歳女性失踪 遺体が語る“真相” 特定失踪者 山本美保さん: aoi blogから一部引用
 2010年11月2日夕方放送の「スーパーJチャンネル」のシリーズ「追跡!真実の行方」を文字化テキストにしました。(約21分間)この日は特定失踪者 山本美保さんを取り上げていました。テキストは2回に分けてご紹介しております。今回(2)が最終回です。
【ナレーター】
 「遺体は姉じゃない」という家族の叫びに一体どう答えるのか?。我々は山梨県警に文書取材を申し込んだ。そして数日後、3枚に渡る回答が送られてきた。
山梨県警の回答より】
 「山形県の海岸で発見された身元不明死体について、身体特徴や着衣などが相違しているから『別人である』とのご指摘がなされていることは、山梨県警察としても承知しております。(中略)
 これまでのところ、ジーパンのウエストサイズ、ブラジャーについても美保さんが着用することに矛盾はなく(中略)遺体を美保さんであるとすることに矛盾はないと判断しているところであります。」

特定失踪者にかかわるDNA鑑定問題に関する質問主意書2012年(平成二十四年)四月十日提出
 特定失踪者・山本美保さん(昭和五十九年六月四日、山梨県甲府市の自宅を出て失踪。四日後の新潟県柏崎市の荒浜海岸で本人のセカンドバッグが発見される。当時二十歳。以下「美保」と略)について、平成十六年三月五日、山梨県警察本部警備一課長が突然記者会見を行い、美保失踪十七日後の昭和五十九年六月二十一日、山形県遊佐町の海岸に漂着していた身元不明遺体(以下「Y」と略)の骨髄と、美保の双子の妹である森本美砂の血液のDNA鑑定を行った結果が一致したと発表された。

【拉致再調査】不明者の個人情報、北への提供を家族に承諾要請 政府(2/2ページ) - イザ!2014.8.15
 山本さんは昭和59年6月4日、山梨県甲府市の自宅を出たまま行方不明となり、4日後、新潟県内の海岸で山本さんのバッグが発見された。山梨県警は平成16年、DNA型鑑定を根拠に、失踪から17日後に山形県内の海岸で見つかった女性の遺体を山本さんと断定したが、家族は遺体の特徴や着衣に矛盾点があるとして、生存の可能性を主張している。

【拉致再調査】特定失踪者の山本さんDNA型鑑定書複写認めず 山梨県警 - 産経ニュース2014.10.1
 山本さんが行方不明になったのは昭和59年6月4日。4日後、新潟県内の海岸で山本さんのバッグが発見された。県警は平成16年、DNA型鑑定の結果を根拠に、失踪から17日後に山形県内の海岸で見つかった女性の遺体を山本さんと断定。

 山本美保でググっても実は「特定失踪者である彼女の遺体発見」について触れたマスコミ報道はこのくらいしかヒットしない。
 苦笑するのは
【北特別委解体】甲府市の特定失踪者、山本美保さんの妹「北の脅しには屈しないが対応を待つのは限界」 - 産経ニュース2018.2.13
【北朝鮮拉致】拉致解決「一刻も早く」 特定失踪者・山本美保さんの妹が山梨県知事に要望 - 産経ニュース2018.3.9
【南北首脳会談】甲府の特定失踪者 山本美保さんの妹「北朝鮮は行動で示して」 - 産経ニュース2018.4.27
という「山本美保さんを取り上げた産経記事」が「荒木の陰謀論山梨県警がDNA鑑定を捏造)」どころか、「遺体発見の事実」に触れないことです。
 さすがの産経も「遺体発見が発表された人物」を「特定失踪者認定すること」の無理を感じて姑息にも「遺体発見の事実」を隠すわけです。つまりはそれは産経が「荒木の陰謀論はデマである」と事実上認めていると言うことでもある。産経ですらここまで酷いデマには付き合わない。
 【拉致再調査】特定失踪者の山本さんDNA型鑑定書複写認めず 山梨県警 - 産経ニュース2014.10.1では「遺体発見に触れていた」産経が後で「隠すようになった理由」はわかりませんが。当初から「デマだと思っていたが、荒木とのしがらみから仕方なく触れた」のか、途中から「本当だと信じていたがこれは嘘だ」と考えが変わったのか。
 また、俺がググった限りでは一番新しい記事が◆北朝鮮・拉致問題:姉・山本美保さんの帰還願い署名活動 甲府駅前で妹の森本さん /山梨 | 毎日新聞2019.5.9という「約3年前の記事」です。世間はこんな話をほとんど相手にしていない。

*1:何のご協力をお願いしてるのか良くわかりませんが、ネット上で「横田めぐみ金正恩の母」「横田早紀江は皇室の親戚」デマを見かけたら通報しろとでも言うのか。

*2:航空自衛隊三沢基地司令、松島基地司令など歴任(佐藤守 - Wikipedia参照)

*3:で、荒木ら救う会の言い分を垂れ流すのだからテレ朝も呆れたバカです。どこが「真実の行方」なのか。なお、この時はテレ朝「スーパーJチャンネル」のキャスターは渡辺宜嗣でしたが2020年から「小松靖」に交代しています。

*4:テレ朝の放送は2010年、美保さんの失踪は1984

*5:テレ朝の放送は2010年、県警の電話は2004年