「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年6/27日分:荒木和博の巻)

世界日報の拉致被害者に関する情報について: 荒木和博BLOG
 32分の動画です。タイトルだけで見る気が失せます。
 「統一教会機関紙(世界日報)」などという怪しい代物をよくも平然と持ち出せるもんです。
 一応、動画を最初の10分ほど見ました*1が「脱北者がそう言ってる」つうだけの「いつもの怪しい話」です。
 荒木動画を見なくてもネット上に世界日報記事(後で紹介します)があるので一応それを読めば内容は分かります。

【日本メディア】
 朝日、読売、毎日などの全国紙、NHK日本テレビ、TBSなどのキー局、週刊文春、新潮、現代(講談社)、ポスト(小学館)などの大手出版社系週刊誌など
【韓国メディア】
 朝鮮日報中央日報東亜日報ハンギョレなどの全国紙など

などで後追い報道でも出れば話は別ですが、まあ出ないでしょうね。「後追い報道がない」時点で信頼性皆無でお話になりません。
【参考:世界日報記事】

「全員が平壌市内に居住」 日本人拉致被害者とその子供 | オピニオンの「ビューポイント」(ソウル・上田勇実)から一部引用
 北朝鮮により拉致された日本人被害者とその子供ら家族全員が、朝鮮労働党統一戦線部の“管理”の下で少なくとも2013年まで平壌市内に居住し続けてきたことが明かになった。北工作機関「偵察総局」の元幹部*2で14年に韓国に亡命*3したキム・グクソン氏が22日、日本メディアの取材では本紙に初めて応じ、明らかにした。
 横田めぐみさん=失踪当時(13)=に関し、キム氏は「皆が驚くような話もある*4」と述べ、生存の証拠があることをほのめかした。
【キム・グクソン氏との一問一答】
◆記者
 めぐみさんは生きているのか。
◆キム
 詳細は明かせないが、みなが驚くような話もある。

 ほとんど無内容で、具体性皆無です。お話になりません。


徴兵制と志願兵制(R4.6.27): 荒木和博BLOG
 9分13秒の動画です。タイトルだけで見る気が失せます(一応見ましたが)。
 第一にそんな事が拉致の解決と何の関係があるのか。何の関係もない。この動画は「拉致の解決」が目的ではなかったのか。
 第二に「日本において徴兵制が参院選の論点になってる」のか。どう見てもなってない。
 日本において徴兵制復活の可能性は低いでしょう。勿論「極右連中」の中に「徴兵制復活論」があることは俺も知っています。
 特にウクライナ戦争後は【1】ロシアとウクライナが、兵力不足に事実上、徴兵で対応していること(ウクライナの「壮年男性の出国原則禁止」はそういうことでしょう)、【2】一部の国が徴兵制を復活したこと(あるいは復活を検討していること*5)でその種の極右の「鼻息も荒い」。荒木のこの動画も「徴兵制復活希望」なのでしょう。
 しかし、さすがに「徴兵制復活」は日本も含め多くの国では「現実化しない」でしょう。自民や維新の支持層ですら「徴兵制復活支持」は少ないでしょう。
 なお、現在、日本に限らず、多くの国(欧米など)は「徴兵制から志願兵」という移行方向にあります(まあ日本の場合、憲法九条の関係や戦争被害国(中韓、米英、東南アジア)との外交関係から、公然と徴兵制復活などできる話でもないですが)。
 【1】徴兵をかけないといけない大規模戦争が起こる可能性は多くの国で低い、【2】徴兵は義務なので必ずしも士気が高くない(とはいえ、いわゆる「経済的徴兵制*6」の問題があるので「志願兵なら士気が高い」とも一概に言えませんが)などといったことが理由かとは思います。
 韓国は未だに徴兵制であることは「BTS騒動」でご存じの方も多いでしょうが、もはや韓国(人)にとっては、北朝鮮は「脅威」「打倒の対象」よりもメロドラマのネタ程度のものなのだろう(たぶん日本も同じ 関川某も自分の書いたことを撤回しろとおもう) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)ですからね。
 「BTS兵役免除論(但し、代替役務は行う)」も「BTSファンの熱い思い」もあるでしょうが「もはや北朝鮮は軍事的脅威ではない」つうことも大きいでしょう。
 果たして「朝鮮戦争当時」のような「北朝鮮が脅威だった時代」にこんなことが言えるかどうか。言っても支持されるかどうか(勿論、現在においても免除反対論はあり、意見は拮抗してますし、だからこそ免除するかどうかが保留状態のわけですが。国民世論の大多数が免除賛成または反対ならとっくに結論が出てるでしょう)。「北朝鮮が脅威だった時代」なら「人気芸能人だからって思い上がるな。兵役は国民の義務だ」が「大多数の意見」で終わりではないか。いずれにせよ、韓国も将来的には志願制になるのではないか(というか、そうすべきでしょう)。
【参考:BTS騒動】

「再燃」世論を二分、BTSは免除すべきか 韓国新政権誕生で兵役問題…|【西日本新聞me】2022.4.8
 世界的な人気を誇る韓国の男性音楽グループ「BTS防弾少年団)」の兵役問題が再び注目されている。(ボーガス注:「大衆文化芸術分野で優れた実績があるBTSを兵役免除にするために)兵役を事実上免除する対象に「大衆文化芸術分野で優れた実績がある人」を含める兵役法改正案は昨年11月、国会審議で結論が出なかったが、5月に発足する尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期政権チームが免除の特例を改めて検討する動きを見せているためだ。ただ兵役の公平性は韓国国民にとって極めて敏感なテーマ。影響力を増すK-POPの国への貢献度をどう評価するか論争になっている。

与党議員が芸能人の兵役免除主張 韓国、BTSの活動一時休止で(共同通信) - Yahoo!ニュース2022.6.20
 韓国の男性音楽グループBTS防弾少年団)がグループとしての活動を一時休止する意向を表明したことを巡り、与党「国民の力」の尹相現(ユン・サンヒョン)議員は20日フェイスブックで「経済への影響が甚大だ」とし、功績が大きい芸能人の兵役を免除するための兵役法改正を主張した。議論が広がる可能性がある。
 BTSは14日に公開した動画で、多忙による疲労や方向性の悩みを吐露した。だがメンバーの兵役入隊期限が迫っていることを、活動休止の一因と推測する見方も多い。
 五輪や芸術コンクールの上位入賞者らは兵役免除の特例対象になるが、大衆文化は対象外。

【参考:一部外国での徴兵制、ほか】

欧州で徴兵制復活の動き 仏、テロ多発に危機感(1/4ページ) - 産経ニュース2018.2.2
 欧州で徴兵制復活の動きが出ている。スウェーデンは1月から、ロシアの脅威を念頭に8年ぶりに復活させた。フランスでもイスラム過激派テロの脅威増大を背景にマクロン大統領が「復活」を宣言。ナチスの過去を持つドイツでも、近年の治安情勢悪化を踏まえ、復活の是非をめぐる議論がくすぶっている。
 フランスのマクロン大統領は1月19日、南仏トゥーロンの海軍基地で軍幹部向け「徴兵制を復活させる*7」と宣言した。イスラム過激派テロの脅威増大で、国防を強化するためだ。(パリ 三井美奈*8
 北欧の中立国、スウェーデンは、(ボーガス注:2014年のクリミア併合など)ロシアの軍事的脅威を念頭に8年前に廃止した徴兵制を1月から復活させた。
 スウェーデン(人口約1千万人、出生数毎年11万人)の徴兵制は、1999年以降に生まれた18歳の男女約10万人からまず1万3千人を選び、適性検査を経て毎年4千人を約11カ月間、兵役に就かせるもの。
 一方、ロシアと国境を接するエストニアでは、8カ月もしくは11カ月の徴兵制を維持している。2008年に廃止したリトアニアでも2015年に徴兵制を再開させた。対象は19歳から26歳の男子で、軍務は9カ月。(ロンドン 岡部伸*9

台湾が自衛力強化、徴兵制復活も検討 ウクライナ情勢に危機感 | 毎日新聞2022.3.28
 台湾の蔡英文政権が自衛力の強化を図っている。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、台湾統一を目指す中国からの軍事的圧力がさらに増す懸念が出ているためだ。2018年末に事実上廃止した、徴兵制の復活も検討し始めた。

ロシア、新たに13万人を徴兵 数カ月で前線に派遣か - 産経ニュース2022.4.1
 プーチン大統領は3月31日、徴兵に関する大統領令に署名した。4月1日から7月15日の間に新たに13万4500人を招集する。ロシアメディアによると、規模は例年並み。
 国防省は、徴兵はウクライナでの「軍事作戦」には関係ないとしているが、前線に派遣されるとの懸念が広がっている。

ロシア、志願兵の年齢上限撤廃 兵士数増加につなげる狙いか | 毎日新聞2022.5.29
 プーチン大統領は、軍への入隊志願者の年齢上限を撤廃する法案に署名し、同法が成立した。ウクライナ侵攻による露軍の人的損失は相当数に上っており、上限撤廃で兵士数増加につなげる狙いがあるとみられる。

【参考:日本極右の徴兵制復活論】

徴兵制が欧州で復活の動き、元陸将補に聞く日本での議論の是非 | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン2018.6.26
 今年に入ってフランスやスウェーデンといった国では、徴兵制復活論が出てきているという。世界的な徴兵制の現状と、徴兵制の意義などを、著作『徴兵制が日本を救う*10』(展転社)がある元陸将補、元防衛大学校教授で軍事評論家の柿谷勲夫氏*11に聞いた。(清談社 福田晃広)

【浪速風】軍事訓練の雄たけび - イザ!2022.6.20
 台湾で本格的な徴兵制が復活するかもしれない。現在も18歳以上の男性に4カ月の軍事訓練を義務付けているが、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事圧力強化を受けて、訓練期間を1年程度に延長する検討が進む。中国軍と対峙する台湾の緊張感は、日本にとって人ごとではない*12

*1:10分ほど見て飽きたので見るのはそこで辞めました。何せ無内容でつまらない。「荒木もこんなくだらないことを話してて苦痛じゃないのかな?。どう見ても拉致解決に役立ってないぞ(俺ならこんなくだらないことを30分も話さない)」と思うくらいくだらない。

*2:この幹部云々にしても、果たしてどこまで信用できることやら?

*3:そもそも2014年に亡命した人間が何故、今まで黙ってたのかと言う話です。

*4:「じゃあ、もったいぶってないで、言えよ、多分驚かないけどな」つう話です。

*5:多くの場合「検討止まり」のようですが。

*6:これについては布施祐仁『経済的徴兵制』(2015年、集英社新書)といった著書があります。

*7:フランス、新たな形で「兵役」復活へ 16歳の男女に奉仕義務 - BBCニュース(2018.6.28)によれば結局「奉仕義務制度」となり、「徴兵制復活」はありませんでした。

*8:読売新聞エルサレム支局長、パリ支局長などを経て、2016年、産経新聞に移籍。現在、産経新聞パリ支局長。著書『安楽死のできる国』(2003年、新潮新書)、『イスラエル』(2010年、新潮新書)、『イスラム化するヨーロッパ』(2015年、新潮新書)、『敗戦は罪なのか:オランダ判事レーリンクの東京裁判日記』(2021年、産経新聞出版

*9:産経新聞ロンドン支局長。著書『消えたヤルタ密約緊急電:情報士官・小野寺信の孤独な戦い』(2012年、新潮選書)、『イギリス解体、EU崩落、ロシア台頭』(2016年、PHP新書)、『イギリスの失敗:「合意なき離脱」のリスク』(2019年、PHP新書)、『第二次大戦、諜報戦秘史』(2021年、PHP新書)など

*10:1999年刊行

*11:著書『自衛隊が国軍になる日』(2015年、展転社

*12:「産経ですら」奥歯に物が挟まってますが、明らかに「日本での徴兵制復活論」でしょうね。