相棒元日スペシャル「大金塊」(一部ネタばらしあり)(追記あり)

・かなりネタばらししてる気がしますがご容赦ください。
・熟年探偵団*1が活躍する、あるいは彼らが犯人かと思いきや、熟年探偵団は、ほぼ完全に「賑やかし(コメディ要素)」でしたね。
 彼らが袴田邸で偶然聞いた「袴田や妻などの発言」を杉下(水谷豊)に伝え、その情報が「捜査に多少役立つ」という場面はありましたが、この場面、「杉下自身が偶然聞く」等の別設定でも処理できるので、事件捜査という意味では熟年探偵団の必要性はあまり感じません。
・熟年探偵団のメンバーが

斉木しげる佐藤B作(いずれも1949年生まれ)、井上肇(1961年生まれ)

と実年齢が「水谷豊(1952年生まれ)」とあまり変わらない(若干、水谷より年上ですが斉木、佐藤)、あるいは若い(井上)のに「定年退職後の暇な爺さん」、水谷が「現役バリバリの刑事」として描かれてることには、役の年齢と実年齢の乖離(3月13日更新) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)の一例とは言え思わず苦笑しました。
 しかし「矢崎滋(1947年生まれ)」の方が若干年上とは言え、彼とほぼ同年齢の斉木や佐藤が今だドラマ出演してるのに矢崎が引退したことは矢崎滋って「事実上引退してた」のかとびっくり(追記あり) - bogus-simotukareのブログでも書いたように「早すぎる引退」感はあります。
 まあ、さすがに上島竜平氏の自殺には驚いた(対外的な印象では、自殺の危険性など判断できないのだなと痛感する) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が取り上げた上島や渡辺同様に、矢崎も実は「芸能活動をする上で精神的に大分無理をしており」、それがついに限界に来たと言うことではあるのでしょう。勿論「自殺」するよりは「早期引退」の方がファンとしてもまだ精神的にマシです。

第11話<元日スペシャル>|ストーリー|相棒 season21|テレビ朝日
 袴田といえば一年前、右京(水谷豊)に殺人教唆の罪を暴かれそうになるも、当時の秘書に罪をなすりつけることで逮捕起訴を免れた、曰く付きの人物。

という部分は「真偽不明」、「袴田の殺人教唆疑惑追及は今後の課題」となり、話は「盗まれた金塊の行方と犯人の正体」が分かるだけで終わるかと思いきや「袴田(与党政調会長も務めた大物政治家)の殺人教唆を示唆する重要な物的証拠」が出てきて再び捜査が開始されマスコミも報道を始める(逮捕起訴ができるかどうかはともかく政治家辞任は避けられない模様)という落ちは意外でした。
 しかしその物的証拠が「袴田の圧力で消滅された」というならともかく、「彼を逮捕、起訴するより、弱みを握ってロボット化した方がいい」と考える人間によって消去されたことになっただけであり、「実は袴田の弱みを握り続けるために秘密裏に保管されていた、そして袴田に対する恫喝の材料として使用されていた(何物が保管させたかは詳細は不明だが、保管場所は内調(内閣情報調査室)であり、黒幕は警察上層部及び上層部とつながる与党幹部政治家らしい)」というのは「うーん(苦笑)」ですね。
 そういうコントロールをしようとするくらいならむしろ政治生命を奪おうとして袴田潰しに動かないか?。
 そしてその証拠を内調から秘密裏(非合法)に奪取した杉下(水谷豊)の働きかけで捜査が始まるというのも「うーん」。
 それ「どこから証拠を入手したのか」裁判で争いになったら公判が維持できない気がするんですが。
 また袴田(三世議員)が「安倍晋三のような悪徳政治家」として当初描かれながらも、内心では「自分は本来政治家に向いてない」と思ってる久野統一郎 - Wikipedia氏のように終盤辺りで描かれてたのも「そういう人間が殺人教唆するか?」と言う意味で「うーん」ですね。
・「盗まれた金塊の行方と犯人の正体」については完全なネタばらしはしませんが一部ネタばらししておきます。
 「20億の金塊(金の延べ棒)」を外部者が盗み出すというのは誰が考えても困難なので「誰が何のために盗み*2、何処に金塊を持ち出したのか」についてはともかく、内部犯行説(主犯か従犯かはともかく袴田の妻や息子、秘書など内部者が犯行に関与)はすぐに思いつくところですが、やはり「内部犯行説の一種」でした。
 なお、途中までは「袴田本人の自作自演、狂言の可能性」も匂わせていたのはなかなか上手いところです(ネタばらしすれば自作自演、狂言ではありません)。
・話が脱線しますが「大物政治家、金の延べ棒」というと金丸信氏を連想しますね。と言うかドラマの金塊もその辺りからの発想でしょうが。
【追記】

『相棒 season21』第11話 大金塊 - 法華狼の日記
 杉下右京と同じくらいの推理力を見たかった気持ちもある。いくつか補佐的な推理はおこなったが意外性はなく、冒頭で実際に事件解決に成功したほどの有能さまでは感じられなかった。

 おっしゃるとおりでその点は「何だかなあ」ですね。


参考

金丸信 金塊は北朝鮮からではない 金丸信吾 100周年記念企画「100年の100人」|文藝春秋digital金丸信*3
 未だに多くの人が信じているんじゃないですか、金丸信北朝鮮から金塊をもらったって。事実無根です。たしかに自宅に金塊はあったけれど、金丸夫人(悦子氏)が財テクとして田中貴金属から購入したもの。もちろん刻印が入っているし、取引証明書もあった。検察が強制捜査で発見したように報じられているけど、実際は、私が検察に提出したんです。金丸は北の出身だとか、当時は本当にでたらめな報道が多かった。

 オヤジの最後の夢は政権交代可能な二大政党制の実現でした。(ボーガス注:一緒に訪朝するなど付き合いがあった)社会党の田辺誠さんには「社会党の右派と一緒に割って出てくれ。俺は経世会を全員連れて出る。金は俺が作る」と協力を仰ぎ、新党作りの資金をかき集めていました。

 話が脱線しますが紹介しておきます。「うちの親父には先見の明があった」という金丸氏美化の「後世の作り話」の可能性は当然ありますが、これが事実なら「金丸構想を実現しようとしたのが小沢新進党」ではあるのでしょう(社会党新進党に参加せず離反しましたが)。
 この話が事実ならkojitakenが自ブログにおいて「小沢一郎氏ばかり」を「小選挙区制導入で二大政党制を画策した元凶」として悪口するのはやはり一面的でしょう(ということで今日もkojitakenに悪口しておく)。
 まあ、この話が作り話だとしても「土井衆院議長の仲介による細川首相と河野自民党総裁の合意」で小選挙区制は導入されたので小沢氏ばかりに悪口するkojitakenの態度は「不当な小沢攻撃&土井、河野、細川らの免罪」ですが。

*1:勿論、少年探偵団 - Wikipediaのもじり。今回の番組タイトル「大金塊」も「少年探偵団もの」である「大金塊」のもじりです(少年探偵団モノだが怪人二十面相は登場しない。なお、青空文庫江戸川乱歩 大金塊で全文が読める)。また、犯人は犯行予告を「地獄の軽業師」の名前で袴田に送りつけますが、これは明智登場作品である「地獄の道化師」のもじりです(ただし「地獄の道化師」は1)少年探偵団ものではなく、2)当然、怪人二十面相も登場しないし、3)陰惨な連続殺人事件ものですが)。今回の脚本家が乱歩ファンらしいことが窺えます。なお、「地獄の道化師」はテレ朝『江戸川乱歩の美女シリーズ』第16作『白い乳房の美女』(1981年)としてドラマ化されており比較的原作に忠実かと思います。『白い乳房の美女』については「白い乳房の美女」~江戸川乱歩の「地獄の道化師」(リライト版) その1 - 美女・特撮・ドラマ「白い乳房の美女」~江戸川乱歩の「地獄の道化師」(リライト版) その2 - 美女・特撮・ドラマ「白い乳房の美女」~江戸川乱歩の「地獄の道化師」(リライト版) その2 - 美女・特撮・ドラマを紹介しておきます(完全なネタばらしがあるので注意)

*2:可能性としては1)単に欲得のため、2)袴田への恨みを晴らすためが容易に思いつく動機ですが。

*3:金丸信氏の次男で秘書