新刊紹介:「経済」2023年4月号

「経済」4月号を俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
◆随想『イタリアからポルトガルへ』(脇山美伸)
(内容紹介)
 脇山氏については

『エコノミックス――マンガで読む経済の歴史』読書会で考えた、私達のお金の悩み | ハフポスト これからの経済
 訳者の脇山美伸さん(29歳でイタリアへ移住。映像制作のかたわら、経済と食を主なテーマに、執筆、翻訳、通訳をしている。2016年よりポルトガル在住)とお父様で監訳者の脇山俊さんスタンフォード大学経済学修士通商産業省世界銀行などに勤務。埼玉大学教授、政策研究大学院大学客員教授も務めた) によると、この本はモデルや数式によって何でも証明しようとし、無味乾燥な一般的な経済学の本とはひと味違っているらしい。

を紹介しておきます。
 とはいえ、早合点しそうですが

◆等々力警部(加藤武
 よし、わかった!*1。イタリア、ポルトガルだの、タイトルに書いてありますが、今回は『エコノミックス:マンガで読む経済の歴史』(脇山訳、2017年、みすず書房)の紹介ですね!。何せ『経済』誌ですから!
金田一耕助石坂浩二
 いいえ、違います。ミニコラムなんだから『経済』誌だからって、身辺雑記でもいいんですよ。

ということで、今回の随想は『エコノミックス:マンガで読む経済の歴史』(脇山訳、2017年、みすず書房)の紹介ではありません
(もしかしたら寄稿依頼した『経済』の当初の思惑はそうだったのかもしれませんが)。ということで何となく「加藤武」をネタにしたかったので上記の通り書いてみました。
 「イタリアとポルトガルの国民性の違い」がテーマですが、「個人差が大きくて大して違いが無い」「イタリア人は陽気でポルトガル人はその逆、というのは『大阪人は皆、阪神ファン、吉本ファン』と決めつけるくらい一面的」とのこと。


◆世界と日本『イギリス労働者の闘い』(宮前忠夫*2
(内容紹介)
 赤旗記事の紹介で代替。

英 反スト法案に抗議/“労働者の権利守ろう”2023.2.1
 法案は、救急、消防、鉄道について、担当大臣がスト中の最低限のサービス水準を決定し、使用者が労働者に勤務を命じることができます。必要な労働力を確保できない場合、ストを実施した労組は損害賠償を請求され、命令を受けてもストに参加した労働者は解雇される可能性があります。
 対象は教育、医療、運輸部門にまで拡大されていく予定。地元メディアによると、影響を受ける労働者は500万人に達します。集会では、「法案は国際法違反」「労組を敵視したナチスの手口を思わせる」との批判が噴出しました。

 今は保守党政権とはいえ、「労働党が政権を取ったこともある英国でそれか」と暗澹とします。
 なお、この法案の背景には英、賃上げスト50万人/教職員や鉄道員 「過去10年で最大」(2023.2.3)といった大規模な「賃上げスト」の存在があります。



特集「社会保障の拡充へ:大軍拡に抗して」
◆医療をめぐる「改革」動向:地方統制と保険者機能強化(長友薫輝*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
社会保障負担増あすから/75歳以上医療費2割負担・紹介状なし受診値上げ2022.9.30
きょうから高齢者医療費2倍化/冷たい政治 変えよう/東京・巣鴨で小池氏ら訴え2022.10.1
75歳以上の医療費窓口負担/2倍化中止し軽減こそ/田村政策委員長2022.10.1
75歳以上 また負担増/厚労省 医療保険料引き上げ狙う2022.10.29


介護保険制度の相次ぐ改悪と改革の課題(黒岡有子*4
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/介護保険の負担増/痛みを強いる改悪を中止せよ2021.11.22
主張/介護保険改定議論/利用抑制の加速は許されない2022.10.28
介護保険改定 負担増・給付減ずらり/社保審部会 論点提示 反対の声に背/「利用控え生じる」「重度化招く」2022.11.1
給付外しは国家的詐欺/介護保険改悪 宮本徹氏が断念迫る/衆院厚労委2022.11.3
介護保険見直し/利用料2倍なら退所 13%/利用中止・減らす 34%/民医連調査2022.11.22
介護の負担増・給付削減/再び反対・批判相次ぐ/社保審部会2022.11.29
介護負担増 結論先送り/社保審部会 運動成果も 残る危険2022.12.20


◆「100年安心」の虚構:減る年金を改革する(唐鎌直義*5
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/コロナ禍と住まい/政府は公的支援の責任果たせ2022.1.6
年金減額に怒りが噴出/支給日うけて2022.6.16
物価高騰に見合う年金の引き上げを/年金者組合が倉林議員に要請2022.9.8
年金 最大0.6%削減/物価高騰が生活直撃。なのに―/23年度 「マクロスライド」発動計画2023.1.21


社会保障としての居住保障:自己責任論批判・社会保障運動・公営住宅佐藤和宏*6
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/住宅の“安全網”/「住まいは人権」保障してこそ2017.7.14
主張/貧困と住まい/安心の住宅提供へ責任果たせ2018.5.6
主張/コロナ禍と住まい/政府は公的支援の責任果たせ2022.1.6
家賃補助制度を必ず/全借連総会で吉良氏あいさつ2022.12.7


生活保護制度の後退と最低生活保障(村田隆史*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
生活保護基準引き上げを/共産党国会議員団、国に要請書/コロナ・物価高に見合う水準に2022.11.5
主張/生活保護基準/物価高に見合う引き上げ急げ2022.11.8
主張/大学生と生活保護/進学を認め学ぶ権利保障せよ2022.12.9
主張/生活保護減額違法/国は反省し支給水準を上げよ2023.2.21


財政制度等審議会にみる社会保障費削減への執念(佐久間亮)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

福祉用具 貸与制転換に拒否感/厚労省検討会 否定意見が続出2022.2.18
 福祉用具の貸与をめぐり財政制度等審議会財務相の諮問機関)は、「購入する場合に比して多額の費用を要している」とし、杖や手すりなどの「廉価な品目」を「販売とすべきだ」と主張。福祉用具貸与のみのケアマネジメント報酬についても、次期改定(2024年度)で引き下げるべきだとしています。
 検討会では、「貸与の継続を希望する。高齢者は短期間で状態が変わる。(状態と福祉用具の)定期的な適合確認が必要だ」(日本福祉用具・生活支援用具協会)、「3年間継続利用している人の5割以上が状態を維持している。貸与制の目的は、衰えの早い高齢者の状態に応じて使い分けしながら在宅での自立した生活を維持することで、まさに目的を果たしている」(テクノエイド協会)など、貸与の意義を指摘する声が多数上がりました。

◆2023年度予算案:脅威・攻撃型安保政策と軍拡優先財政への転換(梅原英治*8
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/異常突出の軍事費/空前の大軍拡必ず阻止しよう2022.12.24
主張/岸田大軍拡予算/暮らし置き去り政治の転換を2022.12.26


◆異次元金融緩和がもたらす深刻な経済・財政危機(大島和夫*9
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/異次元緩和10年目/実体経済支える政策に転換を2022.4.6
「異次元の金融緩和」は完全に破綻 政治の責任で実効ある賃上げ政策を/志位委員長が会見2022.9.23
「異次元の金融緩和」の反省と転換が必要/日銀総裁人事で小池氏2023.2.14


◆「家計補助労働論」を乗り越える:不規則・短時間労働の拡大とインフォーマルケア保障の脆弱(後藤道夫*10
(内容紹介)
 「女性の非正規労働」の低賃金を正当化する「家計補助労働論」について、現在では
1)そもそも単身女性(未婚女性だけでなくシングルマザーを含む)の非正規労働が多いこと
2)そもそも男性との共働きの場合も「男性の労働だけでは生活ができない(男性も非正規、低賃金)ために働いており、家計補助とはとても言えない」
と批判している。
 「インフォーマルケア」とは「国、自治体が提供する社会福祉(フォーマルケア)」の対立概念だが、後藤論文においては、主として「両親による子への社会福祉(つまりは育児)」の意味合いで使用されている。
 「低賃金=所得を維持するための長時間労働」は「育児の困難性」をもたらしており、少子化を助長していると批判される。


◆学術会議の独立性・自主性の尊重を:政府の改革方針を問う(佐野正博*11
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/学術会議の改革/独立性崩す政府方針 撤回せよ2022.12.13
学術会議 独立性守れ/「政府方針再考を」 理系6学会会見2023.2.1


◆追悼『林直道*12先生の学問は生きている』(平野喜一郎*13
(内容紹介)
 林氏の追悼文ですが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。

*1:『等々力警部(加藤武)』の持ちネタ。これについては例えばインタビュー【加藤武】金田一シリーズ「よし、わかった!」秘話!! | 読む映画館参照。最近の若者は「このネタを知らないんだろうなあ(最近、金田一映画も地上波でまず放送されませんのでね)」と思うと「俺もオッサンになったなあ」としみじみします。加藤氏については加藤武についていろいろ(2023年3月12日記載) - bogus-simotukareのブログで簡単に触れました。

*2:著書『あなたは何時間働きますか?:ドイツの働き方改革と選択労働時間』(2018年、本の泉社)、『新版・企業別組合マルクス・エンゲルスの労働者組合論』(2019年、共同企画ヴォーロ)、『増補改訂版・企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(2019年、本の泉社)、『「労働組合」の過去・現在・未来』(2022年、共同企画ヴォーロ)など

*3:仏教大学准教授。著書『長友先生、国保って何ですか』(2013年、自治体研究社)

*4:著書『権利としての介護保障をめざして:介護保険20年の問題点とこれから』(2022年、学習の友社)

*5:佐久大学特任教授。著書『日本の高齢者は本当にゆたかか』(2001年、萌文社)、『脱貧困の社会保障』(2012年、旬報社

*6:高崎経済大学講師

*7:京都府立大学准教授。著書『生活保護法成立過程の研究』(2018年、自治体研究社)

*8:大阪経済大学名誉教授

*9:京都府立大学名誉教授

*10:都留文科大学名誉教授。著書『収縮する日本型<大衆社会>』(2001年、旬報社)、『反「構造改革」』(2002年、青木書店)、『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』(2006年、旬報社)、『ワーキングプア原論』(2011年、花伝社)など

*11:明治大学教授

*12:1923~2023年。大阪市立大学名誉教授。著書『景気循環の研究』(1959年、三一書房)、『史的唯物論と経済学』(1971年、大月書店)、『国際通貨危機世界恐慌』(1972年、大月書店)、『史的唯物論と所有理論』(1974年、大月書店)、『フランス語版資本論の研究』(1975年、大月書店)、『恐慌の基礎理論』(1976年、大月書店)、『現代の日本経済』(1976年、青木書店)、『経済学入門』(1981年、青木書店)、『現代資本主義論集』(1994年、青木書店)、『日本経済をどう見るか』(1998年、青木書店)、『恐慌・不況の経済学』(2000年、新日本出版社)、『強奪の資本主義』(2007年、新日本出版社)など

*13:三重大学名誉教授。著書『経済学と弁証法』(1979年、大月書店)、『社会科学の生誕』(1981年、大月書店)、『経済学との出会い』(1984年、青木書店)、『現代思想と経済学』(1986年、青木書店)、『現代社会の経済学』(1992年、青木書店)、『入門講座「資本論」を学ぶ人のために』(2011年、新日本出版社)など