今日の中国ニュース(2023年3月30日分)

【主張】民主主義サミット 中露に対抗へ結束示した - 産経ニュース
 タイトルには「自称・民主主義サミットとはそんな党利党略なのか?」「しかもそれを産経は公言するのか?」という「呆れ感」しかない。
 第一に「独裁的国家」は勿論中露だけではない。第二に独裁的国家は必ずしも「中露の友好国」というわけではない(ましてや「旧ソ連時代の東欧」のように中露を親分にしているわけでもない)。第三に「米軍が駐留するサウジ(王政)やエジプト(軍政)」「NATO加盟国トルコやハンガリー」など「米国の友好国」にも独裁的国家はありますが、そうした国に対して民主化を促すわけでもないのに、バイデン政権も良くもこんなサミットが開けた、とそのデタラメさには呆れます。さすがに米国も「サウジ(王政)やエジプト(軍政)など独裁的国家」は「そんな国を呼んで何が民主主義サミットか」と言う批判を恐れ、サミットに招かないようですが。
 第四に「こんなサミットを数回開く」程度で民主化が進むようなら苦労しません。単にバイデン政権が「民主主義の擁護者を自己宣伝してる」だけでしょう(しかも第三で指摘したようにサウジなど米国の友好国に独裁的国家があるのに「民主主義の擁護者」面もないもんです)。
 それにしても産経が「NATO加盟国トルコやハンガリー」がサミットに招かれないことについてこの社説で「NATOの団結が揺らぐ、中露を利する(俺の要約)」、つまりは「招け*1」と言いだしたのには呆れました。「民主主義」が建前のサミットなのだからNATO加盟国だろうが「独裁的」と批判される国は招けないでしょう。むしろ米国を批判すべき点は産経のような話ではなく「NATOの性格は軍事同盟(民主化がテーマではない)とはいえ、仮にも民主主義を表看板とする米国が盟主の団体がトルコなどの反民主的国家を今のように黙認でいいのか?」ということでしょう。


台湾蔡英文総統への抗議 “中国 日当200ドルで動員” 台湾情報機関 | NHK | 中国
 誰しも思い出すのは「沖縄の米軍基地反対デモに日当が出ている」という右翼デマでしょう。当然、こうした台湾側の主張も「反中国デマ」の可能性は十分ある(というか、『沖縄デモ誹謗デマ』のパクリの可能性すらある)。と同時に今後、蔡英文ら台湾政権が「自分らへの批判デモ」については「親中国派のデモ」はもちろん「中国と関係ないデモ」ですら「中国がバックにいる」等の誹謗中傷をしないかと危惧します。


【産経抄】3月30日 - 産経ニュース

 何度も書いてきたように、日本にはスパイを防止する法律はない。

 勿論完全なデマであり、スパイ行為を処罰する法律はいろいろありますし、実際、宮永スパイ事件 - Wikipedia(宮永陸将補に自衛隊法違反で懲役1年の実刑判決、久保田防衛庁長官(大平内閣)が引責辞任)など処罰もされている。

 日本の監視カメラの市場で中国企業のシェアが拡大している*2。日本にいながら中国に監視される。

 「反中国」産経新聞らしいですが
1)中国企業と中国政府は違うし
2)中国企業が「何らかの方法で、カメラ利用者の許可なく、カメラ情報を勝手に持ち出し外部流出させる*3」などの無法行為をしない限り、カメラ情報は利用者の手元にのみあり、中国企業がカメラ情報をどうこうできるわけではない(そして中国企業がその種の違法行為をしている事実は今のところ認められてない)
と言う意味で馬鹿げた主張です。
 そもそも「自衛隊基地」等ならまだしも、「スーパーやコンビニの防犯カメラ」の映像など中国もそもそも何かする気もないでしょう。
 なお、英、中国製監視カメラを規制 政府機関の使用停止 - 日本経済新聞(2022.11.25)といった「一部の外国政府」も「軍事基地」や「政府機関」ならともかく「民間施設での中国企業の監視カメラ」排除など現時点ではしていません(勿論「政府機関限定」とはいえこうした一部の外国政府の対応が適切かどうかは議論の余地があると思います)。
 そして、むしろ監視カメラで問題なのは産経が言うようなことよりも「監視カメラの利用者」が1)悪意でカメラ映像を悪用したり、2)ずさんな管理で外部に情報流出させたりする危険性でしょう。政府機関や大企業ならともかく「中小企業や一般個人」の監視カメラが「適正な管理」をされてる保障は残念ながらないでしょう。

*1:NATO加盟国とはいえ、トルコやハンガリー国益判断から「ベラルーシほどロシアべったりではないが、米英仏独ほど批判的でない(米英などに比べるとかなりロシアに融和的)」ので、産経は「トルコなどが対露態度を改めない限り招かないのは当然」と言うかと思っていたので意外です。

*2:これについては例えば世界シェア2位 中国セキュリティー会社が日本初上陸 監視カメラ技術や製品を公開(2022.10.25)参照

*3:そのようなことが可能なのか知りませんが。ただし、そのようなことが仮に「技術的に可能」なら中国企業以外も可能ではないか?。中国企業だけを問題視するのはおかしい気がします。