今日の中国ニュース(2023年4月7日分)(追記あり)

【追記】
 金門島住民の状況が、中台危機(中台有事)が起きる蓋然性の実情ではないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でご紹介頂きました。
 いつもありがとうございます。
【追記終わり】
金門島の今

「永久非軍事化」声明も “中国に一番近い島”台湾・金門島で薄れていく危機感 | TBS NEWS DIG (1ページ)
 金門島には目立った産業がなく、経済を中国からの観光客に頼っています。
 コロナ前は年間のべ200万人の中国人が訪れていたといい、島民からは中国との往来再開を期待する声も聞かれました。
金門島の商店店主
「もちろん、中国人には来てほしい。台湾の客より多いからね」
金門県議会の董森堡議員
金門島は天然資源もなければ、香港のような金融や情報の中心でもありません」
 2月には地元議会でも動きが。政権与党の民進党も含む超党派の議員らが島の「永久非軍事化*1」を求める声明を発表したのです。

中国人観光客を待ちわびる台湾海峡の最前線「金門島」:広橋賢蔵 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト
 県の観光処の統計では、コロナ前の中国人来訪者は年間で延べ50万人前後と、台湾人の来訪者数を凌駕していた。 
 金門の人々は現金をふんだんに落とす中国人客に今後も大いなる期待をかける
 金門県選出の立法委員(国会議員に当たる)の陳玉珍女史(49)。
金門島民は一刻も早い小三通*2の再開を求めているのに、民進党はなかなか定期船の往来を開放してくれない。それなら、代わりに台湾本島からもっと金門観光に来てくれと要求したいくらいです」
 彼女は中国側とのパイプも太いのか、台湾本土の政治家と違い、大陸ともっと積極的に交流を深めるべきだということを、何の躊躇もなく声高に主張する。陳議員に、台湾有事の勃発を憂慮していないのか尋ねてみた。
「金門人は中国大陸にルーツがあり、大陸と往来してきた長い歴史がありますから。観光客を誘致し、経済を潤わせたい。インフラも中国側が整備してくれるというなら、享受するまでです。」
 少なくとも、私が今回滞在した4日間で出会った金門の人々は、予想以上に大陸との交流に前向きだった。
 金門島を描いたドラマのロケに使われたセットのある観光地で、雑貨店を営んでいる50代の盧さん。
人民解放軍がやってきて国民党軍を追い払い、『金門を解放する』と言ったら従いますか?」と尋ねてみると、事もなげにこう答えた。
「私たちの土地をきちんと治めてくれるなら、台湾でも中国でもいい。中国本土のほうが景気もいいから、それで金門島の経済が潤ってくれるなら、大歓迎だね」
 市場で麺を売っていた20代の夫婦にも同じ質問をしてみた。
中共がここを占領したら?。その時の政治状況を考えて最善の選択を考えればいいさ」

 いくら「中国人観光客が金を落としてくれるから」といっても中台有事に現実性があればこんなことにはならないでしょう。
金門砲戦 - Wikipedia(1958年)ということで、過去(1950年代)には中台が激突した金門島も今や戦争の危険など住民は全く感じないわけです。
 金門島民の発言(景気が良ければ中国支配でも一向に構わない)も本心と言うより「中台関係を悪化させて中国人観光客を減らす」一方で、「減った中国人の代わりに金門島観光に来てくれるわけでもない台湾主流派」への反発の表明でしょう。
 勿論「中台有事に現実性がない」からこそのこうした「反発表明」でしょう。


リベラル21 「米・中対決」から「米の孤立化へ」(田畑光永
 「米国の孤立」は狙ってないでしょうね。
 「米国の中国敵視に加担するな(中国)」とはそこまでの話ではない。「中国側についてくれ」「米国と敵対してくれ」と言う話じゃないわけですから。

 51項目、中国文で約5700字(日本語に訳せば1万字を超える)という長い共同声明が発表された。
 6「仏側は“中国は1つである”という政策を堅持する」

 中国との対立を深める米国ですら公式には「一つの中国」を今だ否定してないし、フランスに限らず「中国と国交のある国」は全て「一つの中国」の立場なので「他の項目」とは違い、「ある意味当然の話」ではあります。

20「両国は中国の航空会社が160機の旅客機*3を購入する契約が両国間で合意されたことを歓迎する。」

 結局、経済大国「中国」の市場を無視できないわけです。

習の発言「私はフランスが危機を政治的に解決する具体的な方策を出して欲しい。中国はそれを支持して、建設的な役割を果たしたい」

 これを「中国が、ロシア、ウクライナの激しい対立から、具体的和平案を作ることを諦めて、フランスに『何とか和平案を作ってくれると助かる』と丸投げした」と見る田畑ですが「反中国がすぎる」んじゃないか。 
 もっと「中立的(?)」に「中国の和平提案を『中国はロシアに融和的だから信用できない』という声が米国を中心にある。そのような状況下では中国が具体的な和平案を作るより、フランスなど他国が作った方がいいかもしれない。中国は良い案なら自国の和平案に固執しない」程度の「公正アピール」と見るべきではないか。
 またこのようにフランスを持ち上げることで「マクロンの顔を立てた」と言う面もあるのではないか。


フランス 中国と首脳会談 ロシアに武器供与しないようけん制 | NHK | フランス
 「要求」「要請」「要望」等と中立的に書かずに、反中国色の強い「牽制」と書く辺りが「NHKは何だかなあ」ですね。

 会談のあとフォンデアライエン*4委員長は(中略)「習主席にウクライナのゼレンスキー大統領と連絡を取るよう促した。習主席は条件と時期が整えば、ゼレンスキー大統領と話すつもりだと強調した」と述べ、習主席がゼレンスキー大統領との対話に前向きだったと明らかにしました。

 実際に習氏とゼレンスキーが会うか、会って成果があるかどうかはともかく、フォンデアライエン氏が「中国の和平提案」を全否定していない点が興味深い。

*1:どう評価すべきかはともかく、少なくとも「中国の軍事的脅威を理由とした軍拡ではない点」に注目ですね

*2:中台間の通信、通航、通商の部分的直接往来のこと

*3:フランスのエアバスのこと

*4:メルケル内閣厚労相、国防相などを経てEU委員長