櫻井よしこのバカさに呆れる(2023年6月22日記載)(追記あり)

【最初に追記】
 死んでから1年もたつのに、いまだに論拠なく安倍晋三を称賛し続ける馬鹿な連中 - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事を紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】
「 「シラス」と「ウシハク」 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

 皇學館大学文学部教授、松浦光修*1の『神々の日本史』(経営科学出版)が深く心にしみた。本書は21年前の氏の初めての歴史評論集『やまと心のシンフォニー*2』を書名を変えて再出版したものだ。
 氏は書いている。皇學館に入学する学生たちでさえ、初代天皇神武天皇)の名前*3を言えない、或いは今上陛下が何代目の天皇であるかを知らない学生たち*4が増えている、と。「日本にたった二つ*5しかない神道*6の大学の入学生でも、このありさまである」と氏は嘆き、「今の日本人の心には、『天皇』や『日本*7』の存在そのものが消えかけている(中略)との指摘は極めて重い。

 そんなもんを覚える必要が何処にあるのか。「櫻井らが美化する安倍」「櫻井らのウヨ仲間の多く(産経の阿比留、巣くう会会長の西岡、副会長の島田など)」ですら「神武天皇の名前」など言えないのではないか。
 いや戦前ですら「神武の名前」「当時の天皇の代数」を知ってる日本人が果たしてどれほどいたか。
 「神武の名前が言えなければ、今の天皇の代数が言えなければ、主観的には天皇シンパ(新年の一般参賀に参加する、天皇を取り上げたテレビ番組をよく見るなど)でも、客観的には本当の天皇愛好者とは言えない」とは右翼以外にはまず賛同者はいないでしょう。
 しかし「神武ですらこれ」です。明治天皇(睦仁)、大正天皇(嘉仁)、昭和天皇裕仁)、上皇明仁)、現天皇徳仁)、秋篠宮家当主(天皇の弟、文仁)の名前を知らないといったら「マジギレ」でしょうか?
 なお、「何代目か」は勿論「天皇家の公式見解(公式見解では現天皇は126代目)」はありますが、「神武など神話の天皇非実在だが公式見解では代数に入れる)」「天皇に即位しなかったという説が有力な大友皇子*8(公式見解では弘文天皇とし代数に入れる)」「南北朝期の天皇(現天皇家北朝ルーツだが、公式見解では南朝のみ数える。この問題が政治的な大問題になったのがいわゆる南北朝正閏論 - Wikipediaです)」を「どう処理するか」と言う問題があり話は単純ではない。
 なお、松浦の本を出したという経営科学出版は

◆上嶋嘉郎*9反日メディアの正体:戦後日本に埋め込まれた「GHQ洗脳装置」の闇』(2021年)

を刊行する「トンデモ右翼出版社」です。

 2年前に(ボーガス注:LGBT法案が)浮上した時には自民党が止めた。今回再浮上した時、自民党は止められず、法制化した。
 具体的に言えば、2年前は(ボーガス注:自民によるLGBT法案の国会提出を)安倍氏が止めた。今回は岸田文雄首相が推進した。
 安倍氏はなぜ止めて、岸田氏はなぜ止めなかった、というより、なぜむしろ推進したのか。両氏の差は日本の国柄を奥深くまで知っているかどうか、日本の国柄を大切に思っているかどうかの違いから生まれるのではないか。
 日本人としての賢い取捨選択を可能にするにはまず、日本の国柄をよく理解しておくことが大事だ。敢えていえば、失礼ながら、岸田氏にはそれができていないのではないかと不安に思う。日本の国柄を守り続けることのできる政治をしてほしいと、岸田氏に注文するものである。

 「日本の国柄」を深く知ってると「LGBT法案に反対せざるを得ない」そうです。意味不明すぎて頭痛がします。
 とはいえ、有本香*10を批判する澤藤統一郎の憲法日記 » えっ? LGBT容認は万世一系の皇統を危うくする「朝敵」ですって。ふーむ、なるほどね。で分かるようにこうした珍論を放言する極右は櫻井だけではありません。
 いずれにせよそんな「LGBT差別」が「日本の国柄(伝統)」ならそんな物は否定されてしかるべきです。勿論、櫻井ら「LGBT差別」極右が「国柄だ」と強弁してるだけにすぎませんが。
 なお、岸田が「何故推進したか」と言えば

◆首相秘書官をLGBT差別暴言で更迭に追い込まれたこと(LGBT法に反対すれば秘書官の差別暴言がまた蒸し返される)
LGBT法反対運動の有力スポンサーに宗教右翼(特に統一協会)がいることが安倍暗殺で表面化したこと
自民党国会議員内で最もLGBT法に否定的な安倍が死んだこと(しかも安倍は統一協会醜聞を暴かれて死亡し、安倍派は後任会長を決められない惨状)
◆自民支持層ですら反対派は少ないこと
◆米英仏独の駐日大使がLGBT法成立を要請したこと

等があげられるでしょう。
 それにしても「モリカケ桜疑惑、統一協会癒着の腐敗政治家」安倍を「死んでから」も、よくもここまで美化できるもんです。しかも美化の内容が「LGBT法案に反対した安倍は偉い、それに比べて、岸田や野党など、賛成した連中はろくでもない」。LGBT法案支持者(その方が恐らく多い)からすれば「安倍への褒め殺し?」と言いたくなるバカさです。

 「しらす」とは人の心を知り、それを鏡のように映し出して、それによって世を治めるという考えだ。
 明治憲法起草の中心人物、井上毅(こわし)*11は「しらす」こそ、日本の国柄、国体の真髄だと考えた。明治20年2月頃までに起草した「憲法初案説明草稿」で、第一条を「日本帝国ハ万世一系天皇ノ治(シラ)ス所ナリ」とした。「治ス」は後に「統治ス」に改められたが、日本の国柄を軸にした憲法はこうして成立した。

 「井上の主張」をどう評価するにせよ「シラス」、「万世一系」、「明治憲法」と「櫻井ら極右のLGBT差別」と何の関係があるのか。全く意味不明です。

 大東亜戦争で敗北して以来(ボーガス注:GHQによって?)日本の国柄は悉(ことごと)く否定された。

 本気か商売右翼か知りませんが実に非常識です。櫻井に「戦後、否定された国柄とは何か?」と聞けば「国家神道(戦後は政教分離、戦前は他の宗教法人と違い、内務省所管の『一般の神社』、軍所管の靖国神社も戦後は文部省(文科省)所管)」「天皇主権(戦後は国民主権天皇象徴化)」「教育勅語(戦後は教育基本法)」とでも言うんでしょうか?。確かにそれらは戦後否定されましたが、今時、天皇一家や「自民党支持層の大多数(櫻井のような極右を除く)」すら「国家神道」「天皇主権」「教育勅語」を正当化はしないでしょう。

*1:新しい歴史教科書をつくる会」賛同者(後に会を脱退)。著書『大国隆正の研究』(2001年、大明堂)、『いいかげんにしろ日教組:われ「亡国教育」と、かく闘えり』(2003年、PHP研究所→2022年、経営科学出版)、『日本は天皇の祈りに守られている』(2013年、致知出版社)、『龍馬の「八策」』(2016年、PHP新書)、『明治維新という大業』(2018年、明成社)、『まだ懲りないか日教組』(2022年、経営科学出版)等

*2:2002年、国書刊行会

*3:神武天皇奈良時代に定められた諡。古事記日本書紀神武天皇の名を「若御毛沼命(わかみけぬのみこと)とする(神武天皇 - Wikipedia参照)

*4:なお、俺はどちらも知りません。今回ググって初めて知りました。

*5:もう一つは國學院大學

*6:一方、仏教系は大正大学天台宗)、高野山大学真言宗)、大谷大学龍谷大学浄土真宗)、立正大学身延山大学日蓮宗)、駒澤大学曹洞宗)、花園大学臨済宗)等、いろいろあるようです(仏教系大学 - Wikipedia参照)。

*7:こういう右翼にとって「天皇=日本」なんでしょうが、天皇と日本はイコールではない。

*8:天智天皇の息子。壬申の乱大海人皇子(天智の弟、後の天武天皇)に敗れ自害

*9:著書『韓国には言うべきことをキッチリ言おう! :いわれなき対日非難「サクサク反論」ガイド』(2016年、ワニブックスPLUS新書)

*10:著書『中国茶・香りの万華鏡』(2003年、小学館文庫)、『中国はチベットからパンダを盗んだ』(2008年、講談社+α新書)、『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(2009年、祥伝社新書)、『中国の「日本買収」計画』(2011年、ワック文庫)、『「小池劇場」の真実』(2017年、幻冬舎文庫)等

*11:1843~1895年。大日本帝国憲法皇室典範教育勅語軍人勅諭などの起草に参加。第一次伊藤、黒田、第一次山県内閣法制局長官、第二次伊藤内閣文相等を歴任